ストーカー行為と迷惑行為防止条例違反の違いについて
~ストーカー行為と迷惑行為防止条例違反の違いについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~
~ケース①~
Aさんは自分が通っているキャバクラにおいて,女の子と歓談中,Vさんからからかうような言動をされ恥をかいた。
AさんはVさんに恨みを持つようになり,ある日AさんはVさんに復讐することを考えた。
Vさんが勤務を終了し帰宅する際に,Vさんに気づかれないように後をつけVさんの自宅までついていった。
その後,自宅の場所から住所・電話番号を調べ,無言電話をかけるなどの嫌がらせ行為をした。
~ケース②~
Aさんは自分が通っているキャバクラのVさんに恋愛感情を持つようになった。
AさんはVさんに交際を申し込んだがVさんに断られてしまった。
諦めきれないAさんは,Vさんが勤務を終了し帰宅する際に,Vさんに気づかれないように後をつけVさんの自宅までついていった。
その後,自宅の場所から住所・電話番号を調べ,Vさんの気を引くために無言電話をかけるなどをした。
(上記ケースはいずれもフィクションです)
~ストーカーと条例~
Aさんの行為は世間一般ではどちらも「ストーカー」と呼ばれるでしょう。
なお,法律的にはいわゆる「ストーカー」はストーカー行為等の規制に関する法律(ストーカー規制法)によって規制されています。
ストーカー規制法では「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」つきまとい等をすることを禁止しています。
ストーカー規制法のいう「つきまとい行為」は以下のものを指します(2条1項各号)
1.住居,勤務先,学校その他通常所在場所でのつきまとい,待ち伏せ,進路立ちふさがり,見張り,押しかけ,付近をみだりにうろつく
2.監視している旨の告知等
3.面会・交際・その他義務のないことを行うことの要求
4.著しく粗野な言動,著しく乱暴な言動
5.無言電話,拒絶 後の連続した架電,またはファックス・電子メール・インスタントメッセージ・SNS等の送信,やブログ等への返信等
6.汚物・動物の死体ほかの送付等
7.名誉を害する事項の告知等
8.性的羞恥心を害する事項の告知等,性的羞恥心を害する電磁気的記録ほかの送信
ストーカー規制法は「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が要件となっています。
そのため,ケース①のような場合にはそもそも恋愛感情に起因するものではないのでストーカー規制法の対象外となります。
そこで,愛知県迷惑行為防止条例は,ストーカー行為等の規制等に関する法律で規定する目的を除くほか,正当な理由なく,専ら,特定の者に対する妬み,恨みその他の悪意の感情を充足する目的で上記行為をすることを禁止しています。
すなわち,ケース①の場合にはストーカー規制法ではなく愛知県迷惑行為防止条例違反となります。
~法定刑や弁護方針~
ストーカー規制法の罰則は原則として1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
また,愛知県迷惑行為防止条例違反の場合も同様に1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
なお,つきまとい等の禁止命令に反してストーカー行為を行った場合や,愛知県迷惑防止条例の定める嫌がらせ行為を常習として行た場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。
検察官に起訴された場合には罰金となることが多いですが事案によっては執行猶予付きの判決や実刑となる場合も考えられます。
逆に,被害者の方が許している(=示談が成立している)場合には起訴猶予となることも考えられます。
また,事案によっては怨恨などの感情はなく,ストーカー規制法および愛知県迷惑行為防止条例のどちらにも該当しないと主張することも考えられます。
特に,ケース②の場合には怨恨の感情を充足する目的があったとはいえないとも考えられます。
示談を進めるべきかストーカーなどに該当しないと主張するべきかは具体的な事案によって判断する必要があります。
まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部には刑事事件の弁護経験豊富な弁護士が多数所属しています。
ストーカー事件で示談を成立させ起訴猶予となった事例もございます。
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