刑事事件の流れ(不起訴処分)
~逮捕・勾留されなかった場合~
刑事事件を起こしてしまっても必ず逮捕されてしまうわけではありません。
逮捕とはあくまでも捜査の手続きの一つであり,逮捕の必要がない場合には逮捕されることはありません。
また,逮捕されてしまっても勾留されずに釈放される場合もあります。
特に現行犯逮捕の場合,逮捕後に身柄拘束の必要がないと判断されれば勾留されずに釈放されることになります。
通常逮捕の場合には,身柄拘束をされていない被疑者に対して逮捕状を請求し身柄拘束をすることになります。
逮捕と勾留の要件は共通する部分も多いことから,裁判所が逮捕状を発付した場合,勾留も認められることが多いようです。
刑事事件で検挙され,逮捕されなかった場合もしくは逮捕後に勾留されずに釈放された場合には在宅のまま捜査が進むことになります。
捜査機関から会社や学校などに事件を連絡するということは原則としてありませんので勾留された場合に比べ,会社や学校に事件が発覚する可能性は低くなります。
ただし,請求の日から最長でも20日という時間的制約が発生する勾留とは異なり在宅事件の場合には手続きの時間的制約がありません(ただし,事件自体の公訴時効はあります)。
そのため,捜査の開始から起訴するかどうかを最終的に決めるまでに1か月以上かかる場合が多くなっています。
また,在宅事件の場合,起訴前に国選弁護人を選任する制度はありません。
したがって,起訴前に弁護活動をするためには私選弁護人を選任する必要があります。
~不起訴処分~
不起訴処分は全部で20種類ありますが,ほとんどの場合が起訴猶予,嫌疑なし,嫌疑不十分のいずれかになります。
嫌疑なしは,被疑事実について,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,または犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときに適用されます。
すなわち,真犯人が見つかった場合など,被疑者が犯人ではなかった,無実であったことが認められた場合に嫌疑なしの不起訴処分となります。
嫌疑不十分は,被疑事実について,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときに適用されます。
◇嫌疑なし,嫌疑不十分◇
嫌疑なしや,嫌疑不十分とは文字通り,被疑者に対する嫌疑が不十分もしくはなかった場合をいいます。
日本の裁判では検察官が被告人が罪を犯したことを証明する責任を負いますので,嫌疑が不十分である場合やそもそも嫌疑がなかった場合には犯罪の証明ができませんので起訴しない(=不起訴処分)ことになります。
日本では検察官が起訴するかどうかの権限を有する起訴便宜主義が採用されています。
検察官は捜査の段階で被疑者が有罪となるかどうかを判断し,有罪とならないと判断した場合には原則として起訴することはありません。
日本における有罪率99.9%というのは有罪とならない事件は最初から起訴されないためです。
◇起訴猶予◇
不起訴処分の中で,最も多く運用されているのは起訴猶予によるものです。
起訴猶予とは犯人の性格や年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況などを考慮し,不起訴とするものです。
起訴すれば有罪は確実だが,罪が軽い場合や,深く反省している,特に被害者との示談が成立している場合などに検察官の裁量で下されます。
被害者がいないような軽微な事件でなければ,基本的には被害者の方と示談が成立した場合に起訴猶予となることが多いでしょう。
したがって,在宅事件の場合,示談の成立の有無が起訴されるかどうかの大きな判断材料となります。
被害者の方と示談をしなかった,示談に応じてもらえなかった場合には起訴されてしまう可能性が高くなります。
しかし,加害者が示談をしようとしても被害者の方と知り合いという場合でもない限り,連絡先等がわからない場合が多いでしょう。
弁護士であれば被害者の方の同意の下,検察官などから連絡先を取り次いで頂き示談交渉をすることができる場合もあります。
在宅事件で不起訴処分を獲得したい場合には一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
◇その他の不起訴処分◇
その他の不起訴処分としては,被疑者が死亡した場合や法人等が消滅した場合,裁判権を有しない場合,すでに同一事実について起訴されている場合など手続的に起訴ができない場合です。
心神喪失や14歳未満である刑事未成年の場合も起訴することができず不起訴処分となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件の弁護経験豊富な弁護士が多数所属しています。
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