覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県常滑市に住むAさんは、メキシコに海外旅行に行った際に、旅行先で知り合ったBさんから、荷物(スーツケース)を預けるので手荷物として日本まで運んでほしいと依頼されました。
Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と思いましたが、Bさんからの依頼を了承し、荷物を日本に持ち運びました。
その結果、中部国際空港の税関検査において覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件が発覚し、Aさんは覚醒剤取締法(覚醒剤輸入)の罪の容疑で逮捕されました。
(2020年11月13日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪とは】
覚醒剤取締法13条(輸入及び輸出の禁止)
何人も、覚醒剤を輸入し、又は輸出してはならない。
覚醒剤取締法は覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。
覚醒剤取締法41条(刑罰)
覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
覚醒剤をみだりに輸入した者については、1年以上の有期懲役が科せられることになります。
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」とは、国外から我が国内へ物品を搬入することをいいます。
そして、覚醒剤を船舶から保税地域に陸揚げし、あるいは税関空港に着陸した航空機から覚醒剤を取りおろした場合、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」行為があったといえると考えられています。
【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の故意とは】
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立するためには、輸入する物品が「覚醒剤」であることを認識・認容している必要があります。
具体的には、輸入する物品が覚醒剤かもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物かもしれないという認識があれば、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があったといえると考えられています(最高裁裁判所決定平成2年2月9日)。
刑事事件例では、Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と考えています。
このとき、Aさんは輸入する物品が、覚醒剤を含む身体に有害で違法な薬物かもしれないと考えているわけですから、Aさんには、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があるといえると考えられます。
以上より、Aさんには覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立すると考えられるのです。
【関税法違反の罪(禁制品輸入罪)とは】
関税法69条の11第1項1号では覚醒剤は「輸入してはならない」と定められています。
そして、覚醒剤を所持して通関線を突破した場合、関税法69条の11第1項1号の「輸入」行為があったといえると考えられています。
関税法109条第1項では、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の法定刑は、「10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。
よって、覚醒剤を密輸した場合、覚醒剤取締法違反(輸入)の罪とは別に、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の未遂罪が成立すると考えられています。
【覚醒剤取締法違反(輸入)事件の刑事弁護活動】
覚醒剤取締法違反(輸入)事件で逮捕された場合、Aさんは逮捕とそれに引き続く勾留がなされる可能性が高いといえます。
これは、共犯者との口裏合わせなど罪証隠滅の可能性が高いと考えられるからです。
また、その後は、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴される可能性が高いといえます。
これは、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件の発覚した際に、輸入した覚醒剤が押収されている可能性が高く、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の立証が比較的容易であるからです。
そこで、刑事弁護士としては、Aさんが覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴された場合は、情状証人の証拠調請求を行うなど、執行猶予判決の獲得や減刑を求めるための刑事弁護活動を行っていくことになると考えられます。
刑事事件を取り扱う弁護士に相談し、可能な弁護活動や見通しなどを詳しく聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。