ギャンブルと賭博罪
ギャンブルと賭博罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
事例
Aさんは、愛知県名古屋市中川区に住む男性です。
Aさんは、ギャンブルが好きであり、競馬、競輪、競艇などの様々なギャンブルを行ってきました。
ある日、Aさんは知人の紹介を受けていわゆる同じ愛知県名古屋市中川区内にある闇カジノを行っている店を利用しました。
しかし、Aさんがそのカジノに行った当日、愛知県中川警察署の捜査が入り、Aさんは、愛知県中川警察署の警察官に単純賭博罪で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは釈放されましたが、ほかにも行っている競馬などが法律に違反しないか心配になったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)
~賭博罪とは~
賭博罪は、刑法に定められている犯罪です。
賭博罪には、単純賭博罪と常習賭博罪がありますが、単純賭博罪を単に賭博罪と言うこともあります。
(ここでは、2つの賭博罪の総称として「賭博罪」とし、185条、186条1項に当たる犯罪をそれぞれ「単純賭博罪」、「常習賭博罪」とします。)
その賭博罪は、以下のように定められています。
刑法第185条
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法第186条1項
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
これらの条文における賭博とは、
「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」
とされています。(大塚裕史ほか『基本刑法Ⅱ 各論(第2版)』457頁〔豊田兼彦〕日本評論社、2018)
つまり、賭けたものについて利益を得られるかどうかが運任せになっている行為が賭博に当たると言うことになります。
次に単純賭博罪と常習賭博罪の区別において重要となる常習性とは、
「賭博を反復累行する習癖」
とされています。(大塚裕史ほか『基本刑法Ⅱ 各論(第2版)』457頁〔豊田兼彦〕日本評論社、2018)
つまり、賭博行為をどれだけ繰り返し行っていたかと言うことを指します。
そのため、過去にどれだけ行っていたかと言う点や賭博の方法などによって判断されます。
Aさんの闇カジノでの賭博行為についてみていきます。
カジノにおいては、それぞれ偶然に左右されるゲームの結果によって、金銭を得たり、失ったりするのが通常ですから、賭博罪に当たる可能性が高いです。
他方で、Aさんがこの闇カジノ店を訪れたのは初めてですから、常習性は認められないでしょう。
そのため、Aさんは、単純賭博罪に問われる可能性が高いと考えられます。
~公営ギャンブルは賭博罪にならないのか?~
では、競馬などの公営ギャンブルは賭博罪に当たるのでしょうか。
法律の基本のルールとして、特別法は一般法に優先するというルールがあります。
そして、刑法はこれら2つの内、一般法に当たります。
そのため、特別法に当たる別の法律で行うことが認められているのであれば、その公営ギャンブルは行うことができます。
そして、公営ギャンブルである、競馬、競艇、競輪、オートレースはそれぞれ以下の法律に規定が置かれています。
競馬法
第1条の2 日本中央競馬会又は都道府県は、この法律により、競馬を行うことができる。
モーターボート競走法
第2条 都道府県及び人口、財政等を考慮して総務大臣が指定する市町村(以下「施行者」という。)は、その議会の議決を経て、この法律の規定により、モーターボート競走(以下「競走」という。)を行うことができる。
自転車競技法
第1条 都道府県及び人口、財政等を勘案して総務大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)は、自転車その他の機械の改良及び輸出の振興、機械工業の合理化並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与するとともに、地方財政の健全化を図るため、この法律により、自転車競走を行うことができる。
小型自動車競走法
第3条第1項 都道府県並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市、名古屋市、都のすべての特別区の組織する組合及びその区域内に小型自動車競走場が存在する市町村(以下「小型自動車競走施行者」という。)は、その議会の議決を経て、この法律により、小型自動車競走を行うことができる。
以上のように一般に公営ギャンブルと呼ばれる競技はそれぞれ特別法により、実施者を限定したうえで、実施してもよいという規定が存在しています。
そして、実施が認められている以上、それらの競技を行うことも合法になります。
そのため、一般法である刑法よりもこれらの規定が優先され、公営ギャンブルは合法になっています。
したがって、Aさんは、競艇などによって有罪になることはありません。
賭博事件はそう頻繁に起こる刑事事件ではないことから、手続きや処分、見通しが分かりづらくなりがちです。
だからこそ、弁護士に相談し、サポートを受けることで不安解消のための一歩となるでしょう。
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