殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Vさん(29歳)は、愛知県名古屋市瑞穂区内の路上において、男に刃物のようなもので首や胸などを刺されました。
Vさんは、命に別状はなかったものの、全治6か月の重症を負いました。
その後、愛知県瑞穂警察署の警察官は、殺人未遂罪の容疑で、Aさん(51歳)を逮捕しました。
Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官の取調べに対し、「自分はやっていない」と供述し、殺人未遂罪の容疑を否認しています。
Aさんは「自分は本当にやっていない。今後どうすればよいのか」として、被疑者の権利について知りたいと考えています。
(2014年11月11日に神奈川新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【被疑者・被告人の権利】
刑事事件例では、Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官により殺人未遂罪の容疑がかけられているところ、「自分はやっていない」と殺人未遂罪の容疑を否認しています。
刑事事件例のように、犯罪の容疑を否認するときには、被疑者・被告人の方は、刑事訴訟法・憲法上保障されている被疑者・被告人の権利について十分理解した上で警察や検察と対峙しなければなりません。
以下では、まず、刑事訴訟法や憲法において被疑者・被告人の方に保障されている代表的な諸権利を確認します。
その後、刑事事件例ではどのような刑事弁護活動が考えられるのかを考えていきます。
【捜索・差押えに関する被疑者・被告人の権利】
捜索・差押えに対しては、押収目録(刑事訴訟法120条)または捜索証明書(刑事訴訟法119条)が交付され、これらをもとにして押収物の還付請求(刑事訴訟法123条準用)や、不服申立てとして準抗告(刑事訴訟法430条)をすることができます。
押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない(刑事訴訟法120条)。
捜索をした場合において証拠物又は没収すべきものがないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない(刑事訴訟法119条)。
押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない(刑事訴訟法123条)。
この規定は、捜査機関(警察や検察)が押収した物を還付、仮還付する場合にも準用されます。
検察官又は検察事務官のした…押収若しくは押収物の還付に関する処分に不服のある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条1項)。
司法警察職員のした前項の処分に不服のある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条2項)。
【取調べに関する被疑者・被告人の権利】
取調べに対しては、被疑者・被告人の方には黙秘権の保障(憲法38条1項)とその告知(刑事訴訟法198条2項)があるということを知っておく必要があります。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない(憲法38条1項)。
前項の取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない(刑事訴訟法198条2項)。
こうした権利や手続きを把握せずに刑事事件の手続きに臨むのと、権利や手続きを十分に把握して手続きに臨むのでは、対応の違いはもちろん、被疑者・被告人やその周囲の方の不安の度合いも大きく異なってきます。
刑事事件の当事者となってしまったら、まずは自分の持っている権利をきちんと確認する意味も込めて、専門家である弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
殺人未遂容疑の否認事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)に続きます。

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