Archive for the ‘刑事事件’ Category
大麻の使用と出頭について
大麻の使用と出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
新城市に住むAさんは、知人のBさん(同市在住)に勧められたのをきっかけに大麻を使用していました。
ある日、Bさんは、新城市内にて自家用車で物損事故を起こしてしまい、その際に駆けつけた愛知県警察新城警察署の警察官によって、車内にある乾燥大麻が発見されました。その後、Bさんは警察官による簡易鑑定で陽性反応が出たため、大麻取締法違反(大麻所持)の疑いで現行犯逮捕されました。
急にBさんとの連絡が取れなくなったことを不安に思っていたAさんですが、数日後、報道でBさんが大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されたことを知りました。
実はBさんとの関係を断ち、大麻の使用もやめたいと考えていたAさんは、これを機会に警察署に出頭しようと考えはじめ、弁護士に相談することにしました。
(※フィクションです)
【大麻使用は犯罪ではない?】
大麻取締法は、大麻の取り扱いの免許を所持している者や大麻の研究をしている者が、目的外で使用することを禁じている一方で、一般人については所持について罰則規定があるのみで、自己使用についてはありません。
大麻取締法
第三条
1 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
2 この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。
第二十四条の二
1 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2,3(略)
第二十四条の三
次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。
一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、大麻を使用した者
とすると、今回のケースのAさんには、犯罪が成立しないとも思われます。
しかし、大麻を使用する場合、大麻を一度所持することが通常で、「使用はしたが所持はしていない」ということは、たいていの場合あり得ません。
したがって、今回のケースのAさんでも、その後の捜査によって所持の事実が裏付けられれば、大麻所持の疑いで逮捕・取調べ等を受けることが十分に考えらえられます。
【自首と出頭の違いは?】
自首とは、犯人が自ら犯した罪が発覚する前に、自発的に捜査機関に名乗り出ることをいい、刑法第42条1項によって、任意的な刑の減軽がなされることが定められています。
刑法
第四十二条
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
一方、出頭とは、明確な定義のある法律用語ではなく、一般的に自ら警察署などの公的な場所に出向くことをいいますが、自首と区別して、事件自体が発覚していて、犯人の特定ができている状態で警察に出向くことを指す場合もあります。
今回のケースでは、逮捕後の捜査で、Bさんのスマートフォンは押収され、Aさんとのやり取りを含めた、大麻の取引履歴などが解析により明らかになると考えられます。
そのため、新城警察署が既にAさんの事件について、警察署は既に把握しているものと考えられますから、今回のAさんの場合は、自首ではなく出頭にあたる可能性が高いと思われます。
【出頭のメリットとは?】
出頭は、自首とは異なり、法律による任意的な刑の減軽は定められていません。
しかし、出頭することによって、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いとみなされ、逮捕や勾留がされない場合があります。
もっとも、自ら出頭した場合でも身柄拘束のリスクはあるため、出頭時に予め家族の監視監督を誓約した上申書や在宅捜査を求める弁護人の意見書を提出することで、身柄拘束のリスクを下げることができます。
自首もしくは出頭をすることを考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
新城市で大麻所持などの事件を起こし出頭を検討している方の対応も数多く行ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【解決事例】愛知県豊橋市の傷害事件で釈放・不起訴処分を獲得
傷害事件で釈放・不起訴処分を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
愛知県豊橋市在住のAさんは、仕事に向かう道中で、前方を歩いている女性を盗撮しようと試みました。
しかし、Aさんが怪しい動きをしているところを目撃したVさんにその場で取り押さえられ、近くの交番まで連行されました。
愛知県豊橋警察署の警察官が不在であったため、警察官が戻るまで待機しようと考えたVさんが、再度Aさんの首元をつかんで取り押さえました。
特に抵抗しようと考えていなかったのにも関わらず首元をつかまれたことに立腹したAさんは、その場にあったパイプ椅子でVさんを殴打し、怪我を負わせてしまいました。
その後、駆けつけた警察官にAさんは現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は、「息子は数日後に結婚式を控えているので、なるべく早く釈放してもらうことはできないでしょうか。」と相談時にお話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【具体的な弁護活動】
Aさんは逮捕後勾留されたため、弁護士が勾留に対する準抗告を申立てました。
弁護士が準抗告申立書にて、①証拠隠滅の可能性がないこと、②突発的な事件であり、Aさんの供述も犯行を認める旨の供述で一貫していることから、在宅での捜査で支障がないこと、③結婚式がキャンセルとなればAさんのみならず、その親族に多大な社会的・精神的不利益が生じることなどを理由に挙げ、Aさんの釈放を求めました。
その結果、準抗告が認められ、Aさんは釈放されました。
さらに、弁護士がVさんとの示談交渉を行い、①AさんがVさんへの接触を今後一切しないこと、②示談金の支払いなどを約束し、Vさんとの間で宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結しました。
そして、弁護士が検察官に対し、上記宥恕条項付きの示談が成立している旨を主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。
【まとめ】
今回の事案のように、被疑者が逮捕後勾留されてしまった場合には、勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告)を行い、身柄解放(釈放)を目指します。
釈放が認められれば、逮捕されたことが周りの人に知られずにすんだり、会社や学校を辞めずにすむ可能性があるだけでなく、在宅での捜査になるので、事件解決や裁判に向けた十分な準備ができるといったメリットがあります。
また、不起訴処分を獲得するためには、弁護士による被害者の方との示談交渉が重要になります。
その際、今回の事案のように、被害者の方と宥恕条項付きの示談を締結することができれば、より不起訴処分獲得の可能性が高まります。
お困りでしたら、すぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【ニュース紹介】名古屋市内でさい銭を盗み53歳男性が逮捕
今回は、名古屋市内で起きたさい銭窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
名古屋市中川区の神社でさい銭箱から11円を盗んだとして53歳の男が逮捕されました。この神社では5日連続でさい銭泥棒の被害に遭っていました。
逮捕されたのは住居不詳で無職の53歳男性です。警察によりますと男性は24日午前10時半前、中川区内の神社でさい銭箱のなかから現金11円を盗んだ窃盗の疑いが持たれています。
けさ、神社の氏子が「5日間連続でさい銭を盗まれている」と警察に相談。警察官が張り込んだところおよそ1時間後に男性が現れ、さい銭箱の引き出しをあけて現金を盗んだめ、現行犯逮捕しました。
男性はさい銭を盗んだことを認めましたがその後は黙秘しているということです。またこの神社ではおよそ3か月前から週に1回程度、さい銭泥棒の被害が起きていて、警察が関連を調べています。
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/186641?display=1 10月24日 CBCnews 「5日連続でさい銭泥棒か 張り込んで1時間で逮捕」より引用。氏名等の個人情報は伏せています)
【ケースの事件の特徴は?】
ケースの事件では、さい銭箱の中から現金11円を盗んでいますが、この点だけをみれば、軽微な窃盗事件ということができるでしょう。
被害額が11円の場合、初犯の被疑者であって、被害者の処罰感情も希薄である場合には、微罪処分が行われ、警察限りで事件が終了することが多いでしょう。
しかし、同じ場所で類似した手口の窃盗事件が相次いでおり、被害者からも被害申告がなされた場合には、余罪の追及などのため、被害額が11円であっても逮捕される可能性が高いと考えられます。
ケースの場合、さい銭窃盗が相次ぐようになってから日が浅く、逮捕された男性は別の日にもさい銭泥棒を行ったのではないかと追及される可能性が高いと思われます。
このような場合、今回の逮捕とは異なる被疑事実(例えば別の日時に起こしたさい銭泥棒)により逮捕が繰り返される可能性があります。
逮捕・勾留が繰り返されると、身体拘束が長期化し、心身に悪影響を与え、円滑な社会復帰が困難となります。
すぐに弁護士の接見を受け、身柄解放活動などの弁護活動を行ってもらう必要性が高い事件といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
窃盗事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【裁判紹介】非現住建造物等放火事件の裁判を紹介
非現住建造物等放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
差し押さえられた自宅に火を付け不動産競売を妨害したとして、非現住建造物等放火と強制執行妨害目的財産損壊等の罪に問われた被告人の判決公判で、名古屋地裁岡崎支部は「2人が共謀の上放火したという事実を認定できない」として、いずれも無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した。
(毎日新聞「自宅放火、夫婦に無罪「共謀認定できず」名古屋地裁支部」(2021/8/18)を引用・参照)。
【非現住建造物等放火罪について】
まず、本事案では自宅に火を付けた行為に対する刑事責任が問われていますので、本来であれば自己所有非現住建造物放火罪(刑法109条2項)が問題となります。
しかし、本事案では自宅は差押えがされており、以下の刑法115条が適用されます。
・「第109条第1項……に規定する物(注:非現住建造物等)が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け……たものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による」
その結果、109条の2項ではなく、他人所有とみなされ1項の他人所有非現住建造物放火罪が適用されることになります。
これにより法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」(同条2項)から「2年以上の有期懲役」と一気に重たくなることに注意が必要です。
【放火事件における裁判例と弁護活動】
本事案は、共謀に基づいて放火した事実が認められず、無罪判決を得ています。
では、非現住建造物等放火罪に関して有罪判決が下された裁判例では、どのような刑が下されているのでしょうか。
・寒かったという理由で勝手に他人の敷地内でたき火をし建物を焼損させたとして「懲役1年6月」の実刑判決
・医師が医療機関に放火した事件で「懲役2年6月執行猶予5年」の判決(医師免許取り消し)
上記のように、有罪判決が下された事案においては、やはり比較的厳しい判断がされやすい犯罪類型といえるでしょう。
他方で、量刑判断等においては被害弁償の有無なども考慮されることから、起訴前/起訴後の弁護活動が重要性を帯びてくることは言うまでもありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、非現住建造物等放火などの放火事件を含む刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
放火事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日・24時間対応している通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。
【解決事例】ストーカー規制法違反事件で不起訴処分獲得
ストーカー規制法違反事件で不起訴処分を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案】
Aさん(20代男性)は、Aさんの元交際者の現交際者のVさんが使っているSNSにおいて、Vさんに対しストーカー行為にあたる書き込みをしたとして、ストーカー規制法違反の容疑で、愛知県足助警察署で取調べを受けていました。
Aさんは、「警察にお世話になって目が覚めました。家族にも迷惑をかけていますし、早く被害者様に謝りたいです。」と相談時にお話されました。
((実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
【ストーカー規制法とは】
ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます)は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、ストーカーの相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とした法律です(ストーカー規制法第1条)
ストーカー規制法は、①つきまとい等、と、②ストーカー行為を禁止し、罰則を設けています。
①つきまとい等
つきまとい等とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情から、特定の者やその家族等に対して行われる以下の8つの行為をいいます。
1つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校等の付近での見張りや、押し掛ける行為
2行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又は行動を知り得る状態に置く行為
3面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求する行為
4著しく粗野又は乱暴な言動をする行為
5無言電話、拒まれたにもかかわらず、連続して、電話、FAX、電子メールを送信する行為
6汚物、動物の死体等を送付する行為、又はその知り得る状態に置く行為
7名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置く行為
8性的羞恥心を害する事項を告げ、又は性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置く行為
②ストーカー行為
ストーカー行為とは、同一の者に対して「つきまとい等」を反復して行うことをいいます
※事案のAさんは、2、3、4に該当すると判断されていました
【弁護活動】
ストーカー規制法違反事件では、被害者様に対して被害弁償を行うことや示談交渉をすることが重要なポイントとなります。
しかし、今回の事案においては、被害者様より、示談は一切お受けできないと頂いたため、示談交渉は断念せざるを得ませんでした。
そこで今回は「贖罪寄付(しょくざいきふ)」を行いました。
贖罪寄附とは、道路交通法違反、覚せい剤取締法違反など「被害者のいない事件」や「被害者に対する弁償ができない事件」などの場合に、被疑者が事件への反省の気持ちを表すために、公的な団体等に対して行う寄附のことです。
贖罪寄附は、情状の資料として評価されています。
また、Aさんを家族が主となり監督できる環境が整っていること、Aさんが深く反省していること、カウンセリングを受けること、被害者と接触しないための具体的な措置を講じていることにより、再犯可能性がないことを検察庁に主張しました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。
愛知県内においてストーカー規制法違反で検挙された方、示談や贖罪寄付について聞きたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では初回無料法律相談も行っておりますので、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
【裁判紹介】覚醒剤取締法違反事件の裁判例
覚醒剤取締法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
覚醒剤を使用したとして覚醒剤取締法違反の罪に問われた男性に対し、名古屋地裁は、「採尿前に警察官が、被告に提供した飲料に覚醒剤を混入させた疑いを排除できない」として、無罪を言い渡した。
判決では、警察官が逮捕後に勾留中の被告へ現金を渡していたとも認め「捜査が不正に行われた疑いを強く推認させる」とした。
他にも判決によると、被告人は、愛知県東海市の自宅近くで逮捕された後、取り調べ中に警察官からコップに入ったお茶や水を提供され、数十杯飲んだ。
警察官は薬物捜査に従事しており、この際に覚醒剤を飲料に入れた可能性があるとした。
被告人は、公判では一貫して起訴内容を否認していた。
(日本経済新聞「「警官が覚醒剤混入疑い」名古屋地裁が無罪判決」(2021/3/19)を引用・参照)。
【覚醒剤取締法違反事件における裁判例と弁護活動】
覚醒剤事犯を中心とした薬物事件では、(その検挙の困難さも一因となって)違法捜査が行われることも少なくないといわれています。
本事案などは、捜査の違法性の程度が大きく有罪を導くための証拠に証拠能力を認めず、無罪判決を下したものと考えられます。
他方で、覚醒剤事犯においては、捜査官による違法捜査などがない場合にも、被告人が多重人格であり心神耗弱状態(刑法39条2項)であったなど責任能力の低下を認定し、執行猶予付き判決が言い渡された裁判例なども存在します。
覚醒剤事犯を含めた薬物事件では、想定される刑罰が重いこともあり、刑事弁護士が様々な工夫を凝らした弁護活動を展開している分野でもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚醒剤取締法違反など薬物事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
違法捜査に対する対応・薬物事件に特化した対応に長けた弁護士が、迅速な無料相談や初回接見を承ります。
覚醒剤取締法違反事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
【解決事例】恐喝事件の控訴審で執行猶予判決獲得
一審で実刑判決だったものの、控訴審で執行猶予付き判決となった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
Aさん(20代男性)は友人のBさんと一緒に、愛知県碧南市にある公園でVさんに対して恐喝をしたとして、愛知県碧南警察署に逮捕され、後に懲役1年の実刑判決を受け、控訴していました。
Aさんは「Vさんを脅していたのは主にBさんです。Bさんが執行猶予判決になり、私が実刑判決なのはどうしても納得がいきません。」と面会時にお話をされました。
(実際に起こった事件をもとに、一部変更を加えています。)
【恐喝罪について】
恐喝罪は刑法第249、恐喝をして、お金などの財物を交付させたり、不法の利益を得た場合に成立する犯罪です。
恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役で、未遂行為も処罰されます。
もう少し詳しく説明しますと
加害者が被害者に対し、暴行や脅迫をすることによって、被害者を怖がらせ、お金などの財物を交付させることが恐喝罪にあたります。
カツアゲなどが典型例ですね。
また、加害者の暴行や脅迫によって、相手方の反抗を抑圧し、被害者からお金などの財物を奪った場合には、強盗罪となります。
【弁護活動について】
まず、Aさんは身柄を拘束されていましたので、保釈の請求を裁判所に行いました。
具体的には裁判所に対し、①保釈をしても罪証隠滅の恐れはない、②保釈をしても逃亡の恐れはない、③Aさんの更生のためにも働く必要がある、ことを主張しました。
その結果、Aさんには保釈が認められ、Aさんは自宅に戻ることができました。
その後は裁判所に対し、①Aさんは本件事件においてBさんに対し従属的な立場であったこと、②それにもかかわらず、Bさんが執行猶予判決、Aさんが実刑判決というのはあまりにも均衡を失している、旨を主張していきました。
その結果、①、②の主張が認められ、及びAさんが保釈中に就職をしたことなども考慮された結果、Aさんには1審の判決が破棄され、執行猶予付き判決となりました。
【恐喝罪の法律相談】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、恐喝罪などの刑事事件に関する法律相談を無料で承っております。
東海三県の恐喝罪に関するご相談については
フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を承っておりますので、お気軽にお電話ください。
なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、恐喝罪などの刑事事件で東海三県内の警察署に逮捕されてしまった方には、警察署に弁護士を派遣する初回接見サービスをご用意しています。
SNSで誹謗中傷、名誉毀損罪とは?
SNSでの誹謗中傷、名誉毀損罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案】
Xは、学生時代から仲良くしていた親友のYがいました。
YはXに数万円の借金をしており、中々返済をしないYに、XはYに早く借金を返してほしいと不満を募らせていた。
とある日、XとYは、居酒屋で酒を呑んでいる際にYのXに対する借金をきっかけに口論となり、関係が悪くなってしまった。
以降,XはYに腹を立てており、何かYに嫌がらせをしたいと考えていました。
そこで、XはYの暴露情報として、YouTubeやTwitterなどのSNSを通じて、「Yは借金を全く返さないクズ」、「Yは未成年と肉体関係を持ったことがある」、「Yは、学生時代に同級生の財布から金を盗んだ」などの内容の投稿を行いました。
数日後も、Yに対する怒りが収まらないXは「Yはどうしようもないくらい頭が悪く学生時代赤点ばかり取っていた」、「SNSのダイレクトメッセージを使って,知らない女性に肉体関係を迫っている」などの内容の投稿を行いました。
その後も、XはSNSにYに対する誹謗中傷を投稿し続けていました。
最後の投稿から数か月後、Xは愛知県刈谷警察署に、XのSNSへの投稿について名誉毀損罪成立するとして逮捕されました。
※事案はフィクションです。
【名誉毀損罪とは?】
名誉毀損罪(刑法230条)は、事実を摘示し、公然と、人の社会的評価を低下させる恐れのある行為を行うと成立します。
法定刑は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金です。
刑法230条1項 名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
条文から名誉毀損罪の成立要件は「公然」「事実を摘示」「毀損」となります。
「公然」とは、不特定または多数の者が認識し得る状態を言います。
「認識しうる状態」で足り、実際に認識したことまでは必要ではありません。
「事実を摘示とは、具体的な事実内容を示したことをいい、その内容の真否は関係ありません。
「名誉を毀損 」とは、社会的評価が低下する可能性のある行為を行うことで足り、実際に社会的評価が下がったことまでは要求されていません。
【罪に問われない方法は?】
1,違法性阻却事由
名誉毀損の要件を満たしていても、違法性が阻却される場合には、名誉毀損罪は成立しません。
刑法230条の2 第1項 公共の利害に関する場合の特例
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
条文から名誉毀損罪の違法性阻事由の要件は「公共性があり」「公益を図る目的で」「真実または真実相当性があること」です。
「公共性」とは、社会的に影響力のある人物や政治家など国民にとって有意義な情報であることを言います。
「公益を図る目的」とは、政治家の汚職を公にすることで政治の腐敗を正そう等の正当な目的であることをいいます。
内容に「公共性」があっても、目的が憂さ晴らし等の場合には、違法性は阻却しません。
「真実相当性がある」とは、真実であると信じるべき正当な理由や根拠があることをいいます。
2,告訴期間・公訴時効
名誉毀損罪は「親告罪」といって、その名誉毀損を行った人物を知った日から6カ月以内に告訴しなければなりません。
また、名誉毀損罪の公訴時効は3年であるため、名誉毀損行為をしたときから3年以内に起訴する必要があります。
このような,告訴期間や公訴時効の期間が過ぎてしまった場合には,名誉毀損罪として罪には問われません。
【おわり】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
名誉毀損の事件の弁護活動に強い弁護士をお探しの方は
フリーダイヤル0120-631-881
までご連絡ください。
【解決事例】建造物侵入と窃盗 示談成立し不起訴処分
勤務先に侵入、窃盗行為を行った事件につき、示談を成立させ不起訴処分となった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事件の概要】
Aさん(40代男性)は、夜中に勤務先である愛知県東海市にある衣料品店に合い鍵を使って侵入し、店舗内にある衣料品を盗み、これをインターネットオークションで売りました。
Aさんは愛知県東海警察署に建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕、勾留されました。
Aさんの奥様は、「我が家には多額の借金があり、夫は追い詰められていました。警察にお世話になるのは今回が初めてで、これからどうなるのかとても不安です。」と大変心配されていました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
【建造物侵入と窃盗について】
建造物侵入罪とは、刑法第130条に規定があり
正当な理由なしに住居以外の他人の建造物や艦船に入り込む犯罪のことをいいます。
今回のように、窃盗目的で店舗に侵入したり、盗撮目的で施設や店舗に入りトイレにカメラを仕掛けたりしても、建造物侵入罪は成立します。
法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。
窃盗罪とは、刑法第235条に規定があり
他人の財物を窃取する(盗む)犯罪のことをいいます。
法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
【弁護活動について】
被害店舗様が示談交渉に応じてくださりましたので、示談交渉を行いました。
その結果、示談が成立し、被害店舗様より「Aさんから謝罪と賠償を受けたためAさんを許す」「検察官にはAさんに対して刑事処分をしないで欲しい」「被害届を取り下げる」などの意向を書面で頂くことができました。
それらを検察官に提出したところ、Aさんは釈放され、不起訴処分となりました。
【窃盗事件における示談について】
窃盗事件における示談とは、被害額の弁償や慰謝料を払うことで、窃盗事件を起こしたことに対して被害者に許してもらう契約のことをさします。
示談を成立させることは窃盗事件の被疑者側にとって、とても大きな意味を持ち、
①窃盗事件で逮捕・勾留中の場合、釈放される可能性が大きくなる
②不起訴となる有利な事情として作用する可能性が高い
③裁判になった場合でも、執行猶予付判決となったり、刑が軽くなる可能性が高くなる
④窃盗事件の当事者間で、今後の民事的紛争が回避できる可能性が高くなる
などのメリットがあります。
しかし、当事者間で直接示談交渉を行うことは、被害者が示談に応じてくれない、感情的になり交渉がとん挫してしまう、などのデメリットがあります。
被害者様との示談交渉は、刑事事件を多数取り扱ってきた弁護士に依頼するのがよいでしょう。
【建造物侵入事件、窃盗事件の法律相談】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、建造物侵入や窃盗などの刑事事件に関する法律相談を無料で承っております。
愛知県内の刑事事件に関するご相談については
フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を承っておりますので、お気軽にお電話ください。
【解決事例】詐欺事件で執行猶予処分を獲得
詐欺事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案の概要】
愛知県半田市在住のAさんは、お金に困っていたところ、SNS上でアルバイト募集の投稿を見かけ、これに応募しました。
その後、担当者を名乗る者から連絡があり、Aさんに対し、「口座を開設して、その口座の通帳とキャッシュカードを指定の住所に郵送すれば、1つの口座につき5000円をお支払いいたします。」と話したため、その話どおりに、Aさんは複数の自己名義の口座を作成し、通帳とキャッシュカードを郵送しました。
しかし、Aさんの作成した口座が特殊詐欺被害金の送金先口座となっていることが判明し、これを契機として、Aさんは詐欺の疑いで愛知県半田警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんのご家族は、「今後の捜査の見通しがわからずとても不安です。娘はどうなるのでしょうか」と相談時お話しされました。
(守秘義務の関係から、一部事実と異なる表記をしています。)
【特殊詐欺に関する事件は厳しい処分が下される傾向にある】
銀行口座は、口座開設者が利用することを前提にしているため、口座開設者以外の者に口座を利用させる目的を隠し、銀行を騙してキャッシュカードや通帳の交付を受けた場合、刑法246条1項の詐欺罪に該当します。
今回の事案では、Aさんは、自分で利用するわけではないのに、そのことを隠して自己名義の口座を作成し、通帳とキャッシュカードの交付を受けているため、詐欺罪が成立すると考えられます。
そして、今回のような特殊詐欺に関する事件については、捜査機関や裁判所は厳しい態度で臨んでおり、近年では、被害額の弁償などが済んでいたケースでも不起訴処分とはならず執行猶予付き判決であったり、場合によっては実刑判決となったケースもあります。
【具体的な弁護活動】
Aさんは捜査の結果、4件の詐欺事件について起訴されることになりました。
裁判において、検察官は特殊詐欺が深刻な社会問題になっていることに鑑みて、実刑判決が相当であると主張しました。
これに対し弁護士が、①Aさんは作成した口座が特殊詐欺に利用されることを知らなかったこと、②計画性を欠くため犯行態様は悪質とはいえないこと、③被害に遭った銀行に対し誠心誠意謝罪していること、④Aさんの父親と姉が今後の監督を約束し、更生するための環境が整っていること、⑤前科・前歴がないことなどを理由に、執行猶予付き判決が相当であると主張しました。
その結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。
【まとめ】
詐欺罪は、罰金刑が定められておらず、起訴された場合は必ず正式な裁判となります。
そして、先に述べたように、特殊詐欺に関する事件は、厳しい処分が下される傾向にあります。
そのため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、刑事事件に強い弁護士による、適切かつ迅速な弁護活動が重要になります。
具体的な弁護活動として、被害弁償、謝罪文の提出、示談交渉などが挙げられますが、これらの弁護活動を適切に行うことで、不起訴処分の獲得、起訴された場合でも執行猶予付き判決を獲得する可能性が高まります。
お困りの場合は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような特殊詐欺に関連する事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。