放火罪で逮捕され保釈を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
愛知県清須市に住むAさん(20歳)は,高校1年生の頃にVさんからいじめを受け,それが原因で不登校となりました。
これによりAさんはVさんに恨みを抱いていたため,ある日Vさん宅の庭にガソリンをまき散らして火をつけました。
幸いにも火は比較的早期に消し止められ,怪我人は一人もいませんでした。
この件について西枇杷島警察署が捜査を開始し,やがてAさんは現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは,接見に来た弁護士から,保釈による身柄解放を目指すべきであることを告げられました。
(フィクションです。)
【放火罪について】
刑法において,「放火罪」には複数の種類が規定されています。
大きく分けると,現住(現在)建造物等放火罪,非現住建造物等放火罪,建造物等以外放火罪の3つです。
いずれが成立するかは,放火の対象によって決まります。
今回のケースで問題となっているのは,先述した3つの中で最も重い現住建造物等放火罪です。
現住建造物等放火罪は,①「現に人が住居として使用し」ている建造物等を②放火によって「焼損」した場合に成立する可能性のある罪です。
まず,①の建造物等に当たる典型例としては,やはり方々に存在する民家が挙げられます。
注意すべきは,住居として使用されてさえいれば,必ずしも放火のときに人が存在する必要はない点です。
つまり,家主が旅行などで一時的に留守にしている家を放火した場合も,現住建造物等放火罪として罰せられる可能性があるのです。
また,②の「焼損」について,裁判例の中には30センチメートル四方という比較的狭い範囲のみが燃えた場合もこれに当たるとしているものがあります。
加えて,仮に「焼損」と言うに値しないと評価できる場合も,放火未遂罪や器物損壊罪が別途成立する可能性はあります。
【保釈による身柄解放の可能性】
現住建造物等放火罪の法定刑は,死刑,無期懲役,5年以上の有期懲役のいずれかという非常に重いものです。
そのため,逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして,逮捕・勾留による身体拘束が長期にわたる可能性が高いと言えます。
こうした事件については,被疑者の身柄の確保と証拠収集の便宜という建前上,捜査の期間である被疑者段階で身柄解放を実現するのは難しいというのが実情です。
そこで,捜査を終えて起訴された後で,保釈を請求して身柄解放を実現することが考えられます。
保釈とは,裁判所に保釈保証金となる一定額の金銭を預け,それと引き換えにいったん身柄を解放してもらうというものです。
保釈保証金は逃亡や証拠隠滅が行われた際に没収される可能性があるため,これがそうした行動を防ぐ担保となることが期待されています。
その分,被疑者段階で単に身柄を解放する場合と比べ,身柄解放が認められやすくなっているのです。
先述のとおり,裁判所に保釈を認めてもらうには,保釈請求を行って裁判所の許可を得る必要があります。
この保釈をするに当たり,弁護士としては,裁判官の懸念を払しょくできるような事情を主張し,場合によってはその主張に備えて事前に様々な活動を行います。
そのため,保釈の許可の可能性を高めるなら,やはり弁護士に保釈を依頼するのが賢明だと言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,保釈請求などを通して一刻も早い身柄解放の実現を目指します。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(初回接見のご案内はこちら)