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準強制わいせつ罪と情状
準強制わいせつ罪と情状について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市千種区に住むAさんは、知人女性のVさんに大量の酒を飲ませて泥酔させ、Vさんに対してわいせつな行為をしたとして千種警察署に準強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。Aさんは弁護士との接見で、被害者と示談すれば情状酌量で不起訴となる可能性があることを知りました。
(フィクションです)
~準強制わいせつ罪~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります(責任能力における心神喪失とは、精神病や薬物中毒などによる精神障害のために、自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり、その能力に従って行動する能力のないことをいいます)。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
~情状酌量の「情状」とは~
「情状」とは、検察官が被疑者を起訴するか不起訴とするか、あるいは裁判官が裁判で被告人の刑の量刑(実刑か執行猶予か、その場合の刑の長さ・重さ)を判断する際に考慮される事情のことを言います。
情状には、犯罪そのものに関する情状(犯情)と犯情以外の一般情状があります。
犯情には、犯行態様(武器使用の有無、回数、単独か共犯か、故意か過失かなど)、犯行の計画性(計画的か偶発的か)、犯行の動機(私利私欲のためか、被害者にも落ち度があるかなど)、犯行の結果(死亡か怪我か、怪我・被害額の程度、後遺症の有無など)があります。一般情状には、被告人の年齢、性格、被告人の反省の有無、被害弁償、示談の有無、被害者の処罰(被害)感情の程度、更生可能性の有無(被告人に更生意欲があるか、適切な身元引受人がいるか、更生に向けた環境が整備されているかなど)、再犯可能性の有無(前科・前歴をどの程度有しているか、常習性が認められるか、犯行の原因は消滅しているか・縁は切れているかなど)があります。
起訴OR不起訴、量刑の判断は上記の諸事情を総合的に勘案して決められますが、不起訴獲得のために最も大切なのが「被害弁償、示談の有無」です。
そのため、検察官が起訴か不起訴かの判断をする前に、被害者と示談を成立させ、その結果を検察官に提示することがでれば、不起訴を獲得できる可能性は飛躍的に高まるでしょう。
被害者との示談は刑事事件専門の弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの場合は0120-631-881までお気軽にお電話ください。初回接見サービス,無料法律相談等を24時間受け付けております。
傷害罪と少年院送致
傷害罪と少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市内の高校に通うAさん(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加え、Vさんに全治2か月の大怪我を負わせてしまいました。Aさんは、学校の通報により駆け付けた警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。逮捕を通知を受けたAさんの両親は、今後、息子が少年院へ送致されるのではないかと不安になり、弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)
~傷害罪~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、当初、怪我させるつもりはあった場合はもちろん、なかった場合でも、行為と結果(傷害)との間に因果関係が認められる場合には成立します。
また、傷害の結果、人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。
少年(20歳未満の者)の場合、原則として、罰則は科されず、家庭裁判所送致→観護措置、調査官調査→少年審判→保護処分という経過をたどります。
もっとも、故意の犯罪行為により被害者を死亡させ、行為時に16歳以上だった少年にかかる事件については、原則、事件が家庭裁判所から検察庁へ再び送致されます。これの事件のことを原則逆送事件と呼んでおり、傷害致死罪もこの事件に含まれます。検察官の元へ送致されると、成人と同様の刑事手続で進められていきます。裁判となれば、一般人が裁判に参加する裁判員裁判を受けなければなりません。裁判で有罪と認定されれば、成人と同様に刑罰を科され、刑務所に服役しなければならない可能性もでてきます。
~少年院送致とは~
少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。
第1種(1号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。
短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。
さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。
~傷害事件における弁護活動(少年院送致回避に向けて)~
相手に怪我を負わせている場合は、相手が肉体的にも精神的にも損失を被っています。ですから、一刻も早く被害弁償をして、示談を締結することが先決です。示談を成立させることができれば、反省の意を示す証拠ともなり得、少年院送致回避に向けた証拠としても使えます。
傷害事件の場合には,少年に強い暴力性が認められるケースが多く,自分の感情をコントロールすることができないなどの欠点が見受けられることも多いものです。そのため,弁護士が少年と同じ目線に立って,感情のコントロールの仕方を教えていくことが重要となります。その上で、少年の生活環境、家庭環境、交友関係などを見直し、更生のための環境を整えていく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
痴漢で早期釈放なら私選弁護人
痴漢と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
会社員のAさんは、朝の通勤電車内で満員の中を、故意に女性のお尻を撫でまわしたとして、被害者女性から駅員に通報されました。駅員すぐさま警察官を呼び、Aさんは、愛知県迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。会社を何日も休むわけにはいかないAさんは、痴漢事件に強い弁護士に警察署まで接見(面会)に来てもらい、早期釈放のための弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです)
~「早期釈放」…逮捕から勾留決定までの流れ~
痴漢事件などで逮捕された場合には、逮捕された者の身柄はまず警察署に送られます。
そこで、警察官による弁解録取(取調べのようなもの)を受けます。
そして、警察官が継続して身柄拘束が必要と判断した場合は「逮捕から48時間以内」に、検察庁へ事件尾書類と身柄を送致します。。
そこでは、警察官ではなく検察官による取調べを受けます。
送致を受けた検察官も弁解録取を行った上で、身柄拘束が必要かどうか判断し、必要と判断した場合は送致から「24時間以内」に裁判所に対して勾留請求します。
その後、裁判所が検察官の勾留請求を許可し、勾留決定が出てしまえば「10日間」、場合によっては期間を延長され、最大で「10日間」身柄を拘束されることになります。
したがって、早期釈放という観点から検討するのであれば、勾留決定の判断がなされる前の段階=「逮捕から72時間以内」がとても重要になります。
この間でいかに充実した弁護活動を受けられるかが、早期釈放のカギを握ります。
~私選弁護人を選任するメリット~
早期釈放のためには私選弁護人の選任をご検討ください。
私選弁護人のメリットは逮捕期間中から接見してくれる、ということです。逮捕期間中とは、前述のとおり、逮捕から裁判官の勾留質問までの期間のことをいいます。
一日でも早く家庭に戻ってきて欲しい、はやく釈放させてあげたい、などとお考えの方は私選弁護人を選任された方がいいでしょう。
また、私選弁護人であれば、逮捕期間中から弁護活動を開始することが可能ですから、警察官や検察官、裁判官に働きかけて、早期釈放を目指してもらえます。
仮に勾留された場合でも、不服申し立てをしてもらえます。不服申し立てが認められた場合は10日間の勾留満了日を迎える前に釈放されます。
最後に、痴漢行為を認める場合は示談交渉を行ってくれます。もちろん、国選弁護人も示談交渉を行ってくれますが、私選であればよりスピーディーに、より円滑に示談を成立してもらうことが期待できます。
そして、示談交渉を始めるにあたっては、被害者の個人情報(氏名、住所、電話番号等)を取得しなければなりません。しかし、被害者はもちろん、警察や検察の捜査機関も被害者の個人情報を本人に教えません。この点、弁護人であれば個人情報を取得できる可能性が高いです。また、弁護人であれば適切な形式・内容で示談を成立させることが可能で、のちのちのトラブルも回避することができます。
示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性も高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
痴漢と後日逮捕の回避
痴漢と後日逮捕の回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
会社員のAさん(35歳)は勤務先の最寄り駅に向かう満員電車内において、前に立っていた女子高生Vさんの臀部付近をスカートの上から触りました。Aさんは、駅で降りるとVさんに呼び止められ、「さっき触りましたよね?」「痴漢しましたよね?」と言われました。Aさんはこのまま相手と押し問答しても埒が明かないと思い、その場から立ち去りましたが、警察に逮捕されないか不安な日々を過ごしています。
(フィクションです。)
~痴漢行為に当たる罪とは?罰則は?~
いわゆる痴漢行為を疑われた場合は、各都道府県が定めている迷惑行為防止条例(以下、条例)の「卑わいな行為の禁止」の罪に当たるかと思います。概ね、どの都道府県でも「公共の場所」あるいは「公共の乗物」において「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさえるような方法」で「他人の身体に触れ、又は衣服の上から触れる」行為を禁止しています。罰則も、通常は、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いかと思います。
~Aさんの今後は?~
AさんはVさんに顔を見られている上、駅構内に防犯ビデオカメラが設置されている場合は、カメラにもAさんの容貌等が記録されている可能性があります。また、AさんはVさんとのやり取りで、痴漢を否認するかのようなやり取りをしており、痴漢の被疑者と特定された上で逮捕される可能性も否定はできません。
逮捕されると日常生活に様々な支障が生じますから、何とかして逮捕を回避しなければなりません。
逮捕を回避する確実な方法はありませんが、逮捕される可能性を大きく下げる方法はあります。
まずは、被害者と示談することです。
被害者と示談することができれば、被害者が警察に被害届を提出しない可能性が高まります。また、可能であれば、示談書に「被害届」を提出しない旨の条項を盛り込みましょう。なお、示談交渉を円滑に進めるためには刑事事件における示談交渉に慣れた弁護士に任せましょう。
次に、警察に出頭することです。
警察に出頭すれば、捜査機関側から「捜査に協力的な人間だ」と思われ、事件は在宅のまま、つまり逮捕されないまま捜査が進められる可能性が高まります。出頭の際には、身元引受人等の上申書を提出するなどして逮捕回避に努めなければなりません。また、出頭するといっても様々な不安が出てきますから、そのような場合は弁護士からアドバイスをもらい、不安であれば弁護士に付き添ってもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は痴漢事件をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。痴漢事件をはじめその他の刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
自宅にデリヘル呼んで盗撮
自宅での盗撮について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
会社員のAさん(40歳)は、性的サービスを受けるため、自宅マンションにデリヘル嬢を呼びました。そして、Aさんは、その際、隠しカメラでデリヘル嬢の裸の姿などを盗撮しました。そうしたところ、Aさんは、デリヘル嬢に隠しカメラを発見されてしまいました。その後、Aさんは店の店長から罰金50万円の請求を受け、デリヘル嬢からは被害届を出すなどと言われています。
(フィクションです)
~Aさんが問われる罪~
Aさんが問われる罪は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例(条例)、あるいは軽犯罪法違反です。
条例は全国各都道府県単位で定められています。各都道府県によって規定の内容が異なりますから、詳しくはインターネットなどで条例を検索して確認していただきたいのですが、盗撮行為が禁じられる「場所」は、概ね共通して
1 公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所
2 公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所
とされていることが多いかと思います。公衆の目に触れるような場所としては、「学校の教室」「会社事務室」「更衣室」「貸切バス」が挙げられます。また、公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所としては「シッピングセンターなどの授乳室」が挙げらます。
次に、盗撮行為の「内容」ですが、これも概ね共通して、
1の場所では
①通常衣服で隠されている他人の「身体」又は他人が着用している「下着」を写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下、写真機等)を用いて撮影すること
②①の行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること
2の場所では
①衣服の全部又は一部を着けないでいる状態の人の姿態を写真機等で撮影すること
②①の行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること
とされています。1②、2②からわかるように、写真機等を設置するだけでも処罰の対象となり得ることが分かります。
罰則は、通常の盗撮の場合「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習として盗撮した場合は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とされていることが多いと思われます。
軽犯罪法違反(窃視の罪)は、軽犯罪法1条23号に規定されています。
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
条例では「盗撮行為を行う」場所を規定していたのに対し、軽犯罪法では「のぞき見る対象」としての場所を規定しており、しかも条例が「公共の~、公衆~」と規定していたのに対し、軽犯罪法は「人の」と限定的に規定しています。
のぞき見るとは、物陰や隙間などからこっそり見ることをいうとされており、方法は問いません。望遠鏡で見ることはもちろん、カメラやデジタルカメラ、ビデオカメラ、それらの機能を備えた携帯電話、スマートフォンによって写真や動画を撮ることものぞき見るに当たると解されています。
では、カメラやビデオカメラを浴室内に隠して設置し、行為者が直接視認しないまま隠し撮りや遠隔操作の方法などで撮影し、その後、記録媒体を回収してから再生するような場合は「のぞき見た」と言えるのでしょうか??
この点、直接視認することによりのぞき見られた場合でもカメラ等で撮影された場合でも、被害者のプライバシーが侵害されたことには変わりがなく、むしろ、カメラ等で撮影された場合の方が、繰り返し何度も見られたり、第三者にデータが渡ったりする危険があり、プライバシー侵害の程度が高いのであるから、人の個人的秘密を侵害するような行為を禁止するという本号の趣旨からは、カメラ等による撮影自体が「見た」に当たり、撮影の時点で既遂となると解すべきとされています(福岡高裁平成27年4月15日判決など)。撮影の時点で既遂となるということは、後で写真や動画を見なくても「のぞき見た」に当たるということになります。
罰則は、拘留又は科料です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮などの刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
器物損壊罪
器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、世界遺産に登録されている寺社の山門の壁に油性ペンで落書きをしたとして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。これを聞いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~器物損壊罪~
刑法第261条の条文は、「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者」について器物損壊罪が成立するとしています。
ここでいう「前3条」とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)、私用文書等毀棄罪(刑法第259条)、建造物損壊及び同致死傷罪(刑法第260条)のことをいいます。
そうすると、器物損壊罪が想定する「他人の物」とは、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の物であるといえます。
上の事案では、寺社の山門の壁が目的物となっています。
ここで、寺社は建物であることからその山門の壁については「建造物等」であり、器物損壊罪における「他人の物」にあたらないのではないかが問題になります。
建造物等損壊罪における「建造物」とは、屋根があり、壁や柱で支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能な家屋や建築物をいいます。
そして、建築物そのものではなく、ドアや壁など建築物に付随する物が「建造物」に当たるかどうかは、その物と建築物がどの程度接合しているのかやその物が建造物においてどの程度重要であるかなどを総合して判断されます。
過去の裁判例において「建造物」に当たると判断された物の例としては、天井版や屋根瓦、住居玄関ドアなどがあります。
他方で、「建造物」に当たらないと判断された物の例としては、ガラス障子や雨戸、竹垣や畳などがあります。
上の事案の寺社の山門の壁については、寺社という建造物の一部としてではなく、別個独立した物であると判断されたことから「建造物」ではないとされたものであると考えられます。
したがって、建造物損壊罪の「建造物」ではなく、器物損壊罪における「他人の物」にあたると考えられるのです。
器物損壊罪における「損壊」とは、財物自体の形状を変更したり滅尽させたりする典型的な破壊行為のみならず、事実上・感情上その物を本来の用途に従って使用できなくして本来の効用を失わせることをいいます。
典型的な破壊行為としては、例えば、他人の壺を割るという行為が考えられますが、これが「損壊」に含まれることに疑いはありません。
他方で、上の事案のような壁に落書きをする行為は、壁を破壊したわけではないので典型的な破壊行為とはいえません。
しかしながら、過去の裁判例においては、公園の公衆トイレにスプレーで落書きしたという事案について、落書きをしただけでは公衆トイレの効用を喪失させるとまではいえないものの、「建物の外観・美観を著しく汚損し、そのままの状態で一般の利用に供することを困難にするとともに、再塗装を要するなど原状回復に相当の困難を生じさせた」として器物損壊罪の成立を認めた裁判例もあります。
この裁判例に従うと、寺社の山門の壁に油性ペンで落書きをした場合、その壁の外観を著しく汚損することになりますし、油性ペンという簡単には消せないペンで落書きをしたことは原状回復に相当の困難を生じさせたとして、「損壊」に当たると考えられます。
そうすると、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性があります。
この場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる可能性があります。
~文化財保護法~
「損壊」の対象が、単に「他人の物」にとどまらず「特別に保護されているもの」に当たる場合、文化財保護法違反となります。
「特別に保護されているもの」には、たとえば有形・無形文化財や民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物や国宝などが含まれます。
上の事案の寺社は世界遺産に登録されているとのことで、「特別に保護されているもの」に当たる可能性があります。
そうすると、一般法である器物損壊罪ではなく、より刑の重い器物損壊罪の特別法である文化財保護法違反に切り替えて捜査が進められる可能性があります。
文化財保護法違反となった場合には、5年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金に処せられることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
書類送検
書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
会社員のAさんは、SNS上で知り合ったVさん(17歳)に頼んで、Vさんの全裸の写真画像を撮ってもらい、それを自身のスマートフォンに送信してもらって楽しんでいました。そうしたところ、ある日、Vさんのスマートフォンをチェックした母親が、Vさんが見知らぬ男に裸の写真画像などを送っていたっことを知りました。Vさんの母親はVさんとともに警察へ相談に行きました。後日、捜査の結果、Aさんは児童ポルノ(製造罪)の被疑者として調べを受けることになり、事件は名古屋地方検察庁へ書類送検されました。
(フィクションです)
~児童ポルノ罪の製造罪~
児童ポルノ罪の製造罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。Aさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
法律7条4項
(略)児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
~書類送検~
書類送検とは在宅事件(身柄を拘束されていない事件)が検察庁へ送検されたことを意味しています。
書類送検の根拠は刑事訴訟法246条に求めることができます。
刑事訴訟法
第二百四十六条(司法警察員から検察官への事件の送致)
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。
司法警察員は、当該事件の捜査を終え、事件関係の書類を整えた上で書類を検察官へ送致します。したがって、書類送検の時期は「司法警察員が捜査を終えた後」といことになります。いつ捜査を終わるかは、事件の内容、難易度、捜査機関側の都合などによって異なりますから一概に「いつ」になるかは分かりません。気になる方は、弁護人を通じてか、あるいは直接尋ねてみてもいいでしょう。
書類送検された後の流れは以下のとおりです。
① 書類送検
↓
② 担当検察官が決まる
↓
③ 担当検察官から電話OR文書で出頭要請を受ける
↓
④ 出頭&取調べを受ける
↓
⑤ 刑事処分
書類送検された(①)後、2~3日で担当検察官が決まります。担当検察官が決まると、担当検察官(又は補助の検察事務官)から電話OR文書で検察庁へ出頭するよう要請を受けます。要請を受けるタイミングは決まっておらず、検察官の判断に委ねられます。検察官は在宅事件と同時に身柄事件も同時に処理しており、身柄事件の方が時間的制約があるため、どうしても在宅事件よりも身柄事件の方の処理を先行しがちです。したがって、検察官が身柄事件の処理に追われるなどして時間を取られていると、出頭要請は遅れる可能性があります。①から数か月程度経って出頭要請を受けるということも少なくありません。出頭後は、検察官の取調べを受け、捜査を終えた段階で刑事処分が決まります(⑤)。正式起訴された場合は、後日、裁判所から起訴状謄本などの書類が送達されてきます。略式起訴される場合は、取調べ時に略式裁判を受けるかどうかの同意を求められます。不起訴となった場合は、検察官から通知する制度はありませんが、請求すれば不起訴にした旨の文書を発行してくれます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
少年事件の弁護人
少年事件の弁護人ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
A君の母親は息子が万引きの件で逮捕されたため、少年事件の弁護士が所属する法律事務所に電話したところ、弁護士は早速少年との接見などの弁護活動を始めました。
(フィクションです)
~弁護人の弁護活動~
少年とは20歳未満の男女のことをいいます。少年にとって逮捕という手錠をはめられ身柄を拘束されることは精神的にもかなりショックなことだと思います。また、そのご家族にとっても同じことが言えるのではにでしょうか?そんなとき、弁護人、付添人は少年にどんなことができるのでしょうか?今回は、弁護人逮捕された少年のためにできることを中心に紹介していきたいと思います。
前置きはこれくらいにして早速本題に入りたいと思います。まず、今回は、家庭裁判所送致前、つまり、弁護人の弁護活動についてご紹介いたします。ただし、ここでご紹介する弁護活動はあくまで一般的なもので、その内容は個別事案により異なってきますことを予めご了承ください。
= 接見 =
まずは、少年との面会(接見)が基本の活動となります。精神的にまだまだ未熟な少年にとっては弁護士の存在は心強いでしょう。接見では、事件の認否によって具体的なアドバイスをさせていただくことができます。取調べへの対応方法のアドバイス、事件の見通しなどをお伝えすることも可能です。また、少年が学生・生徒であれば、学校との橋渡し役を務めることも可能です。
= 釈放に向けた活動 =
ご依頼された時期により異なりますが、勾留前であれば、警察官、検察官、裁判官に釈放するよう、また勾留の理由、必要がないことを意見書などにまとめて訴えることによって早期釈放を促します。また、勾留決定後、または観護措置決定後であれば、その決定に不服申し立てを行うなどして早期釈放に努めます。
= 示談交渉 =
示談交渉は弁護士にお任せください。示談交渉をはじめるには、捜査機関(警察、検察)から被害者の氏名、連絡先、住所などの個人情報を取得する必要がありますが、個人情報を取得できるのは弁護士しかいません。また、示談交渉にあたっては相手方を条件を詰めていく必要がありますが、それには知識や経験が必要となります。示談が成立すれば早期釈放に繋がることもあります。
= 家庭裁判所への意見書の提出 =
勾留決定後は最大20日間、身柄拘束されます。そして、家裁送致後は家庭裁判所の観護措置という決定が出れば、今度は少年鑑別所に収容されてしまいます。そこで、弁護人としては家庭裁判所に対し、観護措置は必要でない旨の意見書を提出するなどして早期釈放に努めます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
ひき逃げ、当て逃げの違い
ひき逃げ、当て逃げの違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、ひき逃げ事故を起こしたとして過失運転致傷罪、道路交通法違反の容疑で逮捕されました。逮捕の知らせを受けたAさん妻は、交通事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ひき逃げと当て逃げの違い~
「ひき逃げ」は、①車両等(軽車両を除く)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合(交通事故のうち人身事故があった場合)において、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない(以下、救護義務)にもかかわらず、救護義務を果たさなった場合、あるいは、②①の場合において、人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるのに、救護義務を果たさなかった場合に成立する犯罪です(道路交通法72条1置く)。①の法定刑は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条1項)、②は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(117条2項)です。
①と②との法定刑は大きく違います。なぜ、このように違いがあるかというと、②の場合は「人の死傷が当該運転者の運転に起因」した場合の救護義務違反の規定で、①の場合よりも悪質であるからです。これが①と②の大きな違いです。例えば、道路脇の影から子供が突然飛び出し(当該車が適法に走っていた際のスピードの制動距離範囲内に飛び込んできた)、怪我を負わせたあるいは死亡させたとします。この場合、通常、子供の死傷が「当該運転者の運転に起因」したとは認められません。よって、この場合、救護義務違反をすれば①が適用されることになります。
言い方を変えれば、自己に過失なく人を死傷させた場合でも救護義務は発生します!から注意が必要です。
なお、よく、ひき逃げと同時に処理される罪として過失運転致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)、危険運転致傷(15年以下の懲役)、危険運転致死罪(1年以上の有期懲役)などがあります。危険運転致死傷罪には罰金刑がありませんから、同時に起訴されれば、ひき逃げでも懲役刑を選択されます。過失運転致死傷罪で罰金刑を選択された場合は、ひき逃げでも罰金刑が選択されますが、①の場合、150万円(100万円+50万円)以下の罰金、②の場合、200万円(100万円+100万円)以下の範囲ので刑が科されます。
「当て逃げ」は、交通事故のうち物損事故があった場合において、当該交通事故に係る車両等の運転手等が救護義務を果たさなかった場合に成立する犯罪です。法定刑は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)です。
~ひき逃げ、当て逃げの弁護方針~
ひき逃げの場合も当て逃げの場合も、交通事故を起こしたなどたことの認識(「人を怪我させた死亡させた」、人を怪我させたかもしれない、死亡させたかもしれない」など)がなければ成立しません。そこで、運転者本人から交通事故に至るまでの経緯、交通事故の状況等を詳しくお聴き取りをする必要が出てくる場合もございます。
また、上記のとおり、運転者本人の運転に起因するかどうかで法定刑が異なりますから、客観的証拠から事故の状況を詳しく検討する必要が出てくる場合もございます。
ひき逃げ、当て逃げいずれの場合も、被害者への謝罪、被害弁償が必要である点はいうまでもありません(罪を認める場合)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、ひき逃げ、当て逃げなどの交通事故・刑事事件専門の法律事務所です。ひき逃げ、当て逃げを起こしお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
共同正犯と錯誤
共同正犯と錯誤について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
AさんはBさんから、Vさん宅に立ち入って盗みをすることを持ちかけられこれを承諾しました。そして、Aさんは犯行日当日、BさんがVさん宅に立ち入って盗みをする間、警察などが来ないかどうか外で見張りをしていました。ところが、後日、警察にAさんとBさんによる犯行であることが発覚し、Aさんは住居侵入、窃盗罪、Bさんは住居侵入、強盗罪で通常逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~共同正犯とは~
2以上共同して犯罪を実行した場合を「共同正犯」といいます。
刑法60条
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
正犯あるいは正犯者とは、犯罪(基本的構成要件)に該当する行為(実行行為)を行う者のことをいいます。刑法60条は、意思の連絡(共謀)の下に複数の者が関与した事案において、自己の犯罪を犯したと評価し得る重要な関与者を正犯とし、他人(Bさん)の実行行為及び結果につき、共同して行えば全て帰責される(刑事責任を負わされる)とう「一部行為の全部責任の原則」を認める規定です。
~共同正犯の成立要件~
それでは、共同正犯が成立するためにはいかなる要件が必要なのでしょうか?言い換えれば、他人が行った行為及びそれによって作出された結果を仲間内である共犯者にも帰責させるための要件とはいかなるものなのでしょうか?
共同正犯が成立するためには、主観的要件としての「共同実行の意思(意思の連絡=共謀)」、客観的要件としての「共同実行の事実」が必要です。
共同実行の意思とは、共同して実行行為をしようという意思のことをいいます。共同加工の意思ともいわれます。共同実行の意思は、2人以上の行為者全員が相互に持たなければなりません。したがって、甲がVに暴行を加えている間、甲の知らない間に乙がVの財布を盗んだという場合、窃盗罪(あるいは暴行罪)の共同正犯は成立しません。
共同実行の事実とは、共謀した行為者が実行行為を分担することであり、共同加功とか行為の分担ともいわれています。
~共犯正犯の錯誤とは~
ところで、本件では、Aさんは窃盗罪、Bさんは強盗罪と異なる罪で逮捕されています。
これは、Aさんは窃盗をする意思があった、Bさんは強盗をする意思があったという共犯者の認識の違いが原因です。
このように、共犯者(Aさん)が認識していた事実の内容(窃盗罪)と、正犯者(実行行為者)の実行(強盗)との間に食い違いがある場合を「共犯の錯誤」と呼んでいます。
では、「共犯の錯誤」があった場合、実務ではどのように処理、解決されているのでしょうか?
この点、判例は、共同行為者相互間の認識の不一致が同一構成要件内にあるとき、共同正犯の故意は阻却されないとしています。
他方、共同行為者間の認識の不一致が異なる構成要件にまたがるときは、原則として共同正犯の故意は阻却され、ただ、それぞれの構成要件が重なり合うときのみ、その重なりあう限度で共同正犯が認められるとしています。
本件の場合、後者の「共同行為者間の認識の不一致が異なる構成要件にまたがるとき」に当たります。構成要件とは、ここではとりあえず「罪」と理解してください。そして、Aさんは窃盗罪の認識、Bさんは強盗罪の認識であることから両者の認識に不一致が生じています。したがって、強盗罪の共同正犯の故意は阻却されますから、強盗罪の共同正犯は成立しません。次に、窃盗罪と強盗罪の違いは、その手段として暴行、脅迫を用いるか用いないかの違いだけで、後は同じです。つまり、両者は窃盗罪の範囲で重なり合っているといえます。したがって、共同正犯は窃盗罪の範囲でのみ成立することになります。
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