業務上横領罪と時効

業務上横領罪と時効

業務上横領罪時効について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。

~事例~

Aさんは、名古屋市北区にあるV社に勤務し、2020年12月末をもって定年退職した元会社員です。
Aは2006年からVのある支店の支店長をしていました。
しかし、2010年にギャンブルで損失を出したAさんは、2010年10月から2014年10月の約3年間、支店長として管理していたお金の内500万円を着服しました。
以上の着服はAさんが支店長として勤務している間は判明することはありませんでしたが、Aさんの退職後の調査でAさんの着服が判明しました。
そのため、V社は愛知県北警察署業務上横領罪の被害届を出しました。
業務上横領罪の被害届が出されたことを知ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士事務所に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)

~横領罪・業務上横領罪とは何か~

横領罪業務上横領罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法は横領罪と業務上横領罪について以下のように定めています。

刑法第252条 (横領)
第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法第253条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領罪は、自分が占有している他人の物を横領する行為について成立する犯罪です。
また、業務上横領罪とは、上記の横領行為を業務として占有しているものに対して行った場合に成立します。

ここで、横領行為とは、「不法領得の意思の発現行為」を指すとされています。
そして、ここにいう不法領得の意思とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。

この横領行為の具体的な例としては、費消、着服、持ち逃げなどの行為がこれに当たります。

本件についてみると、Aさんは自身が支店長として管理しているお金を着服しています。
まず、Aさんが着服したお金は、会社という他人のものであるお金を、支店長という業務上の地位で占有していたものですから、業務上横領罪の対象になります。
そして、Aさんはこの会社のお金を着服しており、不法領得の発現行為を行なっていると言えます。
そのため、Aさんには業務上横領罪が成立することになります。

~時効は成立するか~

しかし、Aさんの横領行為は最近のものでもおよそ6年から7年前ですが時効は成立していないのでしょうか。

一般的に言われる時効とは、公訴時効のことを指します。
そして、その公訴時効は、刑事訴訟法において以下のように定められています。

刑事訴訟法第250条 
第1項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
第2項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年

この公訴時効は、事件が起きた日から検察官が起訴するまでの時間を制限する規定です。
この事件が起きた日とは、事件の行為ごとに考えられるものです。
つまり、業務上横領行為を別日に分けて複数回行っていたというような場合には、1回目に業務上横領行為をしたときと2回目に業務上横領行為をしたときの公訴時効はずれてくることになります。

本件についてみてみましょう。
本件においてAさんが行った業務上横領罪は、人を死亡させてはいない罪で、かつ、長期10年の懲役が定められている犯罪です。
そのため、本件では250条2項4号に該当し、本件の時効は7年になります。
ですから、Aさんの最初の横領行為は7年以上経過しています。
他方で少なくとも最後の横領行為は、7年は経過しておりませんので公訴時効が成立しないことになります。
つまり、Aさんは少なくとも最後に行った業務上横領行為では起訴される可能性があることになります。

こうした時効の計算などは、専門的な知識も必要になりますので、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
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