交差点内に信号無視で侵入した自動車との交通事故の事例を元に、過失が成立する要件や被疑者に過失運転致傷罪は成立するのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

参考事件
会社員のAさんは、休みの日に自家用車を運転中、小牧市の信号のある交差点に青信号で侵入したところ、信号無視をして交差点に侵入してきたバイクと衝突する事故を起こしました。
この事故でバイクの運転手は、手首骨折など全治3か月の重傷を負いました。
愛知県小牧警察で事情聴取を受けたAさんは、今後、自分に過失運転致傷罪の刑事罰が科せられるのか不安です。
(※フィクションです。)
過失とは
「過失」とは「不注意により犯罪事実を認識又は認容しないこと」だと解釈されます。
ある行為をすれば犯罪になる(犯罪事実)を分かった上(認識)で、犯罪が成立しても構わないと思って(認容)行為を行えば、故意が認められますが、行為自体が犯罪になること(犯罪事実)を知らなかった(認識なし)場合や、犯罪をするつもりなんてなかった(認容なし)場合は、過失が認められる可能性があります。
過失が成立する要件
前述したように、過失が認められるためには、犯罪事実の認識又は認容がなかったことが必要です。
ただ、犯罪事実の認識又は認容がなかったことが「不注意」によるものでなければ、過失は認められません。
「不注意」とは、被疑者が被害者に対して「注意義務違反」があったことを指します。
注意義務違反には、以下2つの内容が含まれています。
●結果予見義務:結果の発生を予見すべき義務
●結果回避義務:予見に従って結果の発生を回避するための措置をとるべき義務
上記2つの義務を課す前提として、結果の予見が可能だったこと(予見可能性)と、結果の回避が可能だったこと(回避可能性)が必要になります。
結果の予見や回避が無理だったことに対しては、注意義務を課すことはできません。
また、注意義務に関しては「信頼の原則」という法理論もあります。
信頼の原則とは、被害者やその他第三者が危険を避けるために適切な行動を取るだろうと信頼して行為者が行動した際に、被害者やその他第三者が信頼に反する不適切な行動をした結果、被害が発生した場合は、行為者に過失責任は問わないという原則です。
ただ、信頼の原則は「行為者が信頼したものが社会的に相当」だと認められる場合に限ります。
参考事件を検討
今回の事例で考えると、Aさんはバイク側の信号が赤だったため自動車は侵入してこないだろうという信頼のもと運転していた際に、バイクの運転手が信頼に反する不適切な行動(信号無視)をした結果、交通事故が起こっています。
「信号が赤の時は止まる」という信頼は社会的にも相当だと認められるので、Aさんにはバイクに対する注意義務違反がなかったと判断される可能性が高いでしょう。
そうなればAさんに過失がないことが認められるので、過失運転致傷罪は成立しない可能性があります。
ただ相手が赤信号を無視したという理由だけで「過失が全くない」と絶対に認められるわけではないので注意が必要です。
過失運転致傷罪でお困りの方
過失運転致傷罪の疑いで警察から逮捕されたり任意の取り調べを受けている方は、弁護士へ刑事弁護を依頼することをお勧めします。
依頼を受けた弁護士は、弁護人として被害者に対する示談交渉や被害弁償の手続きといった、不起訴処分の獲得を目指した活動や、執行猶予や罰金刑などの刑の減軽を目指した活動を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、過去に過失運転致傷罪による刑事事件を担当し、依頼者の希望通りの成果を出してきた弁護士が多数在籍しています。
過失運転致傷罪による刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

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交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
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