【ニュース紹介】無銭飲食の疑いで男を逮捕

無銭飲食で逮捕された事例につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

名古屋市中区の居酒屋で無銭飲食をしたとして、40代の男が逮捕されました。
詐欺の疑いで愛知県中警察署に逮捕されたのは同市在住の無職の男です。
男は、同市内の居酒屋で酒やつまみなどおよそ3000円分について無銭飲食をした疑いが持たれています。
愛知県中警察署によりますと店の防犯カメラに男が店員に気づかれないよう隠れるようにして店を出ていく様子が映っていたということです。
(10月12日朝日テレビ配信のニュースを参考に一部変更したものです。)

【無銭飲食は何罪にあたる?】

無銭飲食は、その態様に応じて成立する犯罪が異なります。

まず、入店当初から代金を支払う意思がないのに、飲食物を注文して、これを飲食した場合には、詐欺罪(刑法246条1項)が成立します。

(刑法)
第二百四十六条 
1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、人を騙して財物の交付を受ける犯罪であり、この場合では、最初から代金を支払う意思がないのに、支払うと装い、これを信じた店側に飲食物(財物)を提供させていることから、その時点で詐欺罪が成立することになります(飲食後に店員に気付かれないように退店した時点ではありません)。
今回の事案は、詐欺罪の疑いで逮捕されていますから、この場合に該当すると考えられます。

次に、最初は代金を支払う意思があったものの、飲食物の提供後に代金の支払いを免れようと考えた(例えば、財布を忘れたことを飲食後に気付き、支払いを免れようと考えた)場合が挙げられます。
このとき、店員に対して「財布を忘れたので取りに行きます」などと嘘をついて退店し、そのまま戻らなかった場合には、人を騙して財産上の利益を得た(飲食代金の支払いを免れた)として、詐欺利得罪(刑法246条2項)が成立します。

第二百四十六条 
1 (略)
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

一方で、店側に気付かれないように逃げて代金の支払いを免れたような場合は不可罰(刑法上の犯罪に該当しない)となります。
これは、店側に気付かれていない以上、人を騙す行為が行われておらず、刑法には利益窃盗の規定が存在しないこと(窃盗罪は「財物を窃取した」場合のみ処罰される)が理由です。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

もっとも、この場合でも、逃げている途中で店員に見つかったため、捕まらないように暴行や脅迫を加えた場合は、強盗利得罪(刑法236条2項)が成立するおそれがあります。
強盗利得罪の罰則は「五年以上の有期懲役」ですので、極めて重大な犯罪となります。

第二百三十六条 
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

【お困りの場合は弁護士に相談を】

詐欺罪は罰金刑が規定されておらず、起訴されれば必ず正式な裁判となります。
また、もし強盗利得罪となってしまうと、刑法上の減刑事由がなければ執行猶予が付きませんので、必ず実刑判決となってしまいます。
そのため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合には、被害店舗への被害弁償や示談交渉が極めて重要になります。
宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結することができれば、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。
もしお困りの場合は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら