住居侵入・窃盗未遂事件の示談

2021-06-18

住居侵入・窃盗未遂事件の示談

住居侵入・窃盗未遂事件示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県東海市に住むAさんは、金目の物を盗もうと、深夜、同市内にあるVさんの住居に忍び込みました。
Aさんは、侵入したVさん宅内において、懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しました。
しかし、寝ていたVさんが物音で起きてしまい、AさんはVさんに取り押さえられました。
Vさんは愛知県東海警察署に110番通報をし、Aさんは住居侵入罪窃盗未遂罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

【住居侵入罪とは】

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

住居侵入罪は、「人の住居」に正当な理由なく「侵入」した者に成立する犯罪です。

住居侵入罪の「侵入」とは、居住者の意思に反する立入りをいいます。
ここで、刑事事件例では、Vさんは窃盗目的での立入りを認めていなかったと考えられます。
よって、Aさんの立入りは、居住者であるVさんの意思(窃盗目的での立入りを認めないという意思)に反する立入りとして、住居侵入罪の「侵入」に該当すると考えられます。

また、Aさんが立ち入ったのはVさんの「住居」であり、Aさんの立入りには正当な理由はありません。

以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪とは】

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」者に成立する犯罪です。

まず、窃盗の目的であるVさんの金品は窃盗罪の「他人の財物」に該当します。

次に、窃盗罪の「窃取」とは、他人が占有(事実的支配)する財物を、その占有(事実的支配)者の意思に反して自己の占有(事実的支配)に移転させる行為をいいます。

刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始した段階でVさんに取り押さえられています。
そのため、Vさんの財物をAさんの占有(事実的支配)に移転させたとはいえず、窃盗罪の「窃取」の完遂には至っていません。
よって、Aさんには窃盗罪の既遂犯(窃盗罪)は成立しません。

そこで、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立するかを検討します。

【窃盗未遂罪とは】

第243条
第235条…の罪の未遂は、罰する。

刑法243条は、窃盗罪(刑法235条)の未遂犯(窃盗未遂罪)を処罰することを規定しています。

刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減刑することができる。

窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)とは、窃盗罪の「実行に着手して」「これを遂げなかった」場合に成立します。

上記の窃盗罪の「実行に着手」する行為とは、窃盗罪の結果を発生させる(他人の財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為を行うことをいいます。

例えば、大審院判決昭和9年10月19日では、金品物色のためにタンスに近寄った時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。
また、最高裁判所決定昭和40年3月9日では、電気店に侵入後、現金窃取のために煙草売り場の方に行きかけた時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。

刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しています。
このAさんの行為は窃盗罪の結果を発生させる(Vさんの財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為であると考えられます。
よって、Aさんは窃盗罪の「実行に着手」する行為を行ったといえると考えられます。

そして、結局、AさんはVさんから金品などの財産を盗むことができていないので、窃盗罪の窃取行為「を遂げなかった」といえます。

以上より、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立すると考えられます。

【住居侵入・窃盗未遂事件の刑事弁護活動】

住居侵入・窃盗未遂事件は被害者の方が存在する犯罪です。
住居侵入・窃盗未遂事件では必ずしも実損(住居侵入事件でいえばドアの損壊や、窃盗未遂事件でいえば盗品の被害など)が生じていない場合も考えられますが、精神的苦痛に対する損害賠償なども考えられますから、被害弁償を行い示談を締結することが重要です。

また、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方と示談する際には、刑事弁護士を経由して行うことが重要です。
これは、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方の処罰感情によっては、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることによって、かえって処罰感情を逆撫でる結果となる可能性もあるからです。

他にも、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることのデメリットとしては、法律に関する知識が不十分であるため、適切な示談書を作成することができない可能性があることも挙げられます。
さらには、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との交渉態度次第では、脅迫罪や強要罪などの別の犯罪が成立してしまう危険性もあります。

そこで、法律の専門家であり、第三者的な地位を有する刑事弁護士を通すことにより、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との冷静かつ適切な示談交渉を行うことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入・窃盗未遂事件示談を考えている場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。