ひったくり

2020-11-01

ひったくりについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは愛知県半田市の住宅街で、帰宅中の女性の後方から自転車で接近しハンドバッグをひったくろうとしました。とっさに女性がバッグを取られまいとベルトを強く引いたため、バランスを崩したAさんは転倒しました。その後Aさんは女性を突き飛ばし、ハンドバッグを持って逃走しました。この結果、女性は全治1週間の打撲傷を負いました。被害届を受けた半田警察署の警察官によって、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

~ひったくり~

通常、ひったくりは強盗罪(刑法第236条)ではなく、窃盗罪(同法第235条)に問われる行為です。

強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役で、窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に比べて重たくなっています。

一般的にひったくりが強盗罪ではなく窃盗罪に問われるのは、被害者から財物を得るにあたって強盗罪が要求する暴行・脅迫が存在しないためです。

強盗罪と窃盗罪は、共に不法領得の意思をもって被害者の意思に反してその財物の占有を取得・移転させる犯罪です。
ちなみに、ここでの占有とは、財物に対する事実的支配のことを指します。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思・目的を意味します。
そして強盗罪ではさらに、占有を移転させる手段として被害者の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫が要求されているのです。

ひったくりはバイクや自転車等を走行させながら無理矢理被害者の所持品を奪う行為であるため、広い意味での暴行は存在しています。
しかし、暴行がかなりの危険性を伴うものであっても被害者がそれにより反抗を抑圧された結果財物を奪われたといえない以上、ひったくりは被害者の隙に乗じて財物の占有を奪ったにすぎず、窃盗罪の刑事責任を負うに止まるのです。

~強盗致傷罪~

Aさんはむしろ強盗致傷罪に問われる可能性が高いといえます。

繰り返しになりますが、強盗罪は不法領得の意思をもって暴行・脅迫を手段として相手方から財物を奪った場合に成立する犯罪です。

強盗致傷罪は、人への傷害結果が強盗の機会になされた行為によって発生した場合に成立する犯罪(刑法第240条)です。
法定刑は無期または6年以上の懲役です。

Aさんにはひったくり行為をする時点で女性のハンドバッグを奪おうという不法領得の意思が認められます。
さらにひったくり(未遂)行為やその後の突き飛ばす行為など、バッグを奪うための暴行の存在が認められます。
その結果として女性は怪我をし、Aさんはバッグを入手しています。

以上より、Aさんが強盗致傷罪に問われる可能性は高いといえます。

ただし、Aさんの暴行が女性の反抗を抑圧する程度に達していなかったと主張できれば、Aさんは強盗犯とはいえなくなりますので、窃盗罪と傷害罪(刑法第204条)の牽連犯(同法第54条第1項)としてその罪責を問われることになる可能性があります。

窃盗罪と傷害罪の牽連犯となった場合の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

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