Archive for the ‘財産犯・経済事件’ Category

【ニュース紹介】愛知県東浦町で起きた侵入窃盗事件

2023-08-12

今回は、愛知県東浦町で起きた侵入窃盗事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

ニュース記事6月28日配信の産経新聞の記事を引用

今年4月7日、愛知県東浦町の男性会社員宅に侵入し、トレーディングカード約3万3000枚(計約3800万円相当)を窃盗した男らが住居侵入窃盗の容疑で愛知県警に逮捕されました。

本日はこちらのニュースを参考に侵入窃盗事件について解説します。

侵入窃盗事件とは

人の家やお店などに不法侵入し、そこで窃盗すると、住居侵入や、建造物侵入の罪と、窃盗の罪の両方にとわれます。

まず住居侵入や建造物侵入罪については、刑法第130条に「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、(中略)、3年以下の懲役又は10年以下の罰金に処する」と定められており、簡単に言うと、他人の家やお店等に不法侵入することで成立する犯罪です。
住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10年以下の罰金」ですので、有罪が確定すると、この法定刑で刑事罰が科せられます。

続いて窃盗罪については、刑法第235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められており、簡単に言うと、人のものを盗むことで成立する犯罪です。
窃盗罪の客体となる「他人の財物」とは、他人が占有する他人の所有物を意味します。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、有罪が確定すると、この法定刑で刑事罰が科せられます。

侵入窃盗は、住居侵入や、建造物侵入の罪と、窃盗の罪の両方に抵触しており、このように数個の犯罪が、手段と目的の関係にある場合を牽連犯といいます。
牽連犯の場合、刑を科する上で一罪として扱われ、その数個の罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されるので、侵入窃盗の場合は、窃盗罪の法定刑が適用されます。
ただ窃盗罪の中でも侵入窃盗は、悪質な類の事件とされているので、初犯であっても、被害額が高額に及ぶ場合や、余罪が複数ある場合などは実刑判決となる可能性があるので注意が必要です。

侵入窃盗事件の弁護活動

侵入窃盗事件を起こして逮捕された方について、少しでも軽い刑事罰を望むのであれば、被害者との示談が必至となります。
参考事件のように被害額が大きい場合、強い非難が寄せられることが考えらます。
特に、参考事件の被害品とされるトレーディングカードの中にはプレミアムがついたり希少価値が高く、その価格が高騰しているものがあったりすることから、示談交渉が難航する可能性があるので、まずは刑事事件に詳しい弁護士の接見を受け、アドバイスを受けることをお勧めします。

刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
窃盗事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)にて、無料法律相談初回接見サービスのご予約を受け付けております。

【ニュース紹介】勤務先の葬儀場で、男性利用者の香典の現金を窃取し逮捕

2023-07-13

今回は、葬儀場の責任者が、勤務先の葬儀場で男性利用者の香典を窃取した疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県安城市の葬儀場で、利用者の香典を別の香典袋とすり替えて現金12万円を盗んだとして、この葬儀場の責任者の男が逮捕されました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、安城市にある葬儀場の責任者の男(31)です。
警察によりますと男は4月3日、勤務先の葬儀場で、男性利用者の香典の現金12万円を盗んだ疑いが持たれています。
男は男性利用者が使うロッカーに入っていた香典の署名を、自分が用意した別の香典袋に書き写し、すり替えていたとみられています。
男は容疑を認めているということで、警察が詳しく調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=018316 4月17日 「葬儀場の責任者を香典窃盗容疑で逮捕 香典の署名を自分が用意した別の香典袋に書き写してすり替えか」より引用)

【ケースの事件において想定される弁護活動】

ケースの事件は、葬儀場の責任者が、利用者の香典を盗んだ疑いで逮捕されたというものであり、被疑者の職務上、強い非難が寄せられると思われます。
もっとも、事件を起こしたのが記事となった1件だけであり、前科・前歴などがなければ、被害者と示談を成立させることによって不起訴処分を獲得するなど、有利な事件解決を実現できる可能性もあります。

ただし、前述の通り、被疑者が葬儀場の責任者であるにも関わらず利用者の香典に手を出してしまったこと、香典が単なる金銭ではなく、故人や遺族への思いがつまったものであることを考慮すると、刑事手続上、厳しい処分がなされる可能性や、示談交渉が難航する可能性も十分ありえます。

まずは刑事事件に詳しい弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
窃盗事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)にてご相談の予約を受け付けております。

【解決事例】愛知県瀬戸市の窃盗事件で接見禁止の一部解除を獲得

2023-06-16

窃盗事件について接見禁止の一部解除を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案の概要】

愛知県瀬戸市在住のAさんは、あるとき、知人のBさんから、「以前自分が勤めていたV社に盗みに入って一緒にひと稼ぎしないか」と誘われました。
最初は断ったものの、借金の返済に追われ、お金に困っていたAさんは、Bさんと一緒にV社に侵入し、工具などを盗み、これを売却するなどしました。
2人は同様の行為を複数回行っていましたが、工具が頻繁に紛失することを不審に思ったV社が愛知県警察瀬戸警察署に相談、被害届を提出しました。
捜査の結果、Aさんは窃盗の容疑で瀬戸警察署の警察官に逮捕され、接見禁止が付きました。
ご相談時、Aさんの奥様は、「私も息子たちも夫の体調が心配です。なんとか面会できないでしょうか。」とご相談時お話しされました。
(守秘義務の関係上、一部事実と異なる表記をしています。)

【接見禁止とは】

前提として、刑事訴訟法は、被疑者の家族や友人などが、勾留された被疑者に接見(面会)することを認めています。

刑事訴訟法第80条

勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
(*「第39条第1項に規定する者以外の者」とは、弁護人又は弁護人になろうとする者のことをいいます。また、「被告人」とありますが、刑事訴訟法第207条第1項により、被疑者にも準用されます。)
しかし、逃亡や、証拠隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判所は、検察官の請求もしくは職権で、弁護士以外による接見を禁止することができ、これを「接見禁止」といいます。

刑事訴訟法第81条

裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
(「被告人」とありますが、刑事訴訟法第80条と同じく、刑事訴訟法第207条第1項により、被疑者にも準用されます。)

接見禁止がつくと、ご家族の方による面会のみならず、手紙などの差し入れをすることも出来なくなってしまいます。
接見禁止が認められやすいのは、共犯者がいる事件や組織的な詐欺事件、薬物事件など、特に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる事件です。
今回の事案は、共犯事件であり、盗品の売買も行っていたことから、証拠隠滅の可能性が極めて高いと判断され、接見禁止がついたと考えられます。

【具体的な弁護活動】

裁判所に対し、①共犯者であるBさんも既に逮捕されていることに加え、AさんはBさんに今後一切接触しない旨誓約しており、証拠隠滅のおそれがないこと、②Aさんには幼い子どもがいるため、長期にわたって父親に会えないという状況は養育上好ましくないこと、③Aさんの体調の確認の必要があることなどを主張し、奥様とAさんの長男との接見禁止を解除するように主張しました。
その結果、奥様とAさんの長男に対して接見禁止等一部解除決定がされました。
また、捜査の結果、Aさんは起訴されました。
被害額が多額であり、被害者の方との示談締結も断られてしまいましたが、裁判において、Aさんは主導的立場ではなかったこと、Aさんには前科前歴がなく両親や勤務先の社長が今後の支援を約束していることなどを主張した結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。

【まとめ】

接見禁止となった場合、弁護士が接見禁止の解除の申立て又は接見禁止の一部解除の申立てをすることができます。
今回のような事案でも、事件とは全く関係のない奥様や息子さんとの面会を認めても、証拠隠滅のおそれがないとして、接見禁止の一部解除の申立てを行うことが一般的です。

ご家族の方が逮捕・勾留されたが、接見禁止がついているため面会できずお困りの方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族だけでも接見禁止を解除したいという場合は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【ニュース紹介】名古屋市天白区で起きた詐欺事件

2023-06-13

今回は、名古屋市天白区で起きた詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

亡くなった妻の携帯電話にかかってきた嘘の電話で、名古屋市天白区の60代の男性が現金およそ900万円を騙し取られました。
警察によりますと、今年8月、天白区に住む60代の男性が解約せずに持っていた亡くなった妻の携帯電話に、探偵を名乗る男から「今かけている携帯電話が詐欺に使われた」「被害者が生活に困っている」などと電話がありました。
その後も警察官などを名乗る男から「事件が解決したらお金を返せる」などと電話があり、男性は20回にわたり、現金合わせておよそ900万円を指示された口座に振り込み、騙し取られました。
9月末に男らと急に連絡が取れなくなったことから男性が不審に思い、3日警察に相談して事件が発覚したということです。
警察は「『お金を返すからATMに行け』は詐欺です」などと注意を呼び掛けています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/361d54955d312dd3fae7111c54de76770f542acb 令和5年10月3日 東海テレビ 「亡くなった妻の携帯にかかった電話で詐欺被害「電話が詐欺使われた」とウソ 男性が約900万円騙し取られる」より引用)

【特殊詐欺について】

ケースの詐欺事件は、振り込め詐欺とよばれる特殊詐欺の一種で、電話やはがきなどを用いて対面せずに被害者を騙し、金銭を要求し指定した口座に現金を振り込ませる等の方法で現金を騙し取る手口の詐欺事件です。
『振り込め』詐欺と呼ばれる手法のみならず、銀行口座に現金を振り込ませずに宅配便で郵送させる、「受け子」と呼ばれる犯人の手先が直接受け取りに来るなど、『振り込まない』形式で現金を騙し取る事件も頻発しています。
今回の事例で問題となる≪振り込め詐欺≫には、手数料を支払えば巨額の還付金が戻ってくる等の≪還付金詐欺≫、本来存在しない請求(アダルトサイトの登録料など)書類を送ることで被害者を騙して振込させる≪架空請求詐欺≫などの類型があります。

特殊詐欺の場合は主犯格である「指示役」のほかに電話を架ける「架け子」、被害者宅を訪問してキャッシュカードや現金を受け取る「受け子」、受け取ったキャッシュカードを使ってATMで金を引出す「出し子」などに役割が分かれ、役割によって罪が異なります。
また、「受け子」に関してはその方法により罪が異なります。

今回の報道については、まだ犯人が逮捕等されていないようですが、「架け子」のみで特殊詐欺をしています。
この「架け子」については、詐欺罪に問われることが考えられます。
詐欺罪の条文は、刑法第246条第1項にて「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。

詐欺罪は懲役刑しか定められていないため略式手続の対象にならず、起訴された場合には正式裁判を受けることになります。
裁判でも厳しい刑罰が予想され、とりわけ報道事例については被害金額が約900万円と巨額であることから、弁済が出来たとしても実刑判決を受ける可能性があります。
このような事件で捜査されている場合、速やかに弁護士に弁護を依頼し、被害者との示談交渉を行う、立場・役割・認識といった点を整理する、取調べでのアドバイスを受ける、等が後々の裁判で重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しています。
当事務所では、弁護士が逮捕・勾留されている方のいる警察署の留置場や拘置所に直接伺ってお話を聞く初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。
ご家族がオレオレ詐欺などの詐欺罪の疑いで逮捕され、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、初回接見サービスやご相談の予約を受け付けております。

【裁判紹介】交通事件に関する詐欺事件の裁判例等を紹介

2023-05-23

交通事故に関する詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

交通事故に遭った際、通院で勤務を休んだ日数を水増しして保険会社に申告し、保険金およそ5万9000円を騙し取った罪に問われていた被告人に対し、名古屋地裁は「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決を言い渡した。
(東海テレビ「元警察官の32歳男に執行猶予付きの判決」(2020/7/31)を引用・参照)。

【交通事故に関する詐欺事件】

(詐欺)
第246条 
①人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
②前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法に規定されている詐欺罪(刑法246条)には、客体を「財物」とするいわゆる1項詐欺と、「財産上の利益」を客体とする2項詐欺があります。
本稿では、最も一般的な1項詐欺に関する事件について取り上げて解説していきたいと思います。

上記にもあるように246条1項は「人を欺いて財物を交付させた者」に詐欺罪が成立すると定めるのみで非常にシンプルな条文となっています。
しかし、詐欺罪は財産犯(刑法第2編36章~40章)の中でも複雑な構造を持つ犯罪であるということに注意を要します。
1項詐欺罪(既遂)が成立には、「人を欺く行為(欺罔行為)→錯誤→財物の交付→財物の移転」という因果連関が必要となるのです。
これを本事案について見てみると、交通事故にあった被告人が、当時の勤務先に有給休暇を請求しこれを加えた水増しした休業補償金(保険金)を保険会社に申告し(「人を欺」く行為)、申告に基づいた保険金が発生すると誤信した保険会社が(錯誤)、水増しされた保険金を被告人に交付し(交付行為)、被告人がこれを受け取っている(財物の移転)ことから詐欺罪が成立することになります。
交通事故に関する詐欺事件には、本事案のようないわゆる保険金詐欺の他にも、保険会社が絡まない偽装事故のケースも存在します。
被告人らが乗用車と歩行者の衝突事故を偽装し、何も知らない同乗者の被害者(自らを加害者と誤信)から示談金を請求するようなケースです。
詐欺罪はいわゆる知能犯と分類されることからも分かる通り、様々な態様で行われケースによっては高度な組織性を有することもあり(それを被疑者・被告人が認識していない場合も少なくありません)、専門家である刑事弁護士によるサポートが不可欠な事件類型といえるでしょう。

【詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動】

本事案では、被告人に「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決が下されています。
まず詐欺事件を起こしてしまった場合、最大の関心事の一つとなるのが起訴されるかされないか(裁判になるかならないか)でしょう。
財産罪(財産犯)は当然のことながら財産を侵害する犯罪ですから、被害弁償や示談成立の有無が判断を分ける重要な要素となることは間違いありません。
したがって、弁護士としては被害者側とコンタクトを取り、出来るだけ早い段階でこれらの弁護活動において成果を出していくことが肝要となります。
次に起訴されてしまった場合は、どのような判決が下されるのかということが最大の焦点となります。
近年は特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺に端を発する多様化した特殊な詐欺・窃盗事件)を中心とした組織的な詐欺事件には極めて重い判決が下される傾向にあると言われています。
本稿で紹介した事案は特殊詐欺ではないものの、被疑者・被告人のあずかり知らぬ内に組織的な詐欺事件に加担していることも少なくないため、弁護士による十分な聞き取りやその専門知識にもとづく裁判の見通しについての助言を受けることもまた不可欠といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、詐欺事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

【裁判紹介】背任事件についての裁判例を紹介

2023-05-14

背任事件に関する裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた元県職員の被告人の判決公判で静岡地裁は、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。  
(静岡新聞「元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任」(2023/02/09)を引用・参照)。

【背任罪について】

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本事案では、被告人は公務員の立場で公文書偽造した虚偽公文書作成罪および同行使罪(刑法156条、158条1項)の罪にも問われていますが、本稿では背任罪(刑法247条)についてのみに焦点を絞り解説していきます。
まず本件被告人は、(本件行為時)県職員であり、県の公共工事に関して の事務処理を委託された者として「他人のためにその事務を処理する者」ということができます。
そして、そのような立場にある被告人が、本来減額すべき請負代金(業者に支払う代金)を増額するという「任務に背く行為」(背任行為)を行っており、これによって県に損害を生じさせています(「本人に財産上の損害を加えた」)。
さらに、背任罪は目的犯であることから、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(一般に図利加害目的と呼ばれます)という特殊な主観的要件を要します。
これは、要するに本人の利益を図る目的がある場合には背任罪は成立しないということを裏から規定したものと読むことができます。
したがって、本事案のように本人(県)に損害を加える目的が認められる場合にはこの要件を満たすといえます。
なお、注意すべきなのが、背任罪と(業務上)横領罪については必ずしもその区別は明確でなく、どちらの罪が成立するか(あるいはどちらも成立しないのか)については刑事事件に関する専門的なトレーニングを受けた弁護士でなければその区別が容易ではないケースも少なくないということです。
したがって、背任罪を含めた刑事責任を問われている方(嫌疑をかけられている方)は弁護士のアドバイスを仰ぐことが必須といえるでしょう。

【背任事件の裁判例等について】

本事案では、被告人には「懲役2年、執行猶予3年」の判決が下されています。
しかし、背任事件で実刑判決を受けるおそれがないかと言えばそうではありません。
他の事案では、例えば組合の代表理事が過去に貸付金が回収不能になったことのある会社に対し約3000万円の融資を行い組合に損害を与えたケースにおいて、代表理事に「懲役2年(求刑懲役3年)」の実刑判決が言い渡されています。
この事案は、本件事案とは異なり、巧妙に「自己」(被告人)もしくは「他人」(被告人の妻)の利益を図ったケースと考えられ、また損害額も大きいことから実刑判決に至ったと考えられます。
もっとも、裁判所の量刑判断には他にも様々な事情が影響すると考えられることから、安易な判断は禁物であり、専門家である刑事弁護士への相談が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、背任事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
弊所には、多数の不起訴処分や執行猶予判決を獲得した実績を有する弁護士が多数所属しています。
背任事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

【裁判紹介】窃盗事件の裁判例を紹介

2023-04-23

窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

名古屋市中区の路上で被害者が約3800万円が入ったかばんをひったくられた事件で、窃盗罪に問われた被告人に対し、名古屋地裁は懲役2年10ヶ月の実刑判決を言い渡した。
判決理由として、多額の現金運搬情報に基づく計画性が高い犯行で、被害回復もされていないことが指摘された。
(朝日新聞「3800万円ひったくり、無職男に実刑判決 名古屋地裁」(2019/11/8)を引用・参照)。

【実刑判決相当の窃盗事件について】

令和4年犯罪白書によると、窃盗罪は認知件数において刑法犯の7割近くを占めるとされており、日本において最もポピュラーな犯罪の一つということができるでしょう。
では、そのような窃盗事件のうち、実際に刑事事件化したもので実刑判決を受ける可能性とはどの程度のものなのでしょうか。
同じく令和4年版の犯罪白書をみると、窃盗罪で起訴された約10,000件(通常第一審)のうち全部執行猶予判決を受けたのはその約半数にすぎず、もう約半数は実刑判決となっていることが分かります。
また、略式起訴にもとづいて罰金刑となった件数も5,000件程度であり、窃盗罪で起訴されてしまうと実刑判決を受ける可能性というのは少なくとも統計上はそれほど低くないのです。

【窃盗事件における裁判例と弁護活動】

本事案では、被告人は懲役2年10ヶ月の実刑判決を受けています。
他の窃盗事件において実刑判決を受けたケースをみてみると、薬物依存の回復施設の入所者のカードを不正に利用し計約1500万円余りを引き出したケースで、被告人に懲役5年の実刑判決が下されています。
実刑判決を受けた両者に共通するのは、被害額の大きさであり、量刑にあたってはこの点が大きく考慮されることは間違いありません。
もっとも、両者を比較するとその刑は被害額だけから判断されたものでないこともまた明らかです。
実際の量刑は、前科前歴や被害弁償・示談の有無など様々な要素が考慮されてなされることから、事務経験・専門知識に長けた弁護士によるサポートが必要不可欠となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗事件を含む刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
窃盗事件の対応に長けた経験豊富な弁護士が、迅速な無料相談や初回接見を承ります。
窃盗事件を起こしてしまったご本人、または窃盗事件で逮捕・起訴等されてしまった方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせ下さい。

【解決事例】詐欺事件で接見禁止の一部解除と執行猶予判決を獲得

2023-03-21

詐欺事件で弁護活動により、接見禁止の一部解除と執行猶予判決を獲得した事案を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

AさんはSNSで某有名アイドルグループのライブチケットの購入を希望しているVさんに対して、実際にはライブチケットを保有せず、すぐに発送できないにもかかわらず、「代金を支払っていただければ3日以内に発送できます」などと偽り、Vさんに代金を振り込ませました。
なお、AさんはVさん以外にも同様の手口で代金を振り込ませていました。
代金を支払ったにもかかわらず、ライブチケットが発送されないことを不審に思ったVさんが愛知県知多警察署に相談し、捜査の結果、Aさんは詐欺の疑いで逮捕・勾留され、接見禁止がつきました。
Aさんのご家族は、「息子は持病があるため体調がとても心配です。なんとか面会できないでしょうか」とご相談時お話しされました。
(*守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)

【接見禁止が付いてしまった場合は面会できない?】

原則として、刑事訴訟法は、被疑者の家族や友人などが、勾留された被疑者と接見(面会)することを認めています(刑事訴訟法第80条、第207条第1項)。
しかし、逃亡や、証拠隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判所は、検察官の請求もしくは職権で、弁護士以外による面会を禁止することが出来ます。
これを「接見禁止」といいます(刑事訴訟法第81条、第207条第1項)。

接見禁止はどんな事件にも付くわけではなく、共犯者がいる事件、組織的な詐欺事件、薬物事件など、特に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる事件に付くことが多いです。
今回の事案は、詐欺事件であることに加え、被害者の方が複数いることなどから、接見禁止がつけられたと考えられます。

接見禁止となった場合、ご家族の方であっても面会することはできません。
しかし、弁護士を通じて、接見禁止の解除の申立て又は接見禁止の一部解除の申立てをすることができます。
多くの場合、事件とは関係のないご家族との面会を認めても、罪証隠滅のおそれがないとして、接見禁止の一部解除の申立てを行うことが一般的です。

【具体的な弁護活動】

まず、Aさんのご両親がAさんと面会できるように、裁判所に対して接見禁止の一部解除を求めました。
書面にて、Aさんのご両親は事件と一切関係なく、接見を認めても支障がないこと及びAさんの持病の関係から体調確認の必要性が高いことなどを主張しました。
その結果、Aさんのご両親に対して接見禁止の一部解除がなされ、Aさんと面会することができました。
一方、事件については、被害者の方が複数名おり、被害額が多額であることや、Vさんを含めた被害者の方が示談に応じてくれなかったことから、起訴され正式裁判となりました。
裁判において、検察官が、実刑判決が相当であると主張したのに対して、弁護士が①示談締結には至らなかったものの被害額は全額弁償されていること、②Aさんの両親による監督が期待できることなどを挙げ、執行猶予付き判決によるべきと主張しました。
その結果、Aさんは執行猶予付き判決となりました。

【まとめ】

接見禁止が付いたとしても、弁護士による接見禁止の一部解除の申立てを行い、これが認められれば、ご家族の方による面会が可能になります。
今回の事案では、Aさんが持病を抱えているため定期的に体調を確認する必要があることを主張したことが、接見禁止の一部解除が認められた理由のひとつと考えられます。

また、詐欺罪は罰金刑が規定されていないため、起訴されれば必ず正式裁判となります。
そのため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考える場合、弁護士による刑事処分の軽減のための弁護活動が不可欠です。
刑事処分軽減のための具体的な弁護活動として、示談締結が挙げられますが、被害者の方が示談に応じてくれないことも多いです。
しかし、このような場合でも、被害者の方へ謝罪文を提出していることや、被害金の弁償を行っていることを情状証拠として提出するなどして、刑事処分の軽減を目指します。
今回の事案でも、Aさんが被害金全額の弁償を行っていることを弁護士が書面にまとめて情状証拠として提出したことが、Aさんの執行猶予付き判決に繋がりました。

詐欺事件でご家族の方が逮捕されてしまいお困りの方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
今回の事案のような詐欺事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
ご相談は
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。

【ニュース紹介】名古屋市で側溝のふたを盗んだ疑いで男性が逮捕

2023-03-18

今回は、金属窃盗の被疑者が検挙されたという報道をもとに、想定される今後の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市港区で側溝のふたを盗んだ疑いで、31歳の男が逮捕されました。現場近くの公園では側溝のふたなどの盗難が相次いでいて、警察が関連を調べています。

窃盗の疑いで逮捕されたのは、住所不定の31歳男性です。

警察によりますと男性は先月29日、港区の路上に設置されていた側溝のふた1枚(時価1万1100円相当)を盗んだ疑いが持たれています。

調べに対し「間違いないです」と容疑を認めています。

現場近くの公園では先月下旬から、価格の高騰する金属を狙ったとみられる、側溝のふたやテント用の重りなどの盗難が相次いでいて、警察は関連を調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016276 メ~テレ 11月26日 「公園で相次いだ金属盗難と関連は…側溝のふたを盗んだ疑いで31歳男を逮捕 愛知県警」より引用 ※被疑者氏名は伏せてあります)

【相次ぐ金属をターゲットとした窃盗事件】

昨今、金属の価格が高騰しており、金属をターゲットとした窃盗事件が相次いでいます。
金属窃盗の主な動機は、金属くず商などに転売し、利益をあげることと考えられます。

【逮捕後はどうなる?】

ケースの事件の身体拘束は長期化する可能性が見込まれます。
現場近くの公園で先月下旬から、側溝のふたやテント用の重りなどの盗難が相次いでおり、余罪を追及される可能性が高いからです。

【改めて逮捕される可能性も】

ケースの男性は、「10月29日、港区の路上に設置されていた側溝のふた1枚を盗んだ疑い」で逮捕されていますが、余罪に関する捜査が進み、逮捕できる状態になると、余罪について改めて逮捕されてしまう可能性があります。
このように、別の被疑事実で改めて逮捕されるということが繰り返されると、身体拘束の期間は相当に長期化し、社会復帰、被疑者の心身に悪影響をもたらすことになります。

身体拘束の長期化が見込まれる場合は、すぐに弁護士を依頼し、事件解決に向けて活動してもらうことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が金属窃盗の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
ご相談は
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。

愛知県瀬戸市における窃盗事件

2023-02-13

今回は、侵入盗事件の報道を一部改変したフィクションを題材に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県瀬戸市内のアパートから現金数百万円を盗んだとして逮捕された30代の男性3人の中に、被害男性の知人がいて留守にすることを事前に知らせていたことが新たにわかりました。
窃盗などの疑いで愛知県瀬戸警察署に逮捕され、某日送検された愛知県瀬戸市在住の無職男性3人は10月、愛知県瀬戸市内のアパートに侵入し現金数百万円を盗んだ疑いがもたれています。
3人はインターホンを押して、住人の留守を確認したあと2階のベランダから侵入していました。
被害にあった男性によりますと、男らの中に知人がいて留守にすることを事前に知らせていたということです。
(報道内容を一部改変したフィクションです)

【ケースの事件について解説】

ケースでは、はからずも被害男性自身が犯人に留守の日を教え、侵入盗を容易にしてしまいました。
知人として信用して留守の予定を伝えたのであれば、やりきれない思いでしょう。

【想定される弁護活動】

刑事事件では、刑事弁護に熟練した弁護士にいち早く事件解決を依頼することが重要です。
被疑者が逮捕され、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に、検察へ身柄が送致されます。
身柄を受け取った検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。

勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと10日間、延長決定が出されるとさらに最長10日間勾留されることになります。
捜査中に釈放されることなく、勾留されたまま起訴された場合は、自動的に起訴後勾留に移行し、再び身体拘束が継続します。

特にケースの事件では、共犯者がいること、被害額が数百万円と多額であること、被害者と近しい間柄にある者がいることから、身体拘束は長引く可能性が高いと思われます。
また、ケースのような侵入盗においては、被害額が数百万円となると、初犯であっても実刑判決を受ける可能性が十分にあります。

まずは弁護士の接見を受け、取り調べへの対応や被害者との示談など今後の事件解決に向けて十分なアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が窃盗事件、侵入盗事件を起こして逮捕され、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

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