自殺を促して自殺関与罪で告訴
自殺を促して自殺関与罪で告訴された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
ケース
大学生のAさん(24歳)は、大学で留年を繰り返し、また、友人との関係も上手くいかず、このままでは死ぬしかないと思うに至った。
そこで、かねてから交際関係にあるVさん(19歳)に、「一緒に死のう。僕も君の後に死ぬよ。」と心中自殺を促し、愛知県名古屋市中村区の自宅マンションの一室に首吊り自殺の道具を準備した。
Vさんも、交際関係にあるAさんがそう言うならと思い、Aさんの手伝いの下、縄に首を通し、踏み台を外した。
しかし、実際に首を吊り始めた後、Vさんはやはり死ぬのは嫌だと思い直し、暴れて抵抗した。
その結果、首吊りの道具が壊れ、Vさんの自殺は未遂に終わった。
その後、この件の話を聞いたVさんの両親は、これを問題視し、Vさんの両親として中村警察署の警察官に告訴した。
Vさんの両親による告訴を聞いたAさんは、刑事事件に強い法律事務所への相談を検討している。
(事例はフィクションです。)
自殺関与・同意殺人罪の成立
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者には、自殺関与罪・同意殺人罪が成立します(刑法202条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮です。
また、未遂も処罰されます(203条)。
本来、教唆とは、他人に犯罪を唆す(そそのかす)ことをいいます。
人を唆して(教唆して)犯罪を実行させた者は、その犯罪(正犯)の刑に処されます(刑法61条)。
また、幇助とは、他人の犯罪の実行を援助し、容易にさせることをいいます。
他人の犯罪(正犯)を幇助した者は、その犯罪(正犯)の刑を減軽された従犯とされます(刑法62条1項、63条)。
これらの規定が適用される教唆犯・幇助犯というのは,他人が特定の犯罪を実行することを前提として,それに間接的に関わったことが処罰の根拠となります。
しかし、自殺というのは刑法に犯罪として記載されていません。
そうすると,本来教唆犯や幇助犯は他人による犯罪の存在を前提とすることから,自殺を教唆したり幇助したりしても処罰されないように思えます。
それにもかかわらず、自殺の教唆や幇助という自殺関与罪が犯罪として刑法に規定されています。
刑法がこうした規定を置いている理由は、人の生命の処分は本人だけに許されているという考えに基づき、法律が他人の関与を禁じているからです。
したがって、自殺関与罪は、刑法61条や63条の規定とは独立して、独自の犯罪として規定されたものだと考えられています。
ケースにおいて、Aさんは、Vさんに心中を勧めています。
また、自宅マンションの一室内に首吊り自殺のための道具を用意し、Vさんの首吊り自殺を手伝っています。
ここにVさんへの自殺教唆・幇助行為があるといえます。
そして、Vさんの自殺行為は未遂に終わっていますので、Vさんには自殺関与罪(刑法202条)の未遂(刑法203条)が成立すると考えられます。
弁護士による情状弁護活動
自殺関与罪の法律に定められた刑(法定刑)は、上述の通り、6月以上7年以下の懲役又は禁錮と重くなっています。
このように重い刑が予想されるケースについては,弁護士による情状弁護活動が重要となります。
情状弁護とは,裁判において被告人に有利な事情を主張し,有罪となった場合に科される刑を妥当なものにするための活動です。
今回のケースでは、情状弁護を行ううえで主張することが考えられる事情として,結果的にVさんが自殺には至らなかったこと,Aさんの犯行の動機が悪質とまでは言えないこと,Aさんがまだ若く更生の余地があること,などが考えられます。
起訴された場合において適切な量刑を得るためには、情状弁護で主張し得る無限の事実の中から、弁護士により検察官や裁判官が情状事由として目を向けていない事実を主張することが必要です。
具体的にいかなる事情の主張が有効か,そのためにどのような準備をすべきか,といった事柄は,個々の事案によってかなり異なってきます。
ですので,情状弁護活動に関するご相談は,ぜひ法律のプロフェッショナルである弁護士にされることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、法律相談を無料で行っています。
フリーダイヤルにご連絡いただくと、相談対応スタッフが事件の事情をお伺いし、ご来所の日時を調整して予約をお取りします。
その後、事務所にて担当弁護士との法律相談が可能となります。
初回無料法律相談のご予約は、0120―631-881までご連絡ください。
自殺を促して自殺関与罪で告訴された場合は、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談下さい。