痴漢で再逮捕されたら

2019-08-08

痴漢で再逮捕されたら

~ケース~

豊明市在住のAさんは豊明駅でVさんに痴漢をし,Vさんおよび周囲の人に取り押さえられた。
その後,停車駅で駅員に引き渡され通報により駆け付けた愛知県警察愛知警察署の警察官によって愛知県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の疑いで現行犯逮捕された。
Aさんは愛知県警察愛知警察署で取り調べを受け,検察官に送致後,勾留請求されたが勾留されずに翌々日釈放された。
Aさんはその際,取調べ等の出頭要請には応じるという内容の誓約書に署名した。
その後,Aさんは検察官から事情聴取のため数回呼び出しを受けたが,Aさんはこれらをすべて無視した。
検察官はAさんが任意出頭にまったく応じない事を理由に裁判所に逮捕状を請求し,裁判所は逮捕状を発付した。
Aさんは検察官に逮捕され勾留,起訴された。
(2019年8月8日の讀賣新聞オンラインの記事を基にしたフィクションです)

~逮捕~

逮捕は被疑者を比較的短時間拘束する強制処分をいいます。
逮捕は大別すると現行犯逮捕と通常逮捕,緊急逮捕があります。
現行犯逮捕は犯罪を犯した犯人をその場で逮捕すること,通常逮捕は裁判所の発付する逮捕状を基に被疑者を逮捕することをいいます。
緊急逮捕は一定の重大事件を犯したと思料される場合で,逮捕状の発付を待つ余裕が無い緊急の必要性がある場合にその場で逮捕し,事後的に逮捕状の発付を行うものです。
重大な事件とは死刑または無期もしくは3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪をいいます。

◇逮捕の期間◇

上述の通り,逮捕は被疑者を比較的短時間拘束する強制処分をいいます。
具体的な期間は刑事訴訟法203条第1項に,「被疑者が身柄を拘束された時から48時間以内に書類および証拠物と共に検察官に送致しなければならない」と定められており,同条第4項に「第1項の時間内に送致の手続きをしないときは,直ちに被疑者を釈放しなければならない」と定められています。
そして,現行犯逮捕についても第216条によって上記第203条を準用する旨規定されています。

◇再逮捕・再勾留の禁止◇

一度逮捕ないし勾留が終了し身柄拘束を解かれた被疑者を,同一の事実で再び逮捕・勾留を行うことは原則として許されません。
これらを認めてしまうと,刑事訴訟法が上述のような逮捕の期間や,勾留の期間を定めている趣旨を没却することになるからです。
しかし,再逮捕・再勾留禁止の原則にも,一定の場合には例外が認められています。
なぜなら,再度の身柄拘束をして捜査を行う必要性が生じる場合があることは否定しがたく,また,再逮捕、再交流を原則禁止の趣旨は、身柄拘束の不当な蒸し返しを禁ずる点にあり,それに該当しない場合には再度の身柄拘束を認めても差し支えないと考えられるからです。
そして、逮捕後に逃亡もしくは罪証隠滅のおそれが無い,もしくは消滅したとして釈放された場合,逃亡・罪証隠滅のおそれが再発生するなど,先の逮捕終了後の事情変更により再逮捕すべき合理的必要性が生じたことが要求されます。
ただし、これらは逮捕の理由と必要性を具備するに過ぎず,原則に対する「例外」要件として再逮捕の必要性は,加重されたそれでなければならず,犯罪の軽重や嫌疑の程度その他諸般の事情から,被疑者の利益を考慮してもなお再逮捕がやむを得ないと言える程度の高度の必要性が認められた場合にのみ認められるべきだと考えられています。

~再逮捕は認められるのか?~

今回のケースで、Aさんは検察官による呼び出しを無視し続けたのであり,その事実から逃亡のおそれがあると判断される可能性は考えられます。
逃亡のおそれ等がなく,身柄拘束をする必要がないとの判断により勾留請求が認められず在宅での事件となったという事情を考慮すると,呼び出しに応じないという事は逃亡し所在不明となる危険性もありますので,捜査の上で再逮捕によって身柄拘束するのもやむを得ない,不当な蒸し返しではないとみなされる可能性はあるでしょう。

一方,モデルとなった事件では,弁護人が選任されており,単に呼び出しを無視していたというわけではなく弁護人が対応していたという事情もあり,逃亡・罪証隠滅のおそれが高まっているとはいえないようにも感じられます。

上記のケースのように、同一の事実で再逮捕・再勾留されるようなことがあった場合、早急に弁護士に相談することをお勧めします。
もし、再逮捕・再勾留が違法だと判断された場合、身柄解放はもちろんのこと、再逮捕・再勾留によって収集された証拠は裁判上証拠として認められなくなりますので、被疑者・被告人が違法な捜査によって不利益を被ることを避けることが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件での対応にお悩みの方、再逮捕・再勾留をされてお困りの方は、は0120-631-881までお気軽にご相談ください。