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痴漢と欠格

2021-02-02

痴漢と欠格について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

看護師を目指して看護学校に通うA君は、数か月前、JRの電車内で痴漢をしたとして逮捕され、起訴され、昨年12月の裁判で、懲役4月、3年間執行猶予の有罪判決を受けてしまいました。A君は、今年5月に看護師試験を控えており、試験を受験することが可能か、仮に合格した場合、看護師免許を取得することができるかどうか不安になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~欠格事由~

欠格とは、要求されている資格を欠くこと、欠格に当たる理由(事由)のことを「欠格事由」といいます。国家公務員、地方公務員、国家資格を必要とする職業は、職責が重く、国民からの高度な信頼も必要とされることから、法律で欠格事由が定められています。

では、看護師の欠格事由はどう定められているのでしょうか?
この点、保険師助産師看護師法9条1号(欠格事由)に次の定めが設けられています。

次の各号のいずれかに該当する者には、前二条による免許を与えないことがある
1 罰金以上の刑に処せられた者
2 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの
4 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

1号の「罰金以上の刑」とは、罰金刑、禁錮刑、懲役刑、死刑のことをいいます。「刑に処せられた」とは裁判を受け、その裁判が確定したことを言います。また、執行猶予付き判決を受けた場合も「刑に処せられた」に当たります。

~看護師試験を受験することが可能か?~

以上の規定を踏まえた上で、A君のご質問に回答します。

まず、欠格事由は、看護師免許を与えるか与えないかの判断の際に考慮されるもので、試験の受験とは無関係です。
したがって、試験の受験自体に制限がない限り「可能」と考えます(受験要領などで確認してください)。

~看護師免許を取得することは可能か~

次に、仮に、A君が試験に合格しても、A君はいまだ「執行猶予中」だと思います。
そして、前述のとおり、「刑に処せられた」には執行猶予中の場合も含まれますから、A君は看護師の免許を取得できない可能性があります。
免許を与えるかどうかは、最終的には厚生労働大臣の判断に委ねられます。

なお、執行猶予期間中、何事もなく経過すれば、執行猶予を言い渡した刑の効力は失われます(刑法27条、だたし前科は残ります)。
つまり、Aさんは「罰金以上の刑に処せられた者」ではなくなり、免許を取得することができます。

刑法27条
 刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。痴漢でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

窃盗と微罪処分

2021-01-28

微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、スーパーで万引きし、警察官に事情を聴かれることになりました。Aさんから依頼を受けた弁護士は、微罪処分獲得に向けてお店側と示談交渉を始めました。
(フィクションです)

~微罪処分とは~

微罪処分とは、警察が事件を検察庁を送致せず、被疑者への厳重注意、訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。本来、警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。しかし、「検察官が指定した事件」については例外的に送致する必要がありません(刑事訴訟法246条但書)。

~微罪処分の対象事件と対象基準 ~

あくまで微罪処分は例外措置ですから、どんな事件でも対象となるわけではありません。微罪処分の対象事件については、各都道府県で異なるとも思われますが、通常、窃盗罪、横領罪、占有離脱物横領罪、暴行罪などは対象とされていることと思います。なお、万引きは窃盗罪に当たりますから、万引きは微罪処分の対象事件ということになります。

しかし、微罪処分の対象事件だからといってすべての事件が微罪処分となるわけではありません。概ね以下の基準を満たす必要があります。
1 犯罪事実(犯情)が極めて軽微か
→窃盗罪、横領罪であれば被害額が2万円以下、暴行罪であれば凶器を使用していないことが基準となります。よって、同じ万引きであっても、被害額が2万円を超える万引きについては微罪処分の対象とはなり得ません。
2 被害弁償、示談ができているか
3 被害者が処罰を望んでいないか
4 前科、前歴がないか

微罪処分を決するのは検察庁や裁判所でもなく警察です。警察の犯罪捜査に関する規範について定めた犯罪捜査規範198条には次のようにかかれています。

捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる

ただし、警察の自由裁量で何から何まで微罪処分にできるものではありません。ここに書かれてあるとおり、犯罪事実が軽微であり、検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたもの、である必要があるのです。

~微罪処分とした場合の流れ、手続き~

では、警察がある万引き事件を微罪処分としたとしましょう。その後はどのような流れ、手続きになるのでしょうか?この点、まず、犯罪捜査規範200条をみると、微罪処分により事件を送致しない場合は次の処置を取るものとされています。

1号 被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること
2号 親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を微すること
3号 被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと

これからすれば、微罪処分となったとしても、少なくとも1回は警察署まで出頭する必要があるでしょう。また、同時に被疑者を監督すべき方も同様です。
そして、警察は、これらの処置が終わると、被疑者の氏名、年令、職業及び住居、罪名並びに犯罪事実の要旨(以下、氏名等といいます)を記載した微罪処分事件報告書によって、検察官に事件の報告をします(犯罪捜査規範199条)。報告書1枚につき4、5名ほど、同じように微罪処分となった方の氏名等が記載されています。この報告の手続は刑事訴訟法246条本文にかかれてある「事件の送致」ではありませんから、この報告書に証拠書類や証拠物は付けられていません。また、「事件が送致」された場合と異なり、検察庁から呼び出しを受けることはありません。要は、警察署で警察官から厳しい御咎めを受けて終わりということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

現住建造物等放火で逮捕

2021-01-26

現住建造物等放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します.

会社員Aさん(35歳)は、亡父から相続した一軒家(築60年)に妻と二人で暮らしていました。ある日、お金に困っていたAさんは、自宅の築年数が古いことから、自分の家に放火して火災保険金を騙し取ることを思いつき、アパートを借りて、しばらくの間は、そのアパートで生活することにしました。そして、引っ越しを終えて荷物を運び出した後に、和室の畳に灯油をまき、火のついたタバコをその近くに放置して、しばらくすると灯油に引火して火災が発生するように仕掛けをして家を出ました。幸いなことに、火災が発生した直後に、近所の住民が火災に気付いて消火したため、畳一枚を焼損するにとどまったのですが、Aさんは非現住建造物等放火罪で逮捕されてしまいました。Aさんはその後の起訴されましたが保釈による釈放を希望しています。
(フィクションです)

~非現住建造物等放火罪~

放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物等を焼損した場合には、非現住建造物等放火罪が成立します。
非現住建造物等放火罪は、その客体を他人所有と自己所有とに分け、自己所有に係る非現住建造物等への放火については「公共の危険」が生じなかった場合には罰しない旨が規定されています(第2項)。
そうすると、上の事案において、Aさん自宅の周囲に人がおらず、他に建物などもない場合であれば、「公共の危険」がないとして、非現住建造物等放火罪が成立しないようにも思えます。

もっとも、刑法第115条は、非現住建造物等放火罪における物が自己所有に係るものであっても、差押えを受けたり、賃貸されたり、保険に付されたりしている場合には、他人の物を焼損した者の例によると規定します。
そうすると、たとえAさん所有の自宅であっても、これが保険に付されている以上、他人所有の非現住建造物を焼損したことになり、「公共の危険」が生じずとも、Aさんには、他人所有の非現住建造物等放火罪が成立する可能性があるのです。
他人所有の非現住建造物等放火罪の罰則は「2年以上の有期懲役」で、自己所有の非現住建造物等放火罪の罰則は「6月以上7年以下の懲役」です。

~保釈による身柄解放~

放火罪は重大な犯罪であるため、捜査機関に発覚すれば逮捕および勾留の可能性はかなり高いと言えます。
そして、もし勾留中に起訴されると、被疑者勾留が被告人勾留へと切り替わり、最低でも2か月は身体拘束が伸びてしまいます。

そうした事態に陥った際、身柄解放を実現する有力な手段として保釈の請求が考えられます。
保釈とは、裁判所に保釈金を納付することで、一時的に被告人を釈放する手続を指します。
保釈の最大の強みは、起訴前に釈放を実現できなかった事件において釈放を実現できる可能性がある点です。
保釈金は、逃亡を防止するための担保金の役割を果たします。
そして、罪が重くなればなるほど逃亡するおそれが大きいと判断されますから、罪が重たくなればなるほど保釈金も高くなる傾向にあります。

保釈されるためには、その前段階として保釈請求が許可される必要があります。
保釈請求に当たっては、法律の専門家である弁護士の視点が重要となることは否定できません。
ですので、保釈を目指すのであれば、保釈請求を含めて弁護士に事件を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

児童ポルノで逮捕

2021-01-21

児童買春・ポルノ禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、SNSを通じて知り合った高校生Bさん(16歳)に対して、Bさんの裸体を撮影させたうえでその写真を送信させ、この写真を暴露すると言って脅し、さらに路上を全裸で歩く動画を撮影させて送信させたとして、中村警察署の警察官により児童買春・ポルノ禁止法違反(単純製造)及び強要罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

~児童買春・ポルノ禁止法~

児童買春・ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は、児童買春行為や児童ポルノの所持や提供、製造等の行為を禁じる法律です。

まず、児童買春・ポルノ禁止法における「児童」とは、18歳に満たない者をいい、男女を問いません。
上の事案におけるBさんは16歳ですので、男女のいかんを問わず、児童買春・ポルノ禁止法における「児童」に該当することになります。

次に、「児童ポルノ」とは、①児童を相手方とし、又は児童同士の性交や手淫・口淫など性交に類似した行為、②他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、逆に児童が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮させ又は刺激するもの、③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態で、殊更にその性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出又は強調されており、性欲を興奮させ又は刺激するものといった児童の姿態を視覚で認識できる方法により描写したものをいいます。

上の事案においては、撮影された対象がBさんの裸体とBさんが全裸で路上を歩く姿であるため、③に該当する可能性があります。
これを写真や動画で撮影した場合には、この写真や動画を視覚で認識できる方法により描写したものであると考えられます。
これは、加害者が自ら撮影した場合のみならず、被害者本人に撮影させた場合についても同様です。
したがって、上の事案でAさんの指示により撮影されたBさんの写真や動画は「児童ポルノ」に当たると考えられます。

「児童ポルノ」については、自己性的目的所持、提供、提供目的製造等、不特定多数への提供、公然陳列等が禁止されています。
上の事案のAさんのように、撮影の対象であるBさん本人に自ら撮影させるるという行為は「製造」として禁止されています。
この場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることがあります。

~強要罪~

Aさんは、児童買春・児童ポルノ禁止法違反のほか強要罪でも逮捕されています。

強要罪は、生命、身体、自由、名誉、若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又はその権利の行使を妨害した場合に成立します。

まず、強要罪における「脅迫」は、人を畏怖させるに足る害悪の告知をいい、脅迫罪のいう「脅迫」と同義であると考えられています。
ここでの「害悪」の内容は、強要罪の条文にも書かれていますが、相手方又はその親族の生命、自由、名誉、財産に対し害悪を加えることに限定されています。

上の事案では、AさんがBさんに対して、Bさんが全裸で路上を歩く動画を撮影して送信しなければBさんの全裸の写真を暴露するという旨の脅迫を加えています。
これは、Bさんの自由や名誉に対して向けられた「害悪の告知」であると考えられますので、Aさんの行為は強要罪における「脅迫」に当たると考えられます。

次に、「義務のないことを行わせ」るとは、行為者に何らその権利・権能がなく、したがって、相手方にも義務がないのに、相手方に作為・不作為又は認容を余儀なくさせることをいいます。
ここでいう義務の内容は、恐喝罪(刑法第249条)、強盗罪(刑法第236条)、逮捕・監禁罪(刑法第220条)、職務強要罪(刑法第95条第2項)などのように他の犯罪に該当しないものをいい、これらの犯罪が成立する場合には、別途強要罪は成立しません。

上の事案では、AさんはBさんに対して、全裸で路上を歩く姿を撮影させるという「義務のないこと」を行わせていますので、この点について強要罪が成立する可能性があります。
この場合、3年以下の懲役に処せられることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

脅迫罪と報道回避

2021-01-19

脅迫罪と報道回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさん(20歳)は、Vさんのスマートフォン宛にLINEで「お前の親の車燃やしてやる」というメールを送りました。Aさんは脅迫罪の件で警察から呼び出しを受けたため、今後逮捕され、報道されてしまうのか不安になり刑事弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)

~脅迫罪~

脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知(害悪の告知)して人を脅迫した場合に成立する犯罪です。
罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

脅迫は、一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。ただし、本罪は危険犯と言われ、人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り、それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。例えば、下記の例が脅迫に当たります。

生命・・・「殺すぞ」
身体・・・「怪我させるぞ」
自由・・・「帰れなくするぞ」
名誉・・・「さらし者にするぞ」
財産・・・「家、車を燃やすぞ」

もちろん、このように端的に告知しなくても、脅迫が行われるまでの経緯・前後関係などから総合して脅迫とされることもあります。

脅迫罪の相手は、被害者本人(刑法222条1項)又はその親族(同条2項)です。
よって、友人や恋人に対する害悪の告知は脅迫とはいえません。ただし、別に、友人や恋人に対する脅迫罪が成立する可能性はあります。

脅迫の方法に制限はありません。文書・言語・態度・動作のいずれによってもよいとされています。最近は、SNSやインターネットを経由した脅迫が多いです。

~報道回避~

報道されればその人が有罪か無罪かに関係なく、「逮捕された事実」自体が大きくクローズアップされます。
この「有罪か無罪かに関係なく」というところがポイントで、逮捕段階では無罪推定の原則が働いており、まだ逮捕された人を犯人と決めつけることはできないのに、世間一般の人は、逮捕=その人が犯人だとの印象を抱く傾向にあります。

そのため報道されれば、職場や学校などに事実が知れ渡り、職場や学校にいずらくなって結果的に辞めざるをえなくなるかもしれません。また、インターネット等の情報化社会の今日、ネットなどに実名でニュースが記載され、あっという間に情報は拡散し、将来、それを削除することも困難になります。
他方、残念ながら一部の事件を除いては、逮捕後の犯人の状況などについてはほとんど報道されることはありません。
ですから、犯人がはたして逮捕された事実を行ったのか、無実であったのかが不明確なまま、逮捕された事実のみが先行して世間に広まる可能性があるのです。

このような実名報道による不利益を回避するためには、何よりもまず逮捕を避けることが必要です。
児童買春の場合、逮捕を避けるには被害者と示談交渉し、警察が逮捕に動き出す前に示談を成立させることが必要です。
また、児童の連絡先などを知らず、そもそも示談交渉できないという場合は出頭、自首することなども検討し、逮捕される場合にそなえて報道しないよう警察に働きかけを行っていく必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。脅迫罪で示談をお考えの方、その他でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

強制性交等罪

2021-01-18

強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、マッサージのため宿泊していたホテルの個室にマッサージ嬢Vさんを呼び込み、そこでVさんを羽交い絞めにして性交した件で警察署に強制性交等罪で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 強制性交等罪とは ~

強制性交等罪は刑法177条に規定されています。

刑法177条

 13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

改正前の刑法177条は

13歳以上の「女子」を姦淫した者は

と規定されていました。しかし,改正後は13歳以上の「者」と改められ,男子も保護の対象となりました。したがって,女子による男子への,男子による男子への性交等も処罰の対象となります。

一般に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使,「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。そして,強制性交等罪の暴行・脅迫の程度は

相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度

であることが必要とされています。
具体的には,相手方を殴る,蹴る,叩く,武器を使用して殴る,叩く,馬乗りになる,羽交い絞めにする,縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょうし,言う通りにしなければ「殺すぞ」,「裸の写真をばらまくぞ,ネットに流すぞ」,「家に火をつけるぞ」などという行為が「脅迫」に当たるでしょう。

性交の他に,肛門性交(アナルセックス),口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為,肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為,口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内,肛門内,口腔内に入れる行為(加害者:男性,被害者:女性又は男性)だけでなく,自己又は第三者の膣内,肛門内,口腔内に被害者の陰茎を入れる行為(加害者:女性又は男性,被害者:男性)も含まれます。

~ 今後の流れ ~

強制性交等罪を疑われれば,逮捕,勾留される可能性が高いといえます。
また,起訴され,刑事裁判で「有罪」と認定されれば,高い確率で「実刑」となるおそれがあり,その裁判が確定した後は,刑務所に服役しなければならなくなります。執行猶予付き判決を受けるには,裁判で「3年以下の懲役」の言い渡しを受ける必要がある(刑法25条1項)ところ,強制性交等罪は最低が「懲役5年」だからです。

強制性交等罪の弁護活動としては,まず,上記の「罪証隠滅行為」や「逃亡」のおそれを払拭して身柄を拘束された方の釈放を目指します。

事実を認める場合は、上記に加え,被害者との示談交渉に入ります。
上記のとおり,強制性交等罪で起訴されると高い確率で「実刑」となりますから,起訴そのものを回避する弁護活動が必要です。
事実を認めない場合は,被害者の供述の信用性が争点となりますから,被害者の供述の信用性に疑いを挟む事実・証拠を収集するなどして,まずは処分を決める検察官に意見書などを
提出して不起訴獲得を目指します。仮に,裁判になった場合は,被害者の供述の信用性を争い,無罪獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

保護責任者遺棄致死罪で逮捕

2021-01-17

保護責任者遺棄致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

60代男性のAさんは、瀬戸市内の自宅にて重病を抱えた妻Vさんの看護に疲れてしまい、面倒を全く見ることなく放置していました。
その結果、Vさんが亡くなってしまったため、Aさんは保護責任者遺棄致死罪の容疑で愛知県警察瀬戸警察署に逮捕されることになりました。
(フィクションです)

~保護責任者遺棄致死罪とは~

まず、保護責任者遺棄罪について説明したいと思います。
保護責任者遺棄罪とは、幼児や高齢者、身体障害者、病人を保護する責任がある人が、保護すべき者に対して、遺棄したり、生存に必要な保護をしなかったりすることをいいます。

ここで言う「遺棄」とは、保護を要する子どもや高齢者などを保護のない状態に置くことにより、その生命・身体を危険にさらすことを指しています。
また、保護すべき人を場所的に移動させる行為(移置)だけでなく、置き去りのように危険な場所に放置する行為も含んでいます。
そしてさらに、保護すべき者に対して、生存に必要な保護をしない行為(不保護)もまた、保護責任者遺棄罪には含まれています。

今回の上記事例のAさんのように、「重病の妻Vさんの面倒を見ることなく放置する行為」は、保護すべき者に対して生存に必要な保護をしなかったという「不保護」に当てはまると考えられ、保護責任者遺棄罪に問われる可能性は高いでしょう。
そして、Aさんの「不保護」の結果、妻のVさんは亡くなっていますので、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性も十分に考えられるのです。

~殺人罪~

なお、犯行態様や故意(殺意)しだいでは刑法199条の殺人罪が成立する可能性があります。
殺意があるかどうかは、客観的・具体的な事実を基に判断されますが、長期的に食べ物を与えていない等の事実があれば、殺意があると判断されることもあるでしょう。

保護責任者遺棄致死罪の法定刑は、3年以上の懲役であり、起訴された場合にはこのような刑が科される場合があります。
また、殺人罪が成立する可能性もあるので、逮捕された場合には刑事事件に強い弁護士に無料法律相談や初回接見の依頼をすることをお勧めします。
弁護活動の内容によっては、逮捕・勾留に伴う身体拘束から解放されたり、執行猶予付の判決が認められたりする場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、弊所の無料法律相談、初回接見サービスのご利用をご検討ください。

緊急逮捕

2021-01-16

緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、会社の飲み会で大量にお酒を飲み、泥酔した状態で自宅の最寄り駅に着きました。そして、Aさんが駅の近くにあったVさん管理の自動販売機でペットボトル入りの水を買おうとしたところ、自動販売機が故障しており、お金を入れてボタンを押してもペットボトルが出てきませんでした。そのことに腹を立てたAさんは、右足で自動販売機の飲料の取り出し口を思いっきり蹴って取り出し口を壊し、周囲に「ガン」という大きな音を響かせました。その後、Aさんは自宅に向かって歩いていたところ警察官の職務質問を受け、通報内容と背格好、服装が似ていることなどから器物損壊罪で緊急逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~ 緊急逮捕とは ~

緊急逮捕とは、重大な犯罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合に逮捕状なしで逮捕し、逮捕後に裁判官の発する逮捕状を必要とする手続のことをいいます(刑事訴訟法210条)。「重大な犯罪」とは、

死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪

のことで、たとえば、

・殺人罪
・傷害罪
・強盗罪
・窃盗罪
・強制性交等罪
・強制わいせつ罪
・詐欺罪
・恐喝罪
・横領罪
・公務執行妨害罪
・住居侵入罪
・名誉毀損罪

などの罪がこれにあたります。
ちなみに、器物損壊罪は、法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですから、「長期3年以上」に当たり(3年以下は3年以上に含まれます)、やはり緊急逮捕の対象となります。
他方、

・暴行罪
・脅迫罪

などは「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」に当たらず緊急逮捕の対象ではありません。

~ 告訴取消し、不起訴 ~

器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。

刑法264条
 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。

占有離脱物横領と被害弁償

2021-01-15

占有離脱物横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市南区に住むAさんはJRに乗車していた際、座席に置かれていた財布(Vさん所有)を見つけました。Aさんはしばらくそのままにしていましたが、誰も取りに来る様子がなく、周りに人もいなさそうだったことから、置き忘れ「自分のものにしてしまえ」と思い、その財布を手に持ったまま電車から降り降車駅を降りました。ところが、後日、Aさんは南警察署の警察官から占有離脱物横領罪の疑いをかけられ、警察署まで出頭するよう呼び出しを受けてしまいました。AさんがVさんの財布のようなものを手に持っている防犯ビデオ映像、Vさんが財布を取りに帰った時間と同映像に記録された時間との近接性などからAさんが犯人だと疑われたようです。Aさんは事実を認め、被害者に被害弁償したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 占有離脱物横領罪 ~

占有離脱物横領罪は刑法254条に規定されています。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「遺失物」も「漂流物」も「その他占有を離れた他人の物(占有離脱物)」の例示です。
そして、「その他占有を離れた他人の物」とは、その物(本件でいえば財布)の持ち主の元(占有)から離れたものをいいます。
「横領」とは、簡単にいうと自分のものにすることです。

では、本件の電車の座席に置かれていた財布は、「持ち主の元から離れたもの」すなわち「占有離脱物」と言えるのでしょうか?
この点、Vさんの占有が及んでいない場合は占有離脱物といえますが、占有が及んでいる場合は「他人の物」として窃盗罪(刑法235条)の客体となります。

そして、財物に対して占有が及んでいるかどうかは、主として①支配の事実と②支配の意思によって判断されます。
例えば、財布をその持ち主が実際に手に持っているという場合には、①支配の事実が明白であり、占有が及んでいると認められるでしょう。
しかしながら、持ち主が財物を実際に手に持っていないという場合でも、例えば、マンションの自転車置き場に自分の自転車を置いているという場合には、実際に手に持っている場合に比べて①支配の事実が弱いとはいえ、自分の物として自転車置き場に置く意思があると考えられますので、②支配の意思があり、占有が及んでいると認められるでしょう。

なお、本件のような置き忘れの事案については、占有を認めたものもあれば、占有を認めなかったものもあります。
占有を認めた例としては、バス待ちの行列の中でカメラを置き忘れた者が約5分後に約20メートル離れたところで気づいて引き返したという場合、公園のベンチにポシェットを置き忘れた者が約27メートル離れた時点で持ち去られたという場合などがあります。
他方、占有を認めなかった例としては、スーパーマーケットの6回ベンチに財布を置き忘れた者が約10分後に地下1階に移動した時点で置き忘れに気づいて引き返したという場合があります。
これらのケースを見ると、置き忘れた時点と置き忘れに気づいた時点との時間的・距離的な離隔が小さい場合には占有が認められ、逆に離隔が大きい場合には占有が認められないという傾向にあるといえそうです。

いずれにしても、被害者の占有が及んでいるかどうかは、

・被害者が置き忘れに気づいたのかどうか
・気づいたとしてどのタイミングか(置き忘れてからの時間的間隔、場所的距離)
・物の特性

などを総合的に考慮して決せられます。

~ 被害弁償 ~

占有離脱物横領罪のような財産犯では、まず何よりも被害者に真摯に謝罪した上で被害者弁償し、示談を締結させることが不起訴処分獲得に繋がりやすくなります。
ただし、当事者同士で謝罪の意を示したり、被害弁償の手続きを進めたり、示談交渉することはなかなか難しいでしょう。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉などを進めてまいります。
お困りの方は弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

強制性交等致傷罪と示談

2021-01-14

強制性交等致傷罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

愛知県名古屋市中区に住むAさんは、大学生のVさん(当時19歳)が風俗店で働いていることを知り,SNSなどで「風俗で働いていることを学校に言うよ」「学校にばれたら退学になるかもね」などとVさんを脅しました。さらに,AさんはVさんを呼び出し,学校へ知らせないかわりに肉体関係を迫りました。Vさんは抵抗しましたがAさんは無理矢理Vさんを姦淫し,Vさんはそのショックから全治不明の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の傷害を負いました。後日,Vさんから相談を受けた中警察署は、Aさんを強制性交等致傷罪の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

~強制性交等致傷罪~

強制性交等致傷罪(刑法第181条第2項)は,強制性交等罪(刑法第177条)が成立することを前提に,その機会に相手に傷害結果が生じた場合に成立する罪です。

強制性交等致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役です。

強制性交等致傷罪の基本犯である強制性交等罪は,13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いて,性交,肛門性交または口腔性交(以下,これらをまとめて性交等といいます)をした場合に成立します。
また,13歳未満の者に対しては,暴行や脅迫がなくとも性交等を行っただけで強制性交等罪が成立します。

強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

強制性交等罪や強制性交等致傷罪における暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
そうすると,強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われますが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,暴行・脅迫があった場合,それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強いです。
強制性交等罪に当たる行為に及んだ際に相手に傷害結果を生じさせた場合に強制性交等致傷罪が成立することになります。
ここで言う傷害には、身体的外傷のほか,Aさんの事件のような精神疾患も含まれると考えられています。

今回の事件では,VさんはAさんから風俗店で働いていることを材料に脅迫を受けています。
また,事件の概要からは明らかではありませんが,Vさんを無理矢理姦淫していることから上記の脅迫と併せて反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったと言えます。
加えて、Vさんは姦淫されたことでショックを受け、PTSDを罹患しています。
以上から、Aさんには強制性交等致傷罪が成立する可能性があります。

ちなみに、強制性交等致傷罪は,強制性交等未遂罪の場合でも性交等に及ぼうとした機会に傷害結果を発生させた場合にも成立し得ます。
したがって,たとえ相手方が抵抗したため性交等に至らなかったとしても、傷害を負わせていれば強制性交等致傷罪の既遂となる点に注意が必要です。

~示談の締結を目指す~

強制性交等罪のような性犯罪の場合,被害者やその家族の処罰感情が強い場合がほとんどで,加害者が被害者に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。

加えて,加害者やそのご家族が直接示談交渉することも非常に困難を伴います。
示談交渉に時間を取られてしまうと,その間に刑事手続が進んでしまい,長期の身体拘束や最悪の場合起訴に至り有罪判決を言い渡されてしまうことになりかねません。

上記の場合に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼すれば,示談交渉をより円滑に進めることが期待できます。
その結果として示談が締結できれば、早期に身体解放を実現したり、執行猶予を獲得したりする可能性を高めることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

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