身代わり出頭で犯人隠避罪に問われたら

2019-05-30

身代わり出頭で犯人隠避罪に問われたら

~ケース~

東海市在住のAさんは、不良グループに所属している。
ある日,不良グループの先輩であるBさんが、傷害事件を起こした。
Bさんは執行猶予中の身であり,今回の傷害事件が発覚すると刑務所に行かなければならなかった。
そのため,AさんはBさんから代わりに警察署に出頭してくれないかと頼まれた。
AさんはBさんの頼みを断り切れず、愛知県警察愛知警察署に出頭した。
その後,捜査が進んでいく内にAさんは犯人ではないことが発覚した。
それを踏まえてAさんの取調べを続けたところ,AさんがBさんに頼まれて出頭したことを自供した。
(フィクションです)

~Aさんの罪~

Aさんには、犯人隠避罪が成立すると考えられます。
犯人隠避罪は、刑法103条において「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し,又は隠避させた者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と定められています。
Bさんの犯した傷害罪は、法定刑が15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので刑法103条の言う罰金以上の刑に当たります。
判例によると、蔵匿とは,官憲の発見・逮捕を免れるような隠れ場を提供することをいい,隠避とは,蔵匿以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れさせるべき一切の行為を含むとされています(大判昭和5年9月18日刑集9巻668頁)。
犯人の身代わりとして自首する行為も隠避に当たりますので出頭であっても隠避に当たると言えるでしょう(最決昭和35年7月18日刑集14巻9号1189頁)。

隠避の対象が罰金以上の刑に当たる罪を犯した者であるかどうかについて,法定刑の認識は不要で,軽微でない罪を犯した者であるとの認識があれば足りるとされています(最決昭和29年9月30日刑集8巻9号1575頁)。
罰金刑以上の罪とならない軽微な罪,すなわち拘留または科料となる罪として侮辱罪,軽犯罪法違反が考えられます。
しかしながら,これらの罪で逮捕されることはごく稀ですので「逮捕されそうだから」という状況では基本的に罰金以上の刑にあたる罪であると考えられるでしょう。

~Bさんの罪~

Bさんは傷害事件を起こしていますので傷害罪が成立することは間違いないでしょう。
また,BはAさんに依頼して犯人隠避罪を実行させているのですからBが犯人隠避罪の共犯(教唆)とならないかが問題となります。
犯人自身は発見・逮捕を免れるために自身を蔵匿・隠避することは当然であるため,証拠隠滅罪(刑法104条)も含めて不可罰とされています。
一方,判例は犯人が他人に依頼するなどして自身を蔵匿・隠避させた場合には防御の濫用として教唆罪の成立を認めています(最決昭和40年2月26日刑集19巻1号59頁など)。
これに対して学説では,自己による蔵匿・隠避が不可罰であるならば,共犯の場合も同様に不可罰とすべきという見解が主張されています。
したがって,Bさんには傷害罪と犯人隠避罪の教唆罪が成立することになるでしょう。

~Aさんに対する弁護活動~

犯人隠避罪の法定刑は上述のとおり3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。
実刑や執行猶予付きの判決となるか罰金になるかは隠避した犯人が犯した事件の重大性や隠避の態様などによって判断されることになるでしょう。
今回のケースでは隠避したBさんの犯した罪は傷害罪であり軽微な犯罪とはいえませんが重大な犯罪とまでは言えないでしょう。
今回のようなケースでは執行猶予付きの判決もしくは罰金刑となる可能性が高いでしょう。
ただし,自動的に確実に実刑判決とならないというわけではありませんので,弁護士はAさんが犯人隠避に協力してしまった事情などを主張して情状弁護をしていきます。

~Bさんに対する弁護活動~

今回のケースでは、Bさんは執行猶予中ですが,一般的な執行猶予中でない場合の弁護活動を考えていきます。
傷害罪の場合,傷害の程度や暴行行為の態様にもよりますが,初犯であれば執行猶予付きの判決や罰金となる場合が多くなっています。
しかし,犯人隠避を依頼したような場合には犯行後の情状が悪いことや犯人隠匿罪の教唆犯との併合罪となりますので,初犯であっても実刑判決となってしまう可能性もあります。
弁護士は実刑判決とならないために,社会内での更生可能性や隠避を依頼するに至った事情などの情状弁護を行っていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
依頼されて犯人隠避をしてしまった方や犯人隠避を依頼してしまった場合などはまずは0120-631-881までご相談ください。
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