殺人未遂事件で逮捕②

殺人未遂事件で逮捕②

殺人未遂事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
前編では殺人未遂罪殺人予備罪について説明したので、今回は住居侵入罪と弁護活動について詳しく見ていきます。

【事件】

Aさんは、妻であるBさん(愛知県名古屋市在住)と別居中で離婚を考えていました。
財産分与の話し合いの中で、AさんはBさんに恨みを持つようになり,やがてBさんを殺害しようと考えるに至りました。
ある日の深夜、Aさんは自宅から包丁を持ってBさん宅に侵入しました。
ですが、Bさんの姿は見当たらず、Bさんの母であるVさんしかいませんでした。
そこで、過去にVさんから馬鹿にした態度をとられていたことを思い出し,AさんはVさんを殺害しようと、包丁でVさんの腹部を2回刺しました。
後日,Aさんは住居侵入罪と殺人未遂罪の容疑で南警察署に逮捕されました。
(フィクションです)

【住居侵入罪】

正当な理由がないのに,人の住居もしくは人の看守する邸宅,建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。

住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また,未遂も処罰されます(刑法第132条)。

住居とは,人の寝起きや食事に使用される場所を指します。
邸宅とは,住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。
ただし、四六時中人が監視していなければならないというわけではありません。

また,「侵入」とは,居住者や管理者などの意思(推定的意思を含む)に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠して居住者などの承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため本罪の成立が認められています。

Aさんのケースでは、AさんはBさんを殺害する目的でBさん宅に侵入しています。
そうすると,過去にAさんがBさんと同居していたなどの事情があったとしても、住居侵入罪の成立が認められる可能性は非常に高いと考えられます。

【弁護活動】

殺人や殺人未遂事件は人命が危険にさらされていますので,他の犯罪にくらべて起訴される可能性はぐっと高くなるのが一般的です。
その点も考慮し、以下のような弁護活動を行うことが予想されます。

まず、Aさんのように捜査機関によって逮捕・勾留されている場合は,被疑者・被告人に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを主張し、早期の身柄解放を目指します。

また上記の身柄解放活動と並行して、被害者や遺族とお話しし,謝罪や示談の成立を目指します。
こうした活動は、執行猶予の可能性を高める重要なものと言えます。
その他に、初犯である、動機や成育歴などに同情すべき点がある、といった情状に関する主張も、執行猶予の獲得や刑の軽減に向けた有効な手段の一つです。

殺人をはじめとする重大な犯罪の容疑が掛かっている場合は,捜査機関の捜査がより厳しくなったり、裁判で過度に重く処罰されたりするリスクが増大します。
これらのリスクは、刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することにより回避できる可能性を高めることができます。

殺人や殺人未遂の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が南警察署に逮捕されて困っている方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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