無免許運転中の人身事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県豊田市に住むAさん(40歳)は、長年無免許のまま軽乗用車を運転していました。ところが、ある日、Aさんは同市内で自動車を運転中、前方不注意のために自分の前を走っていたVさん(25歳)の車に後ろから追突してしまいました。その結果、Vさんには全身むち打ちになるなどの加療約2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは無免許過失運転致傷罪の疑いで愛知県足助警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~無免許運転~
無免許運転については道路交通法64条1項に規定されています。
道路交通法64条1項
何人も、84条1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(略)、自動車又は原動機付自転車(以下、自動車等)を運転してはならない。
なお、無免許運手を分類すると以下のように区分することができます。
純 無 免:いかなる運転免許も受けないで自動車等を運転
取消無免:運転免許が取り消された後に自動車等を運転
停止中無免:運転免許の効力が停止されている間に自動車等を運転
免許外無免:特定の種類の自動車等を運転することができる運転免許を受けているが、その運転免許で運転することができる種類の自動車以外の種類の自動車等を運転すること
失効無免:免許を受けた者が、その運転免許証の有効期間の更新をしないため失効しているのに自動車等を運転
以上はいずれも無免許運転です。
無免許運転となった以上、それまでの経緯に関係なく、自動車等を運転してはいけません。
無免許運転の罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(法117条の2の2第1号)。
また、無免許運転中に交通事故(人身事故)を起こした場合は、道路交通法とは別の自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)が適用されるおそれがあります。
法律6条では、無免許運転による刑の加重規定が設けられています。
無免許運転+危険運転(人を負傷させた場合に限る)→6月以上の懲役
無免許運転+準危険運転→人を負傷させた場合、15年以下の懲役 人を死亡させた場合、6月以上の懲役
無免許運転+アルコール発覚免脱→15年以下の懲役
無免許運転+過失運転致死傷→10年以下の懲役
罰則は単なる無免許運転より格段に重たくなっていることがわかります。
今回のAさんは、一番最後の「無免許運転過失致傷罪」に問われています。
~無免許運転過失致傷罪の弁護活動~
無免許運転過失致傷罪の弁護活動は被害者に発生した損害を賠償することです。
任意保険に加入されているのであれば、基本敵にまずはその保険会社に対応を委ねることになります。
もっとも、被害者対応を保険会社任せにしておくと被害者の感情を損ね、示談交渉が進展しない、処罰感情が悪化して刑事処分や量刑が重たくなるなどの悪い結果へとつながってしまおそれがあります。
そのため、加害者自らも被害者に対する謝罪、お見舞いなどの対応が必要となってくる場合があるでしょう。
なお、謝罪やお見舞いは義務ではなく、すべてのケースにおいてしなければならないというわけではありません。弁護人とよく話し合って、アドバイスを受けながら行うかどうか、行うとしてどのようなやり方が適当かを決めるとよいでしょう。
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