交通死亡事故を起こし、弁護活動により執行猶予判決となった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事例】
Aさんは、愛知県常滑市内を自家用車で走行中、車道を横切っていたVさん(90代男性)に気付くのが遅れ、Vさんをはねてしまい、その結果Vさんは死亡しました。
Aさんは愛知県常滑警察署で任意の取り調べを受け、既に起訴をされていました。
Aさんは相談時に「裁判が始まるのがとても怖いです。私は刑務所に行くことになるのでしょうか。」と相談時にお話しされました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
【交通死亡事故について】
交通死亡事故は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)違反として、過失運転致死罪に問われることが多数です。
また、平成19年の刑法改正で自動車運転過失致死傷罪が新設されて、その後平成25年に自動車運転死傷行為処罰法が新設され、従来の自動車運転過失致死傷罪から過失運転致死傷罪に罪名がかわりました。
交通事故のうち死亡事故のケースでは、前科や前歴がない方でも執行猶予がつかない実刑判決の可能性があるのです。
ですので、実刑判決(刑務所に入ることになる)を避けることを目指していくことが多くなると考えられます。
【交通死亡事故における弁護活動】
①身柄の解放を目指す
交通死亡事故を起こし、逮捕・勾留された場合は釈放・保釈による身柄の解放を目指した弁護活動を行います。
②不起訴・無罪判決を目指す
もしも、身に覚えのない交通死亡事故の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士は警察や検察などの捜査機関または裁判所に対して、不起訴処分や無罪判決になるよう訴えていくことができます。
交通死亡事故を起こしてしまった場合でも、運転者に過失がないことや、注意しても交通事故の発生を避けることはできなかったことなどを主張・立証することで、不起訴処分や無罪判決を目指します。
③正式裁判を回避することを目指す
被害者遺族への被害弁償と示談交渉を行うことで、正式裁判にならない、略式裁判による罰金処分を目指した弁護活動を行っていきます。
④刑務所に行くことの回避や減刑を目指す
起訴をされ、正式裁判になった場合でも、被害者遺族との間で被害弁償や示談を締結したり、運転の態様や不注意の程度など、被告人に有利な事情を主張や立証することで、減刑や執行猶予付き判決を目指していきます。
【今回の弁護活動について】
Vさんのご遺族に対し、謝罪がしたいと弁護士からお伝えしたところ、「Aさんとは会いたくないし、示談交渉もお断りしますが、謝罪文はいただきます」とお返事を頂きましたので、ご遺族にAさんが作成した謝罪文をお渡ししました。
その後裁判所に対し、
①Aさんの過失態様の悪質性が非常に高いとはいえないこと
②Aさんには前科前歴がないこと
③Aさんは対人無制限の保険に加入しており、ご遺族の損害については完全に補填される見込みであること
④Aさんは大変反省しており、更生の環境も整っていること
などを主張したところ、Aさんには執行猶予付き判決が下されました。
このコラムをご覧の方で、交通死亡事故を起こしたが、執行猶予判決を希望しているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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