一宮市で違法薬物を使用し逮捕 覚醒剤取締法違反とは?~①~

一宮市で、違法薬物を使用したとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

覚せい剤・麻薬

参考事件

一宮市の路上で、不審な行動をしているAさんがいると通報があり、一宮警察署の警察官が現場に駆けつけました。
警察官がAさんに職務質問をしたところ、Aさんは落ち着きがなく、言動も支離滅裂であったため、警察署に任意同行を求められました。
その後、警察が尿検査を実施した結果、Aさんの体内から覚醒剤の陽性反応が確認されたため、警察はAさんを覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕しました。
取り調べに対し、Aさんは「知人から健康に良いと勧められた薬を受け取って服用したが、それが覚醒剤だとは思わなかった」と容疑を否認しています。
(事例はフィクションです。)

覚醒剤取締法とは?

覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行うことを目的」として定められています。(第1条)
覚醒剤の輸入・製造から使用に至るまで幅広く処罰する規定が置かれており、違反した場合には厳しい刑罰が科される可能性があります。
覚醒剤の使用に関しては、19条・41条の3第1項に規定があり、10年以下の懲役が法定刑として定められています。
今回の事例では、Aさんの尿から覚醒剤の陽性反応が確認されています。
しかし、Aさんは「覚醒剤とは思わなかった」と主張しており、このような場合は故意の有無が争点となることがあります。

覚醒剤取締法違反に必要な認識の程度

刑法第38条1項には「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」と規定されており、犯罪につき故意がなかった場合、犯罪は成立しません。
しかし、ここでう故意は未必の故意(~でも構わない)で足りるとされています。
また、判例(最決平成2年2月9日)は、
「覚醒剤かもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物かもしれないとの認識」があれば、「故意に欠けるところはない」と判事しています。
つまり、「覚醒剤とは思わなかったが、違法な薬物である可能性は認識していた」という場合でも、故意が認められることがあるのです。
今回の事例では、Aさんが「知人からもらった薬が違法な薬物かもしれない」と考えながら服用した場合、覚醒剤使用の故意が認められる可能性があります。

~次回に続く~

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