強盗傷人事件で保釈を目指す
強盗傷人事件で保釈を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市南区の路上に停めたAさん所有の車の中で、SNSで知り合ったVさん(20代女性)の顔を殴り全治2週間の怪我を負わせた上、Vさんの財布が入ったバッグを奪ったとして、愛知県南警察署の警察官により強盗傷人罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「ホテルに行くのを断られたのでやった」と強盗傷人罪の容疑を認めています。
(フィクションです。)
【強盗傷人罪と強盗罪】
刑法236条は、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」には、強盗罪が成立するとしています。
そして「強盗が、人を負傷させたとき」は強盗傷人罪が成立します(刑法240条)。
強盗傷人罪における「強盗」とは、強盗の実行に着手した者を指します。
刑法236条における強盗罪の犯人は強盗傷人罪における「強盗」に該当します。
以下ではAさんが強盗傷人罪における「強盗」に該当する強盗罪の犯人といえるかについて検討します。
強盗罪における「暴行」とは、強盗事件の被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があるとされています。
刑事事件例では、Aさんは車内においてVさんの顔面を殴打しています。
この暴行は、男性であるAさんから女性であるVさんに対してなされたものです。
また、車内というVさんが逃げることが困難な場所においてなされています。
このような具体的な事情から総合的に判断して、捜査機関はAさんの暴行は強盗罪における「暴行」に該当すると判断したと考えられます。
さらに強盗罪における「強取」とは、財物の事実上の支配を強盗犯人が取得し、又は第三者に取得させることをいいます。
刑事事件例において、Aさんは強盗罪における「財物」たるVさんの財布の入ったバッグをAさん自身の事実上の支配下に置いています。
よって、Aさんの行為は強盗罪における「強取」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんは強盗傷人罪における「強盗」に該当する強盗罪の犯人であると考えられます。
【強盗傷人罪の成立】
強盗傷人罪における「負傷させた」とは、人に傷害を加えることをいいます。
そして強盗傷人罪における傷害は強盗の機会に生ずれば足りると考えられています。
刑事事件例において、Vさんの怪我はAさんによる強盗の手段である暴行から直接生じたものです。
そのため、Vさんの怪我はAさんの強盗の機会に生じたものであるといえます。
よって、Vさんに怪我を与えたAさんの行為は、強盗傷人罪における「負傷させた」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには強盗傷人罪が成立すると考えられます。
【強盗傷人罪と保釈】
現在Aさんは強盗傷人罪の容疑で逮捕されているところ、Aさんの身柄解放の手段の1つとして、Aさんの強盗傷人罪での起訴後における保釈(刑事訴訟法89条、90条)が考えられます。
保釈は、刑事訴訟法89条に規定された除外事由がある場合を除き、原則として許されるものであるとされています(権利保釈といいます)。
刑事訴訟法89条に規定された除外事由としては、死刑、無期または短期1年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるときがあります(刑事訴訟法89条1号)。
刑事事件例における強盗傷人罪の法定刑は無期又は6年以上の懲役であるため、刑事訴訟法89条における権利保釈は認められないことになります。
しかし、権利保釈の除外事由に当たる場合にも、裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(刑事訴訟法90条)。
弁護士としては、裁判所に裁量保釈を求めて保釈請求活動を行っていくことが考えられます。
保釈請求のためには、単に保釈金を用意するだけでなく、保釈をしてもよいと認められるための環境づくりやその環境を証拠化して主張していくことが求められます。
特に、今回のAさんの事例のような強盗傷人罪といった重い犯罪では、なかなか保釈も認められないケースが少なくありません。
だからこそ、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗傷人事件で保釈を目指したいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。