Archive for the ‘刑事事件’ Category
他人になりすましてローンカードを作ることと、弁護士を通した示談の勧め
他人になりすましてローンカードを作ることと、弁護士を通した示談の勧めについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
名古屋市中区にある社員寮に住むAさんは生活費に困り、ローン無人契約機でお金を借りることを思いつきました。
しかし、Aさんには返済できるだけの財産はなく、Aさんは同じ社員寮に住むBさんに顔が似ていると言われたのを利用してBさんになりすまそうとしました。
AさんはBさんの運転免許証を持ちだし、無人契約機でBさんの運転免許証を提示しAさん名義のローンカードの交付を受けました。
Aさんが「お金を借りるのは後日にしよう。」と思い、社員寮に帰るとBさんが待ち構えており、Bさんは「俺の運転免許証を盗んだだろう。1000万円俺に払えば、愛知県中警察署に言わないでやる。」とAさんに言いました。
Aさんは「確かに自分が悪いのだけれど、それにしても1000万円払えとは言いすぎなんじゃないか。」と思い、刑事事件に強い弁護士事務所に相談に行くことにしました。
(フィクションです)
【詐欺罪について】
刑法246条には詐欺罪の規定があります。
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
構成要件として
①人を欺く行為があること
②欺く行為により錯誤に陥ったこと
③錯誤に基づく財産的処分行為があったこと
④その結果、財物の交付を得たこと
が必要とされており、なおかつこの①~④は繋がっていなければいけません。
つまり、他人になりすまして消費者金融会社の無人契約機でローンカードの交付を受けた場合、これは無人契約機を介して社員が審査したうえで交付しているものですので、消費者金融会社を被害者とする詐欺罪(第1項)が成立します。(最高裁判決平成14年2月8日【一部】)
【1000万円払えと言われました…】
BさんがAさんに「1000万円払え、そうすれば警察には言わない。」と言ったことは、Bさんがいわゆる「示談」で解決しようとしたものだと考えられます。
「示談」とは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方で、被害者は被害届の提出を行わないなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
(今回の事例の場合、Bさんはローンカードの交付を不正に受けた詐欺罪の被害者ではありませんが、運転免許証を盗まれた窃盗罪の被害者になる可能性が有ります。)
一般的には弁護士が加害者の代わりに、被害者と示談交渉を行います。
詐欺罪のように被害者のいる事件では、事件の早期解決を図るための方法としてよく用いられます。
示談交渉のポイントとしては「示談交渉は弁護士にまかせる」ことが大切です。
一般的に詐欺被害者は加害者との接触を避けるため、警察などの捜査機関が被害者に対して「加害者に連絡先を教えてもよいですか」と確認しても、連絡先を教えることを断ることが多いのです。
仮に被害者の連絡先を教えてもらった、または以前から被害者の連絡先などを知っていたとしても、被害者が感情的になるなどして、示談交渉がかえってうまくいかない危険があります。
更に、加害者が被害者と直接示談交渉を行うと、被害者からあまりにも高額な示談金額を要求されることがあります。
弁護士が被害者と加害者の間に入り示談交渉を行うことによって、冷静に交渉を進めることができ、妥当な金額で示談がまとまりやすくなるのです。
また、示談が成立した場合は、示談書を作成することもとても大切です。
示談が成立したとしても口約束のままでは、示談が成立した(もしくは示談交渉を行ったが決裂した)ことを警察や検察官、裁判所に対して証明することができないからです。
Bさんが「1000万円」と言った示談金の一般的な相場ですが、詐欺罪は被害者がいる事件ですので一概にこの金額とはなかなか言えません。
ただ、被害総額に加え慰謝料などを上乗せした額であることが多いです。
仮に弁護士を通して誠心誠意Bさんと示談交渉をしても、Bさんがあまりにも高額な示談金額を提示し続けた場合、示談が決裂することもあります。
その場合は示談交渉が決裂に至った経緯を書面にまとめて、警察や検察庁、裁判所に提出することになります。
この書面は、場合によっては示談に準じる効力を有することもあります。
被害者からあまりにも高額な示談金額を提示されてお困りの方はご自分で対応する前に、刑事事件に強い弁護士にぜひご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の詐欺罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が他人になりすましてローンカードを作った方、被害者に高額な示談金額を提示されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
身に覚えがない大麻所持と冤罪
身に覚えがない大麻所持と冤罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは名古屋市西区の路上で大麻を所持していたとして、愛知県西警察署に逮捕されました。
Aさんは全く身に覚えがなく愛知県西警察署における取調べに対しても否認していますが、この大麻はAさんと仲が悪いBさんが嫌がらせで自分の大麻をAさんのカバンに忍ばせておいたものでした。
Aさんの家族はAさんとBさんが仲が悪いことを知っており、もしかしたら大麻はBさんの物なのではないかと考え、刑事事件に強い弁護士に相談に行きました。
(フィクションです)
【大麻の所持】
大麻の所持については、大麻取締法に規定があります。
1 営利目的がない場合
法定刑は5年以下の懲役です。
2 営利目的がある場合
法定刑は7年以下の懲役で、情状により200万円以下の罰金が併科されます。
【身に覚えがないのに逮捕された】
今回の場合、Aさんは冤罪である確率が高いと思われます。
冤罪とは、無実であるにもかかわらず、犯罪者として扱われてしまうことをいいます。
なぜ冤罪がおきてしまうのでしょう。
大きな原因の一つと考えられるのは、被疑者や被告人による虚偽の自白(自己の犯罪事実を認めること)をしてしまうためと考えられます。
虚偽の自白とは、被疑者や被告人が自らの意思に反して事実と異なることを認めてしまうことです。
どうして虚偽の自白など、自らの意思に反して事実と異なることを認めてしまうことが起きてしまうのでしょう。
それは過去から変わることなく、自白が裁判で重要な意味を持つためです。
自白は犯罪を立証するための重要な証拠であるため、捜査機関は被疑者や被告人の自白を何とか得ようと、逮捕・勾留時の取調べで厳しい追及をすることが多いのです。
取調べのやり方によっては違法な取調べとなることもありますが、その違法性を証明するのは容易なことではありません。
よって、違法な取調べによって得られた虚偽の自白でも、自白をしてしまえば重要な証拠として採用されてしまいます。
また、虚偽の自白はまだ弁護士がついていない、特に逮捕直後の時期に行われることが多いと言われています。
つまり、逮捕直後に捜査機関による連日の取調べなどで、逮捕された人が精神的に追い込まれ、取調官の違法・不当な取調べに屈してしまい虚偽の自白をしてしまうのです。
捜査機関には「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」など、捜査機関内部で違法な取調べを規制する規則もあります。
しかし、取調べは警察署の取調室という密室で行われるため、違法な取り調べが行われる確率はゼロではなく、仮に違法な取調べが行われたとしても裁判でそれを証明することは非常に難しいのです。
虚偽の自白を絶対にしないためにも、違法な取調べが行われやすい逮捕直後などの捜査の初期段階から刑事事件に強い弁護士をつけて、取調べへの対応をしていくことがとても重要です。
また、不当な取調べを受けた場合は、刑事事件に強い弁護士が警察などの捜査機関に異議を述べ、状況によっては抗議文を送付するなど、違法な取調べをやめるように働きかけることも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻取締法違反事件を含めた薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
大麻取締法違反事件で逮捕された方、ご家族やご自身が冤罪の疑いをかけられている方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。
被拘禁者奪取罪を学校に知られたくない
被拘禁者奪取罪を学校に知られたくないことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
高校3年生ので17歳のAさんが名古屋市南区にあるスーパーに入ると、同級生のBさんが警備員と店員に腕をつかまれているのを見つけました。
Aさんは警備員に対し、「友人だけどなにかあったのですか」と尋ねると、警備員は「私が彼を万引きで逮捕したので今から愛知県南警察署に行きます」と答えました。
Aさんはとっさに「僕が警察署に連れていきます」と警備員に嘘をつき、警備員と店員の制止を振り切ってBさんの腕をとって一緒に逃げました。
2人は、追跡してきた愛知県南警察署の警察官に取り押さえられました。
Aさんの両親は、高校は何とか卒業させたい、学校に知られない方法は無いかと法律事務所に相談に行きました。
(フィクションです)
【Aさんはどのような罪に問われますか】
Aさんには「被拘禁者奪取罪」が成立する可能性があります。
被拘禁者奪取罪は、刑法第99条に規定があり
法令により拘禁された者を奪取した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
とあり、未遂も処罰されます。(刑法第102条)
「法令により拘禁された者」とは、法的根拠に基づいて国家機関から身体の自由を拘束されている者とされています。
その中には警察官によって逮捕された者のほか、警察官以外の者が現行犯逮捕した者、逮捕段階であり勾留前の者、少年院や少年鑑別所に収容されている者、などがあてはまります。
「奪取」とは、被拘禁者を看守者の実力支配から離脱させて、自己または第三者の実力支配下に移すことです。
Aさんは警備員によって現行犯逮捕されているBさんを、制止を振り切りBさんの腕をとり一緒に逃げているので、被拘禁者奪取罪が成立する可能性があるのです。
(一般人は、通常逮捕、緊急逮捕はできず、現行犯逮捕のみできます。)
【学校に事件のことを知られたくない】
学校に事件のことが伝わるのはいくつかの理由が考えられます。
少年やその保護者が学校に直接連絡した場合を除き
①警察から学校に連絡する場合
②調査官から学校に連絡する場合
の2つが考えらえます。
【警察からの連絡への対応】
全国の都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、警察と学校が連絡を取り合う制度があります。
この制度により、少年や保護者のしらないところで警察から学校に連絡が行き、学校に事件のことを知られるという可能性が有るのです。
しかしこの制度があっても、警察は必ずしもすべての事件について学校に連絡しているわけではありません。
ですので、弁護士は学校に連絡をするべきでは無い事情があるなどの場合は、警察にその旨を申し入れ、学校へ連絡しないように働きかけることも可能です。
【調査官からの連絡への対応】
まず調査官とは、専門知識を活用して非行少年の立ち直りに向けた調査活動を行う人のことです。
警察が学校への通報を控えた場合には、警察の捜査が終了後に事件が送られる、家庭裁判所もそれに応じるのが一般的です。
しかし再度、弁護士から学校に連絡をするべきでは無い事情などを家庭裁判所の調査官に伝え、学校への連絡をしないように働きかけることが可能です。
【学校に事件のことを知られてしまった】
弁護士が警察などに申し入れをする前に、既に警察が学校に連絡していることも考えられます。
しかしその場合でも、弁護士から学校の校長先生や担任の先生と面談し、少年が更生していることや、少年事件の手続きや理念を説明し、少年を受け入れてくれるように要請することも考えられます。
それでも、残念ながら少年が学校に受け入れてもらえず、退学せざるを得ないケースはあるかもしれません。
その場合は、もちろん転校先を決めるのは少年と保護者の方ではありますが、弁護士からもアドバイスをさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が被拘禁者奪取罪で話を聞かれることになった、学校に事件が知られてしまうかもしれないとお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ホテルにおける窃盗事件で逮捕
ホテルにおける窃盗で逮捕された事例を題材に、刑事弁護士が行う弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【刑事事例】
Aは、適法に宿泊していたホテル内の備品(ドライヤー等)を、チェックアウトする際にホテルに無断で持ち出した。
愛知県東警察署警察署の警察官は、Aを窃盗の疑いで逮捕した。
Aの家族は、窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
【窃盗罪か(単純)横領罪か】
第38章 横領の罪
(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2(略)
刑法252条1項は、いわゆる横領罪(単純横領罪・委託物横領罪)を定めた規定です。
これに対し、刑法235条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。
窃盗ではなく横領に当たる場合、上記のとおり横領罪には窃盗罪と違い罰金刑が定められていないため、どちらに当たるのか判断することは被疑者や弁護活動を行う弁護士にとって極めて重要な事項となります。
では、本件では横領罪が成立する余地はあるのでしょうか。
上記252条1項が示すとおり、横領罪が成立するためには被害客体が「自己の占有する他人の物」である必要があります。
ホテルの備品たるドライヤー等は、ホテル側の所有物であることは明らかであり、「他人の物」であることに間違いはありません。
また、Aは金銭を払ってホテル内の部屋に宿泊しているのですから、「他人の物」を「占有」しているともいえそうです。
もっとも、「占有」とは物に対する事実的支配をいうところ、これは社会通念に照らして判断されることになります。
この点、ホテル側が提供した備品はあくまで、宿泊客の利用に供されているだけであり、室内の備品に対する事実的支配は未だホテル側にあると解するのが通常でしょう。
したがって、Aの行為は横領罪ではなく、「他人の財物」をその所有者・占有者の意思に反して「窃取」したものとして窃盗罪を構成することになります。
【逮捕後の弁護活動について】
ここまで、法定刑等の違いに着目した上で、窃盗罪と横領罪の成否について見てきましたが、以下ではより弁護活動に直結する我が国における具体的な事件処理について見てみましょう。
多くの方は逮捕等の身体拘束がされた刑事事件においては、我が国の有罪率が99.9パーセントともいわれることから、ほぼ間違いなく刑罰が下されると思われているかもしれません。
しかし、刑事事件のうち検察官が起訴するのは実はその一部にすぎず、統計上は6割近くが不起訴処分となっています。
つまり、逮捕等がされたとしても、被害弁償や弁護士を通じたその後の対応によって、多くの事件は刑事裁判になることなく終了しているのです。
逮捕・勾留された場合には、(原則として)最大23日間の身体拘束が法律上認められていますが、検察官はこの期間までに起訴・不起訴の判断をする必要があります。
したがって、刑事事件はよくいわれるように時間との勝負に他なりません。
窃盗事件で逮捕された場合も、早い段階から弁護士とのコンタクトをとることが何よりも重要であるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
多数の刑事弁護士が、日々精力的に刑事弁護活動を行っています。
窃盗事件で逮捕された方のご家族は、まずは24時間/365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。
担当者が、弁護士による逮捕されてしまった方との接見(面会)サービス等についてご案内差し上げます。
【解決事例】安城市の詐欺未遂事件で一部接見禁止解除と不起訴獲得
【事案の概要】
ご本人様(20代女性)は特殊詐欺事件の現金受け取り役をしたとして、愛知県安城警察署で逮捕・勾留され、接見禁止がつきました。
ご両親は、一刻も早く娘と面会がしたい、娘は受取った郵便物の中身が詐欺のお金だと知らなかった、受取る荷物は書類だと信じていたと言っていたと、相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
裁判所に対し、①両親と面会をしても罪証隠滅のおそれやその余地がないこと、②両親と面会しても逃亡のおそれがないこと、③家族と面会する必要性が高いこと、④弁護士と被疑事実の打ち合わせを十分行うために必要である、などのため、ご両親との接見禁止を解除するように主張しました。
その結果、ご両親に対して接見禁止等一部解除決定がなされ、ご本人様はご両親との面会や手紙のやり取りができるようになりました。
また、弁護士が検察庁に対し、本人は受取った郵便物の中身が詐欺によるお金であると知らなかった、受取る荷物は書類だと信じていたことから、詐欺の故意や共謀は認められない旨を主張した結果、ご本人様は不起訴処分となりました。
【まとめ】
組織的な特殊詐欺事件など共犯者がいる事件では、勾留時に接見禁止がつくケースが多くなります。
しかし、事件に無関係な家族(配偶者、両親、子供など)に対しては、家族は事件には無関係であることや、面会の必要性を裁判所に適切に主張していくことにより、接見禁止が解除されることも多いのです。
また、ご本人様の行ったことが犯罪にはあたらない、その他、被害者様と示談が成立している、再犯防止の環境が整っている、本人も反省している、などを検察庁に適切に主張していくことにより、不起訴処分を獲得する可能性が高まります。
接見禁止一部解除や不起訴処分を得るための、裁判所や検察庁への主張・申立ては、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。
特殊詐欺事件、詐欺事件で家族だけでも接見禁止を解除したい、不起訴処分を受けたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、接見禁止一部解除の可能性や不起訴処分が下されるかどうかの見通しについてご説明致します。
業務上横領事件の「横領」行為と弁護活動
業務上横領事件の「横領」行為と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市名東区内にあるIT企業(V会社)に従業員として勤務していました。
Aさんの仕事内容としては、経理としてV会社の預金(預金口座)を管理することが含まれていましたが、Aさんは約40回にわたり、勝手に会社の預金口座からAさん自身の銀行口座に合計約1億5000万円を送金しました。
その後、V会社が被害を届け出たことで、Aさんは愛知県名東警察署の警察官により業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「横領した約1億5000万円には一切手を付けていない。何とか被害を弁償したり示談をしたりすることはできないか」と話しています。
Aさんの話を聞いたAさんの家族は、被害弁償や示談を含めた業務上横領事件の対応や、業務上横領罪自体について詳しく聞きたいと思い、名古屋市の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(2020年9月10日に中國新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【業務上横領罪の「横領」とは】
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する(刑法253条)。
前回の記事では、業務上横領罪の条文上にある「占有」について詳細に確認をしました。
今回の記事では、まずは残りの条件について確認していきましょう。
業務上横領罪の「自己の占有」(刑法253条)は、所有者その他の権限者からの委託に基づいてなされている必要があります。
簡単に言うと、その物の所有者などから任されてその物を「占有」しているという委託関係の状態が必要なのです。
業務上横領罪の要件である委託関係は、委任、寄託、賃貸借、使用貸借のような物の保管を内容とする契約のほかに、売買契約や雇用契約などによって発生するものであっても差し支えないと考えられています。
刑事事件例に当てはめて考えてみましょう。
AさんはV会社との雇用契約により、V会社の経理担当としてV会社の預金口座の管理を行っていました。
よって、V会社の預金口座の管理について、AさんとV会社との間には委託関係があったといえると考えられます。
さらに、業務上横領罪に該当する行為は、自己の占有する他人の物を「横領」することです。
業務上横領罪の「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得すること、すなわち、「不法領得の意思」を実現するすべての行為をいうと考えられています。
「不法領得の意思」の定義は、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」であるとされています(最高裁判決昭和24年3月8日)。
今回のAさんの刑事事件例で考えてみましょう。
本来、V会社の預金をAさんの口座に送金することは、預金の所有者であるV会社の意思に基づかなければできない行為です。
会社の預金を送金するということは会社の預金を外部に移すということですから、会社の意思に基づかなければできないことは当然であると考えられます。
また、無断でV会社の預金をAさんの口座に送金することは、経理担当の従業員の職務内容には含まれているとは考えられませんから、AさんとV会社の委託関係の範囲を超えることになるでしょう。
それにも関わらず、Aさんは無断でV会社の預金を自分の口座に送金しています。
これは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分を」していたといえます。
よって、Aさんの行為は業務上横領罪の「横領」に該当すると考えられます。
最後に、業務上横領罪は、今まで検討してきた自己の占有する他人の物を横領する行為が「業務上」なされる必要があります。
業務上横領罪の「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務であるところ、刑事事件例のAさんの経理担当としての職務は、業務上横領罪の「業務」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには業務上横領罪が成立すると考えられます。
【業務上横領罪と示談】
会社の金を横領した業務上横領事件を起こしてしまった場合、被害を受けた会社に被害金を返還することが重要な弁護活動の1つとなることが予想されます。
刑事事件例では、Aさんは横領した約1億5000万円には手を付けていないと話しています。
刑事弁護士の活動としては、すみやかにV会社の担当者又は代理人弁護士と連絡を取り、上記の被害金の全額を返還するための交渉を開始するといった弁護活動が考えられるでしょう。
そして、V会社の担当者又は代理人弁護士との示談交渉の結果として示談が締結出来れば、検察官の起訴・不起訴の判断や、裁判になった際の刑罰の重さの判断に際して有利な事情となり得ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
会社の金を横領した業務上横領事件を起こしてお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
業務上横領罪と「占有」
業務上横領罪と「占有」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市名東区内にあるIT企業(V会社)に従業員として勤務していました。
Aさんの仕事内容としては、経理としてV会社の預金(預金口座)を管理することが含まれていましたが、Aさんは約40回にわたり、勝手に会社の預金口座からAさん自身の銀行口座に合計約1億5000万円を送金しました。
その後、V会社が被害を届け出たことで、Aさんは愛知県名東警察署の警察官により業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「横領した約1億5000万円には一切手を付けていない。何とか被害を弁償したり示談をしたりすることはできないか」と話しています。
Aさんの話を聞いたAさんの家族は、被害弁償や示談を含めた業務上横領事件の対応や、業務上横領罪自体について詳しく聞きたいと思い、名古屋市の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(2020年9月10日に中國新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【業務上横領罪とは】
刑法253条は以下のように業務所横領罪を規定しています。
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する(刑法253条)。
業務上横領罪は、被疑者自身が占有(濫用のおそれのある支配)をしている被害者の財物を領得することにより成立する犯罪です。
同じ財産に対する犯罪としては窃盗罪が思い浮かびやすいですが、窃盗罪とは異なり、被害者の占有(事実上の支配)を排除して被害者の方の財物を領得することにより成立する犯罪ではないことが、業務上横領罪の特徴です。
以下では、業務上横領罪が成立するための具体的な要件である「占有」に注目してみましょう。
【業務上横領罪の要件~「占有」】
業務上横領罪の客体(対象)は「自己の占有する他人の物」(刑法253条)です。
まず、V会社の預金が、Aさんにとっては「他人の物」(刑法253条)に該当するということは理解できるでしょう。
業務上横領罪の要件の理解が少々難解な部分は「自己の占有する」(刑法253条)という要件にあります。
業務上横領罪の「占有」(刑法253条)とは、濫用のおそれのある支配力であると考えられています。
濫用するおそれのある支配力を有していればよいことから、業務上横領罪の「占有」(刑法253条)は、物に対する事実的支配に加えて、法律的支配も含むとされています。
法律的支配の分かりやすい例としては、不動産の登記を有している場合が想定できるでしょう。
不動産の登記がある場合、必ずしも不動産に対する事実的支配もあるとは言えませんが、法律的支配があるとして、業務上横領罪の「占有」(刑法253条)に該当するのです。
対して、同じ財産に対する罪である窃盗罪では、「占有」の考え方は物に対する事実上の支配を指すと考えられています。
なお、今回の事例のように、預金を銀行に預けていたという場合には、銀行に預けているお金なのだから、その預金の事実上・法律上支配=「占有」は銀行のものではないかと疑問に思われるかもしれません。
しかし、現在の通説では、預金債権の支配が、性質上金銭その物の支配を同一視できると考えられています。
つまり、銀行に預金しているというケースであっても、その預金を操作できる立場にある場合には、預金に対する「占有」(濫用のおそれのある支配力)(刑法253条)を有していると考えられています(大審院判決大正9年3月12日)。
学説によっては、先に述べたように、銀行に預けている預金は銀行の「占有」のもとにあるとしているものもありますが、現状はこうした考えが通説となっています。
今回の刑事事件例では、AさんはV会社から預金の管理を任されています。
このとき、上記の考え方に照らせば、AさんはV会社の預金口座内の預金について占有(濫用のおそれがある支配)をしていたといえることになります。
刑事事件では、犯罪に当たるかどうかを考える時、この業務上横領罪の「占有」のように、1つ1つ条件の定義を考えた上でそれに当てはまるかどうかを検討し、判断していきます。
自分の行為のどこかどのように犯罪に該当しているのかといったことを正しく把握しておくことも、取調べで意図していない供述をしないようにするなどの防御においては重要なことです。
しかし、こうした検討・判断をするには、刑事事件の経験や知識が必要不可欠ですから、専門家の弁護士の力を借りることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
名古屋市の業務上横領事件でお悩みの場合、刑事事件への対応にお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
名古屋市中区で客引きをして逮捕されてしまったら
名古屋市中区で客引きをして逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは名古屋市中区の繁華街にあるキャバクラBの店長から、キャバクラBに客を勧誘して連れてくることを依頼され、1人あたり2000円の手数料を払うことで客引きを引き受けました。
AさんはキャバクラBの近くの道路上で通りすがりのVさんに「すぐ近くのキャバクラBです。今なら1万円ポッキリですよ。」と言いながら、Vさんの真横に密着して歩きながら声をかけ続けました。
しかし、実はVさんは愛知県中警察署の警察官で、Aさんは客引き行為で愛知県迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕され、後に風営法違反でも取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
【客引きとはどういう行為ですか?】
Aさんが行った「客引き」とはどのような行為なのでしょうか。
裁判例(東京高判1979.9.13)では、客引きは「相手方を特定し、その店の客として遊興飲食をさせるために勧誘すること」とされています。
例えば
・近くに付きまとう、寄り添って歩く、立ちふさがる、腕をつかみ、引っ張る
・宣伝用チラシを差し出しながら「ワンセット●●円です。サービスの良い店ですよ。」や「どうぞどうぞ、いらっしゃいませ。」と声をかけ誘う
等の行為が客引きに該当すると言われています。
【客引きはどのような罪になるのですか?】
客引きはその行為を行なった人の身分により
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」と省略します)違反や
「愛知県迷惑行為防止条例」違反
となります。
風営法の条文は
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)当該営業に関し客引きをすること(風営法第22条第1項第1号)
となっており、罰則は
6月以下の懲役もしくは100蔓延以下の罰金(併科あり)(風営法第52条1号)
です。
愛知県迷惑行為防止条例の条文は
①人の性的好奇心をそそる見せ物若しくは物品若しくは人の性的好奇心に応じて人に接触する役務又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について,客引きをし,又は人に呼び掛けて,若しくはビラ,パンフレットその他の物品(以下「ビラ等」という。)を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第1項第1号)
②歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(人の通常衣服で覆われている身体又は下着に接触し,又は接触させる卑わいな行為(以下「卑わい行為」という。)を伴うものを含む。以下同じ。)若しくはこれを仮装したものの提供について、客引きをし、又は当該役務(卑わい行為を伴うものに限る。)若しくはこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,若しくはビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第1項第2号)
③歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなして飲食をさせる役務(卑わい行為を伴うものを除く。)又はこれを仮装したものの提供について,人に呼び掛けて,又はビラ等を配布して,若しくは提示して客となるように誘引すること。(愛知県迷惑行為防止条例第7条第2項第1号)
となっており、
①と②の罰則は
100万円以下の罰金、常習違反の場合は6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金
③の罰則は
再発防止命令が出され(10条)、違反した場合に30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
です。
では、客引きはどの罪に該当するのかのポイントですが
風営法違反の主体(罪を犯す人)は「風俗営業を営む者(従業者も含みます)」
愛知県迷惑防止条例違反の主体は「特に制限はなく、だれでもよい」
という違いがあります。
【刑事事件例について】
Aさんは、キャバクラBの店長から手数料をもらう約束で、キャバクラBの営業に関し客引きをすることを了承し(これが風俗営業を営む者との共謀、風俗営業に関し)、繁華街の道路上においてVさんに対し「すぐ近くのキャバクラBです。今なら1万円ポッキリですよ。」と真横に密着して歩きながら声をかけ続け、キャバクラBの客になるように勧誘しました(客引き行為をした)。
よってAさんは風営法の客引き及び愛知県迷惑行為防止条例の客引きの両方が成立するため、風営法違反と愛知県迷惑行為防止条例違反となると思われます。
【弁護活動について】
客引きについては、実際に執拗な客引き行為で逮捕された事例や警察による一斉摘発などで逮捕された事例が多数あります。
客引きは逮捕される可能性がある行為であることは理解していただけたかと思います。
では逮捕されてしまった場合の弁護活動について見ていきましょう。
逮捕から72時間以内は家族でも基本的には接見(いわゆる面会です)をすることはできませんが、弁護士なら接見をすることができます。
逮捕後すぐにに弁護士と接見できれば、取調べへの対応や今後どのような流れで進んでいくかなど様々な相談をすることができます。
逮捕後引き続き勾留され、身柄の拘束期間が長引けば、会社や学校に逮捕されたことが知られる可能性が高くなります。
弁護士に依頼すれば、勾留の取り消し申請や不当な勾留に対する不服申立てをしてもらえます。
身柄を拘束されることが無くても、弁護士のサポートがあれば先に述べた通り、取調べへの対応や相談もできます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族やご自身が客引きで風営法違反や愛知県迷惑行為防止条例違反で話を聞かれることになった、または逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。
愛知県津島市の未成年者略取事件を相談したい
愛知県津島市の未成年者略取事件を相談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは妻のBさんと離婚し、2歳の子どもであるVさんはBさんが親権者となりBさんの下で育てられていました。
ある日愛知県津島市にあるBさん宅を訪れていたAさんは、Vさんと一緒に暮らしたいと考えいきなりBさんを平手打ちし、Bさんがひるんだ隙に一緒にいたVさんを奪い、Aさんの自宅に連れ去りました。
その後AさんはBさんからの通報によって駆けつけた愛知県津島警察署の警察官により、未成年者略取罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
【夫婦、または元夫婦の一方による子供の連れ去り行為について】
夫婦関係が破綻し、離婚成立、又は離婚協議中の別居夫婦において、子供の取り合いをめぐる争いが加熱し、一方の親の下で育てられている子供の連れ去り事件が発生した場合、未成年者略取罪や誘拐罪は成立するのか見ていきましょう。
【未成年者略取罪について】
未成年者略取罪とはどのような罪でしょうか?
条文は
「未成年者を略取し、または誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する」(刑法第224条)
となっています。
未成年者略取罪について内容を詳しくみていきましょう。
未成年者略取罪の主体は特に制限はなく、誰でも行えるとされており、未成年者の保護監督者(例:親権を有している親)も主体となります。
未成年者略取罪の対象は未成年者で、20歳未満の者をいいます。
犯罪の名前にも入っている「略取」とは、暴行や脅迫を手段として、他人をその保護された従来の生活環境から自己または第三者の実力的支配下に置くことをいいます。
なお、未成年者略取罪と同じ条文に定められている未成年者誘拐罪における「誘拐」とは、欺罔や誘惑を手段として、他人をその保護された従来の生活環境から自己または第三者の実力的支配下に置くことをいいます。
未成年者誘拐罪での「欺罔」とは、虚偽の事実を告げて、相手を錯誤に陥れることをいい、「誘惑」は、欺罔の程度には至りませんが、甘言をもって相手方の判断を誤らせることをいいます。
未成年者略取罪や未成年者誘拐罪の暴行や脅迫、欺罔や誘惑は未成年自身に加えられる必要はなく、その保護監督者に加えられるものでも構いません。
未成年者略取罪が成立するにあたっては、被拐取者が未成年者であること、略取、誘拐をすることの認識が必要とされています。
未成年者略取罪や未成年者誘拐罪は親告罪であり、告訴権者は未成年者本人及び保護監督者です。
また、親権を持つ人が加害者の場合は、親権者の行為として違法性が阻却されるか検討することが必要です。
【刑事事件例について】
AさんとBさんは既に離婚が成立しており、Vさんの親権はBさんにあり、Aさんにはありません。
AさんがBさんに対し暴行をしてVさんを自己の支配圏内に移しています。
これは未成年者略取罪に該当する行為となり、更にAさんには親権がありませんので、特に違法性を阻却することもなくAさんには未成年者略取罪が成立すると思われます。
【未成年者略取罪の弁護活動について】
仮にAさんが離婚協議中の段階で、Aさんに親権があった場合、違法性が阻却されるかどうかの判断で考慮されるべきとなる可能性が有ります。
ですが、今回Aさんには親権がないため違法性が阻却されるということはない可能性が高いです。
しかし公判において有罪判決を受ける見通しが強い場合であっても、子どもと会う理由や行為態様が粗暴や強引ではない等の事情を検察官や裁判官に主張することで、情状酌量で刑の減軽を目指していくことは可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
公判における情状酌量についての刑事弁護活動も多数の実績がございます。
ご自身やご家族が未成年者略取罪で話を聞かれることになったり逮捕されてしまった方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士に早急にご相談ください。
少年が共同危険行為の疑いで逮捕されてしまった
少年が共同危険行為の疑いで逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。
~ケース~
16歳のA君は、知人ら数名と誘い合わせ、愛知県瀬戸市内の県道において、原動機付自転車を大きく蛇行させて運転するなどしていたところ、パトカーで駆け付けてきた愛知県瀬戸警察署の警察官により道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕の知らせを受けたA君の両親は、少年事件に詳しい弁護士から今後の対応についてアドバイスを受けようと考えています。
(フィクションです)
~共同危険行為とは?~
道路交通法第68条は、「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない」としています。
これに違反し、有罪判決が確定すると、「二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第117条の3)。
~少年であるA君の場合はどうなる?~
A君は16歳の少年であるため、少年法の適用があります。
少年事件では、原則としてすべての少年事件が家庭裁判所へ送致された後、必要に応じて保護処分を受けることにより事件が終了します。
保護処分には、①保護観察処分、②児童自立支援施設又は児童養護施設送致、③少年院送致があります(少年法第24条1項1号~3号)。
審判が開かれた場合は、A君に対して保護観察処分、または、少年院送致が言い渡される可能性が高いでしょう。
保護観察処分が、在宅で保護観察官及び保護司による指導、支援を受けながら更生を目指す保護処分であるのに対し、少年院送致は、少年院に少年を収容した上で更生を目指す保護処分となります。
少年院に収容された場合は、特別の場合を除いて外出することができませんので、A君にとって負担の重い保護処分と考えることもできるかもしれません。
弁護活動を行う場合は、A君の将来を考慮し、過度に負担のかかる処分にならないよう、適切な処分の獲得に向けて活動していくことになるでしょう。
~少年院送致を避けるために必要な活動とは?~
例えば、最終的に少年院への送致を避けようとするのであれば、A君を少年院に収容するのではなく社会内で更生させる方が妥当であることを裁判官に納得してもらう必要があります。
今回のケースの場合は、家庭での監護態勢、A君の交友関係を見直し、改善していくことが必要となるでしょう。
ケースの状態のままでは、A君が社会に戻ったのち、再び今回の共同危険行為をした知人らと非行をしてしまうのではないかと予想されるからです。
家庭における監護態勢が十分でない場合や、今回のような非行を行う仲間との関係が続くと思われるのであれば、少年院送致などの処分によって、そういった環境から強制的に切り離す措置が取られる可能性が高まります。
もっとも、上記のような環境調整は一朝一夕に成し遂げられるものではなく、十分な時間をかける必要のある弁護活動です。
少年が1人の人間である以上、両親との関係や、ケースの非行を行った仲間との関係を見直すためには、弁護士を始め、周囲の支援が重要となります。
十分な時間をかけるためには、逮捕された段階からでも環境調整を行うべきです。
少年事件に詳しい弁護士に弁護活動を依頼し、少年審判に備えて活動を行うことが重要といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件の取り扱いを中心とする法律事務所です。
お子様が共同危険行為の疑いで現行犯逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。