傷害事件の公訴時効

傷害事件の公訴時効

傷害事件公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市北区にある高校の教師であるAさんは、同校の空手部の顧問をしていました。
2017年、Aさんは、空手部員であるVさんが道場においてアイスを食べていたことに腹を立て、指導と称して技を掛け、全治3か月の怪我を負わせました。
2020年になり、Aさんは愛知県北警察署の警察官から連絡を受け、傷害罪の容疑で取調べを受けました。
Aさんは「3年も前のことだからもう時効ではないのか」と考えています。
(2020年12月22日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公訴時効とは】

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条1項)。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条2項)。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年

左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない(刑事訴訟法337条)。
4 時効が完成したとき

公訴時効が完成すると、刑は「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。
これは、たとえ犯罪を犯したとしても、一定の期間、国家により訴追(起訴)されなかったのであれば、その既成事実を尊重すべきである、言い換えれば、犯罪を犯した者の「有罪にならない」という地位を安定させるべきであると考えられているからです。

公訴時効により消滅するのは国家の刑罰権ではなく国家の訴追権(起訴する権利)であるため、公訴時効が完成すると無罪が言い渡されるのではなく刑が「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。

例えば、傷害罪(刑法204条)の法定刑(刑法典に定められた刑)は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。
とすると、傷害罪は「長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)といえることになります。
そのため、傷害罪公訴時効は「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)ということになります。

【公訴時効の起算点】

上述したように、公訴時効の完成により消滅するのは国家の訴追権(起訴する権利)と考えられています。
そして、この国家の訴追権(起訴する権利)は、犯罪の結果が生じたときに発生すると考えられます。
そのため、公訴時効の起算点は、犯罪の結果が生じたときであると考えられます。

再度公訴時効についてまとめると、公訴時効の完成とは、犯罪の結果が生じたときに発生する国家の訴追権(起訴する権利)が一定期間の経過により消滅することを意味するのです。

例えば、傷害罪(刑法204条)については、「人の身体を傷害したとき」が公訴時効の起算点となります。
そして、傷害結果の発生から「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)を経過することにより、公訴時効が完成することになります。

【刑事事件例と公訴時効】

刑事事件例では、2017年にAさんはVさんに対して怪我をさせる傷害事件を起こしていますが、2020年に愛知県北警察署の警察官から捜査を受けた段階では、未だ公訴時効が完成していないことになります。

刑事弁護士としては、公訴時効が完成していないことを前提として、被害者の方であるVさんもしくはVさんのご両親に対して、正式な謝罪と被害弁償をするために示談交渉を開始することになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件公訴時効でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

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