Archive for the ‘少年事件’ Category

自殺関与罪と逆送

2022-05-22

自殺関与罪と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

17歳のAさんは、SNSを見ていたところ、「死にたいです」という女性Vさんの書き込みを見つけました。
Aさんはこの女性と仲良くなりたいと思い、Vさんにメッセージを送り、後日名古屋市港区にあるVさんの自宅で会うことになりました。
Vさんの自宅でVさんが「つらくて死にたいけど勇気が出ない」と言ったため、Aさんは「死んだほうがVさんが幸せならしょうがないね、このロープはとても丈夫だから首を吊るにはいいと思う」と言い、Vさんに準備しておいた丈夫なロープを渡したところ、「ありがとう」とVさんに言われました。
その後Aさんは帰宅しましたが、その日の夜にVさんはAさんに渡されたロープで首を吊って亡くなりました。
後日、Aさんは愛知県港警察署に自殺関与罪の疑いで逮捕されることになります。
(フィクションです)

【自殺することを助けると罪になりますか】

人が自殺することをそそのかしたり、助けたりすると「自殺関与罪及び同意殺人罪」に問われる可能性が有ります。

刑法第202条に

人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

とあります。

【自殺関与罪とは】

自殺関与罪等のうち、自殺教唆・幇助罪は、人を教唆あるいは幇助して自殺させた場合に成立する罪です。

【自殺教唆とは】

自殺の意思のない者に対し、自殺の決意を与えて自殺を遂行させることをいいます。
教唆の手段には制限はなく、黙示的な方法でも良いとされています。
ただし、欺罔や脅迫などの程度が著しい時には、殺人罪の間接正犯となります。

【自殺幇助とは】

既に自殺の決意のある者に対して、その自殺行為に援助を与えて自殺の実現を容易にすることです。


Aさんは既に自殺を決意しているVさんに対し、自殺行為を行ないやすくするためにロープを渡しており
それを使用してVさんは自殺をしているので、Aさんには自殺関与罪(自殺幇助)が成立する可能性が有ります。

【少年事件の流れ】

検察官は犯罪の嫌疑のある少年の被疑事件について、捜査後に家庭裁判所に送致しなければならないと少年法で定められています。
ですが、家庭裁判所に送致後、家庭裁判所が少年事件を家庭裁判所から検察官に送致することがあります。
家庭裁判所から検察官に送致することが、通常の検察官から家庭裁判所への送致と比べて逆向きの送致であるため、このことを通称「逆送致(逆送)」というのです。
逆送致(逆送)された場合は、成人と同じく一般の刑事手続を行うことになります。

どういう場合に逆送となるのかにつきましては

①調査または審判の結果、調査や審判時の本人の年齢が20歳以上であることが判明した時
②刑事処分相当と判断された時
(ただし、行為時16歳以上の少年が故意の犯罪行為によって、被害者を死亡させた事件については、原則として逆送することとされています。)

があります。
ただし、②の場合であっても、家庭裁判所の調査の結果、犯行の動機および態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状および環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認める時は、逆送しなくてもよい、と例外も少年法で定められています。
また、令和4年4月1日施行の少年法改正により、「特定少年(18歳と19歳)の時に犯した死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」が原則、検察官送致がされる事件となります。

少年は成人に比べて、自分の気持ちや記憶を正直に、適切に表現することが難しいことも多いため、捜査初期から弁護士のサポートを受け、家庭裁判所送致後は付添人活動の経験豊富な弁護士のサポートを受け、それぞれの少年にとって最も良い処遇へ導いていくことがとても大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が自殺関与罪や自殺幇助で話を聞かれることになった、付添人経験が豊富な弁護士を探している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

髪を切ることと暴行罪

2022-05-04

髪を切ることと暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

18歳のA君は海外から帰ってくる恋人のVさんに会うため、名古屋市中村区にある駅の待合室にいました。
しかし、VさんはA君に会うなり、「Bさんと結婚するから別れてくれ」と言い、A君とVさんは口論となりました。
A君はVさんに恥をかかせてやろうと思い、駅構内のコンビニエンスストアでハサミを購入した後、Vさんの髪をつかみ、購入したハサミでVさんの髪を無理矢理切り落としました。
A君はVさんの悲鳴を聞いて駆けつけた、愛知県中村警察署の警察官に取り押さえられ、「暴行罪で話を聞かせてもらう」と言われました。
A君の両親は、今まで警察に一度もお世話になったことはないし、どうしたらいいのかわからないと思い少年事件に強い弁護士に相談に行きました。
(フィクションです)

【髪を無理矢理切るのは暴行罪になりますか】

暴行罪とは、人の身体に対し、有形力を行使したが、人の生理機能に障害を与えなかったり、健康状態を不良にしなかった場合に成立します。
条文は
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。(刑法第208条)
となります。

A君はVさんに対し、ハサミで無理矢理髪を切るという有形力の行使を行いました。
しかし、髪を切り落とされても、生理機能や健康状態を傷害・不良にすることはないとされますので、暴行罪となる可能性があります。
有形力の行使とは、殴る、蹴る、投げ飛ばす、服をつかんで引っ張る、人の前を狙って石を投げる、拡声器を使い耳元で大声を出す、などがあります。
また、生理機能に障害を与えるとは、怪我をさせる、精神衰弱症にさせる、睡眠障害を負わせる、急性アルコール中毒にさせる、などがあります。
ただし、Vさんに治療を必要とするPTSD(心的外傷後ストレス症候群)が見られた場合は傷害罪となる可能性があります。

【弁護活動について】

A君に対しては、より適切な処分を目指して弁護活動をしていくことになるでしょう。

【審判不開始決定】

審判不開始決定とは、少年事件が家庭裁判所へ送られ、家庭裁判所における調査の結果、審判に付することができない場合、もしくは審判に付するのが相当ではない場合に審判自体を開始しない旨の決定をすることをいいます。
審判に付すことができない場合とは、少年の所在が不明であったりする場合で、審判に付するのが相当ではない場合とは、事案が軽微であったり、家庭裁判所に送致された段階で少年が十分に反省しており要保護性がなくなったりしている場合のことです。
審判不開始処分となった場合は、その時点で事件は完結し、少年審判が開かれることはありません。
ですので、少年事件に強い弁護士は少年が更生していることや、少年の家庭環境、生活環境に問題がないことなどを家庭裁判所に伝え、審判不開始決定となるように働きかけることになります。

【不処分決定】

不処分決定とは、少年事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所における調査の結果、保護処分に付することができない場合、また保護処分に付するまでの必要がない場合に、審判で保護処分に付さない決定をすることをいいます。
保護処分とは少年院送致や保護観察のことで、不処分決定がされると、それらを受けることなく事件が終了します。
保護処分に付することができない場合とは、少年の所在が不明であったりする場合で、保護処分に付するまでの必要がない場合とは、審判の過程で、調査官や裁判官による教育的な働きかけにより、少年の問題点が改善され、再非行の危険性がなくなったと認められる場合のことです。
ですので、少年事件に強い弁護士は、調査官や裁判官と協議し、付添人としての少年に対する教育的な働きかけによって、問題点が改善され、再非行の危険性はないと家庭裁判所に主張していくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、早急に弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

被拘禁者奪取罪を学校に知られたくない 

2022-04-16

被拘禁者奪取罪を学校に知られたくないことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

高校3年生ので17歳のAさんが名古屋市南区にあるスーパーに入ると、同級生のBさんが警備員と店員に腕をつかまれているのを見つけました。
Aさんは警備員に対し、「友人だけどなにかあったのですか」と尋ねると、警備員は「私が彼を万引きで逮捕したので今から愛知県南警察署に行きます」と答えました。
Aさんはとっさに「僕が警察署に連れていきます」と警備員に嘘をつき、警備員と店員の制止を振り切ってBさんの腕をとって一緒に逃げました。
2人は、追跡してきた愛知県南警察署の警察官に取り押さえられました。
Aさんの両親は、高校は何とか卒業させたい、学校に知られない方法は無いかと法律事務所に相談に行きました。
(フィクションです)

【Aさんはどのような罪に問われますか】

Aさんには「被拘禁者奪取罪」が成立する可能性があります。
被拘禁者奪取罪は、刑法第99条に規定があり

法令により拘禁された者を奪取した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

とあり、未遂も処罰されます。(刑法第102条)

「法令により拘禁された者」とは、法的根拠に基づいて国家機関から身体の自由を拘束されている者とされています。
その中には警察官によって逮捕された者のほか、警察官以外の者が現行犯逮捕した者、逮捕段階であり勾留前の者、少年院や少年鑑別所に収容されている者、などがあてはまります。
「奪取」とは、被拘禁者を看守者の実力支配から離脱させて、自己または第三者の実力支配下に移すことです。

Aさんは警備員によって現行犯逮捕されているBさんを、制止を振り切りBさんの腕をとり一緒に逃げているので、被拘禁者奪取罪が成立する可能性があるのです。
(一般人は、通常逮捕、緊急逮捕はできず、現行犯逮捕のみできます。)

【学校に事件のことを知られたくない】

学校に事件のことが伝わるのはいくつかの理由が考えられます。
少年やその保護者が学校に直接連絡した場合を除き
①警察から学校に連絡する場合
②調査官から学校に連絡する場合
の2つが考えらえます。

【警察からの連絡への対応】

全国の都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、警察と学校が連絡を取り合う制度があります。
この制度により、少年や保護者のしらないところで警察から学校に連絡が行き、学校に事件のことを知られるという可能性が有るのです。
しかしこの制度があっても、警察は必ずしもすべての事件について学校に連絡しているわけではありません。
ですので、弁護士は学校に連絡をするべきでは無い事情があるなどの場合は、警察にその旨を申し入れ、学校へ連絡しないように働きかけることも可能です。

【調査官からの連絡への対応】

まず調査官とは、専門知識を活用して非行少年の立ち直りに向けた調査活動を行う人のことです。
警察が学校への通報を控えた場合には、警察の捜査が終了後に事件が送られる、家庭裁判所もそれに応じるのが一般的です。
しかし再度、弁護士から学校に連絡をするべきでは無い事情などを家庭裁判所の調査官に伝え、学校への連絡をしないように働きかけることが可能です。

【学校に事件のことを知られてしまった】

弁護士が警察などに申し入れをする前に、既に警察が学校に連絡していることも考えられます。
しかしその場合でも、弁護士から学校の校長先生や担任の先生と面談し、少年が更生していることや、少年事件の手続きや理念を説明し、少年を受け入れてくれるように要請することも考えられます。
それでも、残念ながら少年が学校に受け入れてもらえず、退学せざるを得ないケースはあるかもしれません。
その場合は、もちろん転校先を決めるのは少年と保護者の方ではありますが、弁護士からもアドバイスをさせていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が被拘禁者奪取罪で話を聞かれることになった、学校に事件が知られてしまうかもしれないとお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

改正少年法で少年事件が実名報道されやすくなる?

2022-03-16

改正少年法で少年事件が実名報道されやすくなるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

~事例~

愛知県清須市に住んでいる18歳のAさんは、深夜、市内の路上を歩いていた通行人の女性Vさんに対して、後ろから抱きついて胸を触るといったわいせつな行為をしました。
Vさんが大きな声で叫んだことから周囲の人がAさんの行為に気が付き、愛知県西枇杷島警察署に通報。
Aさんはその場から逃げようとしましたが、駆け付けた警察官に強制わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが逮捕されたという連絡を受け、自分達の息子が逮捕されたことにショックを受けています。
Aさんの両親は、最近のニュースで「改正少年法少年事件でも実名報道されやすくなる」という報道を見たこともあり、Aさんが実名報道されるのかということも気になっています。
そこで、Aさんの両親は、少年事件について取り扱っている弁護士に、事件について詳しく相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・改正少年法と実名報道

少年法では、20歳未満の者を「少年」とし(少年法第2条第1項)、「少年」についてこの法律を適用しています。
この「20歳未満の者が少年法上の『少年』であり、少年法の適用を受ける」ということは、令和4年4月1日から施行される改正少年法でも変わりません。

しかし、今回の事例のAさんの両親は、「改正少年法少年事件でも実名報道されやすくなる」といったニュースを見ているようです。
改正少年法によって変化することと、それに伴う影響とはどういったものがあるのでしょうか。

改正少年法が現行の少年法と大きく異なるポイントは、18歳・19歳の少年を「特定少年」と定義して、17歳以下の「少年」と異なる扱いをする部分が生まれたというところでしょう。
改正少年法では、以下の条文が新設され、「特定少年」というくくりが作られることになります。

改正少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

改正少年法では、上記のように、18歳・19歳の「少年」を「特定少年」というくくりとし、事件を検察官に送致(いわゆる「逆送」)して成人同様の刑事手続きを受ける範囲を、17歳以下の「少年」よりも広く取ることとなっています。
「特定少年」の原則逆送事件の範囲が広がることは、現行の少年法から改正少年法となることによって大きく変わることの1つといえるでしょう。

改正少年法の「特定少年」が現行の少年法と扱いが変更されることはこれだけではありません。
今回の事例でAさんの両親が心配している、報道に関する扱いも変更されることになります。
そもそも、現行の少年法では、20歳未満の少年全般に対して、推知報道を禁止する旨の条文が定められています。

少年法第61条
家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

この「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載」することがいわゆる「推知報道」です。
すなわち、20歳未満の「少年」について、実名報道を含むどこの誰だか分かるような報道はやめましょうということが推知報道の禁止ということです。
少年事件を起こした少年の実名報道が行われてしまえば、その少年の更生や社会復帰の機会を奪われてしまうおそれがあることから、少年法では少年の更生のために推知報道を禁止しているのです。

しかし、改正少年法では、以下のようにして、特定少年については条件によって推知報道禁止の例外とします。

改正少年法第68条
第61条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。
ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第461条の請求がされた場合(同法第463条第1項若しくは第2項又は第468条第2項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。

つまり、事件時に特定少年=18歳・19歳であった場合で、その少年事件が逆送され、起訴されたのであれば、推知報道の禁止は適用されない=実名報道されうるということになるのです。
現行の少年法では、逆送や起訴の有無に関係なく事件時に少年であれば実名報道などの推知報道が禁止されていたことからすると、改正少年法では条件によっては実名報道が可能となるため、そうした意味では今回の事例のAさんの両親が報道で見たように「改正少年法では実名報道がされやすくなる」というように考えられるでしょう。

このほか、改正少年法では、事件時に特定少年だった少年が結果的に刑罰を受けることになった場合には、成人同様資格の取得制限を受けること等が現行の少年法から変更されます。

少年法が改正されることで、特に18歳・19歳の少年の扱いが大きく変更されます。
実名報道の可否など、少年やそのご家族に大きな影響が考えられることも変更される内容の1つですから、少年事件の当事者になってしまったら、疑問・不安は早期に解決して適切な対応をすることが必要になるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部では、刑事事件だけでなく少年事件も数多く取り扱っています
少年事件を起こしてしまった方、そのご家族の改正少年法に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

少年が共同危険行為の疑いで逮捕されてしまった

2022-03-11

少年が共同危険行為の疑いで逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。

~ケース~

16歳のA君は、知人ら数名と誘い合わせ、愛知県瀬戸市内の県道において、原動機付自転車を大きく蛇行させて運転するなどしていたところ、パトカーで駆け付けてきた愛知県瀬戸警察署の警察官により道路交通法違反共同危険行為)の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕の知らせを受けたA君の両親は、少年事件に詳しい弁護士から今後の対応についてアドバイスを受けようと考えています。
(フィクションです)

~共同危険行為とは?~

道路交通法第68条は、「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない」としています。

これに違反し、有罪判決が確定すると、「二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第117条の3)。

~少年であるA君の場合はどうなる?~

A君は16歳の少年であるため、少年法の適用があります。
少年事件では、原則としてすべての少年事件が家庭裁判所へ送致された後、必要に応じて保護処分を受けることにより事件が終了します。
保護処分には、①保護観察処分、②児童自立支援施設又は児童養護施設送致、③少年院送致があります(少年法第24条1項1号~3号)。

審判が開かれた場合は、A君に対して保護観察処分、または、少年院送致が言い渡される可能性が高いでしょう。
保護観察処分が、在宅で保護観察官及び保護司による指導、支援を受けながら更生を目指す保護処分であるのに対し、少年院送致は、少年院に少年を収容した上で更生を目指す保護処分となります。
少年院に収容された場合は、特別の場合を除いて外出することができませんので、A君にとって負担の重い保護処分と考えることもできるかもしれません。
弁護活動を行う場合は、A君の将来を考慮し、過度に負担のかかる処分にならないよう、適切な処分の獲得に向けて活動していくことになるでしょう。

~少年院送致を避けるために必要な活動とは?~

例えば、最終的に少年院への送致を避けようとするのであれば、A君を少年院に収容するのではなく社会内で更生させる方が妥当であることを裁判官に納得してもらう必要があります。

今回のケースの場合は、家庭での監護態勢、A君の交友関係を見直し、改善していくことが必要となるでしょう。
ケースの状態のままでは、A君が社会に戻ったのち、再び今回の共同危険行為をした知人らと非行をしてしまうのではないかと予想されるからです。
家庭における監護態勢が十分でない場合や、今回のような非行を行う仲間との関係が続くと思われるのであれば、少年院送致などの処分によって、そういった環境から強制的に切り離す措置が取られる可能性が高まります。

もっとも、上記のような環境調整は一朝一夕に成し遂げられるものではなく、十分な時間をかける必要のある弁護活動です。
少年が1人の人間である以上、両親との関係や、ケースの非行を行った仲間との関係を見直すためには、弁護士を始め、周囲の支援が重要となります。

十分な時間をかけるためには、逮捕された段階からでも環境調整を行うべきです。
少年事件に詳しい弁護士に弁護活動を依頼し、少年審判に備えて活動を行うことが重要といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件の取り扱いを中心とする法律事務所です。
お子様が共同危険行為の疑いで現行犯逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。

傷害容疑の少年事件を起こした

2021-10-12

傷害容疑の少年事件を起こした

傷害容疑の少年事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(19歳)は、愛知県一宮市の公園において、15分間余りにわたり、V1さん(20歳)とV2さん(19歳)に殴る蹴るなどの暴行を加え、V1さんとV2さんにそれぞれ全治1週間の怪我を負わせました。
Aさんは、愛知県一宮警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんが傷害事件を起こしたと連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月22日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

上記のように、刑法204条は傷害罪を規定しています。
そして、傷害罪が成立するような「傷害」とは、「人の生理的機能に障害を加えること」であると考えられています。

Aさんは、V1さんとV2さんに殴る蹴るなどの暴行を加え、V1さんとV2さんにそれぞれ全治1週間の怪我を負わせています。
この全治1週間の怪我が、傷害罪でいうところの「人の生理的機能に障害を加えること」である「傷害」にあたると考えられます。

以上より、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【傷害罪と少年事件】

Aさんが傷害事件を起こしたときの年齢は19歳であり、Aさんは少年法で定められた少年事件の手続き下で保護処分が決定される可能性があります。
そこで、以下では、少年事件の手続きについて解説します。

少年法2条1項は、少年を「20歳に満たない者」をいうと規定しています。
そして、少年の年齢を判断する時期については、すべての処分が終了する時点まで少年(20歳未満)でなければならないと考えられています。
よって、Aさんがすべての処分が終了する時点まで19歳であれば、Aさんは少年法で定められた少年事件の手続下で傷害事件に対する保護処分が決定されることになります。

この少年法の年齢要件については、事件を起こした時点では19歳であったが、事件を起こした日と誕生日が近く、処分が決定される時点には20歳を迎えてしまう可能性があるというように時間が切迫している場合もあります。
捜査機関や家庭裁判所としても、事件を起こした少年が19歳のうちにすべての処分を終了させるために、検察官による家庭裁判所への送致や家庭裁判所での処分の決定が早急に行われることもあります。
このように処分までの時間が切迫している場合において、少年へ寛大・適切な処分を獲得するためには、早い段階で刑事弁護人・付添人を選任し、家庭裁判所の調査官や裁判官と十分な協議をすること及びその時間を確保することが重要です。

また、たとえAさんが傷害事件に対するすべての処分が終了する時点まで19歳であり、少年法の年齢要件を満たすとしても、Aさんが成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまう可能性もあります。
というのは、少年法20条1項が、「家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と規定しているからです。
この手続きは「逆送」といわれ、一定の重大事件について、少年に少年法に規定された保護処分ではなく、刑事処分を科すことが相当であると判断した場合になされるものです。

少年が成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまうと、教育的施設である少年院ではなく行刑施設である刑務所に収容されてしまう可能性があるなど、少年の健全な成長や更生にとって大きな不利益が生じるおそれがあります。
そのため、少年が成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまわないよう、家庭裁判所の調査官や裁判官と十分な協議と働きかけを行うことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害容疑の少年事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

住居侵入罪による少年事件の流れ

2021-07-13

住居侵入罪による少年事件の流れ

住居侵入罪による少年事件の流れについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市名東区に住むAさん(17歳)は,近所にあるBマンションの敷地内において鍵を拾いました。
その1週間後,深夜,Aさんは,興味本位でBマンション全室を1部屋ずつ試し,Vさん(24歳)が居住する部屋に入りました。
しかし,Aさんが立ち入る音に気付いたVさんに110番通報をされ,Aさんは愛知県名東警察署の警察官に住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
Aさんとその両親は,Aさんがどうなるのかと心配しています。
(2021年3月16日にHBC北海道ニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【少年事件とは】

少年事件は,捜査対象者が,20歳に満たない少年・少女である事件のことをいいます(少年法2条)。

少年事件には少年法が適用されます。
そのため,20歳以上の成人(少年法2条)の刑事事件とは手続きや処分に大きな違いが生じます。

【少年事件の流れ①】

以下では,少年事件の流れについて説明します。

上述したように,少年事件には少年法が適用されることから,少年事件は,成人の刑事事件とは手続きや処分に大きな違いが生じますが,捜査の段階では,被疑者の方が少年であっても,基本的には成人の刑事事件と同じ刑事訴訟法が適用され,一部につき特則という形で少年事件独自の手続や処分が取られます。

まず,警察官は,被疑者の方(少年)を逮捕した後,48時間以内に,検察官に被疑者(少年)の身柄を送ります(刑事訴訟法203条1項)。
ただし,警察官が「留置の必要がない」と判断したときは,被疑者(少年)は釈放されます。

次に,警察官から被疑者(少年)の身柄を受け取った検察官は,24時間以内に,勾留の請求をするかどうかを判断します。
勾留とは,いわば逮捕の延長であり,証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合,住所不定の場合になされます(刑事訴訟法207条,60条1項)。
勾留の決定がなされた場合,被疑者(少年)は,検察官が勾留の請求をした日から起算して最長で20日間,身体拘束を受けることになります。

少年事件では,「検察官は,やむを得ない場合でなければ,勾留を請求することはできない」(少年法43条3項)とされ,法文上は,勾留の要件が厳格になっています。
また,少年事件では,勾留に代わる観護措置(少年法43条1項)や,勾留場所を少年鑑別所とすること(少年法48条2項)ができると規定されています。

【少年事件の流れ②】

少年事件に特有の手続き・処分は,少年事件が家庭裁判所に送られた後に多く見られます。

まず,少年事件については,捜査機関(警察官・検察官)が捜査を遂げた後,捜査の嫌疑があると判断した場合,全ての少年事件が家庭裁判所に送られることになります(少年法41条,42条)。

次に,家庭裁判所は,少年が家庭裁判所に到着してから24時間以内に,少年鑑別所での観護措置をとるかどうかを判断します(少年法17条2項)。

少年鑑別所での観護措置とは,少年の処分を決定するために,少年の性格や資質,精神状態,生活環境などを調査する手続き,およびそのための身体拘束をいいます。
少年鑑別所での観護措置は,4週間に及ぶことが多いですが,最長で8週間に及ぶこともあります(少年法17条1項3号)。

少年鑑別所での観護措置がとられる要件は,少年の調査等を円滑・確実に行うために,少年の身体を確保する必要性があることや,少年の緊急的な保護が必要であること,少年の心身鑑別をする必要があること等が挙げられます。

【少年事件の流れ③】

少年事件では,家庭裁判所の調査官が,少年やその保護者の方,参考人などと面会をし,少年の要保護性(大まかにいえば,少年が抱える問題がどういったもので,どの程度保護が必要なのかというもの)を調査します。
この結果,審判に付して保護処分を行う必要がないと判断されれば,審判不開始決定がなされます。

一方,審判開始決定がなされると,裁判官,書記官,調査官,少年,保護者,付添人弁護士らが出席する審判が開かれ,少年の要保護性や非行の事実・内容について,審理がなされます。

この審判の結果,少年には,不処分,保護観察,少年院送致,検察官送致(逆送)などの処分が決定されます。

【刑事弁護士による少年付添人活動】

上述のように,少年は,捜査段階では勾留,家庭裁判所送致後には観護措置が取られる可能性があります。
刑事弁護士は,勾留や観護措置を回避するために,検察官や裁判官に対して,書面や電話等を通して勾留や観護措置をしないように求めること,場合によっては一度出た決定に対しては不服を申し立てることができます。

また,上述のように,少年事件では,少年の要保護性や非行の事実・内容について,審判がなされます。
そのため,審判においては,少年が現在抱えている問題を解決するために十分な環境を整えることが必要になります。
例えば,ご家族の方による監督を約束する,交友関係を整理する等により少年を取り巻く環境を調整する,生活態度を改めるといったことなど挙げられます。
また,少年自身の内省を深め,被害者の方に対する謝罪の気持ちを持てるようにすることも重要です。
刑事弁護士は付添人としてそういった活動を通じて,調査官や裁判官と面談をしたり,書面を提出したりすることにより,少年を取り巻く環境や少年の内面に変化がもたらされたことなどを報告し,少年の抱える問題が解消されたことを伝えていくことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入罪などによる少年事件の流れでお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

少年事件の弁護人

2021-02-11

少年事件の弁護人ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

A君の母親は息子が万引きの件で逮捕されたため、少年事件の弁護士が所属する法律事務所に電話したところ、弁護士は早速少年との接見などの弁護活動を始めました。
(フィクションです)

~弁護人の弁護活動~

少年とは20歳未満の男女のことをいいます。少年にとって逮捕という手錠をはめられ身柄を拘束されることは精神的にもかなりショックなことだと思います。また、そのご家族にとっても同じことが言えるのではにでしょうか?そんなとき、弁護人、付添人は少年にどんなことができるのでしょうか?今回は、弁護人逮捕された少年のためにできることを中心に紹介していきたいと思います。

前置きはこれくらいにして早速本題に入りたいと思います。まず、今回は、家庭裁判所送致前、つまり、弁護人の弁護活動についてご紹介いたします。ただし、ここでご紹介する弁護活動はあくまで一般的なもので、その内容は個別事案により異なってきますことを予めご了承ください。

= 接見 =

まずは、少年との面会(接見)が基本の活動となります。精神的にまだまだ未熟な少年にとっては弁護士の存在は心強いでしょう。接見では、事件の認否によって具体的なアドバイスをさせていただくことができます。取調べへの対応方法のアドバイス、事件の見通しなどをお伝えすることも可能です。また、少年が学生・生徒であれば、学校との橋渡し役を務めることも可能です。

= 釈放に向けた活動 =

ご依頼された時期により異なりますが、勾留前であれば、警察官、検察官、裁判官に釈放するよう、また勾留の理由、必要がないことを意見書などにまとめて訴えることによって早期釈放を促します。また、勾留決定後、または観護措置決定後であれば、その決定に不服申し立てを行うなどして早期釈放に努めます。

= 示談交渉 =

示談交渉は弁護士にお任せください。示談交渉をはじめるには、捜査機関(警察、検察)から被害者の氏名、連絡先、住所などの個人情報を取得する必要がありますが、個人情報を取得できるのは弁護士しかいません。また、示談交渉にあたっては相手方を条件を詰めていく必要がありますが、それには知識や経験が必要となります。示談が成立すれば早期釈放に繋がることもあります。

= 家庭裁判所への意見書の提出 =

勾留決定後は最大20日間、身柄拘束されます。そして、家裁送致後は家庭裁判所の観護措置という決定が出れば、今度は少年鑑別所に収容されてしまいます。そこで、弁護人としては家庭裁判所に対し、観護措置は必要でない旨の意見書を提出するなどして早期釈放に努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

住居侵入で少年事件

2020-12-12

住居侵入と少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県一宮市在住のA君は、愛知県内の学校に通う学生です。A君が学校に通う通学路は、単身向けの住宅が立ち並び、A君は女性の衣服が干してあるマンションの一室に興味を持っていました。
ある日、興味を持っていた一室の窓が開いており、A君は興味本位で被害者Vさんの部屋に侵入しました。A君が部屋にある衣服や下着を物色していると、別の部屋にいたVさんがA君を発見し警察署に通報しました。A君はその場から逃げましたが、その後警察がA君宅を訪れ事情を聴いた後にA君を逮捕しました。A君の両親は、少年事件に強い弁護士に接見を依頼し、その後の対応も依頼しました。
(フィクションです)

~住居侵入罪とは~

住居侵入罪は刑法130条に規定されています。

刑法130条
 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,(略)た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

「人の」とは,自己以外の他人のという意味です。よって,行為者(Aさん)が単独で居住する住居や,他の者と共同生活を営んでいる住居は,人の住居とは言えません。次に,「住居」とは,日常生活に使用するため人が占有する場所をいい,起臥寝食に使用されていることを必要とすると解されています。「住居」である以上,居住者が常に居住していることを要しないとされており,一時旅行に出て家人不在の留守宅も「住居」です。ただし,空き家や建築中の家,オフシーズンの別荘は後記の「邸宅」あるいは「建造物」に当たります。

「邸宅」とは「住居」として使用する目的で造られた家屋で「住居」に使用されていないものをいい,空き家やオフシーズンの別荘などがこれに当たります。
「建造物」とは,一般に屋根を有し,障壁又は支柱によって支えられた土地の定着物であって,その内部に出入りできる構造を有するものとされており,官公署の庁舎,,学校,工場,倉庫,駅舎などがこれに当たります。
「建造物」については,建物の周りを囲む塀が建造物に当たるかどうかが争われた裁判例があり,裁判所は,塀が建物とその敷地を外部からの干渉を排除するという建物利用の工作物であるということを指摘して,塀が「建造物」に当たると判断しました。
「侵入」とは,住居等の平穏を害する形で立ち入ること,すなわち,住居者・看守者の意思又は推定的意思に反して立ち入ることをいいます。

以上を踏まえると,AさんがVさん宅に立ち入ったという行為は住居侵入罪に当たる可能性があります。

~住居侵入の処分~

成人の場合、住居侵入で逮捕され正式に起訴され有罪判決を受けると「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が科せられることになります。
初犯の場合や反省の態度が見え、被害者と示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性が高くなります。
一方、少年の場合には成人の場合に考慮される要素以外の要素も考慮して家庭裁判所が処分を下すことになります。
住居侵入罪は、刑事事件の中では比較的刑事罰の軽い犯罪ですので、住居侵入のみで少年院に送致される可能性は低いと考えられます。
ただし、以前にも犯罪にあたる行為をして処分を受けている場合や家庭環境、生活環境などに問題がある場合などには処分が重くなる可能性がありますので、個別の対応は少年事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,住居侵入罪,邸宅侵入罪などをはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受付を行っています。

大麻と少年事件

2020-11-26

大麻と少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市港区に住む大学生のA君(19歳)は、知人B君からこれ「マリファナ」「使ってごらん」と言われ、興味本位から、B君から乾燥大麻を受け取り、巻紙に巻いて吸っていたところ、愛知県港署の警察官の職務質問に遭いました。そして、A君は、B君から受け取った乾燥大麻の一部を所持していたことから大麻取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕されました。逮捕の知らせを受けたA君の両親は、A君が過去に大麻で保護観察処分を受けていたことから、今度は少年院送致になるのではないかと不安になって、弁護士に相談することとしました。
※少年=20歳未満の男女
(フィクションです)

~使用罪が処罰されないのはなぜ?~

大麻取締法は所持罪について以下の規定を設けています。

3条1項
 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

24条の2第1項
 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

他方で、覚せい剤と異なり、使用罪については規定がありません。理由はいろいろあるようですが、一番大きな理由は、私たちの生活に関係しているようです。すなわち、七味唐辛子の麻の種は元々は大麻草から取れたもの、神社にあるしめ縄の原材料の麻は大麻草の茎から作られていると言われていますが、七味唐辛子もしめ縄も日常生活で使われています。これは、成熟した種や茎は幻覚成分がなく安全とされているからです。他方で、その作成過程では、少なからず生産者の方々が幻覚成分を吸引してしまう可能性があり、使用を処罰するとすると、これらの方々を処罰しなければならず不都合が生じます。そこで、大麻取締法では使用罪の処罰規定を設けていないのです。

ただ、このことは大麻取締法が大麻を合法と認めたわけではないということは言うまでもありません。使用行為の前提として必ず所持行為があります。上記のとおり、大麻取締法は所持行為等を処罰の対象としています。A君も、所持罪で逮捕されています。

~少年事件における終局処分~

少年事件の終局決定には、不処分、保護観察、少年院送致、検察官送致があります。
不処分は、犯罪等を行ったと認定できない場合(非行事実なし・成人の刑事事件の無罪判決に相当)、保護処分の必要がないと判断された場合(保護処分不要)などに下されます。
保護観察とは、少年を施設に収容することなく、保護観察所の指導の下で更生をはかる処分です。
少年は自宅で生活することは許されますが、定期的に担当の保護司を訪問して面会し、必要に応じて保護司の指導を受けることになります。

他方で、少年が在宅で更生することが難しいと判断された場合などは、少年院に収容されて矯正教育を受けることになります。

上記の例のAさんのご家族の様に、少年院送致を防ぐことを希望する依頼者がほとんどです。
弁護士としては、依頼者の意向をくんで付添人活動を進める場合、家庭裁判所の裁判官に対し、少年の処分として少年院送致は適さないことを主張する必要があります。
そのために、家庭裁判所による審判までの期間で、できる限り少年の内省を深め、少年を取り巻く環境を調整することも大事になります。
その上で、調査官・裁判官と協議する等して、少年にとって少年院送致以外の保護処分等がふさわしいことを裁判官に対して強く主張します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

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