動物愛護法違反事件の裁判を紹介

動物愛護法違反事件の裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

飼い犬を床や壁にたたきつけて死なせ、妻にもけがを負わせたとして、動物愛護法違反と傷害の罪に問われた無職の男に対し、名古屋地方裁判所岡崎支部は「罰金30万円」の判決を言い渡した。
判決によると、男は、愛知県豊田市の当時の妻の自宅で、妻の顔を複数回殴るなどして軽いけがを負わせた。また、飼っていた犬1匹を床や壁にたたきつけて殺した。
(朝日新聞「「クッションかと…」泥酔して犬をたたきつけて死なせた男に有罪判決」(2022/3/29)を引用・参照)

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)について

まず、よく知られていることとして法律上多くの場合、動物は「物」として扱われ、「人」とは扱いを大きく異にしているということです。
例えば刑法は、本事案のように動物を殺傷した場合には、以下の器物損壊罪の適用が考えられます。
・「……他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」(刑法261条)
もっとも、「他人の物」と規定されている以上は、自らが飼っている動物を殺傷した場合には本条は適用されません。

そこで、動物愛護法をみてみると、以下のような規定が存在します。
・「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」(同法44条1項)
・「……「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの」(同条4項)
したがって、本事案のように飼い犬を殺害した場合には、動物愛護法(上記44条1項・4項1号)によって刑事罰の対象となり得ることになります。

ペットや動物に対する虐待行為等に関する裁判所の判断

本事案では、「罰金30万円」との判決が下されており、意外と軽いと思われた方も少なくないかもしれません(もっとも、罰金刑はまぎれもなく前科となることに注意が必要です)。
もっとも、他の事案においてはより厳しい判断がなされたものも存在します。
猫を空気銃で撃って殺傷したとして、銃刀法違反と動物愛護法違反の罪に問われた事件では「懲役1年6月、執行猶予3年」と、重い判決が下されています。
この事案では、多数の余罪があったことも考慮されていると考えられ、本事案とは悪質性・常習性などが異なることから単純に比較できるものではありません。
しかし、上述のとおり法定刑も「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」と決して軽くない以上は、今後の見通し等について刑事事件に関する専門性を有する弁護士としっかり話し合うことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、動物愛護法違反事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
動物愛護法違反事件で逮捕された方のご家族は、365日24時間対応の無料フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

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