弁護士を選任すると警察や、検事さんの印象が悪くなると思って刑事弁護人を選任するのを躊躇してしまいました。
これは、弊所に弁護活動のご依頼をいただいたお客様の言葉です。
法律に精通している者であれば、容易に、この考えが間違っていることがわかりますが、初めて刑事事件に関わる方であれば、このお客様と同じことを思い、弁護活動の依頼を躊躇するかもしれません。
そこで本日のコラムでは、刑事弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士が解説します。
参考事例
Aさんは、銀行のATM機に置き忘れてあった現金10万円在中の封筒を、出来心で盗んでしまいました。
犯行の様子が銀行の防犯カメラに写っており、後日、Aさんは、愛知県中村警察署に呼び出されて取り調べを受けました。
警察の取り調べの際に、刑事さんから「弁護士どうする?まぁこの程度の事件であれば、弁護士を入れなくても裁判になることはないやろうから大丈夫か。」と言われたAさんは、弁護士を選任したら「保身に走って反省していない」と印象が悪くなるのではないかと思い、弁護士に相談することすら躊躇してしまいました。
それからしばらくして検察庁に呼び出されたAさんは「このままだと略式起訴で罰金を請求することになるが、弁護士を選任して被害者と示談するのであれば不起訴を検討する。」と言われました。
(実話をもとにしたフィクションです。)
弁護人の選任
刑事事件の被疑者として捜査を受けている方であれば、どなたでも弁護人を選任する権利があり、このことは、法律で定められているので、弁護士に相談したり、弁護活動を弁護士に依頼することに躊躇する必要はありません。
弁護士に相談したり、弁護士を選任したことを理由に、あなたに不利益が及ぶことはありませんので、安心してください。
弁護人選任権に関して、憲法は次のように定めています。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
○2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
○3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
憲法第34条の前段は、身体拘束を受けている者に対して、また憲法第37条3項は、被告人に対して、弁護人選任権を保障しています。
これを受けて、刑事訴訟法は、被告人または被疑者はいつでも弁護人を選任できることを定めています。
刑事訴訟法でも、弁護人について定められています。
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
○2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
被疑者・被告人は、法律知識に乏しく、身体拘束されて活動の自由が奪われている場合が多いため、相手方当事者である検察官と対等の立場で防御活動をすることが困難な立場にいます。
そこで、検察官と同等の法律的能力を持つ弁護人に被疑者・被告人を補助させ、当事者主義を実質的に保障する目的を有しています。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、あらゆる刑事事件の弁護活動を行ってきた実績豊富な法律事務所です。
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