愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(前編)
愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市熱田区の住宅街において、複数の住宅を歩道からのぞき込むような挙動をしていました。
すると、近所に住むBさんがAさんの挙動を不審に思い、「何をしているんですか」とAさんに声を掛けてきました。
そこで、Aさんは警察官でないにも関わらず、「警察の者です。被疑者を探しています。」と自作した偽の警察手帳を示しました。
しかし、BさんはAさんの応答を不審に思ったため、愛知県熱田警察署に通報しました。
その結果、Aさんが偽の警察手帳を自作し、Bさんに提示していたことが発覚し、愛知県熱田警察署の警察官はAさんを有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕しました。
有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(令和2年10月1日に下野新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【公文書偽造罪とは】
「行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者」には、有印公文書偽造罪が成立します(刑法155条1項)。
有印公文書偽造罪の法律に定められた刑(法定刑)は、1年以上10年以下の懲役です。
刑法155条1項で定められた公文書偽造罪は、「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」を「使用」するため、特に有印公文書偽造罪と呼ばれます。
そして、刑事事件例における偽の警察手帳には「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」が「使用」されていたと考えられます。
なお、刑法155条1項の有印公文書偽造罪と比較して、刑法155条3項では「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」の「使用」が犯罪を構成する要件(構成要件)として規定されていません。
そのため、刑法155条3項の公文書偽造罪は特に無印公文書偽造罪と呼ばれることがあります。
有印公文書偽造罪における「公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは文書」(公文書、公図画)とは、公務所または公務員がその作成権限に基づき、その公務所または公務員を名義人として作成するものをいいます。
刑事事件例における警察手帳は、警察法68条(「国は、政令で定めるところにより、警察庁の警察官に対し、その職務遂行上必要な被服を支給し、及び装備品を貸与するものとする。」)に基づき国から警察官に対して貸与されるものです。
すなわち、警察手帳の作成権限は国にあると考えられます。
したがって、公務所または公務員がその作成権限に基づき、その公務所または公務員を名義人として作成するものであるといえ、公文書偽造罪における「公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは文書」に該当すると考えられます。
また、有印公文書偽造罪における「偽造」とは、権限なく他人名義の文書を作成することをいいます。
刑事事件例では、警察手帳の発行権限のないAさんが他人名義の警察手帳を作成しています。
よって、Aさんの行為は、有印公文書偽造罪における「偽造」に該当すると考えられます。
そして、Aさんは偽造した警察手帳を他人に示す目的で偽の警察手帳を作成していると考えられるため、有印公文書偽造罪における「行使の目的」があったといえると考えられます。
以上より、Aさんには有印公文書偽造罪が成立すると考えられるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(後編)に続きます。