稲沢市のわいせつ物陳列罪、愛知県迷惑行為防止条例違反事件

2019-10-26

稲沢市のわいせつ物陳列罪、愛知県迷惑行為防止条例違反事件

~稲沢市のわいせつ物陳列罪、愛知県迷惑行為防止条例違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~

~ケース~

稲沢市のAさんはインターネットでジョークグッズとして女性器を模したデザインの描かれたTシャツや男性器の一部を模したリュックサックなどを購入した。
それらのデザインは一見して明らかに性器であると認識できるものではなく,よく見ると性器であることがわかるものもあった。
Aさんは女性器を模したデザインのTシャツを着用し百貨店での催し物にでかけた。
催し物会場にいたVさんがAさんの着ているTシャツのデザインが女性器を模したものであると気付き,不快に思い警備員に相談した。
警備員は不審人物であると判断し,警察に通報し,Aさんは愛知県警察稲沢警察署で話を聞かれることになった。
(フィクションです)

~犯罪になるのか?~

犯罪となる行為は予め法律で規定されていなければならないという原則があり、これを罪刑法定主義と言います。
例えば,殺人であれば刑法199条に「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と規定されてます。

ところで,Aさんの行為はどのような法律によって犯罪と規定されているのでしょうか。
Aさんの行為としては,「性器を模したデザインの服を公共の場である百貨店で着用していた」となります。
このような行為を明確に禁止する法律・条例はおそらくないでしょう。
とはいえ,Aさんの行為に何のお咎めもないというのは違和感を感じるでしょう。
ではAさんには何罪が成立しうるのかを考えていきましょう。

◇わいせつ物陳列罪◇

刑法175条

1項 わいせつな文書,図画,電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し,又は公然と陳列した者は,2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し,又は懲役及び罰金を併科する。(以下略)

わいせつ物陳列罪となるかどうかの境目は,AさんのTシャツが「わいせつ物であるか」と「公然と陳列した」といえるかどうかでしょう。
わいせつとは,「いたずらに性欲を興奮・刺激し,かつ普通人の性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」とされており,何がわいせつにあたるかは時代・社会の変化とともに変化しうるものとされています。
陳列とは「人がその内容を認識できる状態に置くこと」をいいますので,公共の場にTシャツを着用していくことは公然と陳列したといえるでしょう。

◇卑わいな言動(愛知県迷惑行為防止条例違反)◇

もう一つ考えられる犯罪としては愛知県迷惑行為防止条例違反があります。
条文を要約すると,「公共の場所・乗物において正当な理由なく人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で,卑わいな言動をすること」となっています(2条の2,1項4号)。
百貨店は公然の場所であるといえるでしょう。
卑わいな言動は「社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作」とされています。
罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

~弁護活動~

Aさんの弁護活動としてはわいせつ物陳列罪に該当しないことのみならず,卑わいな言動にも当たらないと主張することが考えられます。

わいせつ物陳列罪に該当しないという主張に関しては,性器を模したデザインである本件Tシャツがわいせつなその他の物に該当しないという主張が考えられます。
性器であることが明らかにわかるようなデザインであれば格別ですが,よく見ないとわからないデザインであれば,その程度によってはわいせつな物ではないと主張することもできるでしょう。
このような主張が有効的かどうかは、どのようなデザインであるかによって判断されることになります。

一方で,卑猥な言動にあたらないと主張するのは少し難しい可能性があります。
というのも,Aさんは本件Tシャツが女性器を模したデザインであると認識していると言えるからです。
社会通念上,性器を模したデザインは人の性的羞恥心を刺激するものであるといえますので,そのようなデザインであることを認識しつつ,公共の場に着用していくことは性的道義観念に反する下品な動作であるとされてしまうでしょう。
なお,普通のデザインであると思っていたところ実は性器を模したものであったというような場合にはデザインに対する認識がなかった事から故意が否定されて犯罪が成立しない可能性もあります。
そのため,デザインによってはそのように主張することも考えられます。

どのような場合でも刑事事件に詳しい弁護士と相談し,対応を決めることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部刑事事件専門の法律事務所です。
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