痴漢と欠格について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
看護師を目指して看護学校に通うA君は、数か月前、JRの電車内で痴漢をしたとして逮捕され、起訴され、昨年12月の裁判で、懲役4月、3年間執行猶予の有罪判決を受けてしまいました。A君は、今年5月に看護師試験を控えており、試験を受験することが可能か、仮に合格した場合、看護師免許を取得することができるかどうか不安になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~欠格事由~
欠格とは、要求されている資格を欠くこと、欠格に当たる理由(事由)のことを「欠格事由」といいます。国家公務員、地方公務員、国家資格を必要とする職業は、職責が重く、国民からの高度な信頼も必要とされることから、法律で欠格事由が定められています。
では、看護師の欠格事由はどう定められているのでしょうか?
この点、保険師助産師看護師法9条1号(欠格事由)に次の定めが設けられています。
次の各号のいずれかに該当する者には、前二条による免許を与えないことがある
1 罰金以上の刑に処せられた者
2 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの
4 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
1号の「罰金以上の刑」とは、罰金刑、禁錮刑、懲役刑、死刑のことをいいます。「刑に処せられた」とは裁判を受け、その裁判が確定したことを言います。また、執行猶予付き判決を受けた場合も「刑に処せられた」に当たります。
~看護師試験を受験することが可能か?~
以上の規定を踏まえた上で、A君のご質問に回答します。
まず、欠格事由は、看護師免許を与えるか与えないかの判断の際に考慮されるもので、試験の受験とは無関係です。
したがって、試験の受験自体に制限がない限り「可能」と考えます(受験要領などで確認してください)。
~看護師免許を取得することは可能か~
次に、仮に、A君が試験に合格しても、A君はいまだ「執行猶予中」だと思います。
そして、前述のとおり、「刑に処せられた」には執行猶予中の場合も含まれますから、A君は看護師の免許を取得できない可能性があります。
免許を与えるかどうかは、最終的には厚生労働大臣の判断に委ねられます。
なお、執行猶予期間中、何事もなく経過すれば、執行猶予を言い渡した刑の効力は失われます(刑法27条、だたし前科は残ります)。
つまり、Aさんは「罰金以上の刑に処せられた者」ではなくなり、免許を取得することができます。
刑法27条
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。痴漢でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

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交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
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