18歳以上だと騙された場合は処罰される?

青少年健全育成条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市中川区に住むAさんは、SNSを通じて高校2年生のVさん(16歳)と知り合いました。Aさんは、相手が未成年者だったらやばいと思い、年齢について確認したところ、相手が「18歳」というので安心し、Vさんと会い、名古屋市内のホテルでVさんと性交しました。ところが、AさんはVさんから美人局の被害に遭い、Vさんの交際相手と名乗る男性から10万円を脅し取られてしまいました。Aさんは、警察に被害届を出すかどうか迷いましたが、脅し取られた金額が10万円と高額であったことから、中川警察署に恐喝罪の被害届を提出しました。ところが、Aさんは警察官から、実はVさんが16歳だったことを聞かされました。Aさんは自分のしたことが愛知県青少年保護育成条例違反に当たるのではないかと不安になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~条例における淫行の罪の概要~

愛知県青少年保護育成条例には、その14条に淫行の禁止規定が設けられています。

(いん行、わいせつ行為の禁止)
第14条
1 何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

「淫行」の意義につき、判例は、

広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為

と解しています。
そして「性交」とは、女性の膣内に男性の陰茎を挿入する行為、「性交類似行為」とは、実質的にみて,性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、手淫、口淫が典型ですが、その他の行為も性交類似行為に当たることがあります。

~年齢認識の点~

淫行の罪が成立するには、相手を18歳未満だと知っていることが基本です。
この点、AさんはVさんから「18歳」と聞かされており、18歳未満だとは知らなかったとして罪を免れることができるようにも思えます。

しかし、条例には、18歳未満だとは知らなかったことを理由に淫行の罪を免れることはできず、免れることができるのは、相手の年齢を確認することにつき過失がないときだ、とされています。
「過失がないとき」とは、具体的には、相手に年齢、生年月日を尋ねる、あるいは身体の外観等からの年齢を判断するだけでは足りず、学生証を提示させる、保護者に問い合わせるなど行為が必要と考えられています。
この点、Aさんは単に、Vさんに年齢を尋ねただけで、年齢を確認することにつき「過失がない」とはいえないようにも思えます。
もっとも、本件では、Aさんは、Vさん側が美人局という手段を実現させるために積極的に年齢を詐称された可能性もあり、そうした場合は、「過失がない」といえる場合もあります。

過失がないといえるかどうかは、実際にお話を伺ってみないと分からない部分があります。
同じようなお悩みをお持ちでしたら、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件を起こしお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

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