傷害罪で責任能力を争うなら
~ケース~
大府市在住のAさんは、ふとしたことからVさんと口論になり、Vさんの顔を殴打してしまった。
その為。後日Aさんは傷害罪の容疑で愛知県警察東海警察署に逮捕された。
ただし、Aさんは以前からパニック障がいを患っており、些細なことでも気が動転し、思いもよらない行動を取ってしまうことがあった。
そのため、Aさんの両親は、犯行時も訳が分からない状態で暴行を振るってしまったのではないかと思っている。
そこで、刑事事件に強い法律事務所に責任能力に問題があったことを主張することは出来ないか相談をすることにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~刑事責任能力とは~
刑事事件における責任能力について、刑法では「心神喪失者の行為は、罰しない。(刑法第39条)」、そして「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。(刑法第39条2)」と定められています。
つまり、責任能力について争いがあるケースでは、
①心神喪失(責任無能力)の場合→無罪
②心神耗弱(部分責任能力)の場合→有罪であったとしても減軽される
③完全責任能力→有罪
という流れになります。
この点、心神喪失とは、精神の障害によって、善悪の判断をする能力またはその判断にしたがって行動をする能力が失われている状態を指します。
次に、心神耗弱とは、精神の障害によって、善悪の判断をする能力またはその判断にしたがって行動をする能力が著しく障害されている状態を指します。
この責任能力については、生物学的要素や心理学的要素から、その有無や程度については、専門家たる精神医学者の意見が尊重されますが、究極的には裁判所が判断する法律問題です。
その為、起訴される前の段階で心神喪失や心神耗弱であったことが明らかなケースでは、検察官が公訴を提起をしない、つまり裁判をしない(不起訴、起訴猶予)ことが考えられます。
また、仮に起訴されて公判になった場合、裁判官(裁判員裁判の場合は裁判員も含む)が刑事責任能力について、心神喪失や心神耗弱で会ったといえるのか否かを、精神鑑定の結果等をもとに判断します。
したがって、責任能力が問題となる場合については、出来るだけ早期の捜査段階から弁護活動を開始し、心神喪失や心神耗弱であったことを捜査機関や裁判所に主張してもらうことが大切です。
~責任能力を争う際の弁護活動~
責任能力に争いがある事件における弁護活動としては、まず被疑者の事件直後の供述などを含む取調べ対応などがあります。
特に、捜査開始直後の供述で心神喪失あるいは心神耗弱にあたりうる精神状態・健康状態であったということを話しているか否かが、最終的に責任能力の有無の認定に大きな影響を与える可能性があります。
また、例えば妄想などの精神症状は時間の経過により消えたり軽くなったりすることがあるため、事件直後の被疑者の精神状態を正確に把握し、それを立証する上で証拠となりうるものは保全をする必要があります。
そして、仮に起訴されてしまった場合には、責任能力を争うなどの公判段階での弁護活動が想定されます。
このように、責任能力を争う弁護活動については早期の対応が重要なため、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は刑事事件のみを日頃受任しておりますので、傷害罪や責任能力が問題となる刑事事件についての相談も安心してお任せいただけます。
傷害罪に問われてお困りの方、責任能力について主張したいとお考えの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。