稲沢市の浄水汚染罪・水道汚染罪なら

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~ケース~

稲沢市在住の大学生のAさんらは、動画サイトに投稿する動画を撮影しようと考えた。
そこで,Aさんの入居しているマンションの屋上にある貯水槽の中に入り息を何秒止められるか挑戦するという動画を撮影し,動画サイトに投稿した。
投稿された動画を見た視聴者が犯罪行為ではないかと愛知県警察稲沢警察署に通報した。
通報を受け動画を確認した愛知県警察稲沢警察署よりAさんらは事情を聞かれることになった。
(実際の出来事を基にしたフィクションです)

~Aさんらに成立する犯罪~

◇飲料水に関する罪◇

貯水槽は飲料水の貯水,防災用の貯水など様々な目的がありますが、犯罪の成立が問題となるのは飲料水の貯水であった場合です。
飲料水の安全・清潔は社会生活の安全の基盤ですので、刑法は飲料水を人の飲料に供する浄水と水道水にわけて保護しています。
水道水は清潔であるとの社会的信頼がありますので,水道水およびその水源を汚染した場合には罪責が重くなっています。
刑法には飲料水に関する罪として142条から147条まで規定があります。

刑法142条(浄水汚染罪
人の飲料に供する浄水を汚染し,よって使用することができないようにした者は,6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法143条(水道汚染罪
水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染し,よって使用することができないようにした者は,6月以上7年以下の懲役に処する。

144条から147条は毒物混入,および致傷罪,水道損壊・閉塞罪ですので条文は省略します。

浄水汚染罪水道汚染罪における保護法益は公衆の健康であるとされていますので142条のいう「人」とは不特定多数の人を指し,個人用に汲み置いてあった場合など特定の人のための飲料水に対する行為の場合には対象となりません。
「汚染」とは,物理的・心理的に飲めない程度に不潔な状態にすることをいいます(最判昭36・9・8)。
なお条文には「よって」という文言がありますが結果的加重犯ではなく,飲用不能とする認識が必要とされています。
今回のケースで,「水の中に入る」という行為は社会通念上,心理的に飲料水として使用できなくする行為ですので、飲用不可とする認識はあったといえるでしょう。
また,マンションの飲料水の貯水槽の場合,各部屋の水道によって飲料水として提供されることが考えられます。
そのため,マンションの飲料水の貯水槽は水道の水源であるとみなされ,浄水汚染罪ではなく水道汚染罪が適用される可能性もあります。
また,汚染したことが発覚するまえに,水道水を利用した住民が食中毒などになってしまった場合には浄水汚染致傷罪(145条)となり,傷害罪と比較して重い刑に処せられる可能性もあります。

◇建造物侵入罪◇

マンションの屋上はたとえ入居者であってもっ立ち入りが禁止されていることが多いでしょう。
そのような立ち入り禁止区域に侵入することは管理者の意思に反することになりますので建造物侵入罪(130条)が成立する可能性があります。
もっとも,屋上が開放されているような場合でも,貯水槽に入る目的をもって屋上に行くことは管理者の意思に反しますので建造物侵入罪となる可能性があります。
法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。
ただし,浄水汚染罪水道汚染罪が成立する場合には建造物侵入罪は牽連犯となる場合もあります。
一方,貯水槽が飲料用でない場合には飲料水に関する罪は成立しませんので建造物侵入罪のみが成立しうると考えられます。

最近,動画投稿などで撮れ高を求め,過激ないたずらまどをされる方が多くいます。
その際に,立法当時には想定されていなかった形など,思いもよらない犯罪となってしまうことも多いようです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
浄水汚染罪水道汚染罪のみならず様々な刑事事件について対応可能です。
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