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万引きで現行犯逮捕

2020-10-17

万引きと現行犯逮捕につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県岡崎市内に住むAさんはスーパーで万引きした後、店外に出たところ、保安員に声をかけられ現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは勾留決定前に釈放されましたが、今後のことが気になって弁護士に無料相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 万引きは窃盗罪 ~

まずもって確認しなければならないのは、どんな態様・方法であるかを問わず、万引きは

窃盗罪

という立派な犯罪であるということです。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

そして、万引きも犯罪である以上、逮捕される可能性は十分にあります。

そして、万引きといえば、保安員等に万引きの瞬間を目撃され、店外に出たところで逮捕される

現行犯人逮捕

のイメージが多いかと思いますが、逮捕には「現行犯逮捕」のほかに「通常逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があり、通常逮捕や緊急逮捕によっても逮捕されることがあります。
現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕との違いは、前者は逮捕状を不要とする、後者は逮捕状を必要とする(緊急逮捕の場合は事後的に必要とする)点です。つまり、万引きといっても現行犯逮捕によりその場で逮捕されることはもちろん、逮捕状により後日逮捕されることも十分あり得るのです。

現行犯人は、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であることから、誤認逮捕のおそれがなく、犯人を確保し、犯罪を制圧するなど速やかに犯人を逮捕する必要も高いことから、私人でも逮捕できるとされています。私人の現行犯逮捕については刑事訴訟法213条に規定があります。

刑事訴訟法213条
 現行犯人は、何人でも逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

~ 現行犯逮捕後の手続、流れ ~

現行犯逮捕の場合、犯罪及び犯人が明白であることから、逮捕するにあたって逮捕の理由となる被疑事実の要旨(どんな罪を犯しのか大まかな概要)を告げる必要はないと解されています(この点、通常逮捕、緊急逮捕の場合は必要です)。
逮捕後の流れを次の2パターンにわけてご紹介いたします。

私人が現行犯逮捕した場合は、直ちに犯人を検察官、司法警察職員に引き渡さなければなりません。近くに警察官がいた場合は、警察官に引き渡せば済みますし、いない場合は連絡を取り(110番通報などし)、警察官が現場に来るまで犯人の身柄を確保しておく必要があるでしょう。私人が自分の判断で犯人を釈放することはできません(ただし、犯人が自力で逃走した場合など、やむを得ず釈放してしまった場合は責任を問われることはないでしょう)。

司法警察職員が逮捕した場合の流れは、司法巡査が現行犯人を受け取った場合、速やかに司法警察員に引致しなければならないとされている他は、通常の逮捕の場合と同様です。

~ 逮捕後の流れ ~

司法警察員による弁解を聴く手続、すなわち「弁解録取」の手続が取られます。その上で、司法警察員は、身柄を拘束する必要があるか否かを判断し、拘束する必要がないと判断したときは釈放し、必要がある判断したときは逮捕から48時間以内に、犯人及び事件を検察官の元に送致する手続を取ります。送致を受けた検察官も「弁解録取」という手続をとります。身柄拘束の必要がない場合は釈放し、必要がある場合は、犯人を受け取ってから24時間以内に、裁判官に対し勾留請求の手続を取ります。勾留の請求を受けた裁判官は、「勾留質問」という手続を取った上で、勾留するか釈放するかの判断をします。勾留の決定が出た場合は10日間拘束されます(ただし、不服申し立ての制度あり)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

置引きで緊急逮捕

2020-10-16

置引きと緊急逮捕ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、愛知県東郷町の道路で、傍らに荷物を置いて電話をしていたVさんの荷物を手に取ると、素早くその場を去ろうとしました。
しかし、Aさんは、Vさんの通報を受け付近を捜索していた愛知警察署の警察官に窃盗罪で緊急逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 置引きとは? ~

置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、「万引き」や「車上狙い」などと同様、窃盗の手口の一部です。
  
置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たります。
  
刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪と占有離脱物横領罪では法定刑に大きな開きがありますから、内を基準に両者の適用が区別されるのか気になるところではにあでしょうか?この点、両者を区別するポイントは
   
被害者の財物(本件ではバッグ)に対する支配が及んでいるかどうか

という点につきます。支配が及んでいる場合にその財物を奪えば窃盗罪、支配が及んでいない場合にその財物を奪えば占有離脱物横領罪が適用されます。

そして、被害者の支配が及んでいるかどうかは、
・財物の特性
・被害者の支配の意思の強弱
・被害者が置き忘れた場所から取り戻しに行くまでの時間、距離関係
などを総合考慮して決められます。

~ 緊急逮捕とは ~

緊急逮捕とは、重大な犯罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合に逮捕状なしで逮捕し、逮捕後に裁判官の発する逮捕状を必要とする手続のことをいいます(刑事訴訟法210条)。「重大な犯罪」とは、

死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪

のことで、たとえば、

・殺人罪
・傷害罪
・強盗罪
・窃盗罪
・強制性交等罪
・強制わいせつ罪
・詐欺罪
・恐喝罪
・横領罪
・公務執行妨害罪
・住居侵入罪
・名誉毀損罪

などの罪がこれにあたります。
ちなみに、器物損壊罪は、法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですから、「長期3年以上」に当たり(3年以下は3年以上に含まれます)、やはり緊急逮捕の対象となります。
他方、

・暴行罪
・脅迫罪

などは「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」に当たらず緊急逮捕の対象ではありません。

~ 置引きで逮捕されたら弁護士に接見を ~

置引きで逮捕されたら弁護士に接見をご依頼ください。
ご依頼を受けてから速やかに、弁護士が逮捕されている方が留置されている留置場へ行き、逮捕された方と接見いたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間体制で、無料法律相談・初回接見の予約を受け付けております。

窃盗と見張り

2020-10-15

窃盗の見張りについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市天白区に住むAさんは、先日会社を解雇され、無職となりお金に困っていました。そんな中、Aさんは数年ぶりにパチンコ店で会った知人の男Bさんから、「お金に困っているの?」、「それなら、家に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、この話に乗ることにしました。犯行日当日、犯行場所で、AさんはBさんから「俺が中に入ってやるから、誰も来ないかどうか外で見張りをしていてくれ」と言われました。そして、Aさんは外で見張りをしていたところ、被害者宅から貴金属を盗ってきたBさんから「中におばさんがいた。貴金属の在りかを吐かなかったので、ナイフで脅した」と言われました。その後、AさんとBさんは現場から逃走しました。そして、数か月後、愛知県点白警察署に、Aさんは住居侵入罪と窃盗罪の共犯、Bさんは住居侵入罪と強盗罪で逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)

~窃盗と見張り~

今回の事例でAさん自身は住居侵入罪、窃盗罪にあたる行為はしていません。
しかし、AさんとBさんが意思を通じ合って(犯罪の共同実行の意思)、実質的に協力し合って犯罪を犯した(犯罪の共同実行の事実)と認められる場合には、Aさんも住居侵入罪、窃盗罪(の共犯)に問われます。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(共同正犯)
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

ところで、Bさんは強盗罪に当たる行為をしていることから、Aさんにも強盗罪に問えないかが問題となります。
しかし、判例は、

Aさんが窃盗罪の認識であれば、強盗罪と「重なり合う」窃盗罪の範囲でのみ刑責を負う

としています。何をもって重なり合うとするのかは別の機会に解説を譲ることにして、Aさんとしては、Bさんが強盗罪を犯すことは意外だったのですから、強盗罪まで責任を負わせるのは酷だという考えです。ごく当たり前といえば当たり前の結論です。
一方の、Bさんは強盗罪についてはAさんと共謀していないのですから、強盗罪については単独犯としての責任を負うことになります。

~共犯と逮捕~

共犯事件においては、通常の事件よりも逮捕、勾留される可能性は高くなってしまいます。
一般的に、共犯事件は計画性があって、事件の悪質性が高いと考えられます。また、仮に、共犯者の双方、あるいは一方を釈放してしまうと、口裏合わせや罪のなすり合いなどの罪証隠滅行為を働く可能性や重たい量刑をおそれて逃亡する可能性が高いと考えられてしまうからです。

見張り役というと実際に犯罪行為をしていないので、罪にならない、罪になるとしても軽いものだろうと思ってしまうかもしれません。
しかし、共犯者同士の人間関係、犯行に果たした役割、犯行後の分け前等によっては、実際に犯罪行為を行った者(今回はBさん)と同じ量刑かそれ以上となる可能性も否定はできません。
見張りを頼まれても、罪に問われる可能性があることは十分に認識し、きっぱりと断る必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

カツアゲと少年事件の簡易送致

2020-10-14

カツアゲと簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市中区の高校に通うA君(17歳)は、V君に対してカツアゲしたとして恐喝罪の疑いで愛知県中警察署から事情を聴かれることになりました。もっとも、被害額は500円で、被害弁償もなされたことから、今回は簡易送致で済んだようです。
(フィクションです。)

~ 恐喝罪 ~

カツアゲは恐喝罪に当たります。
恐喝罪は刑法249条に規定されています

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度であること、つまり、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度(人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度)であることが必要とされています。

~ 家庭裁判所へ送致されるルートは2つ ~

以下は、少年事件の捜査→家庭裁判所送致までの流れをご説明します。

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを全件送致主義といいます。

事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されるルートは2つあります。
一つは、警察から直接、家庭裁判所へ送致されるルートです。直送事件とも呼ばれています。ただし、このルートで送致される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一つは、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致されるルートです。法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されていると、その罪に関する事件はこのルートで送致されることになります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですから、後者のルートで送致されることになります。

~ 少年事件の簡易送致制度 ~

しかし、事案が軽微で少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致させることは、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなりかねません。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

いかなる場合に簡易送致とするかは犯罪捜査規範第214条に規定されています。

犯罪捜査規範214条

1 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(略)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
2 前項の規定による処理をするに当たつては、第二百条(微罪処分の際の処置)に規定するところに準じて行うものとする。

これからすると、簡易送致の対象は

・事実が極めて軽微であること
・犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがないこと
・刑事処分、保護処分を必要としないと明らかに認められること
・検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件であること

の条件を満たす必要がありそうです。

~ 簡易送致のメリットは?簡易送致を目指すには? ~

簡易送致された場合は、検察庁から呼び出しを受けて取調べを受ける可能性は低いでしょう。また、家庭裁判所で少年審判を受ける可能性も低いと思われます。
簡易送致するか否かは警察が決めますから簡易送致を目指すには、警察が事件を検察庁に送致する前に、被害者に被害弁償し示談を成立させた上でその結果を警察に提出する必要があります。また、少年を取り巻く環境を整え、更生可能性、再犯のおそれがないこともしっかりアピールする必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

強制わいせつ等致傷罪で逮捕

2020-10-13

強制わいせつ等致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

男性であるAさん(30歳)は、深夜に女性Vさん(20歳)の自宅前でVさんが帰宅するのを待ち伏せし、帰宅したVさんの後ろから顔にタオルを押し当てて引き倒し、体を触るなどした際に顔などに全治1週間の軽いけがをさせたとして、愛知県東海警察署の警察官により強制わいせつ等致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。

Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。

(事実を基にしたフィクションです。)

~ 強制わいせつ等致傷罪 ~

強制わいせつ罪(刑法第176条)、準強制わいせつ罪(刑法第178条第1項)、監護者わいせつ罪(刑法第179条第1項)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を傷害した場合には、強制わいせつ致傷罪が成立します。

まず、強制わいせつ罪は、①13歳以上の者に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすること、又は、②13歳未満の者に対してはわいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。

次に、準強制わいせつ罪は、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。

最後に、監護者わいせつ罪は、平成29年刑法改正によって新設された犯罪であり、18歳未満の者に対し、その者を現に看護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をしたことによって成立する犯罪です。

上の事案のAさんは、13歳以上である20歳のVさんに対して、後ろから顔にタオルを押し当てて引き倒すという暴行を加えたうえで、体を触るというわいせつ行為をしているとして、上の3つのわいせつ罪のうち強制わいせつ罪の成立が考えられるということになります。

13歳以上の者に対する強制わいせつ罪が成立するためには、①暴行又は脅迫を用いて、②わいせつな行為をすることが必要となります。

強制わいせつ罪のいう「暴行」・「脅迫」は、暴行罪(刑法第208条)の「暴行」や脅迫罪(刑法第222条)の「脅迫」とは異なり、被害者の反抗を著しく困難にする程度の身体に対する有形力の行使・害悪の告知をいいます。

被害者の反抗を著しく困難にする程度か否かの判断は、加害者と被害者との体格差や性差、暴行・脅迫の態様・内容など様々な事情を考慮して行われます。

例えば、相手の肩をトントンと叩くような行為では、被害者の反抗を著しく困難にする程度とまでは言えないとして、強制わいせつ罪の「暴行」には当たらない可能性が高いです。

また、相手を後ろから羽交い絞めにしたうえで胸を揉むなど、暴行自体がわいせつ行為である場合も、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであれば、強制わいせつ罪の「暴行」に当たる可能性があります。

上の事案では、Vさんは女性であり、一般的に女性よりも力のある成人男性から顔にタオルを押し当てて引き倒されているため、このような暴行を受けた場合には抵抗することはもちろん、逃走することも困難であるといえます。

そうすると、Aさんの行為はVさんの反抗を著しく困難にする程度の「暴行」であるとして、強制わいせつ罪の言う「暴行」に当たると考えられます。

そして、AさんはVさんの体を触っており、胸やお尻などの人の正常な性的羞恥心を害する部位を触ったというばあいには、「わいせつな行為」として、Aさんの行為は強制わいせつ罪に当たると考えられます。

次に、「よって人を傷害した」といえるのかについて、強制わいせつ等致傷罪における致傷結果は、わいせつの機会に行われた密接関連行為・随伴行為から生じたもので足りると考えられています。

つまり、強制わいせつ等致傷罪における傷害結果は、わいせつの機会に行われた暴行・脅迫から生じていれば十分であるということになります。

上の事案でいえば、Vさんは顔などに全治1週間の軽いけがをするという「傷害」を負っていますが、これが引き倒された際に生じたものであっても、体を触られた際に生じたものであっても、「よって人を傷害した」といえるということになります。

そうすると、上の事案のAさんには強制わいせつ等致傷罪が成立する可能性があります。

強制わいせつ等致傷罪が成立した場合、無期または3年以上の懲役に処せられることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

児童買春と逮捕後の流れ

2020-10-12

児童買春と逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市中村区に住むAさん(40歳)は、SNSで女子中学生のVさん(15歳)と知り合いました。そして、AさんはVさんが18歳未満であることを認識しながらVさんと会い、ホテルでVさんに現金3万円を渡してVさんと性交しました。その後、Aさんは愛知県中村警察署に児童買春の罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~児童買春の罪~

児童買春の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。

法律4条
 児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

児童買春とは、児童(18歳未満の者)等に対し、対償(お金など)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいうとされています(法律2条2項)。
「対償」とは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物の交付や債務の免除もこれに含まれます。

Aさんは現金をという「対償」を渡した上で、Vさんと性交していますから、Aさんの当該行為は児童買春の罪に当たることは明らかです。

~逮捕後の手続きの流れ~

犯罪をしたとして警察に逮捕されると留置場に収容され、取調べ等を受けます。
その後、身柄と事件は検察庁へ送致され、検察官が逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断して勾留請求し、裁判官がこれを許可すれば10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束を受けます。。この勾留期間はさらに最大で10日間延長されることもあります。逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、途中で釈放になる場合もあります。

弁護士としては、ご本人が反省していること、前科がない(少ない)こと、家族が監督していけることなど、ご本人に有利な事情をできる限り主張し、早期釈放や軽い判決が出ることを目指します。
あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり取調べを受けると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのかなど、不安が大きいと思います。

事件内容に応じてアドバイスいたしますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、援助交際・児童買春をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

強制わいせつ罪と送検前の釈放

2020-10-11

強制わいせつ罪と送検前の釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市熱田区に住むAさん(22歳)は、援助交際の目的で、出会い系サイトで知り合った女子高生のVさんと会うことにしました。Aさんは、Vさんと会いホテルに入りましたが、Vさんから援助交際を断られてしまいました。そこで、Aさんは部屋から出ていこうとするVさんの腕を引っ張り、ベットに羽交い絞めにして胸を揉むなどしました。Aさんは、さらに陰部を触ろうとしましたがVさんから抵抗されたことから、それ以上Vさんに手を出すことはできませんでした。後日、Aさんは愛知県熱田警察署に強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~強制わいせつ罪と送検前の釈放~

強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。

刑法176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 

強制わいせつ罪は罰金刑の設けられていない比較的重たい罪の部類に入ります。
発覚すれば逮捕される可能性が高いといえます。

警察に逮捕され、身柄拘束を継続する必要があると判断された場合、その後検察庁へ送致される(送検)手続きが取られます。
ところが、警察の判断でこの送検前に釈放されることもしばしばあります。

そもそも、

罪証隠滅のおそれ
逃亡のおそれ

がある認められる場合に身柄を拘束されるわけですから、反対にこれらの事情が認められない場合は身柄を拘束することはできず直ちに身柄を釈放しなければなりません。

現行犯逮捕の場合は、盗撮行為を見ず知らずの第三者に現認されていることが多いでしょうし、犯行に使用したスマートフォンなどは捜査機関に押収されるでしょう。したがって、被疑者が罪証隠滅行為を図る客観的可能性は低いと考えられます。
また、定職に就いている、適切な監督者がいる、ご家族と同居している、前科前歴がない(初犯である)、監護・介護を要する方がいるなどの事情が認められる場合には逃亡のおそれがないと判断されやすいでしょう。

~弁護士に接見を依頼しても弁護活動してくれない?~

弁護士と身柄を拘束された方との初めての接見を「初回接見」といいます。
通常、初回接見という場合、弁護士が身柄を拘束された方と「接見」をすることを内容とするものであって、その後の弁護活動は含まれないことに注意が必要です。弊所の場合も同様です。
したがって、初回接見後に、弁護士に弁護活動を依頼する場合は、弁護士が所属する法律事務所(あるいは弁護士)との間で新たに委任契約を結ぶ必要があります。
今回、Bさんは初回接見後の弁護活動につき委任契約を結ばれていませんが、たまたま捜査機関の判断でAさんが釈放された、という結果となっているわけです。

仮に、今回、Aさんの身柄拘束が継続され、Aさんが勾留されたとしたら、Bさんがそれまでに私選の弁護人を選任しない限り、Aさんに国選弁護人が選任されていたはずです。
しかし、今回、Aさんは勾留前に釈放されていますから、Aさんに国選弁護人が選任されることはありません。

在宅事件でも身柄事件と同様に厳しい取調べを受けることが予想されます。また、ご自身で示談交渉しようとしても捜査機関は加害者に被害者の連絡先などを教えません。したがって、厳しい取調べに対応してほしい、被害者と示談交渉してほしい、などという場合は私選の弁護人を選任するしかありません。

お困りの際はお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、盗撮をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。盗撮でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

過失傷害罪と不起訴

2020-10-10

過失傷害罪と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市昭和区に住むAさんは、自転車を運転中、前方の信号が赤色表示を示していたにもかかわらず、停止線手前で一時停止をせずに進行したしたところ、折から、青信号に変わって横断歩道を横断していた歩行者のVさんに自転車を衝突させて路上に転倒させてしまい、Vさんに加療約2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは過失傷害罪の被疑者として愛知県昭和警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

~過失傷害罪~

過失傷害罪は、刑法209条1項に規定されています。

刑法209条1項
過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

同罪の「過失」とは、不注意により、人を傷害することに対する認識、認容(そうなっても構わない、仕方がないという意図)を欠いていることをいいます。「不注意」があったというためには、①傷害の発生を認識、予見することができ、②傷害の発生を回避するために必要な措置を講ずることができた、といえることが必要です。

検察官が公訴を提起(起訴)するにあたって被害者等の告訴を必要とする犯罪を親告罪といいます。そもそも、告訴とは、被害者等が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。よって、親告罪が設けられたのは「被害者の処罰を求める意思」を尊重するためにあるとも考えられるのです。

刑法209条2項
 前項の罪(過失傷害罪)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

親告罪は被害者等の処罰意思を尊重する制度ですから、検察官が公訴を提起する前に被害者等が「処罰は望まない」「許してほしい」などといって告訴を取消すことができます。被害者等が告訴を取消せば、刑事処分は自動的に「不起訴(親告罪の告訴の取消し)」となります。
このように、被害者の方々の処罰感情を緩和させ、告訴を取消していただくには、まずは被害者の方々に誠心誠意謝罪した上で、示談交渉を開始し、お互い納得のいく条件で示談を成立させることが肝要かと考えます。交渉には様々な困難が伴いますし、のちのちのトラブルを防ぐには適切な内容・形式で示談を成立させる必要があります。そのためには弁護士の力が必要です。

なお、起訴後に告訴を取消すことはできません(刑事訴訟法237条1項)。よって、示談による告訴取消しを目指す場合は、検察官の公訴提起(起訴)前に示談を成立させる必要があります。

刑事訴訟法237条1項
 告訴は、公訴の提起があるまでにこれを取り消すことができる。

~自転車保険の加入もご検討ください~

自転車事故を起こすと上記のような刑事責任のほかに民事責任も負わなければなりません。
民事責任とは、要は、損害賠償責任のことです。
被害者に発生した損害が軽微で損害賠償金がが低額であれば、ご自身の自己負担で賄うことができるでしょう。
しかし、自転車事故によって被害者にどの程度の損害が発生するのかは予測が付きません。場合によっては億単位の損害額が発生することも十分考えられますし、過去にはそうした自転車事故が起きた事例も実際に存在します。

そのため、ご自身を守る意味でも自転車保険に加入されておくことをお勧めします。
近年は加入を義務付ける自治体も増えてきています。
まずは、お住いの自治体が自転車保険の加入を義務付けているのかどうか、ご自身のライフスタイルにとって加入の必要があるのかどうか検討してみるとよいかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、過失傷害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に、「0120-631-881」までお電話ください。初回接見サービス、無料法律相談を24時間受け付けております。

無免許運転中に人身事故

2020-10-09

無免許運転中の人身事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県豊田市に住むAさん(40歳)は、長年無免許のまま軽乗用車を運転していました。ところが、ある日、Aさんは同市内で自動車を運転中、前方不注意のために自分の前を走っていたVさん(25歳)の車に後ろから追突してしまいました。その結果、Vさんには全身むち打ちになるなどの加療約2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは無免許過失運転致傷罪の疑いで愛知県足助警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~無免許運転~

無免許運転については道路交通法64条1項に規定されています。

道路交通法64条1項
 何人も、84条1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(略)、自動車又は原動機付自転車(以下、自動車等)を運転してはならない。

なお、無免許運手を分類すると以下のように区分することができます。

純 無 免:いかなる運転免許も受けないで自動車等を運転
取消無免:運転免許が取り消された後に自動車等を運転
停止中無免:運転免許の効力が停止されている間に自動車等を運転
免許外無免:特定の種類の自動車等を運転することができる運転免許を受けているが、その運転免許で運転することができる種類の自動車以外の種類の自動車等を運転すること
失効無免:免許を受けた者が、その運転免許証の有効期間の更新をしないため失効しているのに自動車等を運転

以上はいずれも無免許運転です。
無免許運転となった以上、それまでの経緯に関係なく、自動車等を運転してはいけません。

無免許運転の罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(法117条の2の2第1号)。

また、無免許運転中に交通事故(人身事故)を起こした場合は、道路交通法とは別の自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)が適用されるおそれがあります。
法律6条では、無免許運転による刑の加重規定が設けられています。

無免許運転+危険運転(人を負傷させた場合に限る)→6月以上の懲役
無免許運転+準危険運転→人を負傷させた場合、15年以下の懲役 人を死亡させた場合、6月以上の懲役
無免許運転+アルコール発覚免脱→15年以下の懲役
無免許運転+過失運転致死傷→10年以下の懲役
 
罰則は単なる無免許運転より格段に重たくなっていることがわかります。
今回のAさんは、一番最後の「無免許運転過失致傷罪」に問われています。

~無免許運転過失致傷罪の弁護活動~

無免許運転過失致傷罪の弁護活動は被害者に発生した損害を賠償することです。
任意保険に加入されているのであれば、基本敵にまずはその保険会社に対応を委ねることになります。
もっとも、被害者対応を保険会社任せにしておくと被害者の感情を損ね、示談交渉が進展しない、処罰感情が悪化して刑事処分や量刑が重たくなるなどの悪い結果へとつながってしまおそれがあります。
そのため、加害者自らも被害者に対する謝罪、お見舞いなどの対応が必要となってくる場合があるでしょう。
なお、謝罪やお見舞いは義務ではなく、すべてのケースにおいてしなければならないというわけではありません。弁護人とよく話し合って、アドバイスを受けながら行うかどうか、行うとしてどのようなやり方が適当かを決めるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

ストーカー規制法の警告と禁止命令等

2020-10-08

ストーカー規制法の警告と禁止命令等について、弁護人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県瀬戸市に住むAさんは、元交際相手のVさん宅付近でVさんを待ち伏せしたり、うろついたり、ときには住居に押し掛けたりしていました。そうしたところ、Aさんは瀬戸警察署から、これ以上、Vさん宅付近でVさんを待ち伏せたり、うろついたり、住居に押し掛けるなどのつきまとい等をしてはならない旨の警告を文書で受けました。それにもかかわらず、Aさんは、執拗に上記ストーカー行為を繰り返したため、今度は、愛知県公安委員会から更につきまとい等をしてはならないこと、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項の禁止命令等を文書で受けました。Aさんは、今後のことが不安になって、ストーカー事案に詳しい弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)

~ ストーカー規制法と警告 ~

ストーカー規制法4条では、

1 被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
2 上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
3 警察が、被害者等(被害者の配偶者、親族等を含む)から当該つきまとい等に係る警告の申し出を受けた

場合に、警察本部長等は、当該つきまとい等をした者に対し「警告」することができると定めています。
警告に反したこと自体に罰則規定はありません。しかし、つきまとい等を繰り返すと「ストーカー行為」とみなされ、さらに「ストーカー行為」をした者に対しては罰則規定が設けられています(ストーカー規制法18条)。

被害者等の申し出は、被害者等が「警告申出書」に記入する方法によるとされています(口頭の申し出の場合は、警察職員が同申出書に代筆)。警告の方法は、原則、警告書を交付して行われますが、警告書を交付するいとまがないと認められるときは口頭で行われる場合もあります。

なお、さきほどから出てきている「つきまとい等」とは、以下の要件を満たす行為をいいます。

(目的)
・特定の者(Vさん)に対する恋愛感情その他の好意の感情を充足する目的
・上記が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的

(相手)
・特定の人(Vさん)
・その人の配偶者(Vさんの夫)、直系若しくは同居の親族(Vさんの親など)
・その人と社会生活において密接な関係を有する者(Vさんの交際相手、友人など)

(行為)
・ストーカー規制法2条1項1号から8号に掲げられた行為(例:つきまとい、待ち伏せ、住居等に押し掛けなどは1号に該当)

~ ストーカー規制法と禁止命令等 ~

ストーカー規制法5条1項では、

・被害者等の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるつきまとい等があって
・上記つきまとい等をした者が、さらに反復して当該つきまとい等をするおそれがあると認められ
・都道府県公安委員会が、被害者等からの申出、又は職権

により、都道府県公安委員会が、当該つきまとい行為をした者に対し、

・更に反復して当該行為をしてはならないこと
・更に反復して当該行為が行われることを防止するための必要な事項

を命じる(禁止命令等)ことができると定めています。

禁止命令等は、上記の警告を経なくても発することができます。
また、警告と異なり、被害者等の申し出によらず、職権(公安委員会の判断)で発することも可能とされています。
禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して1年ですが、期間を延長されることがあります。
禁止命令等は行政処分の一種ですから、禁止命令等が発せられるにあたって聴聞の機会が与えられますが、緊急の場合には聴聞又は弁明の機会を与えなくてもよいとされています。

なお、警告の場合と異なり、

・禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
・禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした場合は、上記同様
・禁止命令等に違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

に処せられるおそれがあることから注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

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