少年事件で観護措置を回避
少年事件で観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
愛知県一宮市に住む中学3年生のAくんは、他の2人の少年とともに、別の中学校に通う少年に対し、悪口を言ったことに対して腹を立て、暴行を加え怪我を負わせました。
Aくんは、当初、暴行を加えることには賛成していませんでしたが、その場の雰囲気に流され、2回ほど被害者を足で蹴ってしまいました。
Aくんは、中学卒業直後に愛知県一宮警察署に逮捕されました。
高校入学を控えるAくんは、高校生活にも影響が出るのではないかと心配でなりません。
Aくんの両親は、なんとか観護措置だけでも回避できないかと少年事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
少年事件では、捜査段階で逮捕・勾留され、長期間の身体拘束を強いられるだけでなく、家庭裁判所に送致された後に観護措置がとられ、審判までの数週間にわたり少年鑑別所に収容されることがあります。
観護措置とは
「観護措置」とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことをいいます。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護の2種類があります。
実務上、在宅観護はほとんど活用されておらず、観護措置という場合は収容観護を指すのが通常です。
観護措置の要件については、少年法は「審判を行うため必要があるとき」としか規定していません。
しかし、一般的には、以下の各要件を満たすことが必要であると理解されています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
④の観護措置の必要性については、次の3つの事由うちいずれかに該当する場合に認められます。
(a)調査、審判及び決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
例えば、住居不定、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがあり、身体を確保する必要がある場合などです。
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。
自殺や自傷のおそれがある場合、家族からの虐待のおそれがある場合、不良集団等の影響により非行性が急速に進行するおそれがある場合などです。
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置の期間は、法律では2週間を超えることができないとされており、とくに継続の必要があるときに限り1回更新することができる、とされています。
しかし、実務上は、ほとんどの事件で更新がされていて、観護措置の期間は、通常4週間となっています。
家庭裁判所は、事件が係属している間、いつでも観護措置をとることができます。
捜査段階で逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に到着してから24時間以内に観護措置をとらなければならないため、送致されたときに観護措置をとることがほとんどです。
捜査段階で逮捕・勾留されていない少年であっても、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断した場合には、観護措置がとられることもあります。
捜査段階で身体拘束を受けている場合、家庭裁判所に送致された後も、そのまま観護措置がとられることが多くなっています。
しかしながら、観護措置がとられることにより、更に1か月ほどの身体拘束を強いられることになり、その結果、少年に大きな負担を与えることになりかねません。
観護措置の必要性がないと考えられる場合や観護措置を回避する必要がある場合には、観護措置を回避するための活動を行うことが重要です。
付添人である弁護士は、家庭裁判所に事件が送致される時を見計らい、付添人選任届と共に、観護措置に関する意見書を提出します。
意見書では、観護措置の要件や必要性がないこと、観護措置を避けるべき事情があることについて、説得的に主張します。
被害者との示談が成立していること、少年が真摯に反省していること、保護者による監督が期待できること、そして、学校に出席しなければならない理由など、できるだけ具体的に観護措置の要件を満たしていないことや必要性がないこと、観護措置を回避したい事情について説明し、裁判所に対して観護措置をとらないよう積極的に働きかけます。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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