愛知県迷惑行為防止条例②(盗撮)

愛知県迷惑行為防止条例②(盗撮)

~迷惑行為防止条例~

迷惑行為防止条例とは各都道府県が定めている条例です。
都道府県によっては「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という場合もありますが,近年,迷惑行為防止条例に名称が変更されている都道府県も多いです。
愛知県は改正条例が平成31年1月1日に施行され,名称も愛知県迷惑行為防止条例となりました。
愛知県迷惑行為防止条例は全21条から構成され,その内,第2条から第9条までが規制される行為を定めています。

(ここまでは前回と同様)

今回は、愛知県迷惑行為防止条例第2条の2,1項2号以下の「盗撮」および「卑わいな言動」について解説していきたいと思います。

~卑わいな言動~

第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。

前三号とは,前回説明した1号の「痴漢」,および後ほど説明する二,三号の「覗き・盗撮」を指します。
どういった行為が「卑わいな言動」といえるのかは条文からははっきりとわかりません。
卑わいな言動に当たるかどうかが問題となった事件として最高裁平成20年11月10日決定があります。
この事件は女性の後ろからスマートフォンで撮影したもので,ズボンを着用した臀部を撮影することが迷惑行為防止条例のいう「卑わいな言動」に当たるかが争点となりました。
最高裁の多数意見は「被告人の本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しく羞恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえる」として卑わいな言動に当たるとしました。

その他の事件では,性器を模した作り物を見せつけたり,下半身を露出しようとした事件などで卑猥な言動だとされました。
なお,実際に露出した場合には刑法の公然わいせつ罪や軽犯罪法違反となる可能性が高いでしょう。

~覗き・盗撮~

愛知県迷惑行為防止条例違反事件の多くが痴漢および盗撮です。
盗撮および覗き行為は第2条の2,1項二号および三号,2項,3項に規定されています。

第2条の2

二 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
三 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。

2 何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。

3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。

今回の改正で学校の教室や会社の便所,ネットカフェやカラオケ等の個室。更衣室,タクシーや貸し切りバス,住居やホテルの居室なども愛知県迷惑行為防止条例における覗き・盗撮の規制場所となりました。
近年のスマートフォンの発達・普及により盗撮行為がされる場所が増加し,新たに規制する必要がでてきた影響と思われます。
また,実際に撮影できなくても,盗撮目的でカメラを設置することやカメラを向ける行為そのものが盗撮行為として規制されるようになりました。

また,改正前は「公衆が利用できる場所」という要件があったため,住居の浴室などを撮影しても盗撮とはなりませんでした。
今回の改正により,学校,会社などのトイレや住居の浴室なども規制場所となりました。
なお,改正前は軽犯罪法違反とせざるをえませんでした。

次回は嫌がらせ行為について解説していきたいと思います。

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