誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕

2020-04-20

誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕

誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

ケース

Aさんは、かねてからの顔見知りであるVさん(女性・20歳)を強姦しようと企て、愛知県名古屋市瑞穂区のVさんの自宅まで送ってやると言って、Vさんを自分の車に乗せた。
途中で方向の違うことに気付いたVさんが「降ろして」と頼んだが、Aさんはかまわず車を疾走させた。
人気のない愛知県名古屋市瑞穂区内の山中に着くと、Aさんは、強姦の目的でVさんを無理矢理車外に引っ張り出し、押し倒した。
そのとき、AさんはVさんが怪我をしてもかまわないと考えていた。
しかし、Vさんが抵抗した結果、Aさんは姦淫行為に至る前で、諦めて逃走した。
その後、Vさんの告訴により、事件が発覚した。
愛知県警瑞穂警察署の警察官の捜査の結果、Aさんは逮捕されるに至った。
逮捕の報告を受けたAさんの両親は、Aさんの刑事弁護を依頼する弁護士を探している。
(事例はフィクションです。)

わいせつ目的誘拐罪の成立

わいせつの目的で、人を略取し、又は誘拐した者には、わいせつ目的誘拐罪が成立します(刑法225条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、1年以上10年以下の懲役です。

「略取」と「誘拐」はいずれも人の移動の自由を侵害する行為ですが、「略取」は暴行または脅迫を手段とする場合を、誘拐とは、欺罔または誘惑を手段とする場合を指します。
また、「わいせつの目的」とは、姦淫その他の被害者の性的自由を侵害する目的をいいます。

ケースでは、Aさんは、かねてからの顔見知りであるVさん(女性・20歳)を強姦しようと企て、自宅まで送ってやると嘘をつき、Vさんを自分の車に乗せています。
したがって、Aさんには、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。

監禁罪の成立

不法に人を逮捕し、又は監禁した者には、逮捕・監禁罪が成立します(刑法220条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、3月以上7年以下の懲役です。

「逮捕」とは、羽交い絞めにする・縄で縛りつける等の直接的な強制行為によって移動の自由を奪うことをいいます。
「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。

ケースのAさんは、自宅まで送ってやると言ってVさんを自分の車に乗せ、途中で方向の違うことに気付いたVさんが「降ろして」と頼んだにもかかわらず、かまわず車を疾走させています。

ここで、監禁罪が想定している保護すべき利益(保護法益)は、身体の場所的移動の自由だと考えられています。
したがって、監禁罪に当たる行為は、Vさんの自由が奪われた時点、すなわちVさんが車に乗り込んだ時点から行われたといえます。
ただ、Vさんは車に乗り込んだ時点でAさんの真の目的に気づいていないことから、Vさんから見て移動の自由が奪われていたとは言えず,したがってこの時点では監禁罪は成立しないようにも思えます。
ですが、監禁罪の保護法益は、具体的に言うと行動したいときに行動できる自由(潜在的・可能的自由)と解されています。
今回のケースでは、仮にVさんがすぐに車から降りようとしても、強姦を遂げるべくAさんがそれを拒んだと予想されます。
そうすると、Vさん自身が当初監禁の事実に気付いていなくとも、Vさんの移動の自由が侵害されていたとして監禁罪が成立する可能性があるのです。

さらに、Vさんは当初車に乗り込むことを承諾していたことから、監禁の事実につきVさんの同意があったとして監禁罪の成立は否定されるように思えます。
しかし、Aさんの犯罪の意思をVさんが知っていたならば、Vさんは車に乗り組むことを承諾しなかったと考えられます。
このように被害者が錯誤に陥っているケースについては、承諾が無効であるして犯罪の成立を妨げないと考えられています。

以上より、Aさんには監禁罪が成立すると考えられます。

強制性交等致傷罪と傷害罪の成立

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交をした者には、強制性交等罪が成立します(刑法177条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、5年以上の有期懲役です。
未遂も処罰されます(刑法179条)

また、刑法第177条(強制性交等罪)又はこれらの未遂を犯し、よって人を死傷させた者には、強制性交等致死傷罪が成立します(刑法181条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、無期又は6年以上の懲役です。

「暴行又は脅迫」は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要となります。
また、「姦淫」とは性交をいい、男性器を女性器に一部でも挿入した時点で犯罪が達成されたことになります。

ケースでは、Aさんは、Vさんが怪我をしてもかまわないと考え、強姦の目的でVさんを無理矢理車外に引っ張り出し、押し倒しています。
この時点で、強制性交に至る客観的可能性が明らかに認められます。
そのため、この時点で、強制性交行為の犯罪開始(実行)行為たる暴行の着手があると考えられます。

また、Vさんが抵抗した結果、Aさんは姦淫行為に至る前で、諦めて逃走しています。
したがって、強制性交行為において成立し得る犯罪は未遂であると考えられます。

この点、刑法181条(強制性交等致死傷罪)は、「刑法第177条(強制性交等罪)又はこれらの未遂を犯し、よって人を死傷させた」と規定していることから、強制性交等罪(刑法177条)を犯した結果、偶然にも致死傷の結果が生じたという場合のみを規定しています。
つまり、最初から傷害や殺人の故意があった場合に、刑法181条により強制性交等致死傷罪を成立させるだけでは、傷害や殺人の故意があった点の評価をする(責任を負わせる)ことができません。

このように、もとより傷害や殺人を犯すつもりであったときは、傷害の故意がある場合には強制性交等致傷罪と傷害罪を成立し、殺人の故意がある場合には強制性交等致死罪と殺人罪が成立することになるとするのが最高裁判例(最判昭和31年10月25日)です。

したがって、ケースでは、Aさんには強制性交等致傷罪(未遂)と傷害罪が成立することが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部では、刑事事件を専門とする弁護士が刑事弁護活動に取り組んでいます。
今回のケースのように、1人の被疑者に複数の犯罪が成立すると考えられる場合であっても、刑事事件に強い弁護士が全て弁護をすることができます。

誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕された場合には、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談下さい。
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