詐欺罪と資格の制限について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんが名古屋市天白区のV音楽ショップを通りかかったところ、店の前にBさんあてのCD引き渡し証を拾いました。
AさんはV音楽ショップに入り、レジ奥に「B様渡し」とあるCDが置いてあるのを確認したうえでレジにいた店主のVさんに対して「Bです。CDを受け取りに来ました。」と伝えました。
VさんはAさんに対し、Bさんに引き渡すはずのCDを渡しました。
Aさんは後日詐欺罪で愛知県天白警察署において話を聞かれることになりましたが、Aさんは社会福祉士の試験を控えており、影響が出るのではと心配しています。
(フィクションです)
【Aさんの行動は詐欺罪にあたるのか】
詐欺罪は
1人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(刑法第246条)
と規定されています。
Aさんは、V音楽ショップに入り、店主のVさんに対して拾ったBあての引き渡したうえで「Bです。CDを受け取りに来ました。」と話しています。
これは、実際には引き渡しを受ける権利を持っているBさんではないAさんが、Bさんになりすまして、CDの引き渡しを求める嘘をついています。
つまり、財産的処分行為(CDの引き渡し)に対して欺く(Bであると嘘をつく)行為を行なっていることから、詐欺罪が成立する可能性は高いと思われます。
【罪に当たる行為をすると資格に影響がでますか】
裁判で有罪判決を受けると、資格に影響する場合があります。
有罪判決とはいわゆる前科のことで、前科となる処分は懲役刑や禁錮刑以外にも罰金刑や科料があります。
また、先に述べた通り詐欺罪には罰金刑の規定はありませんので、起訴をされて裁判となれば前科がつく可能性は非常に高くなります。
前科がつくと絶対的に制限されてしまう資格は
①国家公務員、地方公務員、自衛隊員など( 実刑の場合、実刑期間の満了まで制限されます)
②社会福祉士、介護士、保育士など(実刑の場合、実刑期間とその後2年間制限されます)
③公認会計士、行政書士、司法書士、不動産鑑定士など(実刑の場合、実刑期間とその後3年間制限されます)
④警備員、宅地建物取引士、貸金業者など(実刑の場合、実刑期間とその後5年間制限されます)
⑤学校教員、弁護士など(実刑の場合、実刑期間とその後10年間制限されます)
があります。
Aさんは社会福祉士の試験を控えていますが、社会福祉士は上記の通り、実刑の場合、実刑期間とその後2年間は資格の取得が制限されます。
ただし、執行猶予付き判決の場合は、執行猶予が取り消されることなく猶予の期間を経過した場合、刑の言渡しの効力を失いますので、それ以降は資格に制限はなくなります。
つまり、前科がつかない処分=起訴猶予による不起訴処分を目指す、若しくは少しでも欠格期間を短くするために執行猶予付き判決を目指していくことになるでしょう。
不起訴処分を目指すためには、被害者の方との示談が大切になります。
執行猶予付き判決を目指すためには、検察官に対し、十分な反省をしており再犯防止のための環境が整っていること、また示談が成立していればその旨を主張していくことになります。
そのためにもお一人で、またご家族だけで悩むことなく、刑事事件に強い弁護士に早急にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の詐欺罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が詐欺罪で話を聞かれることになった、資格に影響がでるのか不安だという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。