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横断歩道上の交通事故

2020-09-08

横断歩道上の交通事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県小牧市に住むAさんは、自動車を運転して帰宅していたところ、信号のない横断歩道上を歩行中であったVさんを誤ってはねてしまいました。Aさんはこのことに気づいていましたが、このまま警察に報告すると逮捕されるのではないかと怖くなり、道路に倒れたVさんを助けることなくそのまま逃走しました。ところが、後日、Aさんは、愛知県小牧警察署の警察官により、過失運転致傷罪及び道路交通法違反で逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。

~ 横断歩道上の交通事故 ~

横断歩道上は「歩行者の聖域」と言われ、自動車の運転者は、横断歩道上を渡ろうとする、あるいは渡っている歩行者を見かけた場合は様々な配慮をしなければなりません。
この点に関し、道路交通法38条では次の規定を設けています。

道路交通法38条
1 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進 路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による 停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断 歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除 く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その 前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他 の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。

1項前段(~「速度で進行しなければならない」まで)は横断歩道等に近接する車両等の速度に関する義務、1項後段は、車両等の一時停止、歩行者等の通行を妨げない義務を定めたものです。
2項は、横断歩道等あるいはその直前に車両等がある場合の同車両等の側方を通過する際の一時停止義務、3項は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路における追い抜き禁止義務を定めたものです。

2項、3項は、横断歩道等には歩行者等がいるが蓋然性が高いにもかかわらず、各状況下で一時停止することなく車両等を追い抜こうとすれば、横断歩道等に対する見通しが悪いことから、車両等の運転手に一時停止義務や追い抜き禁止義務を課したものです。

このことから、横断歩道上を歩行する歩行者を車ではねて怪我させた場合、歩行者が赤色信号で横断歩道を歩行していた場合など落ち度が認められない限りは「過失」ありとされ、自動車運転処罰法(正規名称、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の

過失運転致傷罪(被害者が怪我した場合、死亡した場合は過失運転致死罪)

に問われます。
過失運転致傷罪も過失運転致死罪も法定刑は

7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

ですが、実際の量刑としては、横断歩道上の交通事故は過失を重く見られますから、罰金刑でも高い金額か禁錮刑を選択されることが多いかと思います。
また、ひき逃げ(10年以下の懲役又は100万円以下の罰金)をした場合はさらに刑が重たくなりますので注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

強盗事件と不起訴

2020-09-07

万引きから事後強盗罪へと発展し不起訴を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,家事育児に追われていることでストレスがたまり,お金に困っているわけでもないのに万引きをするようになりました。
ある日,Aさんが愛知県名古屋市内のスーパーマーケットで菓子数点を万引きしたところ,店を出ようとしたところで警備員に呼び止められました。
動揺したAさんは,警備員に向かって咄嗟にハンドバッグを振り回し,警備員の頭にハンドバッグが当たって怯んでいる隙にその場から逃走しました。
警備員に怪我はありませんでした。
後日,Aさん宅を愛知警察署の警察官が訪ね,Aさんは事後強盗罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの夫は,弁護士に不起訴を目指せないか聞いてみました。
(フィクションです。)

【万引き事件が強盗罪に?】

上記事例のAさんは,事後強盗罪という罪の疑いをかけられています。
強盗罪は聞いたことがあっても事後強盗罪は聞いたことがないという方は多いかと思います。
まず,強盗罪は,暴行または脅迫を手段として財産を奪取した場合に成立する可能性のある罪です。
暴行・脅迫により被害者の抵抗を困難にして財産を自分の物にする点で,いわば窃盗罪がより悪質になったものとして位置づけられます。
これに対し,事後強盗罪は,窃盗に及んだあとで一定の目的のもと暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
一定の目的とは,①盗んだ物が取り返されるのを阻止するため,②逮捕されるのを防ぐため,③証拠を隠滅するため,のいずれかです。
窃盗犯がこうした目的で暴行・脅迫を行うことがよく見られ,なおかつその危険性が強盗罪における暴行・脅迫と同視できることから,事後強盗罪という類型が設けられました。

事後強盗罪は「強盗として論ずる」とされているため,法定刑や他の罪との関係は強盗罪と同じということになります。
つまり,刑は5年以上の有期懲役であり,強盗致死傷罪など強盗罪の加重類型も成立しうることになります。

ちなみに,強盗罪と事後強盗罪における暴行・脅迫は,「相手方の反抗を抑圧するに至る程度」,つまりある程度強いものでなければならないと考えられています。
仮に暴行・脅迫が弱めのものだったとすると,強盗罪ではなく恐喝罪になったり,事後強盗罪ではなく窃盗罪と暴行罪または脅迫罪になったりする余地が出てきます。

【不起訴を目指すには】

仮に逮捕されるような事件を起こしたとしても,事件の内容と弁護活動によっては不起訴になる可能性があります。
不起訴は検察官が裁判を行わないという判断を下したことを意味するので,有罪となって刑罰が下されることは基本的になくなります。
そのため,刑事事件においては理想的な終わり方の一つだと言うことができます。

先述のとおり,検察官が不起訴処分を下すかどうかは,事件の内容と弁護活動により大きく左右されます。
事件の内容については,端的に言って事件の悪質性が低ければ不起訴になりやすくなると考えられます。
今回のケースで言うと,被害総額が高くないと見込まれる,少なくとも暴行は突発的なものである,といった事情が悪質性の低さを根拠づける要素となることが期待できます。
弁護活動については,やはり非常に重要なものとして示談が挙げられます。
今回のケースであれば,万引きの被害者である店と暴行の被害者である警備員が被害者に当たると考えられます。
弁護士を通して被害者にきちんと謝罪と被害弁償を行い,許しを得ることができれば,不起訴となる可能性はぐっと高まるでしょう。

逮捕された,あるいは強盗罪だからといって,絶対に不起訴にならないかと言うとそういうわけではありません。
不起訴を目指されるのであれば,まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,知識と経験を頼りに的確な不起訴の見込みをお伝えします。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(初回接見のご予約方法はこちら

お酒と強制わいせつ罪

2020-09-06

お酒と強制わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市熱海区に住む大学4年生のAさん(21歳)は、同じ学部に所属するVさんと仲が良く、他の同級生2名と一緒に名古屋市内にあるVさん宅に遊びに行くことになりました。AさんはVさん宅でVさんらとお酒を飲んだあと、Vさんの許可を得てVさん宅に泊まることになりました。AさんとVさんは別々の部屋で寝ていましたが、Aさんは酒が入っていたこともあり気持ちが大きくなって、Vさんが寝ている隙にVさんの体を触りたいと思うようになりました。そこで、AさんはVさんが寝ていた部屋へ入り、Vさんが寝ている隙にVさんの胸や下半身を触りました。翌朝、Aさんは、Vさんから「昨日したことを覚えているよね?」「示談金払わなければ警察に被害届を出すから」などと言われてしまいました。Aさんは自分のしたことに全く記憶がありませんでしたが、就職先の内定も決まっていたこともあり警察沙汰にだけはなりたくないと思い、事を穏便に解決したいと考えています。そこで、Aさんは刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

幣所にご相談に来られるお客様の中には、強制わいせつをはじめとする性犯罪で訴えられている、あるいは訴えられそうという状況であるにもかかわらず、お酒の影響でその行為を全く覚えていない、一部分しか覚えていないと言われる方も多くおられます。しかし、被害者が嘘をついておらず、かつ、その話に信用性が認められる限りはやはり罪に問われる可能性も出てきます。日頃から、お酒の飲み方などには注意する必要があります。

~ 強制わいせつ罪 ~

強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。

刑法176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 

「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいい、脅迫とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
そして、強制わいせつ罪における暴行、脅迫の程度は、一般には、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければならないとされています。
具体的には、

・殴る、蹴る、叩く
・首を絞める、馬乗りになる
・「殺すぞ」「家を焼くぞ」「裸の写真ネットにばらまくぞ」などと言う

などが挙げられます。
また、暴行それ自体がわいせつ行為であってもよいとされています。
「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいうと解されています。
具体的には、

・膣を触る
・陰部に手を入れる
・乳房を弄ぶ
・相手方の感情を無視した接吻

などがこれに当たるでしょう。

なお、わいせつ行為ではなく、「性交等」を行った場合は強制性交等罪というさらに重たい罪に問われる可能性があることから注意が必要です(法定刑は5年以上の有期懲役)。また、同罪を犯す目的で性行等をするに至らなかったときは強制性交等未遂罪に問われる可能性があります。

~ 警察沙汰を回避するには ~ 

被害者から警察に被害届が提出されてしまうと、逮捕されたり、あるいは警察からの呼び出しなどに応じなければならなくなります。それを回避するためには、やはり、被害者に警察に被害届を提出することを思いとどまっていただくしかありません。そして、被害者に警察に被害届を提出することを思いとどまっていただくためには、被害者との間で示談を成立させる必要があるでしょう。

示談はもちろん、当事者間で成立させることも可能ですが、特に性犯罪の場合は被害者の処罰感情が強く、また罪を犯した側は立場的に弱いですから、どうしても被害者側の要求を鵜呑みにせざるをえなくなり、当事者間で示談を成立させることは難しいでしょう。そこで、加害者側の弁護士が必要となってきます。

お困りの際は弁護士へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

少年事件の簡易送致制度

2020-09-05

少年事件簡易送致制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市西区に住む高校生のA君(17歳)は、自宅から学校まで遠かったため、自宅から原付バイクを使って通学していました。ところが、ある日の朝、A君はいつものように原付バイクにエンジンをかけようとしたところエンジンがかからず、修理に出すと故障していることがわかりました。A君は、今後どのようにして通学しようか悩んでいたところ、A君と同じく原付バイクで通学していた友人のB君から電話があり、「原付バイクが故障したって?」「いらないのあるからタダであげるよ。」と言われました。A君は、B君が1年前に他人の原付バイクを盗んで警察に逮捕されたことを知っていたことから「もしかしたら盗まれたものかもしれない。」などと薄々思いましたが「タダならよかろう」と思い、B君に指定された場所までいき、原付バイクとそのカギを譲り受けて自宅に戻りました。そうしたところ、A君は、愛知県西警察署から「盗品等無償譲受け罪で話を聴きたいから警察まで来てくれないか。」との連絡を受けました。「やっぱり盗品だったのか」と思ったA君は母親と相談し、警察に行く前に弁護士に取調べの対応方法についてアドバイスを受けることにしました。警察官の話によれば、B君は、また原付バイクを盗んだ件で窃盗罪で逮捕された、とのことです。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 盗品等に関する罪 ~

友人間での取引、売買などが刑事事件へと発展する可能性があることが注意が必要です。
盗品等に関する罪は刑法256条に規定されています。

刑法256条
1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

1項は「無償譲受け」、2項は「運搬」「保管」「有償譲受け」「有償処分あっせん」に関する罪です。
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物(以下、盗品等)」とは、窃盗罪、強盗罪、横領罪などの財産犯によて得られたもので、被害者が返してくれと請求できるものをいいます。
「無償譲受け」とは、文字通り、無償で盗品等を譲受けることをいい、現実の物の受渡しが必要です。

また、盗品等に関する罪が成立するための主観的要件として、行為者において譲受けた物が「盗品等である」ことの認識が必要です。
この認識の程度は、必ずしも「盗品等である」との確定的な認識である必要はなく、「盗品等であるかもしれない」という未必的な認識で足りるとされています。

~ 家庭裁判所へ送致されるルートは2つ ~

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを全件送致主義といいます。

事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されるルートは2つあります。
一つは、警察から直接、家庭裁判所へ送致されるルートです。直送事件とも呼ばれています。ただし、このルートで送致される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一つは、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致されるルートです。法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されていると、その罪に関する事件はこのルートで送致されることになります。

~ 少年事件の簡易送致制度 ~

しかし、事案が軽微で少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致させることは、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなりかねません。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

なお、いかなる場合に簡易送致とするかは犯罪捜査規範第214条に規定されています。

犯罪捜査規範214条

1 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明ら かに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(略)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一 月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
2 前項の規定による処理をするに当たつては、第二百条(微罪処分の際の処置)に規定するところに準じて行うものとする。

もっとも、全ての事件、罪が簡易送致の対象となるわけではなく、あくまで「検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたもの」に限ります。盗品等に関する罪については、通常、一定の被害金額以下にかかる罪が対象とされていることが多いようです。

~ 簡易送致となったら?簡易送致を目指すには? ~

簡易送致された場合は、検察庁から呼び出しを受けて取調べを受ける可能性は低いでしょう。また、家庭裁判所で少年審判を受ける可能性も低いと思われます。
簡易送致するか否かは警察が決めますから簡易送致を目指すには、被害者に被害弁償したり、少年を取り巻く環境を整え、更生可能性をしっかりアピールする必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

暴行罪か傷害罪か

2020-09-04

暴行罪と傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

名古屋市北区に住むAさんは、職場の同僚の勤務態度に腹を立て、Vさんの胸ぐらをつかみ、右拳でVさんの顔面を1回殴る暴行を加えました。その際、Vさんの鼻などから出血は確認できず、Vさんも病院には行かなかったようです。
ところが、それから1週間後、Aさんは愛知県北警察署の警察官に呼び出され、取調べで「Vさんから医師の診断書が出た」「診断名は歯牙破折だ」ということを聞かされ、傷害罪の被疑者として捜査すると言われました。
Aさんとすれば、暴行自体は認めているものの、事件当時、Vさんから歯が折れたなどとは聞かされていなかったため、怪我の点については納得できずにいます。
そこで、Aさんは、今後どう対応すればいいのか刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ 暴行罪 ~

Aさんが

・Vさんの胸ぐらをつかんだり
・Vさんの顔面を右拳で殴る

行為は、暴行罪の「暴行」に当たります。

暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどの行為がその典型でしょう。もっとも、最近、マスコミで報じられている

あおり運転

もこの「暴行」に当たるとして、あおり運転をしたを暴行罪で処罰した例もあります。

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

見た感じ、暴行罪よりも、どのような要件がそろった場合に傷害罪が成立するのか分かりにくいですが、刑法208条と併せてみてみると、

「暴行」を加えた者が「傷害」するに至ったとき

傷害罪が成立するものと解されます。

なお、「傷害」とは、

単に相手方に怪我をさること

のみならず、それよりももっと広く、

人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更すること

と解されています。

~ 暴行罪と傷害罪との違い ~

以上から、暴行罪傷害罪との違いは、

「傷害」の結果が発生したか否か

によります。そして、その「発生したか否か」には、

もとから傷害が発生しなかった

という場合と、

傷害は発生したが、暴行との因果関係が認められない

という場合の2つのパターンがあることに注意が必要です。

~ 本件の刑事弁護 ~

本件で、Aさんは、「暴行」の事実自体は認めているものの、「暴行」と「傷害」との因果関係について疑問を持たれているようですから、まずは「暴行罪」での処分を主張していかなければなりません。
具体的には、Aさんはもちろん、周囲に直接の目撃者あるいはVさんの様子を知る人がいなかったかどうか調べ、その方たちからもお話を聴く必要があるでしょう。
そして、その聴取した結果を意見書という形にまとめ、処分を決める検察官に提出するといったことが考えられます。

それと同時に、「暴行」の事実に限っての示談交渉を進めていく必要があります。
仮に、傷害罪で起訴され裁判になった場合は、裁判で診察をした医師を尋問するなどして作成した診断書の証明力を減退させる必要も出てくる可能性があります。

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公務執行妨害罪、公文書毀棄罪と釈放

2020-09-03

公務執行妨害罪、公文書毀棄罪と釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは自動車をを運転中、非常点滅表示灯が点滅していなかったことから、パトカーを運転する愛知県一宮警察署の警察官に停止を求められました。Aさんは道路わきに車を止め、車から降りて警察官の職務質問を受けました。Aさんは、素直に罪を認め、はやく手続を終わらせたいと考えていましたが、警察官の態度があまりにも横柄すぎると感じたことから、警察官Aから交付を受けた「交通反則切符」をその場で破り捨てました。そこで、Aさんは公務執行妨害罪、公文書毀棄罪で逮捕されてしまいました。Aさんは、妻と二人で痴ほう症の両親の面倒を看ています。そこで、逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、一刻も早く釈放されることを願って刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。(フィクションです。)

 

~ 逮捕罪名について ~

 

まずは、Aさんの逮捕罪名である公務執行妨害罪、公文書毀棄罪から解説したいと思います。

 

= 公務執行妨害罪 =

 

本罪は、刑法95条1項に規定されています。

 

刑法95条1項

 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

 

* 破っただけで公妨? *

この記事をご覧になった方は、

 

・警察かに暴行、脅迫を加えてないのになぜ逮捕?

・切符破っただけで公妨?

 

などと疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?実は、公務執行妨害罪の「暴行」とは、

 

公務員の身体に対して直接加えられる有形力の行使(直接暴行)に限られず、公務員に対して向けられてはいるものの、直接公務員の身体に対して加えられたものではない有形力の行使(間接暴行)をも含む

 

とされています。これは公務執行妨害罪が公務の円滑な遂行を保護することを目的としているからと説明されています。判例では、

 

・覚せい剤液注射液入りアンプルを足で踏み付け破壊する行為

・収税官吏が差し押さえた密造酒入りのカメを破壊する行為

 

なども「暴行」に当たるとされています。

 

= 公文書毀棄罪 =

 

本罪は、刑法258条に規定されています。

 

刑法258条

 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

 

「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいいます。「公務所の用に供する文書(公用文書)」とは、公務所で使用されるための文書をいいます。過去の裁判例(東京高裁昭和41年11月11日)では、交通切符をも「公用文書」に当たると判断されています。なお、犯人が署名する前など、文書として未完成のものであっても「公用文書」であることに変わりはないとされています。「毀棄」とは、共用文書等の本来の効用を害する一切の行為をいうとされています。破り捨てる行為も「毀棄」に当たるでしょう。

 

~ 本件と釈放 ~

本件の場合、犯罪を立証し得る直接証拠は犯行を現認した警察官Aの供述です。しかし、Aさんが釈放された場合、わざわざ警察署まで出向いてAさんを威迫し、自分に有利に供述を変遷させるなどの罪証隠滅行為に出ることは通常考え難いです。そもそも、Aさんとしては、Aさんの特定すらできないかもしれません。よって、本件の場合、罪証隠滅行為の現実的可能性は他の犯罪に比べ低いです。ですから、本罪では逃亡のおそれさえなくしてしまえば釈放される可能性はグンと高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、公務執行妨害罪、公文書毀棄罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族の一日でも早い釈放をお望みの方は、土日・祝日、24時間受付中の弊所の初回接見サービスのご利用をご検討ください。

 

準強制わいせつ罪と不起訴

2020-09-02

準強制わいせつ罪不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県東海市に住む大学生のAさん(22歳)は、サークルの活動の飲み会に参加しました。そして、Aさんは飲み会がお開きになった後、トイレに行こうとしたところ、別室で泥酔状態でぐったりとしているVさん(21歳)を見つけました。AさんはVさんとは日頃から良く話す仲で、お互い少しずつ好意を寄せていることを感じていました。そこで、Aさんは「この隙に」と思い、Vさんの胸を数回揉みながらVさんの口にキスをしました。すると、Vさんが意識を取り戻し、Vさんから「触ったでしょ?」と言われました。そして、Aさんは、後日、愛知県東海警察署に準強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。Vさんが同警察署に被害届を提出したようです。

~準強制わいせつ罪~

準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。

刑法178条1項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります(責任能力における心神喪失とは、精神病や薬物中毒などによる精神障害のために、自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり、その能力に従って行動する能力のないことをいいます)。

「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。

「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

~不起訴~

不起訴とは文字通り、起訴されない刑事処分のことです。不起訴処分には不起訴に至る理由があります。
不起訴理由には、主として、起訴猶予と嫌疑不十分の2種類があります。

起訴猶予は、犯人が罪を犯したことは明白ではあるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により不起訴(公訴を提起しない)とする場合の理由とされます。他方、嫌疑不十分とは、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分で不起訴とする場合の理由とされます。

不起訴(起訴猶予)の獲得を目指す場合は、まずはご自身の罪を認め、被害者に対して謝罪する(物理的に不可能な場合は謝罪文を郵送する)ことから始まります。同時に、再犯防止に向けてどういう行動を取ってきくのか検討することも必要でしょう。
それと併行して、被害者側との示談交渉、示談も大切です。
犯人の反省の程度、示談締結の事実、被害者の処罰感情の緩和といった事情が「犯罪後の情況」として考慮されうるからです。

不起訴(嫌疑不十分)の獲得を目指す場合は、あなたが罪を否認している場合です。
その場合は、まず、捜査官(警察官、検察官)に対する取調べの対応が大切になってきます。
しかし、相手は取調べのプロですから、どう対応すべきかは痴漢事件、刑事事件のプロである弁護士のアドアイスを受けた方が賢明です。
しかも、特に、事実を否認している場合、取調べが一回(一日)で終わるとうことまずないでしょう。
ですから、各取調べごとに綿密に弁護士と打合せを行い、取調べに対応する必要があります。
また、性犯罪においては、被害者や目撃者の供述が「犯罪の成立を認定すべき証拠」として重要となってきます。
ですから、事実を否認する場合は、被害者や目撃者の供述の信用性を争っていかなくてはなりません。
仮に、被害者や目撃者の供述の信用性がない、あるいは低いと認定されれば「犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分」であるとして不起訴(嫌疑不十分)を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

監禁罪と監禁致死傷罪

2020-09-01

監禁罪監禁致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市港区に住む会社員Aさんはある会社の社長ですが、同会社に勤務していたVさんが同会社の売上金を横領したものと疑い、Vさん方へ行きました。そして、AさんはVさんを呼び出し、Vさんに車さんをのトランクに入るよう命じましたがこれを拒否されたため、Vさんの胸倉をつかむなどし、「もっと痛い目にあいたいか。」などと言って、Vさんを無理やりトランクに入れ込みました。そして、Aさんは誰もいない山中へ向け車を走らせましたが、Vさんがトランクの中から110番通報し、愛知県港警察署のパトカーにこれを発見されたことから監禁罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 監禁罪とは ~

監禁罪は刑法220条に規定されています。

刑法220条
 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。また、監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。不法かどうかは、社会通念に従って判断されます。

~ 監禁中に交通事故に遭ったら? ~

監禁中に交通事故に遭い、被害者に怪我を負わせたり、被害者を死亡させた場合は監禁致死傷罪が成立する可能性があります。

過去の判例では、自動車の後部トランクに人を監禁していた状態で、路上停車していたところ、たまたま後続の自動車が前方不注視で時速約60kmのまま追突したことが原因で、トランクに監禁されていた被害者が死亡した事案で、監禁致死罪の成立が認められています(最高裁決定平成18年3月27日)。

監禁致死傷罪は刑法221条に規定されています。

刑法221条
 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

つまり、監禁致死傷罪は、①監禁罪を犯すこと、②人を死傷させること、③①と②との間に因果関係が認められること、によって成立する犯罪です。
「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とは、致死罪の場合は「傷害致死罪」の例にならい「3年以上の有期懲役」、致傷罪の場合は、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と監禁罪とを比較した場合、上限は傷害罪が重く、下限は監禁罪の方が重いですから、「3月以上15年以下の懲役」に処せられる、ということです。

~ 取調べ対応なら弁護士に相談 ~

取調べは、プライバシー保護の観点からも第三者の目の届きにくい「密室」で行われます。取調べでは、取調官による怒号、威圧、人格を否定するかのような暴言、罵倒を浴びせるなどの行為が行われやすく、問題となることもしばしばあります。最近でこそ、取調べの録音録画といって、取調べの状況を録音録画し「取調べの可視化」への傾向は進みつつありますが、対象となる事件が一部に限られるなどまだまだ完全とは言えません。

このような中、ご相談者の中には、長時間の取調べ、繰り返される取調べによって精神的にまいってしまい、自分の意図したこととは違うことを話してしまったり、供述調書に書かれてしまったり、サインをしてしまったりする方もおられます。ただ、一度、供述調書にサインをしてしまうと、そこに書かれた内容を後で覆すことは大変な労力を必要とします。ですから、取調べ等に不安のある方は、一度、刑事事件の刑事弁護に優れた弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか??取調べに対するアドバイスはもちろん、正式な契約後は、警察に申入れを行ったり、場合によっては、実際に警察署まで付き添って取調べへの立会を要求したりします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、監禁罪監禁致死罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

路上痴漢で不起訴を目指すなら

2020-08-31

路上痴漢での弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

~ケース~

愛知県北名古屋市在住のAさんは会社の帰り,人通りの少ない道で会社員であるVさん(女性)を見かけた。
Vさんは後ろ姿がAさんの好みであり,人通りも少ない好みともあり,Vさんに痴漢をしてしまおうと考えた。
AさんはVさんの後ろから近寄り,Vさんのお尻や胸を触って走り去った。
Vさんが悲鳴を上げたところ,たまたま通りかかったXにAさんは取り押さえられ,通報により駆け付けた愛知県西枇杷島警察署の警察官に引き渡された。
Aさんは愛知県迷惑行為防止条例違反(痴漢)の疑いで取り調べを受け後日,また呼び出しをすると告げられ釈放された。
Aさんは前科が付かない方法がないか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)

~痴漢~

痴漢は刑法ではなく,各都道府県の定めるいわゆる迷惑行為防止条例によって規制されています。

愛知県迷惑行為防止条例
第二条の二
何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。

なお第二条で道路,公園,駅,飲食店などが公共の場所として列挙されています。
道路は公共の場所にあたりますので,道路で身体に触れる行為は痴漢となりうる行為であるといえます。
なお,痴漢となるには「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」で触れた場合になります。
その為,相手の同意がある場合などには痴漢とはなりません。

今回のケースでは知り合いでもないVさんの背後から近付き突然,お尻や胸などを触ったという事案ですので「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」であったといえるでしょう。
したがってAさんには愛知県迷惑行為防止条例違反(痴漢)成立するといえるでしょう。
なお,愛知県迷惑行為防止条例における痴漢の法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています(15条)。

~前科を付けないために~

痴漢として起訴されると,事実を争わない場合,刑事裁判が開かれずに罰金刑となる略式手続きとなることが多いです。
ただし,罰金刑であっても前科となりますので前科を付けないためには検察官が起訴しない起訴猶予の不起訴処分を獲得する必要があります。

痴漢に限らず,刑事事件では,証拠が不十分であったり,犯行態様が軽微であるなどといった事情がなければ原則的に起訴されてしまいます。
しかし,被害者の方と示談を成立させ宥恕(加害者を赦す,処罰を求めないという意見)を得ることが出来れば不起訴処分となる可能性が高くなります。
これは被害者への弁償が済んでおり,被害者が処罰を求めていない場合にまであえて国家が制裁を加える必要はないという考えに基づくと考えられます。

示談交渉をする場合,被害者の方と連絡を取る必要がありますが,被害者が知り合いというケースでなければ被害者の方の連絡先もわかりません。
刑事事件では場合によっては被害者の方が連絡先を教えてくれることもありますが,痴漢の場合には教えてもらえることはほとんどないでしょう。
その点,弁護士であれば,被害者の方の承諾のもと,検察官や警察に被害者の方の連絡先を取り次いで貰えることもあります。
また,痴漢の被害者の方も弁護士が相手であれば直接加害者と話しをするよりも安心感があり,示談まとまりやすいという事も考えられます。
痴漢をしてしまい,前科をつけないためには刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件で被害者の方と示談を成立させ不起訴となった事案も数多く手掛けて参りました。
痴漢事件を起こしてしまいお悩みの方・ご家族の方は0120-631-881まで今すぐお電話ください。
事務所での無料法律相談・警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間365日受け付けております。

水増し請求が発覚したら?

2020-08-30

水増し請求事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

愛知県豊田市在住の会社員のAさんは自身の消費者金融への返済金の捻出のために,取引先の営業であるBと結託し,水増請求書を作成し,その一部をBと着服していた。
不審に思った取引先の社長のVがAさんおよびBさんを問い質したところAさんとBさんは水増し請求を認めた。
Vは被害届の提出を考えている。
今後どうなるか不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用することにした。
(フィクションです)

~水増し請求~

水増し請求とは文字通り,実際にかかった金額よりも多く代金などを請求することです。
ほどんどの場合,多く得た差額は自身と相手で着服することになります。
表面上は通常の請求であるため,発覚するまでに時間がかかる場合も多く,被害金額が大きくなることもあります。

水増し請求で得た差額を着服した場合に,法律上どのような罪になるのでしょうか。
まずは業務上横領罪(刑法253条)の成立が考えられます。

第253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

水増し請求での着服の場合,着服する現金が「業務上自己の占有する他人の物」であるかが問題となるでしょう。
横領の成立にはあらかじめ物を占有していることが必要となります。
業務上横領の典型例としては,経理担当者が,会社の銀行口座や金庫などからお金を持ち出す行為です。
業務上横領の場合,自分以外関わっていないケースが多く,Aさんは業務上売上金などを占有する立場にないので業務上横領罪は成立しないと考えられます。

次に詐欺罪(刑法246条)の成立が考えられます。

第246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の成立要件は,①他人を騙し,②錯誤に陥らせ,③財産を処分する行為をさせ,④財物の占有を自己または第三者に移すことです。
単に相手を騙すだけではなく,実際に処分行為をさせ財物が移転することが必要となります。

今回のケースでは水増し請求という他人を騙す行為をし,それによって錯誤に陥ったBの会社が代金を払いAないしBの元へ交付されていますのでAさんおよびBさんには詐欺罪が成立するでしょう。

~弁護活動~

水増し請求による着服事件では発覚後すぐには刑事事件化しない場合もあります。
会社の方針により,事件を表沙汰にしたくないと考える場合もあります。
そのような場合には,着服した現金などを返還すれば事件の発覚を回避し,刑事事件とならない可能性もあります。

ただし,多くの場合で着服した金銭の返還は難しく被害届が出されてしまうケースが多いでしょう。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですので,起訴された場合には刑事裁判によって懲役刑が求刑されます。
詐欺罪では被害金額,被害弁償など示談の情状によっては初犯であっても執行猶予が付かない可能性もあります。

また,詐欺罪として検察官が起訴する前に,弁護士を依頼し,示談交渉などを成立させることができれば不起訴となる可能性もあります。
今回のケースのような詐欺事件の示談交渉では実際に着服した金額がベースとなります。
刑事事件の示談では,示談金は一括払いが基本ですが,今回のケースのような事件では示談金が高額となることも多く,示談交渉次第では分割払いにしていただける場合もあります。

また水増し請求での詐欺など刑事事件を起こしてしまった場合には解雇は避けられませんが,長期の分割払いとなった場合,早期に再就職し,安定収入を得られるようにする必要があるでしょう。
懲戒解雇となれば再就職にも影響し,被害弁償など示談金の支払いにも影響を与えてしまいます。
示談交渉の際に,懲戒解雇とならないように交渉することも考えられます。
まずは詐欺事件などに詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
会社のお金を着服してしまった,水増し請求を着服していたのが発覚してしまった場合などは0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談,警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。

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