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【裁判紹介】背任事件についての裁判例を紹介

2023-05-14

背任事件に関する裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた元県職員の被告人の判決公判で静岡地裁は、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。  
(静岡新聞「元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任」(2023/02/09)を引用・参照)。

【背任罪について】

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本事案では、被告人は公務員の立場で公文書偽造した虚偽公文書作成罪および同行使罪(刑法156条、158条1項)の罪にも問われていますが、本稿では背任罪(刑法247条)についてのみに焦点を絞り解説していきます。
まず本件被告人は、(本件行為時)県職員であり、県の公共工事に関して の事務処理を委託された者として「他人のためにその事務を処理する者」ということができます。
そして、そのような立場にある被告人が、本来減額すべき請負代金(業者に支払う代金)を増額するという「任務に背く行為」(背任行為)を行っており、これによって県に損害を生じさせています(「本人に財産上の損害を加えた」)。
さらに、背任罪は目的犯であることから、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(一般に図利加害目的と呼ばれます)という特殊な主観的要件を要します。
これは、要するに本人の利益を図る目的がある場合には背任罪は成立しないということを裏から規定したものと読むことができます。
したがって、本事案のように本人(県)に損害を加える目的が認められる場合にはこの要件を満たすといえます。
なお、注意すべきなのが、背任罪と(業務上)横領罪については必ずしもその区別は明確でなく、どちらの罪が成立するか(あるいはどちらも成立しないのか)については刑事事件に関する専門的なトレーニングを受けた弁護士でなければその区別が容易ではないケースも少なくないということです。
したがって、背任罪を含めた刑事責任を問われている方(嫌疑をかけられている方)は弁護士のアドバイスを仰ぐことが必須といえるでしょう。

【背任事件の裁判例等について】

本事案では、被告人には「懲役2年、執行猶予3年」の判決が下されています。
しかし、背任事件で実刑判決を受けるおそれがないかと言えばそうではありません。
他の事案では、例えば組合の代表理事が過去に貸付金が回収不能になったことのある会社に対し約3000万円の融資を行い組合に損害を与えたケースにおいて、代表理事に「懲役2年(求刑懲役3年)」の実刑判決が言い渡されています。
この事案は、本件事案とは異なり、巧妙に「自己」(被告人)もしくは「他人」(被告人の妻)の利益を図ったケースと考えられ、また損害額も大きいことから実刑判決に至ったと考えられます。
もっとも、裁判所の量刑判断には他にも様々な事情が影響すると考えられることから、安易な判断は禁物であり、専門家である刑事弁護士への相談が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、背任事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
弊所には、多数の不起訴処分や執行猶予判決を獲得した実績を有する弁護士が多数所属しています。
背任事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

【ニュース紹介】妻の頭部をモンキーレンチで複数回殴り、男性が逮捕

2023-05-11

今回は、愛知県で起きた妻に対する殺人未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県警一宮署は二十二日、同居の妻を殴り殺そうとしたとして、殺人未遂の疑いで、同県一宮市今伊勢町本神戸、自称アルバイト男性容疑者(36)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑では同日午後七時十分ごろ、自宅で口論となった妻(34)の頭をモンキーレンチで数回殴り、殺そうとしたとされる。妻は頭部から出血し、病院に運ばれたが、命に別条はない。
署によると、男性容疑者は殴ったことは認めているが、殺意は否認している。通行人が「女性が血だらけで助けを求めてきた」と通報し、駆け付けた署員が逮捕した。
(https://www.chunichi.co.jp/article/622519?rct=tag_shimen 1月23日 「妻をモンキーレンチで殴る 殺人未遂の疑いで一宮の男逮捕」より引用 ※氏名等の個人情報については秘匿しています)

【殺人未遂事件の弁護活動】

殺人未遂罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」となっており、代表的な重大犯罪です(法定刑自体は殺人既遂罪も殺人未遂罪も同じです)。
また、殺人未遂罪は裁判員裁判対象事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条1項1号)。

【殺人未遂事件の特徴】

殺人未遂の嫌疑で検挙されるケースは意外に多く、故意に自動車を他人にぶつけた場合、自動車のボンネットに他人を乗せたまま急加速するなどして振り落とし怪我を負わせる行為などがあります。
冒頭のケースについても、被疑者は被害者の頭部をモンキーレンチで複数回殴打しており、このような場合においては殺人未遂の嫌疑で検挙される可能性が高いでしょう。

【傷害罪に「罪名落ち」する可能性】

ただし、殺人未遂の嫌疑で検挙された場合であっても、殺人罪の実行行為として認められる行為を立証できるだけの証拠がない、殺意を立証できるだけの証拠がないなどの理由で、最終的に傷害罪などの罪名に変更される場合もあります。
捜査の初期段階で殺人未遂とされていても、後の捜査や公判で罪名が軽くなるケースはそれほど珍しくありません。
傷害罪に留まった場合には法定刑が「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となるため、かなり被疑事実が軽くなるといえるでしょう。

もし傷害罪に留まった場合には、被害者のケガの状況にもよりますが、十分な謝罪と賠償を行い、示談をすることによって、不起訴処分を獲得できる場合もあります。

自身が、あるいはご身内の方が殺人未遂の疑いで検挙された場合、大変驚くと思いますが、法律の専門家である弁護士の観点から事件を再チェックすることには大きな意義があります。
まずは接見にやってきた弁護士と会い、今後の弁護活動の方針についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が殺人未遂の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

【裁判紹介】酒気帯び運転事件の裁判例を紹介【実刑】

2023-05-08

酒気帯び運転事件に関する裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

酒気帯び状態で運転していた車を道路の防護壁に衝突させ、助手席側の外にあるステップに足を乗せて屋根につかまっていた友人の男性を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)と道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた愛知県豊田市の被告人の裁判員裁判で、名古屋地裁岡崎支部は4日、懲役3年6月(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
(産経新聞「友人死亡事故、実刑判決 酒気帯び、危険運転で衝突」(2019/12/4)、東海テレビ「友人運転の車の“外”に乗り死亡…22歳男性が車体の外側に掴まり走行の車 壁に衝突し落下」(2019/5/20)を引用・参照)

【酒気帯び運転事件の裁判例】

本事案では酒気帯び状態で車を運転(道路交通法65条1項、117条の2第1項1号)しただけでなく、さらに危険運転致死(自動車運転死傷行為処罰法2条)行為によって被害者を死亡させてしまっており、実刑判決が下されることは常識的な感覚からしても不思議なものではないと思われます。

しかし、このような危険運転致死行為がなければ、酒気帯び運転の罪で実刑判決が下ることはないかと言うとそうではありません。

他の事例をみると、酒気帯び状態でバイクを運転した被告人に対し「懲役5月(求刑懲役6月)の実刑判決が言い渡されたケースも存在します。
このように(酒酔い運転よりも酩酊度の低い)酒気帯び運転でも執行猶予が付くことなく実刑判決となることもあり得るのです。
以下では、どのような事情が量刑判断に影響し得るかについて、弁護活動の重要性に鑑みつつ見ていくこととします。

【酒気帯び運転事件における弁護活動】

一般に酒気帯び運転の場合、初犯であれば罰金刑で済むことも少なくないと言われています。
上記のように酒気帯び運転のみで実刑判決に至ってしまうケースは、刑の終了後(あるいは執行猶予期間満了後)ある程度近接した時期の犯行であることが多く、紹介したケースでも執行猶予期間満了直後の犯行であったことが重い刑事処分に繋がったものと思われます。
もっとも、どのような判決が下るかは同じ罪名であっても事案によって異なることは言うまでもありません。
したがって、上記のようなケース以外でも実刑判決などの重い処分が下る可能性は否定できません。
また交通事件では、現場で逮捕されてしまうことも少なくなく、早い段階から先々の見通しを共有しながら弁護活動を行っていくことが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、酒気帯び運転事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
酒気帯び運転事件で逮捕や起訴された方、およびご家族は、24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにご連絡ください。

【ニュース紹介】愛知県一宮市職員が青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕

2023-05-05

今回は、愛知県で起きた青少年保護育成条例違反被疑事件の報道をもとに、淫行事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

少女にみだらな行為をしたとして愛知県一宮市の職員が逮捕されました。
青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、一宮市の市博物館管理課課長補佐の学芸員の男(45)です。
警察によりますと、男は去年11月、名古屋市内のレンタルルームで当時15歳の少女にみだらな行為をした疑いが持たれています。
少女に警察が、事情を聞き取ったことで発覚しました。
2人はSNSを通じて知り合い、ダイレクトメッセージで連絡を取り合っていたということです。
警察の調べに対し、男は「年齢については聞いた記憶がない行為についてははっきり覚えていない」と容疑を否認しています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016915 1月12日 メ~テレ 「15歳の少女にみだらな行為の疑い 愛知・一宮市職員を逮捕」より引用)

【淫行事件を起こした疑いで逮捕された場合】

淫行事件を起こした疑いで逮捕されてしまった場合には、一刻も早く弁護士の接見を受け、今後の善後策についてアドバイスを受け、身柄解放活動などの弁護活動に着手してもらうことが大切です。

【どのような事件解決を目指す?】

初犯の淫行事件であれば、被害者の意向や示談の成否にもよりますが、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられずにすむため、前科がつくことなく事件が終了します。

不起訴処分を獲得できる可能性を高めるためには、被害者に対して誠心誠意、謝罪と損害の賠償を行い、示談を成立させることが重要です。
示談書の条項に、被疑者に対する寛大な処分を希望する意思を表明してもらうことができれば、より、不起訴処分がなされる可能性が高まるでしょう。

示談交渉についても、接見にやってきた弁護士に尋ね、助言を受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
淫行事件に関してお悩みの方、ご家族が淫行事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

【解決事例】名古屋市東区のストーカー規制法違反事件で勾留期間短縮と不起訴獲得

2023-04-29

ストーカー規制法違反事件における弁護活動につきまして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

ご本人様(30代男性)は、知人女性にストーカー行為をしたとして、愛知県東警察署で逮捕・勾留されていました。
奥様は、「夫の勤務先には逮捕されたことは知られているので、会社を辞めることは覚悟しています。ですが、夫の再就職のためにも前科にならないようにしたいのです。」と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【弁護活動】

まず、被害者様と示談を成立させ、被害者様より、加害者であるご本人様に対する告訴を取り消してもらい、また、謝罪や示談金の支払いを受け入れることにより、ご本人様を許し、刑事処罰を求めない、旨を文章にまとめました。
これら被害者様の意思をまとめた文章を、検察庁に提出したところ、その日のうちにご本人様は釈放され、次の日には不起訴処分となりました。

【まとめ】

ストーカー事件につきましては、警察署、検察庁などの捜査機関や、裁判所の対応はかなり厳しいものとされています。
また、逮捕・勾留されるなど、身柄拘束をされることも非常に多いのです。
それは、加害者と被害者が接触してしまう可能性のことを考えて、と言われています。
ですので、一度逮捕されてしまうと、身柄の解放はかなり難しいのです。
しかし、事例のように被害者様と示談を成立させることにより、身柄を解放される確率が高くなるのです。

また、ご自分がストーカー行為をしてしまったのではないか、という不安がありましたら、早期に刑事事件に強い弁護士にご相談することをお勧めいたします。

このコラムをご覧の方で、ストーカー規制法違反事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、ストーカー規制法違反事件に関するご相談を

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

にてご予約を受け付けております。

【ニュース紹介】交通反則通告制度と刑事手続

2023-04-26

今回は、信号無視などの交通違反をした際に適用される交通反則通告制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市瑞穂区で市バスを運転中に男性運転士が信号無視をしたとして、道交法違反の反則切符を切られました。
市バスの運転手が交通違反で検挙されるのは、今年度3回目だということです。
名古屋市交通局によりますと今月11日、「瑞穂区二野町堀田通5丁目」の交差点で「市バスが信号無視をしているのを見た」と市に通報がありました。
市が調査したところ、53歳の男性運転士が赤信号にも関わらず、交差点に進入し右折したということです。
運転士は18日、道交通違反で反則切符を切られました。
市バスの運転士が交通違反で検挙されるのは今年度3回目で、今回の運転士は勤続30年のベテランでしたが「先を急ぐ気持ちから前の車に続いていけるだろうと交差点に進入した」と話しているということです。
市は「運転士に対し道路交通法を順守するよう注意喚起を行い、指導を徹底する」としています。
(https://www.ctv.co.jp/news/articles/ibdau0eel3os8xj0.html 11月19日 CHUKYO TV NewsWEB 「市バスが信号無視 男性運転士に反則切符 名古屋市」より引用)

【交通反則通告制度について】

いわゆる青切符の制度であり、自動車を運転する方であれば、殆どの方がご存知でしょう。
信号無視や一時不停止など、軽微な道路交通法違反行為に適用され、一定期間内に反則金を納めれば、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理されます。
報道のとおり、事業活動に伴い自動車を運転するドライバーも例外ではなく、反則行為を行えば、本制度の対象となりえます。

反則金を納めれば特に何も起きないため、刑事手続とは無縁の制度と感じておられる方もおられるかもしれません。
しかし、信号無視や一時不停止は道路交通法違反行為を内容とする立派な犯罪行為です。
最高裁昭和57年7月15日判決も「反則行為は本来犯罪を構成する行為であり」としています。
一定期間内に反則金を納めれば罪に問われることはありませんが、反則金を納めない場合は、通常の刑事手続が開始され、逮捕されてしまう可能性も生じます。
また、反則行為について起訴され、有罪判決を受ければ、前科がつくことにもなります。
実際に反則金の納付を失念していた、億劫なので納付せず放置していたなどの理由で逮捕されてしまうケースもみられます。

反則行為とされたことについて不服がある場合には争うこともできますが、刑事手続の中で争うことになります。
その際は、被疑者として捜査機関と対峙することになります。
相応の覚悟が必要です。
青切符の交付について不服があるとしても、これを放置するのは極めて危険です。
このような場合は、一度弁護士と相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
道路交通法違反に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、刑事手続に関するご相談を

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【裁判紹介】窃盗事件の裁判例を紹介

2023-04-23

窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

名古屋市中区の路上で被害者が約3800万円が入ったかばんをひったくられた事件で、窃盗罪に問われた被告人に対し、名古屋地裁は懲役2年10ヶ月の実刑判決を言い渡した。
判決理由として、多額の現金運搬情報に基づく計画性が高い犯行で、被害回復もされていないことが指摘された。
(朝日新聞「3800万円ひったくり、無職男に実刑判決 名古屋地裁」(2019/11/8)を引用・参照)。

【実刑判決相当の窃盗事件について】

令和4年犯罪白書によると、窃盗罪は認知件数において刑法犯の7割近くを占めるとされており、日本において最もポピュラーな犯罪の一つということができるでしょう。
では、そのような窃盗事件のうち、実際に刑事事件化したもので実刑判決を受ける可能性とはどの程度のものなのでしょうか。
同じく令和4年版の犯罪白書をみると、窃盗罪で起訴された約10,000件(通常第一審)のうち全部執行猶予判決を受けたのはその約半数にすぎず、もう約半数は実刑判決となっていることが分かります。
また、略式起訴にもとづいて罰金刑となった件数も5,000件程度であり、窃盗罪で起訴されてしまうと実刑判決を受ける可能性というのは少なくとも統計上はそれほど低くないのです。

【窃盗事件における裁判例と弁護活動】

本事案では、被告人は懲役2年10ヶ月の実刑判決を受けています。
他の窃盗事件において実刑判決を受けたケースをみてみると、薬物依存の回復施設の入所者のカードを不正に利用し計約1500万円余りを引き出したケースで、被告人に懲役5年の実刑判決が下されています。
実刑判決を受けた両者に共通するのは、被害額の大きさであり、量刑にあたってはこの点が大きく考慮されることは間違いありません。
もっとも、両者を比較するとその刑は被害額だけから判断されたものでないこともまた明らかです。
実際の量刑は、前科前歴や被害弁償・示談の有無など様々な要素が考慮されてなされることから、事務経験・専門知識に長けた弁護士によるサポートが必要不可欠となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗事件を含む刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
窃盗事件の対応に長けた経験豊富な弁護士が、迅速な無料相談や初回接見を承ります。
窃盗事件を起こしてしまったご本人、または窃盗事件で逮捕・起訴等されてしまった方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせ下さい。

【ニュース紹介】日本刀のようなものでレジカウンターの女性店員を脅迫した疑いで逮捕

2023-04-20

今回は、愛知県津島市内の飲食店における脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県津島市内の飲食店で日本刀のようなものをさやから抜き、脅迫したとして74歳の男が逮捕されました。
暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、愛知県愛西市の無職の男(74)です。
警察によりますと、男は26日午前10時ごろ津島市内の飲食店で、さやに入った日本刀のようなものの先をレジカウンターにたたきつけました。
そして、レジにいたパートの女性(43)に対し「何かあってからでは遅いぞ」などと言い、日本刀のようなものをさやから抜いて脅迫した疑いがもたれています。
警察の調べに対し、男は「さやからは抜いていない」と容疑を一部否認しています。
男は店の客とみられていて、警察は何らかのトラブルがあったとみて動機などを調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=017157 1月27日 「飲食店で日本刀のようなもので脅迫か 無職の男(74)を逮捕 愛知県津島市」より引用)

【ケースの事件の特徴】

刑法の脅迫罪は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です(刑法第222条1項)。
この場合は、「二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に処せられますが、ケースの事件では、「暴力行為等処罰法違反」の疑いで逮捕されています。
凶器を示して脅迫行為を行った場合、刑法典の脅迫ではなく、暴力行為等処罰法違反の疑い
で検挙され、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」とより重い罪に問われる可能性があります。
文語体の条文であるため、やや読みづらい法律ですが、以下に参考条文を記載します。

※暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条
団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

暴力行為等処罰法違反の疑いで検挙された方、または親族が同嫌疑にて検挙された場合は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士と相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
暴力行為等処罰法違反事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、脅迫に関するご相談を

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【解決事例】大麻取締法違反事件(栽培)で不起訴処分を獲得

2023-04-17

大麻取締法違反事件(栽培)において、弁護活動により不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは愛知県蒲郡市にある実家で、大麻草を栽培したとして、愛知県蒲郡警察署において逮捕・勾留されていました。
Aさんの妻は相談時、「確かに夫は6年前、当時住んでいた夫の実家の庭で大麻を栽培して逮捕されました。しかし今は、大麻とは縁を切って暮らしています。今は家族で夫の実家近くのマンションで暮らしており、夫の実家の庭に大麻が生えているとは、私も夫も全く知りませんでした。」とお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【大麻とはどのようなものですか?】

大麻とは、植物の大麻草から作られるもので、様々な名称で呼ばれています。
精神的依存性があり、日本では、法律(大麻取締法)により規制されています。

名称の例として、葉っぱ、マリファナ、グラス、チョコ、ハシッシュ、ハシッシュオイル、野菜、ヘンプなどがあります。

「大麻取締法」では、無免許・無許可での栽培、輸出入、所持、譲渡、譲受等について罰則を設けており、
その他にも「麻薬特例法」による規制もあります。

大麻による悪影響として
①知覚機能への悪影響
②大麻精神病
③短期記憶、学習機能への悪影響
④運動機能への悪影響
⑤身体的な悪影響
などがあります。

【法定刑など】

①輸出・輸入・栽培

・営利目的がない場合
法定刑は7年以下の懲役です。通常の公判手続に付されます。
・営利目的がある場合
法定刑は10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

②譲渡・譲受・所持

・営利目的がない場合
法定刑は5年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。
・営利目的がある場合
法定刑は7年以下の懲役で、情状により200万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

【弁護活動について】

Aさんに、警察署での接見時に詳細を伺ったところ、
実家の庭で栽培していた大麻は、前回の裁判後に全て刈り取りました。
その後結婚して忙しくなり、実家にはほとんど帰っていませんでした。
実家の庭は荒れてしまい、雑草が生い茂っていて、大麻がまた生えていたことにも気づきませんでした。
とAさんは話されました。

弁護士はAさんのこの主張や、この状況が管理された栽培とは到底考えられない、今回発見された大麻草は5本程度、Aさんには大麻草が生えているという認識すらない
ことを検察官に文章で提出したところ、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

大麻取締法違反事件は、故意犯です。
そのため、犯行時それが大麻という違法薬物であることの認識があったかどうかが大きなポイントになります。
大麻などの薬物の存在に気づいていなかった、違法薬物であることを認識していなかった場合には、そのような事情を客観的な証拠に基づいて主張・立証していくことになります。
このような主張が認められた場合、Aさんのように大麻所持などの犯罪が成立しないとして、不起訴処分などを勝ち取ることができる可能性が高くなるのです。

このような主張・申立ては、法律の専門家である刑事事件・薬物事件に強い弁護士に、ぜひお任せください。

このコラムをご覧の方で、薬物事件・大麻取締法違反事件で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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【ニュース紹介】愛知県一宮市で起きた酒気帯び運転・人身事故

2023-04-14

今回は、愛知県一宮市で起きた酒気帯び運転・人身事故の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

25日夜、愛知県一宮市で、酒気帯び運転をして女性に衝突しけがをさせたなどとして、75歳の女が現行犯逮捕されました。
警察によりますと、一宮市の女性容疑者(75)は、25日午後10時30分ごろ、自身が住む市営住宅の駐車場で、酒気帯びの状態で車を運転し歩行者の女性に衝突してけがをさせたほか、駐車中の車数台にぶつかった疑いが持たれています。
調べに対し、前記女性は、酒を飲んで運転したことは認める一方、「人に衝突して、けがを負わせたことは全く覚えがない」などと容疑を一部否認しています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016691 12月26日 メ~テレ 「酒気帯び運転で歩行者女性に衝突、数台の車にぶつかった疑い 75歳の女を逮捕」より ※氏名等の個人情報は秘匿しています)

【酒気帯び運転・人身事故を起こした場合の弁護活動】

逮捕され、留置の必要が認められた場合には、逮捕時から48時間以内に、身柄が検察へ送致されます。
検察では、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。
検察官の勾留請求に対し、裁判所が勾留決定を出すと10日間、やむを得ない事由があると認められた場合には、さらに最長10日間、勾留されることになります。

逮捕されてしまった場合には、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動などの弁護活動を行ってもらうことが重要です。
特にケースの被疑者は75歳と高齢であり、身体拘束が及ぼす悪影響が懸念されます。
弁護士のサポートを受けながら、信頼できる身元引受人、その上申書などを用意し、早期の身柄解放の実現に向けて行動する必要があるでしょう。

釈放され、在宅捜査に移行した場合であっても、刑事手続は継続しますが、身体拘束を受けた状態で捜査機関に対応するのと、在宅で捜査機関に対応するのとでは、被疑者の負担が大きく異なります。
酒気帯び運転、人身事故を起こし逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を依頼し、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が酒気帯び運転、人身事故を起こして逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、酒気帯び運転・人身事故に関するご相談を

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