名古屋市中区で客引きをして逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは名古屋市中区の繁華街にあるキャバクラBの店長から、キャバクラBに客を勧誘して連れてくることを依頼され、1人あたり2000円の手数料を払うことで客引きを引き受けました。
AさんはキャバクラBの近くの道路上で通りすがりのVさんに「すぐ近くのキャバクラBです。今なら1万円ポッキリですよ。」と言いながら、Vさんの真横に密着して歩きながら声をかけ続けました。
しかし、実はVさんは愛知県中警察署の警察官で、Aさんは客引き行為で愛知県迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕され、後に風営法違反でも取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
【客引きとはどういう行為ですか?】
Aさんが行った「客引き」とはどのような行為なのでしょうか。
裁判例(東京高判1979.9.13)では、客引きは「相手方を特定し、その店の客として遊興飲食をさせるために勧誘すること」とされています。
例えば
・近くに付きまとう、寄り添って歩く、立ちふさがる、腕をつかみ、引っ張る
・宣伝用チラシを差し出しながら「ワンセット●●円です。サービスの良い店ですよ。」や「どうぞどうぞ、いらっしゃいませ。」と声をかけ誘う
等の行為が客引きに該当すると言われています。
【客引きはどのような罪になるのですか?】
客引きはその行為を行なった人の身分により
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」と省略します)違反や
「愛知県迷惑行為防止条例」違反
となります。
風営法の条文は
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)当該営業に関し客引きをすること(風営法第22条第1項第1号)
となっており、罰則は
6月以下の懲役もしくは100蔓延以下の罰金(併科あり)(風営法第52条1号)
です。
愛知県迷惑行為防止条例の条文は
①人の性的好奇心をそそる見せ物若しくは物品若しくは人の性的好奇心に応じて人に接触する役務又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について,客引きをし,又は人に呼び掛けて,若しくはビラ,パンフレットその他の物品(以下「ビラ等」という。)を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第1項第1号)
②歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(人の通常衣服で覆われている身体又は下着に接触し,又は接触させる卑わいな行為(以下「卑わい行為」という。)を伴うものを含む。以下同じ。)若しくはこれを仮装したものの提供について、客引きをし、又は当該役務(卑わい行為を伴うものに限る。)若しくはこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,若しくはビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第1項第2号)
③歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(卑わい行為を伴うものを除く。)又はこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,又はビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第2項第1号)
となっており、
①と②の罰則は
100万円以下の罰金、常習違反の場合は6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金
③の罰則は
再発防止命令が出され(10条)、違反した場合に30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
です。
では、客引きはどの罪に該当するのかのポイントですが
風営法違反の主体(罪を犯す人)は「風俗営業を営む者(従業者も含みます)」
愛知県迷惑防止条例違反の主体は「特に制限はなく、だれでもよい」
という違いがあります。
【刑事事件例について】
Aさんは、キャバクラBの店長から手数料をもらう約束で、キャバクラBの営業に関し客引きをすることを了承し(これが風俗営業を営む者との共謀、風俗営業に関し)、繁華街の道路上においてVさんに対し「すぐ近くのキャバクラBです。今なら1万円ポッキリですよ。」と真横に密着して歩きながら声をかけ続け、キャバクラBの客になるように勧誘しました(客引き行為をした)。
よってAさんは風営法の客引き及び愛知県迷惑行為防止条例の客引きの両方が成立するため、風営法違反と愛知県迷惑行為防止条例違反となると思われます。
【弁護活動について】
客引きについては、実際に執拗な客引き行為で逮捕された事例や警察による一斉摘発などで逮捕された事例が多数あります。
客引きは逮捕される可能性がある行為であることは理解していただけたかと思います。
では逮捕されてしまった場合の弁護活動について見ていきましょう。
逮捕から72時間以内は家族でも基本的には接見(いわゆる面会です)をすることはできませんが、弁護士なら接見をすることができます。
逮捕後すぐにに弁護士と接見できれば、取調べへの対応や今後どのような流れで進んでいくかなど様々な相談をすることができます。
逮捕後引き続き勾留され、身柄の拘束期間が長引けば、会社や学校に逮捕されたことが知られる可能性が高くなります。
弁護士に依頼すれば、勾留の取り消し申請や不当な勾留に対する不服申立てをしてもらえます。
身柄を拘束されることが無くても、弁護士のサポートがあれば先に述べた通り、取調べへの対応や相談もできます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族やご自身が客引きで風営法違反や愛知県迷惑行為防止条例違反で話を聞かれることになった、または逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。