スマホを充電したら窃盗罪に

2019-12-17

電気窃盗について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

~ケース~

愛知県名古屋市熱田区在住の大学3年生のAさん大学の友人らとショピングモールのフードコートVを利用していた。
Aさんはその際に,席の近くにあったコンセント自分のスマートフォンの充電をしていた。
店員のXはAさんにコンセントを使用しないように注意したがAさんはそれに従わなかった。
その後,AさんがVを利用するたびにコンセントを使用していたため,店長であるXは愛知県熱田警察署に被害届を提出した。
後日,Aさんは窃盗罪の疑いで愛知県熱田警察署で事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~電気窃盗~

他人のコンセントなどを勝手に使用した場合,窃盗罪(刑法235条)が成立します。

第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

形を持たない電気が財物かどうかについては窃盗罪および強盗罪に関しては刑法245条が電気を財物とみなすと規定していますので財物となります。

明治時代に制定された旧刑法では物ではない電気の窃盗が想定されおらず,勝手に電気を使用する行為が窃盗罪となるか議論がありました。。
1903年に大審院(現代の最高裁判所)が電気も窃盗罪の対象となると判示し,1907年に施行された現刑法で245条の電気が窃盗罪の対象となると規定されました。

~可罰的違法性~

刑法では可罰的違法性という考え方があり,違法な行為であっても,刑罰を科するに足りる程度の違法性がない場合には犯罪を構成しないという考え方です。

可罰的違法性の有名な判例に「一厘事件」「旅館たばこ買い置き事件」があります。
前者は煙草の栽培農家が,納入しなければならない葉煙草2グラム(1厘相当)を納入せずに自分で喫煙したという事件です。
後者は旅館が利用客の利便の為に,たばこを買い置きし,利用客に定価で販売したというものです。
一厘事件では「零細な反法行為では,犯人に危険性があると認められるような特殊な状況がある場合を除けば,共同生活の観念上刑罰を持って保護するようなものではない」として無罪を言い渡しました。
旅館たばこ買い置き事件では「この程度の行為はタバコ専売法の趣旨や目的に反せず、社会的に許容される行為である」として無罪としました。

ただし,電気窃盗窃盗行為ですので零細な反法行為とは認めらず,社会的に許容される行為ともいえないので,起訴されてしまった場合に被害額が微小(数円程度)であることをもって窃盗罪が上記判例の理屈で無罪となる可能性は低いでしょう。

~電気窃盗の場合~

充電目的でのコンセントの無断使用という典型的な電気窃盗の場合,被害額自体は微小であるといえますが,頻繁に行われた場合には大きな被害金額となりえます。
このような電気窃盗事件を警察が摘発した場合,被害額が微小なため微罪処分とする場合もありますが,電気窃盗を繰り返し行った場合などは逮捕書類送検されてしまう可能性もあります。

最近では2010年に大阪で料金滞納で電気を止められていた男性が,アパートの共用コンセントから自室に電気を引き込んで,2円50銭相当の電気を盗んだとして,懲役1年,執行猶予3年の有罪判決が言い渡されています。

窃盗罪には以前は懲役刑しか規定がなく,被害額も微小なため,微罪処分不起訴処分となることが多かったようですが,2006年の刑法改正で罰金刑が加えられたため起訴されて罰金刑となる可能性が高くなったと考えられます。
また,1回コンセントを無断使用しただけでは窃盗罪として起訴されてしまう可能性は高くないと考えられますが,Aさんのように注意されたにも関わらず,繰り返し電気窃盗をしたという事案では窃盗罪として起訴されてしまう可能性が高くなってしまうでしょう。

弁護士が付けば微罪処分不起訴処分となるように弁護活動をしていきます。
今回のケースではお店への謝罪文や少額とはいえ被害弁償などを申し出ることが考えられます。
それによって被害届の取下げとなれば微罪処分不起訴処分となる可能性は高くなります。
また,被害届が取下げとならない場合でも,警察の判断で微罪処分となる場合や検察官の判断で起訴猶予となる可能性が高くなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
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