嘘の予約で偽計業務妨害罪に?
~嘘の予約で偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~
~ケース~
大学生のAさんはサークルの幹事をしておりサークルでの飲み会に利用する居酒屋の予約などを担当していた。
ある日,Aさんはサークルの飲み会にV店を予約した。
ところが,前日になりV店よりも安くおいしいと評判のX店を知り合いから教えてもらいX店に電話したところ予約が可能であった。
そのため,Aさんは飲み会をX店で行うことにし,V店にはキャンセルの連絡などを特に入れなかった。
その後,Aさんはインターネットで「嘘予約で偽計業務妨害罪で男性を逮捕」というニュースを目にし,自分も逮捕されてしまうのではないかと不安になり弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用した。
(ニュースを基にしたフィクションです)
~嘘の予約が偽計業務妨害に~
先日,居酒屋に偽名を使って嘘の予約を繰り返していた59歳の男性が逮捕されたというニュースがありました。
被疑罪名は偽計業務妨害罪(刑法233条)となっていました。
第233条 偽計業務妨害罪
虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
偽計とは,人を欺罔し,あるいは人の錯誤または不知を利用することをいい,詐欺罪における欺罔行為よりもゆるやかな概念です。
偽計の範囲は裁判例によって次第に拡張されており,非公然と行われる妨害行為全般も偽計とみなされることが多いようです。
~無断キャンセルは偽計業務妨害になるのか~
今回のケースでAさんが不安に思っている無断キャンセルが偽計業務妨害罪になるのかという疑問ですが,単なる無断キャンセルの場合には偽計業務妨害罪とはなりません。
予約は基本的に民事上の契約関係が発生するにすぎませんので,無断キャンセルをする(=料金を支払わない)ことは単に代金支払い債務の不履行となるにすぎません。
そのため,民事上は店側から代金の支払い請求をされる場合もありますが,原則として偽計業務妨害罪とはなりません。
~偽計業務妨害となる場合~
刑法は故意処罰が原則ですので,最初から偽計により業務を妨害する故意があったと認められれば偽計業務妨害罪は成立します。
上記事例の基となったニュースでは,偽名を用いて予約をしている上,そもそも店舗を利用する予定などもなく,前日の確認に対しても変更がないと答えていることなどから偽計業務妨害罪の故意があったと認められたのでしょう。
すなわち,初めから店を利用するつもりがなく,いたずらや嫌がらせ目的で嘘の予約をした場合に偽計業務妨害罪罪は成立するといえます。
ただし,数件予約をブッキングしており,実際に利用した店舗以外を無断キャンセルしたという場合には偽計業務妨害罪の故意が認められる余地はありますので注意が必要です。
~偽計業務妨害罪における弁護活動~
偽計業務妨害罪は非申告罪ですので被害店舗などからの告訴がなくても検察官は事件を起訴することが可能です。
しかし,事件そのものは被害店舗からの被害届や告訴などで発覚するケースがほとんどでしょう。
キャンセル料などをきちんと支払えば刑事事件化することはありませんので,この段階では弁護士の出番はないでしょう。
問題となるのは,被害届などが出され刑事事件化された場合です。
起訴された場合には、件数にもよりますが罰金もしくは執行猶予付きの懲役判決となるでしょう。
また,被害が1件のみというような場合には刑事裁判を開かず罰金を納める略式手続きとなることもあります。
ただし,罰金や執行猶予であっても前科となりますので可能であれば不起訴処分となるように弁護活動をしていきます。
初犯であれば、被害店舗と示談が成立すれば不起訴となる可能性は非常に高くなります。
しかし,店舗が被害者の場合,経理の関係上,示談を受けてもらえないことも多いです。
そのような場合でも少なくとも被害弁償をすることで検察官が不起訴の考慮事項とすることもあります。
また,刑事事件化してしまった後に自身で被害弁償等を申し出ても受け付けてもらえない可能性も高いです。
弁護士であれば店舗に示談や被害弁償の話を受け付けて貰える可能性が高くなります。
もし偽計業務妨害罪として刑事事件化してしまった場合には早めに弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
予約の無断キャンセルで偽計業務妨害になってしまったという場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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