Archive for the ‘刑事事件’ Category

【解決事例】大麻取締法違反事件(栽培)で不起訴処分を獲得

2023-04-17

大麻取締法違反事件(栽培)において、弁護活動により不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは愛知県蒲郡市にある実家で、大麻草を栽培したとして、愛知県蒲郡警察署において逮捕・勾留されていました。
Aさんの妻は相談時、「確かに夫は6年前、当時住んでいた夫の実家の庭で大麻を栽培して逮捕されました。しかし今は、大麻とは縁を切って暮らしています。今は家族で夫の実家近くのマンションで暮らしており、夫の実家の庭に大麻が生えているとは、私も夫も全く知りませんでした。」とお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【大麻とはどのようなものですか?】

大麻とは、植物の大麻草から作られるもので、様々な名称で呼ばれています。
精神的依存性があり、日本では、法律(大麻取締法)により規制されています。

名称の例として、葉っぱ、マリファナ、グラス、チョコ、ハシッシュ、ハシッシュオイル、野菜、ヘンプなどがあります。

「大麻取締法」では、無免許・無許可での栽培、輸出入、所持、譲渡、譲受等について罰則を設けており、
その他にも「麻薬特例法」による規制もあります。

大麻による悪影響として
①知覚機能への悪影響
②大麻精神病
③短期記憶、学習機能への悪影響
④運動機能への悪影響
⑤身体的な悪影響
などがあります。

【法定刑など】

①輸出・輸入・栽培

・営利目的がない場合
法定刑は7年以下の懲役です。通常の公判手続に付されます。
・営利目的がある場合
法定刑は10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

②譲渡・譲受・所持

・営利目的がない場合
法定刑は5年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。
・営利目的がある場合
法定刑は7年以下の懲役で、情状により200万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

【弁護活動について】

Aさんに、警察署での接見時に詳細を伺ったところ、
実家の庭で栽培していた大麻は、前回の裁判後に全て刈り取りました。
その後結婚して忙しくなり、実家にはほとんど帰っていませんでした。
実家の庭は荒れてしまい、雑草が生い茂っていて、大麻がまた生えていたことにも気づきませんでした。
とAさんは話されました。

弁護士はAさんのこの主張や、この状況が管理された栽培とは到底考えられない、今回発見された大麻草は5本程度、Aさんには大麻草が生えているという認識すらない
ことを検察官に文章で提出したところ、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

大麻取締法違反事件は、故意犯です。
そのため、犯行時それが大麻という違法薬物であることの認識があったかどうかが大きなポイントになります。
大麻などの薬物の存在に気づいていなかった、違法薬物であることを認識していなかった場合には、そのような事情を客観的な証拠に基づいて主張・立証していくことになります。
このような主張が認められた場合、Aさんのように大麻所持などの犯罪が成立しないとして、不起訴処分などを勝ち取ることができる可能性が高くなるのです。

このような主張・申立ては、法律の専門家である刑事事件・薬物事件に強い弁護士に、ぜひお任せください。

このコラムをご覧の方で、薬物事件・大麻取締法違反事件で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、薬物事件・大麻取締法違反事件に関するご相談を

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【ニュース紹介】57歳男性が警察署長らを脅迫した疑いで逮捕

2023-04-08

今回は、愛知県警岡崎警察署の署長などを脅迫した疑いで57歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県警岡崎警察署の署長などに対して「殺してやる」などと、脅すメールを送ったとして57歳の男が逮捕されました。
脅迫の疑いで逮捕されたのは、自称会社役員・57歳男性です。
警察によりますと、男性は今月21日、愛知県警の本部宛てに「役立たずのバカ署長を殺してやる」などのメールを送るなどして、岡崎警察署の署長ら3人を脅迫した疑いがもたれています。
警察の調べに対し男性は「やっていません」と容疑を否認しています。
警察は動機について詳しく調べています。
(https://www.ctv.co.jp/news/article/?5963ad4de02746a3afa1aa72e672eb4c 1月28日 「「役立たずのバカ署長を殺してやる」 警察署長を脅した疑い 男(57)逮捕 愛知・岡崎市」より ※氏名等の個人情報は秘匿しています)

【報道について】

脅迫罪とは、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です(刑法第222条1項)。
「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する行為についても同様です(同条第2項)。
法定刑は前者、後者ともに「二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」となっています。

【ケースの事件の弁護活動】

脅迫事件は被害者が存在する事件です。
被害者に対して誠心誠意、謝罪を行った上で、生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることができれば、不起訴処分、軽い量刑による判決の獲得など、有利な事件解決を実現できる可能性もあります。
しかし、ケースの事件の被害者は警察署長であり、このような官公庁の職員を被害者とする事件の示談交渉に応じてもらえる見込みは一般的に、かなり低いと思われます。

しかしながら、ケースの57歳男性は逮捕されており、早急に身柄解放を実現しなければ、今後の社会生活に多大な悪影響を及ぼします。

その他、身元引受人を用意しての勾留回避や準抗告など、示談交渉以外にも実行すべき弁護活動があります。

脅迫の疑いで逮捕された場合には、すぐに刑事事件に熟練した弁護士の接見を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
脅迫罪に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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【解決事例】傷害事件で執行猶予付き判決

2023-03-27

傷害事件で弁護活動により執行猶予付き判決を獲得した事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは元交際相手のVさんに対し暴力を振るい、Vさんに全治2週間の傷害を負わせました。
Vさんの家族が刈谷警察署に通報したところ、後日Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は「AはVさんに対するDVの容疑で逮捕されたと刈谷警察署から聞きました。Vさんに謝罪したいのですが、ご家族にお断りされました。」と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【DVとはどのようなことですか?】

DVとは「Domestic Violence」を略した言葉で、カタカナで「ドメスティック・バイオレンス」と表示されます。
意味は、「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」とされることが多いです。

配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、通称「DV防止法」と呼ばれることもあります。
なお、「DV防止法」は、被害者が配偶者や元配偶者、事実婚の状態にある方である時に限られています。
今回のAさんは、Vさんがそのような条件に当てはまらないのもあり、傷害罪で逮捕されることになりました。

【弁護活動について】

配偶者や恋人に限る話ではありませんが、人に対し不法な有形力を行使した(暴力をふるった)場合は、刑法第208条にあります「暴行罪」が成立します。
更に、不法な有形力を行使した結果、相手が怪我をしてしまった場合は、刑法第204条にあります「傷害罪」が成立します。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

このような暴行・傷害事件においては、被害者と示談を成立させることがとても重要です。
示談を成立させることができれば、前科とならない不起訴処分などになる可能性が高まります。
しかし、示談を成立させることができなかった場合でも、その経過を文章にして、検察庁や裁判所に提出することや、その他適切な弁護活動により、罰金刑や執行猶予付き判決を目指していくことも可能です。

今回のAさんの弁護活動につきましては、示談を成立させることによりAさんの身柄を解放することができたものの、起訴され正式な裁判が開かれることになりました。
しかし、適切な弁護活動を行ったことにより、Aさんは執行猶予付き判決となりました。
示談を成立させていたことが、判決に大きな影響を与えました。

被害者との示談交渉につきましては、法律の専門家である弁護士にぜひお任せ下さい。

このコラムをご覧の方で、被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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【解決事例】詐欺事件で接見禁止の一部解除と執行猶予判決を獲得

2023-03-21

詐欺事件で弁護活動により、接見禁止の一部解除と執行猶予判決を獲得した事案を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

AさんはSNSで某有名アイドルグループのライブチケットの購入を希望しているVさんに対して、実際にはライブチケットを保有せず、すぐに発送できないにもかかわらず、「代金を支払っていただければ3日以内に発送できます」などと偽り、Vさんに代金を振り込ませました。
なお、AさんはVさん以外にも同様の手口で代金を振り込ませていました。
代金を支払ったにもかかわらず、ライブチケットが発送されないことを不審に思ったVさんが愛知県知多警察署に相談し、捜査の結果、Aさんは詐欺の疑いで逮捕・勾留され、接見禁止がつきました。
Aさんのご家族は、「息子は持病があるため体調がとても心配です。なんとか面会できないでしょうか」とご相談時お話しされました。
(*守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)

【接見禁止が付いてしまった場合は面会できない?】

原則として、刑事訴訟法は、被疑者の家族や友人などが、勾留された被疑者と接見(面会)することを認めています(刑事訴訟法第80条、第207条第1項)。
しかし、逃亡や、証拠隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判所は、検察官の請求もしくは職権で、弁護士以外による面会を禁止することが出来ます。
これを「接見禁止」といいます(刑事訴訟法第81条、第207条第1項)。

接見禁止はどんな事件にも付くわけではなく、共犯者がいる事件、組織的な詐欺事件、薬物事件など、特に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる事件に付くことが多いです。
今回の事案は、詐欺事件であることに加え、被害者の方が複数いることなどから、接見禁止がつけられたと考えられます。

接見禁止となった場合、ご家族の方であっても面会することはできません。
しかし、弁護士を通じて、接見禁止の解除の申立て又は接見禁止の一部解除の申立てをすることができます。
多くの場合、事件とは関係のないご家族との面会を認めても、罪証隠滅のおそれがないとして、接見禁止の一部解除の申立てを行うことが一般的です。

【具体的な弁護活動】

まず、Aさんのご両親がAさんと面会できるように、裁判所に対して接見禁止の一部解除を求めました。
書面にて、Aさんのご両親は事件と一切関係なく、接見を認めても支障がないこと及びAさんの持病の関係から体調確認の必要性が高いことなどを主張しました。
その結果、Aさんのご両親に対して接見禁止の一部解除がなされ、Aさんと面会することができました。
一方、事件については、被害者の方が複数名おり、被害額が多額であることや、Vさんを含めた被害者の方が示談に応じてくれなかったことから、起訴され正式裁判となりました。
裁判において、検察官が、実刑判決が相当であると主張したのに対して、弁護士が①示談締結には至らなかったものの被害額は全額弁償されていること、②Aさんの両親による監督が期待できることなどを挙げ、執行猶予付き判決によるべきと主張しました。
その結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。

【まとめ】

接見禁止が付いたとしても、弁護士による接見禁止の一部解除の申立てを行い、これが認められれば、ご家族の方による面会が可能になります。
今回の事案では、Aさんが持病を抱えているため定期的に体調を確認する必要があることを主張したことが、接見禁止の一部解除が認められた理由のひとつと考えられます。

また、詐欺罪は罰金刑が規定されていないため、起訴されれば必ず正式裁判となります。
そのため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考える場合、弁護士による刑事処分の軽減のための弁護活動が不可欠です。
刑事処分軽減のための具体的な弁護活動として、示談締結が挙げられますが、被害者の方が示談に応じてくれないことも多いです。
しかし、このような場合でも、被害者の方へ謝罪文を提出していることや、被害金の弁償を行っていることを情状証拠として提出するなどして、刑事処分の軽減を目指します。
今回の事案でも、Aさんが被害金全額の弁償を行っていることを弁護士が書面にまとめて情状証拠として提出したことが、Aさんの執行猶予付き判決に繋がりました。

詐欺事件でご家族の方が逮捕されてしまいお困りの方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
今回の事案のような詐欺事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
ご相談は
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【ニュース紹介】名古屋市で側溝のふたを盗んだ疑いで男性が逮捕

2023-03-18

今回は、金属窃盗の被疑者が検挙されたという報道をもとに、想定される今後の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市港区で側溝のふたを盗んだ疑いで、31歳の男が逮捕されました。現場近くの公園では側溝のふたなどの盗難が相次いでいて、警察が関連を調べています。

窃盗の疑いで逮捕されたのは、住所不定の31歳男性です。

警察によりますと男性は先月29日、港区の路上に設置されていた側溝のふた1枚(時価1万1100円相当)を盗んだ疑いが持たれています。

調べに対し「間違いないです」と容疑を認めています。

現場近くの公園では先月下旬から、価格の高騰する金属を狙ったとみられる、側溝のふたやテント用の重りなどの盗難が相次いでいて、警察は関連を調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016276 メ~テレ 11月26日 「公園で相次いだ金属盗難と関連は…側溝のふたを盗んだ疑いで31歳男を逮捕 愛知県警」より引用 ※被疑者氏名は伏せてあります)

【相次ぐ金属をターゲットとした窃盗事件】

昨今、金属の価格が高騰しており、金属をターゲットとした窃盗事件が相次いでいます。
金属窃盗の主な動機は、金属くず商などに転売し、利益をあげることと考えられます。

【逮捕後はどうなる?】

ケースの事件の身体拘束は長期化する可能性が見込まれます。
現場近くの公園で先月下旬から、側溝のふたやテント用の重りなどの盗難が相次いでおり、余罪を追及される可能性が高いからです。

【改めて逮捕される可能性も】

ケースの男性は、「10月29日、港区の路上に設置されていた側溝のふた1枚を盗んだ疑い」で逮捕されていますが、余罪に関する捜査が進み、逮捕できる状態になると、余罪について改めて逮捕されてしまう可能性があります。
このように、別の被疑事実で改めて逮捕されるということが繰り返されると、身体拘束の期間は相当に長期化し、社会復帰、被疑者の心身に悪影響をもたらすことになります。

身体拘束の長期化が見込まれる場合は、すぐに弁護士を依頼し、事件解決に向けて活動してもらうことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が金属窃盗の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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【裁判紹介】私文書偽造事件の裁判例を紹介

2023-03-15

私文書偽造事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

現職国会議員に成り済まし新幹線のグリーン券をだまし取ったとして、詐欺と有印私文書偽造・同行使の罪に問われた元参院議員の被告人に、名古屋地裁は、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
起訴状などによると、被告人は有効期限が切れた国会議員用鉄道乗車証(JR無料パス)を東京駅の駅員に示し、議員用申込書に現職議員の氏名を記入して提出、東京-名古屋間の新幹線特急券・グリーン券計5枚(計4万2900円相当)をだまし取ったなどとしている。
(神戸新聞「元参院議員に有罪判決 新幹線グリーン券詐取で」(2022/12/7)を引用・参照)。

【私文書偽造罪(及び同行使罪)について】

刑法では文書に対する公共の信頼を保護するために、「文書偽造の罪」(刑法154条〜161条の2)を規定しています。
その中でも重要なのが、公文書偽造罪(155条)及び私文書偽造罪(159条)です。
本事案では、後者の「私文書」の偽造が問題となっているため、後者について解説していきたいと思います。

私文書偽造罪において特に問題となるのが、「偽造」の要件です。
「偽造」とは、判例上、文書の作成者と名義人の人格の同一性を偽ることを言うと解されています(最判昭和59年2月17日)。
上述したようになぜ「偽造」の要件が問題となるかと言うと、この定義に照らすと本事案における文書である議員用申込書の名義人(文書の作成者と認識される者)は被告人であり、作成者(意思の表示主体)もまた被告人であって、人格の同一性は維持されているようにも思われるからです。
しかし、本事案のように国会議員という資格・肩書を冒用した場合には、「偽造」該当性を判断するに当たってはその文書の性質等をも考慮するべきだと考えられています。
議員用申込書という文章の性質を考えてみると、これが国会議員の資格・肩書を持った者が作成することが当然の前提となっている文書だということは比較的明らかだと言えるでしょう。
そうすると、本文書から作成者として認識される者は、現職国会議員である被告人であり、かかる名義人と作成者である現実の元国会議員である被告人とは国家議員であるか否かという点について人格の非同一性があると言えます。
したがって、被告人は「公使の目的」を持って「他人の印章もしくは署名を使用」して文書を「偽造」し、これを「行使」していることから有印私文書偽造・同行使罪(159条1項前段・161条)が成立することになります。
なお、本事案でもそうであるように私文書偽造・同行使罪の多くは財産犯(第36章〜40章)を行うための手段として行われることが多い犯罪だということに留意が必要です。

【私文書偽造事件の裁判例などについて】

本事案では、被告人に「懲役2年、執行猶予4年」の有罪判決が言い渡されています。
私文書偽造・同行使が問われた近時の他の事案をみてみると、資金の不正流出に関連する事件で、預金通帳などを偽造したとして有印私文書偽造などの罪に問われた被告人に対し、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が下されています。
この事案では、被告人は私文書偽造の他にも疑いのあった業務上横領については不起訴となっており、主として私文書偽造の罪が問われた点に特色があります。
本事案もそうですが、私文書偽造事件の多くが財産犯と絡んで刑事責任を問われることの多い事件類型であるため、財産犯に関する起訴前の弁護活動なども重要性を帯びてくることになるといえます。
起訴前の捜査段階における弁護活動の質が、その後刑事処分の多寡に影響を及ぼす可能性があるため、早い段階から質の高い刑事弁護活動を受けることが被疑者・被告人にとって大きな利益になるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、私文書偽造事件などを含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
刑事事件に特化した弁護士が、あなたの相談等をお待ちしております。
私文書偽造事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはご連絡ください。

【解決事例】覚醒剤取締法違反事件で保釈許可を獲得した事例

2023-03-12

覚醒剤取締法違反事件で、保釈許可を獲得した事例につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは愛知県弥富市にある自宅で覚せい剤を使用したとして、愛知県蟹江警察署で逮捕、勾留され既に起訴をされていました。
Aさんのお子さんは「父の母、つまり祖母は末期のがんでもう明日を迎えられるのかわかりません。父には祖母の看病をしてもらい、祖母を家族皆で看取りたいと思っているので、保釈の請求をして欲しいです。」と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【保釈とはどのようなことですか?】

保釈とは、一定額の保証金の納付を条件として、勾留の執行を停止し、拘禁状態から開放する制度のことです。
保釈は、勾留された被疑者が起訴されて、被告人勾留に切り替わった後に請求することができる制度ですので、逮捕後で勾留前、起訴前の勾留中には、保釈制度はありません。
しかし、保釈とは申請したからといって必ず認められるものではなく、裁判所の裁量によって保釈の可否が判断されます。
保釈の種類としては
①権利保釈
②裁量保釈・職権保釈
③不当に長い拘禁と勾留の取消し保釈
等がありますが、詳細は刑事事件に強い弁護士にぜひお尋ねください。

保釈を認めてもらうために大切なことは
①証拠隠滅する危険がないこと
②逃亡の危険がないこと
③被害者や事件関係者及びその親族等に接触する危険がないこと
④被告人を監督する身元引受人の存在
を適切に裁判所に提示することがとても大切です。

なお、保釈保証金は最低でも150万円~200万円程度といわれていますが、事件の性質や情状、被告人の経済状態などを考慮して決定されますので、上限はありません。
保釈保証金は、被告人の逃亡を防止し、裁判への出頭を確保するためのものという性質から、保釈が取り消されて没収されることがなければ、裁判終了後に返還されます。

【弁護活動について】

裁判所に対し、保釈をしても証拠隠滅や逃亡の危険はない、被害者様との接触は家族がAさんの行動を見張り、絶対にさせない、Aさんの妻がAさんをしっかり監督する、などを主張したところ、Aさんに保釈が認められ、Aさんは自宅に帰り、家族の看病をすることができました。
また、裁判所に対し、Aさんには前科前歴がないこと、反省しており、薬物依存の傾向もないこと、強い更生の意欲があること、Aさんの妻がこれからもしっかりとAさんを監督してくことなどを主張したところ、Aさんは執行猶予付き判決となりました。

保釈決定や執行猶予付き判決を得るための、裁判所への主張・申立ては、法律の専門家である弁護士に任せましょう。

覚醒剤取締法違反事件、薬物事件で家族が勾留されているが、保釈をして欲しいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、今後の見通しについてご説明致します。

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【解決事例】器物損壊事件で罰金処分を獲得

2023-03-06

器物損壊事件において、弁護活動の結果、罰金処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは、元恋人Vさんの携帯電話を壊したとして、愛知県稲沢警察署に逮捕・送検されていました。
Aさんの父親は「AにはVさんに対するストーカーの疑いで口頭で注意を受けていたと稲沢警察署から聞きました。しかし一昨日、Vさんのところに行っていたらしく、今日稲沢警察署に呼ばれて逮捕されました。Vさんの携帯電話はその時に壊したと聞きました。Vさんには私から謝罪をさせていただきたいです。」とお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【器物損壊について】

器物損壊罪については、刑法第261条に規定があり
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
とあります。
また、器物損壊罪は親告罪であり、親告罪については
第264条 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
とあります。

つまり、親告罪は被害者から「告訴」されない限り、起訴されることはないということです。

【弁護活動について】

警察をとおして、Vさんに謝罪をさせていただけないかとお伝えしたところ「弁護士さんが代わりにお話しされても、Aさんにはもう一切かかわりたくありません」とお返事を頂きましたので、示談交渉は断念しました。
その後検察庁に対し、Aさんは故意ではなく、過失でVさんの携帯電話を壊してしまったこと、家族一丸でAさんをこれから監督していくことなどを、文章にまとめ提出しました。
しかし、過去のAさんのVさんに対する対応や、その他注意されていたにも関わらずVさんに会いに行ったことなどから、Aさんは罰金の処分となりました。

【まとめ】

被害者がいる他の犯罪(窃盗、傷害など)と同じく、器物損壊罪についても被害者と示談を締結することが、不起訴処分を獲得したり、処分を軽くすることに繋がります。
しかし、示談交渉に応じるかは被害者や被害者のご家族の判断となりますので、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
その場合でも、家族の監督が見込める、本人が大変反省しており、具体的に再犯防止対策を立てている、などを主張していくことになります。

被害者との示談交渉や、裁判所や検察庁への主張・申立ては、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。

器物損壊事件で示談をしたい、少しでも軽い処分を頂きたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、今後の見通しについてご説明致します。

ご相談はフリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
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【ニュース紹介】名古屋市昭和区で起きたタクシー強盗事件

2023-02-28

今回は、名古屋市昭和区で起きたタクシー強盗事件の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市昭和区で21日未明、男がタクシーの運転手を殴って料金を支払わず逃走し、警察は強盗事件として捜査しています。
警察によりますと21日午前2時前、名古屋市昭和区でタクシーの男性運転手(46)が目的地の地下鉄「八事駅」前に到着したため、後部座席で寝ていた客の男に声をかけて起こしました。
男は「お前の態度は何だ」と言い、運転手の顔を2回殴ると、乗車料金およそ3400円を支払わずにそのまま逃走しました。運転手にケガはありませんでした。
逃げた男は30代くらい、短い茶髪で身長は170センチほど、マスクは着けず、中区・錦の繁華街から1人で乗車したということです。
警察はタクシーのドライブレコーダーの映像を解析するなどして、男の行方を追っています。
(https://news.goo.ne.jp/article/tokaitv/nation/tokaitv-20221221-1558-23992.html 12月21日 東海テレビ 「タクシー車内で起こされ「お前の態度は何だ」30代位の男が運転手殴り料金支払わず逃走 強盗事件として捜査」より引用)

【タクシー降車時に、運転手に暴行・脅迫を加えると】

所持金不足などを隠してタクシーに乗車し、詐欺の疑いで検挙されるケースがときおりみられます。
しかし、初めから料金を払うつもりがないのであれ、到着したときに払いたくなくなったのであれ、降車時に運転手を暴行、脅迫し、逃走した場合には、強盗の罪に問われる可能性があります。
強盗の罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっており、特に減軽事由なく有罪判決が確定すれば、即、実刑判決となります。
以上から、強盗罪が極めて重い犯罪であるということができます。

【すぐに弁護士に相談】

前述の通り、強盗罪の罪責は重く、逮捕される可能性、身体拘束が長期化する可能性はかなり高いと考えられます。
タクシー強盗事件を起こしてしまった場合は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士と相談し、今後の行動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
強盗事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

*その後、犯人の男は出頭し、逮捕されたとのことです。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/00eb149e25536417249764d6b0be65d740c6d4dd)

【裁判紹介】現住建造物等放火事件の裁判例を紹介

2023-02-22

現住建造物等事件の裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案】

被告人は、息子と2人で居住する本件家屋からの立ち退きを迫られ、本件家屋の住宅ローンを含む多額の夫の借金により本件家屋を失う悔しさや愛着のある自宅を他人に取られたくないなどの思いから、本件家屋に火を放ち、本件家屋とともに自分も死んで消えようなどと考え、本件犯行に及んだ。
裁判所は、被告人を懲役2年6月、その刑の一部である懲役6月の執行を2年間猶予するとの判決を言い渡した。
(「名古屋地判平成28年6月24日)」を引用・参照)。

【現住建造物等放火罪について】

(現住建造物等放火)
第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

108条はタイトルのとおり「現住建造物等放火罪」について定めています。
現在においても専ら問題となるのは建造物等(「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」)の中でも「建造物」に対する放火ですから、以下では建造物を客体とするに場合を想定して解説いたします。
まず、注意すべきなのは、108条は「現に人が住居に使用」する「建造物」と、「現に人がいる」「建造物」をともに処罰する規定になっているということです。
つまり、「建造物」に人が住んでいなくとも「現に人がい」れば現住建造物等放火罪は成立し得るということになり、逆に「現に人がい」なくとも「現に人が住居に使用」していれば同罪は成立するということです。
本件では、被告人は息子と2人で居住している建造物に放火したというのですから、仮に放火時に建造物内に人がいなかったとしても後者の現住性を満たすことになり、現住建造物等放火罪の成立が否定されることはありません。

【現住建造物放火事件における弁護活動】

本裁判例では、刑法27条の2に基づき、刑の一部執行猶予判決が下されています。
もっとも、現住建造物に燃え移る危険性の高いことを認識しながら、同建造物に放火し畳を燃やしたとして現住建造等放火未遂罪が問われたケースにおいて、懲役3年の実刑判決が下された例もあります。
つまり、未遂罪にとどまる場合の方が処断刑が重くなることもあるのであり、未遂だから刑は重くならないだろうと安易に考えるのは禁物といえます。
また、さらに注意すべきこととして、現住建造物等放火罪は(上述のとおり)法定刑として「死刑又は無期」を規定していることから、原則として裁判員裁判対象事件(裁判員法2条1項1号)となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、放火事件を含む刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
現住建造物放火事件(放火事件)で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日/24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせ下さい。

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