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誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕
誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕
誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
ケース
Aさんは、かねてからの顔見知りであるVさん(女性・20歳)を強姦しようと企て、愛知県名古屋市瑞穂区のVさんの自宅まで送ってやると言って、Vさんを自分の車に乗せた。
途中で方向の違うことに気付いたVさんが「降ろして」と頼んだが、Aさんはかまわず車を疾走させた。
人気のない愛知県名古屋市瑞穂区内の山中に着くと、Aさんは、強姦の目的でVさんを無理矢理車外に引っ張り出し、押し倒した。
そのとき、AさんはVさんが怪我をしてもかまわないと考えていた。
しかし、Vさんが抵抗した結果、Aさんは姦淫行為に至る前で、諦めて逃走した。
その後、Vさんの告訴により、事件が発覚した。
愛知県警瑞穂警察署の警察官の捜査の結果、Aさんは逮捕されるに至った。
逮捕の報告を受けたAさんの両親は、Aさんの刑事弁護を依頼する弁護士を探している。
(事例はフィクションです。)
わいせつ目的誘拐罪の成立
わいせつの目的で、人を略取し、又は誘拐した者には、わいせつ目的誘拐罪が成立します(刑法225条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、1年以上10年以下の懲役です。
「略取」と「誘拐」はいずれも人の移動の自由を侵害する行為ですが、「略取」は暴行または脅迫を手段とする場合を、誘拐とは、欺罔または誘惑を手段とする場合を指します。
また、「わいせつの目的」とは、姦淫その他の被害者の性的自由を侵害する目的をいいます。
ケースでは、Aさんは、かねてからの顔見知りであるVさん(女性・20歳)を強姦しようと企て、自宅まで送ってやると嘘をつき、Vさんを自分の車に乗せています。
したがって、Aさんには、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。
監禁罪の成立
不法に人を逮捕し、又は監禁した者には、逮捕・監禁罪が成立します(刑法220条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、3月以上7年以下の懲役です。
「逮捕」とは、羽交い絞めにする・縄で縛りつける等の直接的な強制行為によって移動の自由を奪うことをいいます。
「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
ケースのAさんは、自宅まで送ってやると言ってVさんを自分の車に乗せ、途中で方向の違うことに気付いたVさんが「降ろして」と頼んだにもかかわらず、かまわず車を疾走させています。
ここで、監禁罪が想定している保護すべき利益(保護法益)は、身体の場所的移動の自由だと考えられています。
したがって、監禁罪に当たる行為は、Vさんの自由が奪われた時点、すなわちVさんが車に乗り込んだ時点から行われたといえます。
ただ、Vさんは車に乗り込んだ時点でAさんの真の目的に気づいていないことから、Vさんから見て移動の自由が奪われていたとは言えず,したがってこの時点では監禁罪は成立しないようにも思えます。
ですが、監禁罪の保護法益は、具体的に言うと行動したいときに行動できる自由(潜在的・可能的自由)と解されています。
今回のケースでは、仮にVさんがすぐに車から降りようとしても、強姦を遂げるべくAさんがそれを拒んだと予想されます。
そうすると、Vさん自身が当初監禁の事実に気付いていなくとも、Vさんの移動の自由が侵害されていたとして監禁罪が成立する可能性があるのです。
さらに、Vさんは当初車に乗り込むことを承諾していたことから、監禁の事実につきVさんの同意があったとして監禁罪の成立は否定されるように思えます。
しかし、Aさんの犯罪の意思をVさんが知っていたならば、Vさんは車に乗り組むことを承諾しなかったと考えられます。
このように被害者が錯誤に陥っているケースについては、承諾が無効であるして犯罪の成立を妨げないと考えられています。
以上より、Aさんには監禁罪が成立すると考えられます。
強制性交等致傷罪と傷害罪の成立
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交をした者には、強制性交等罪が成立します(刑法177条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、5年以上の有期懲役です。
未遂も処罰されます(刑法179条)
また、刑法第177条(強制性交等罪)又はこれらの未遂を犯し、よって人を死傷させた者には、強制性交等致死傷罪が成立します(刑法181条)。
法律に定められた刑(法定刑)は、無期又は6年以上の懲役です。
「暴行又は脅迫」は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要となります。
また、「姦淫」とは性交をいい、男性器を女性器に一部でも挿入した時点で犯罪が達成されたことになります。
ケースでは、Aさんは、Vさんが怪我をしてもかまわないと考え、強姦の目的でVさんを無理矢理車外に引っ張り出し、押し倒しています。
この時点で、強制性交に至る客観的可能性が明らかに認められます。
そのため、この時点で、強制性交行為の犯罪開始(実行)行為たる暴行の着手があると考えられます。
また、Vさんが抵抗した結果、Aさんは姦淫行為に至る前で、諦めて逃走しています。
したがって、強制性交行為において成立し得る犯罪は未遂であると考えられます。
この点、刑法181条(強制性交等致死傷罪)は、「刑法第177条(強制性交等罪)又はこれらの未遂を犯し、よって人を死傷させた」と規定していることから、強制性交等罪(刑法177条)を犯した結果、偶然にも致死傷の結果が生じたという場合のみを規定しています。
つまり、最初から傷害や殺人の故意があった場合に、刑法181条により強制性交等致死傷罪を成立させるだけでは、傷害や殺人の故意があった点の評価をする(責任を負わせる)ことができません。
このように、もとより傷害や殺人を犯すつもりであったときは、傷害の故意がある場合には強制性交等致傷罪と傷害罪を成立し、殺人の故意がある場合には強制性交等致死罪と殺人罪が成立することになるとするのが最高裁判例(最判昭和31年10月25日)です。
したがって、ケースでは、Aさんには強制性交等致傷罪(未遂)と傷害罪が成立することが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部では、刑事事件を専門とする弁護士が刑事弁護活動に取り組んでいます。
今回のケースのように、1人の被疑者に複数の犯罪が成立すると考えられる場合であっても、刑事事件に強い弁護士が全て弁護をすることができます。
誘拐・監禁をした強制性交等致傷罪で逮捕された場合には、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談下さい。
(初回接見のご案内はこちら)
職務質問に伴う所持品検査
職務質問に伴う所持品検査について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事件】
愛知県名古屋市千種区で強盗事件が連続して発生していたため,千草警察署は警らする警察官を増員し犯人逮捕に努めていました。
ある日,Aさんは千草区内の路上で職務質問を受けました。
Aさんは警察官からバッグの中を見せるよう要求されましたが拒否しました。
すると警察官はAさんのバッグを渡すよう要求し,それも拒否すると半ば無理矢理バッグを奪い取り所持品検査を始めました。
バッグの中から強盗被害にあった物品とよく似た物が出てきたため,Aさんは千草警察署に同行するよう指示されました。
(フィクションです)
【所持品検査】
職務質問とは,警察官職務執行法(以下「警職法」といいます)第2条の定める要件の下で認められる,警察官が挙動不審者等に対して行う停止・質問行為のことをいいます。
警職法第2条第1項
警察官は,異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪につ
いて,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。
職務質問における質問行為はあくまで任意で,質問対象者が重大な権利の侵害や不利益を被る強制にわたらないように行われなければならないのが原則です。
他方で,任意に行われなければならないとされつつも,腕を掴んで引き留めるなど一定程度の有形力の行使も認められています(最決昭和29・7・15刑集8巻7号113 7頁など)。
職務質問は犯罪の発生を必要的要件としておらず,警職法の目的からしても本来的には広く犯罪の予防や公安の維持のために行われる行政警察活動とされています。
ただ,現実としては職務質問から犯罪の捜査が行われていることもしばしばあり,特定の犯罪を検挙するための捜査活動(司法警察活動)としての側面を持つこともあります 。
捜査活動として行われる職務質問では,証拠を発見するために必要な活動も付随して行われることがあります。
Aさんが受けたような所持品検査がまさにそれに当たります。
職務質問は原則として任意で行われなければならず,行き過ぎた職務質問に由来する証拠は違法収集証拠として排除される場合もあります(東京高判平成8・9・18判タ1 273号338頁)。
ここで,職務質問については先述のとおり警職法に定めがある一方,所持品検査についてはそれを明確に規定する条文がありません。
そこで,所持品検査にはどのような形態があり,どのようなものが適法あるいは違法となるのかが問題となります。
所持品検査のとしては,法益侵害の程度が軽いものから
①所持品を外部から観察し所持品について質問する行為
②相手方に内容物について開示を要求する行為
③衣服・携帯品の外部から手を触れて検査する行為
④警察官みずから衣服の内側やポケットの内部,その他かばんなどの携帯品を開披し所持品を取り出し検査する行為
の4つが考えられます。
所持品検査についてのリーディングケースである最判昭和53・6・20刑集32巻4号670頁によると,一般論として「所持人の承諾のない限り所持品検査が一切許され ないと解するのは相当でなく,捜索に至らない程度の行為は,強制にわたらない限り,所持品検査においても許容される場合がある」とされています。
しかし,所持品について捜索・押収を受けない権利は憲法第35条によって保障されていることから,このような行為が許されるのは「所持品検査の必要性,緊急性,これに よって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し,具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ,許容される」としました。
昭和53年判決が出ることになった事件は,深夜銀行強盗事件の検問の現場を通りかかった被告人らが職務質問に黙秘し,所持品であるボウリングバッグの開披を要求し,結果として警察官が承諾なしにボウリングバッグのファスナーを開披したというものです。
この事件では,上記の判決によって承諾を得ず行われたファスナーの開披行為を「職務質問に付随する行為として許容される」とされましたが,別の事件で承諾なしに上着の内ポケットに手を差し入れて所持品を取り出した上で検査した行為は「所持品検査の許容限度を逸脱したもの」とする判決(最判昭和53・9・7刑集32巻6号1672頁)が出ています。
Aさんのケースでは,質問を受けた場所と同じ千種区内で強盗事件が連続して発生していたことが所持品検査を正当化する事実としてあげられますが,Aさんが警察官からの質問にどう対応していたのか,事件現場との距離がどの程度だったかなど、他の事情によってはAさんが受けた所持品検査が違法であると主張できる可能性もあります。
Aさんのみならず,刑事事件の依頼を受けた弁護士は犯罪となるべき事実だけを争うのではなく,場合によっては捜査機関の捜査が適法に行われたのか,提出された証拠が違法収集証拠に当たるのではないかということも争うことがあります。
このように刑事事件は民事事件などとは異なった専門的な知識や手腕が問われますので,もし刑事事件の被疑者となってしまった場合にはお早めに刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することが重要です。
違法と思われる職務質問で犯罪の被疑者となってしまった方,千種警察署で取調べを受けることになってしまった方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にお早めにご相談ください。
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2度目の執行猶予はありうる?②
2度目の執行猶予はありうる?②
執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)
~2度目の執行猶予~
前回は上記の事例について、刑法25条1項に基づいて執行猶予を得ることができるかについて解説いたしました。
→2度目の執行猶予はありうる?①
今回は、25条2項に基づいて再度の執行猶予を得ることができるかについて解説いたします。
この条文は、まさに今回のAさんのような事例について定めてあります。
刑法25条2項
前に禁錮以上の刑に処されたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内にさらに罪を犯した者については、この限りではない。
読みづらい条文ですが、つまり、
①保護観察の付かない執行猶予期間中の者に対し、
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合で、
③情状に特に酌量すべきものがあるときは、
再度の執行猶予判決ができるということになります。
執行猶予中に罪を犯した者はさらなる執行猶予は受けられないことを原則としたうえで、犯した罪が軽く、また情状的にも強い猶予の理由がある場合にのみ限定的に、さらなる執行猶予を与える、という趣旨です。
なお①について、執行猶予の期間を、保護観察所の助言・指導などの監督を受けながら生活するという保護観察が付いている場合には、その期間中の犯罪について再度の執行猶予を付けることはできないことになります。
保護観察は、執行猶予を付けるケースの中では比較的悪質な犯罪のケースです。
このような保護観察のもとでもなお犯罪を犯した者には、もはやさらなる執行猶予は与えない、ということです。
~今回は執行猶予を付けられるか~
では今回のAさんは、執行猶予を受けられるのでしょうか。
Aさんには保護観察は付いていませんから、①保護観察の付かない執行猶予期間中の者という条件は満たします。
しかし、②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合という条件はどうでしょうか。
通常、再犯者には前回よりも重い判決が出されます。
Aさんは前回、懲役2年の判決を受けています。
そうすると特殊な事情がない限り、今回は2年以上の懲役判決が下される可能性が高いことになります。
また、②と重なる部分がありますが、③情状に特に酌量すべきものがあるときという条件についても、よほど特殊な事情がないと認めてもらえない可能性が高いでしょう。
以上により、Aさんが再度の執行猶予を得ることは、理論上は可能ですが、実際は厳しいところがあります。
~弁護士にご相談ください~
この状況で執行猶予を得るためには、適切かつ有効な弁護活動によって、まずは刑を1年以下に抑え、加えて特に酌量すべき情状があることを裁判官に認めてもらう必要があります。
ただ、このような弁護活動は、結果的に執行猶予とならなかったとしても、懲役の期間を短くすることにはつながる可能性があります。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
私たちの事務所では、刑事弁護を専門とする弁護士を取り揃えております。
執行猶予を得たいという場合かどうかにかかわらず、刑事事件に関して何かお困りのことがあれば、無料法律相談や初回接見サービスをぜひご利用ください。
2度目の執行猶予はありうる?①
2度目の執行猶予はありうる?①
執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)
~執行猶予とは~
執行猶予とは、有罪判決がなされる場合に、情状を考慮して、刑の執行を猶予するという制度です。
根拠となる条文には刑法25条1項と同条2項があり、今回は1項について解説します。
2項についてはこちら→2度目の執行猶予はありうる?②
(なお、刑の一部の執行猶予という制度もありますが、ここでは刑の全部の執行猶予に焦点を当てて解説していきます。)
まずは条文を見てみましょう。
刑法25条1項
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することが出来る。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、25条1項により執行猶予を得るための要件は次の3つです。
①25条1項1号または2号にあてはまること
②今回、言い渡される判決が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金刑であること
③情状により猶予が相当であること
①についてさらに詳しく解説すると、25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」とは、禁錮以上の判決を言い渡されたことがないことを言います。
※ 「禁錮」という刑罰は、刑務所内で刑務作業をするかしないかは自由とされている他は懲役と同じです。「禁錮以上の刑」は、死刑・懲役・禁錮を指し、罰金などは含まれません。
純粋に前科がない者や、罰金しか受けたことのない者の他、前の裁判で懲役や禁錮の執行猶予判決を受けてその猶予期間を再犯せずに無事すごした場合も、判決言渡しの効果が消滅するので(刑法27条参照)、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に含まれます。
本ケースでのAさんは、2年前の裁判で懲役刑を言い渡されており、執行猶予期間の5年もすぎていないので、該当しません。
また、25条1項2号は、実際に懲役刑や禁錮刑を受け、(ア)刑期満了による出所した時、(イ)仮釈放され残りの期間を無事過ごした時のいずれかの時点から5年間、再び禁錮以上の刑の言渡しを受けなかった場合などを指します。
しかし、今回のAさんはそもそも実際に懲役刑や禁錮刑を受けていないので、該当しません。
したがって、Aさんは25条1項を根拠として執行猶予を受けることはできないわけです。
長くなったので、25条2項による再度の執行猶予については次の記事で解説いたします。
→2度目の執行猶予はありうる?②
~お困りの方はご相談ください~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。
違法な捜索・差押えをされたら
違法な捜索・差押えをされたら
違法な捜索・差押えをされた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんが愛知県名古屋市内の自宅でBさんと遊んでいると突然、愛知県千種警察署の警察官が、捜索差押令状をもって乗り込んできました。
この令状は、被疑事実を「覚せい剤使用」、捜索すべき場所を「○○マンション104号室(A宅)」・差し押さえるべきものを「覚せい剤、注射器、パイプ、覚せい剤の入手・保管に関する情報の記載された文書、同情報の保管された物件、その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」と記載されていました。
警察官は同令状に従いA宅を捜索しましたが何も出てきませんでした。
警察官は、A宅に居合わせていたBさんが捜索開始時からかばんを抱きかかえて離そうとしなかったことから不信を抱き、Bさんにカバンの提出を求めました。
Bさんが提出を拒むと警察官は令状の執行としてBさんから無理矢理カバンを奪い、その中を確認しました。
カバンの中からは覚せい剤やその使用に供したと思われる注射器が見つかり、押収され、Bさんは覚せい剤所持の罪で現行犯逮捕されました。
(このケースはフィクションです。)
~第三者の持ち物の捜索・差押え~
今回のケースでは、A宅の捜索・差押えの際に、偶然居合わせたBさんの持ち物の捜索・差押えがなされています。
このような、現場に居合わせた第三者の持ち物の捜索・差押えは適法なのでしょうか。
まず、捜査機関が捜索や差押えをするためには、裁判官に許可状(令状)を発行してもらう必要があります。
その令状には「捜索すべき場所、身体若しくは物」を記載しなければなりません(刑訴法219条1項)。
なぜなら、捜査機関が勝手に関係ないところを捜索して、国民の権利が害されることを防ぐ必要があるからです。
したがって、捜索は令状に記載された場所のみで行うことが出来ます。
今回のケースではA宅内のみを捜索することができるわけです。
ただ、A宅内とはいえ、たまたま居合わせた第三者の持ち物まで捜索してよいのでしょうか。
そもそも捜索は、事件に関係する証拠がある可能性が十分あるからこそ、裁判官が許可するわけです。しかし、偶然居合わせた第三者のカバンは、事件に関係する証拠は入っていないのが普通です。
そうすると裁判官も、居合わせた第三者の所持品まで捜索することは想定しておらず、許可を出していないといえます。
したがって、たとえその場に存在したとしても原則として捜索できないと考えられています。
~例外的に適法なケースも~
しかし、A宅に元々あった物をBさんが捜索時に持っていた場合には話が変わってきます。
例えばAさんとBさんが共犯者であり、BさんにとってもAさんの物が捜索・差押えされるのは不都合なので、警察の突入時にとっさに隠したような場合です。
もし第三者が適法に捜索・差押えできる物をカバンに隠した途端、捜索・差押えができなくなるとしたら、捜索・差押えの実効性が著しく損なわれます。
またこの場合、証拠が見つかる可能性が十分あるわけですから、令状を出した裁判官としても捜索がなされることを想定していたといえます。
そこで、適法に捜索・差押えが可能な物をBさんが自分のカバンの中に隠したことが明らかな場合や、A宅にあったAさんのカバンをBさんが持っていたにすぎない場合などには、例外的に捜索・差押えが適法となる場合もあります。
~違法だった場合は?~
仮に原則通り、今回のBさんのカバンへの捜索・差押えが違法だった場合、押収された覚せい剤や注射器などの証拠は違法に収集された証拠であり、その証拠に基づいてなされた現行犯逮捕も違法ということになります。
この場合、見つかった証拠は裁判で有罪とするために使うことが出来なくなったり、ただちに釈放しなければならなくなる可能性もあります。
ただ、違法であれば当然にそうなるというものではなく、その違法の内容や程度によってその結論は異なります。
その判断は難しいところですので、違法な捜査をされたのではと心配な方は、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
捜査の過程に違法な点がないかを検討し、早期釈放や判決を軽くすることに向けて、弁護活動をしてまいります。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。
免許証を偽造して詐欺
免許証を偽造して詐欺
免許証を偽造して詐欺をした場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんが在籍している株式会社Xでは,ある社員の退職に伴い,大型車両の運転免許を取得する意思のある者を募っていました。
社内で回覧されていた文書によると,大型車両の運転免許を取得することで給与が上がるだけでなく,教習に掛かる代金の負担という名目で30万円が交付されるようでした。
そのことを知ったAさんは,運転免許証を偽造し,会社から30万円を騙し取ろうと考えました。
そこで,大型免許を持っていないのに,取得済みであるかのような偽の免許証を作成したうえで,コピーを会社に提出して30万円の交付を受けました。
しかし,のちにAさんが免許を取得していないことが発覚し、会社から追及されたAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
【免許証の偽造は何罪に当たるか】
一般的に,免許証の偽造とは,免許証に似たものを作成したり,既に所持している免許証を加工するなどして内容に変更を加えたりすることを指すかと思います。
このような行為に及んだ場合,以下の犯罪が成立する可能性があります。
①公文書偽造罪
刑法(一部抜粋)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
公文書偽造罪は,公的機関が作成すべき文書を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
ここでの「偽造」とは,権限のない者が文書等を作成することを意味します。
運転免許証を作成する権限があるのは公安委員会であり,当然ながら一般人に運転免許証を作成する権限はありません。
したがって,偽の運転免許証を作成した場合には公文書偽造罪が成立すると考えられます。
罰則は1年以上10年以下の懲役となっており,罰金刑がないことから,もし起訴されれば簡易な手続で罰金刑にする略式裁判は利用できません。
したがって公開の法廷で通常の裁判を受け、無罪にならない限り、懲役刑の実刑判決か執行猶予判決が下されることになるでしょう。
②偽造公文書行使罪
第百五十八条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
Aさんは偽造した免許証(155条に該当する文書)を会社に提出しているので、「第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し」た者として、虚偽公文書作成罪も成立してしまいます。
③詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
Aさんは、大型免許を取得しているかのように「人を欺いて」、30万円という「財物を交付させた者」にあたりますので、詐欺罪も成立してしまいます。
このように、Aさんには多くの犯罪が成立してしまいます。
なお、これらの罪で有罪判決を受ける場合、罰則は単純に各条文の罰則を足すのではなく、詐欺罪よりも重い公文書偽造・同行使罪を基準に、1年以上10年以下の懲役の範囲で処罰されることになります(牽連犯・刑法54条1項参照。なお執行猶予となる可能性はあります)。
【弁護士にご相談ください】
今回のような事件では、今後警察に被害届が出されてしまうおそれもあるため、すみやかに謝罪してお金を返すなどの対応が必要となってきます。
それで丸く収まればよいのですが、警察沙汰になってしまう場合もあるでしょうし、今後どのような展開になってしまうのか不安が強いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件に強い弁護士が,事件の軽重を問わず最善の結果を目指して弁護活動を行います。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
盗撮と前科③
盗撮と前科について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
愛知県愛西市に住むAさんは,買い物をしようと近所のショッピングモールへ行きました。
そうしたところ,店内でスカートを履いた女性Vさんがエスカレーターに向かって歩くのが目に入りました。
そこで,Aさんはエスカレーターに乗ってVさんの背後に立ち,自身のスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
ところが,撮影の際にAさんのスマートフォンがVさんの太ももに当たり,Vさんから「ちょっと,何してるんですか」と声を掛けられました。
その場から逃走を図ったAさんでしたが,近くにいた買い物客に腕を掴まれ,結局津島警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,Aさんに盗撮の前科があることを聞きました。
(フィクションです)
【前科の定義と影響②】
前回の記事に引き続き,今回の記事でも前科を取り扱います。
今回は,刑事事件における前科の影響について説明します。
前回の記事で,「前科は普通に生活している限り簡単に知られるものではない」といった趣旨のことを述べました。
ですが,捜査機関や裁判所においては,照会によって前科の有無や内容を知ることができます。
また,起訴後に弁護人が閲覧できる記録にも,犯罪経歴照会結果報告書などが綴られています。
そのため,刑事事件の関係者であれば,本人の申告などなくとも前科の内容を把握できるようになっています。
刑事事件における前科の影響として,前科の存在を理由に刑罰が重くなることが考えられます。
まず,刑法57条において,「再犯」(詳しい定義は56条参照)に対しては「その罪について定めた懲役の長期の二倍以下」の刑に処するとしています。
たとえば,本来の法定刑が1年以下の懲役である罪を犯した場合,再犯の際に言い渡される刑は2年以下の懲役になるということです。
また,この規定を抜きしても,過ちを複数回繰り返したとなると当然ながら印象はよくありません。
この点を捉えて,裁判官により言い渡される刑が重くなるだけでなく,検察官が決める処分(起訴か不起訴か,正式起訴か略式起訴か)も重くなることがありえます。
次に,前科の存在によって,法律上執行猶予を付ける余地がなくなる可能性が出てきます。
たとえば,刑法25条1項によると,執行猶予の対象は原則として「過去に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」であり,そうでない者に対する執行猶予の付与は例外的となっています。
このように法律上執行猶予が付けられないとなると,裁判官としても裁量の余地が全くなくなってしまいます。
そのため,執行猶予との関係で前科の有無とその内容は極めて重要だと評価できます。
更に,前科の存在は,刑事事件の過程である保釈にも関わってきます。
前科の刑が死刑または無期もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁錮であるとき,権利保釈(被告人などから請求を受けた場合に必ず認めなければならない保釈)は不可能となります。
権利保釈が不可能でも裁量保釈(権利保釈の可否に関係なく裁判官の判断で認められる保釈)の可能性はありますが,上記のとおり厳罰の可能性もある以上,やはり裁判官の心証に響くことはありえます。
前回および今回の記事で取り上げた以外にも,前科には様々な影響が考えられます。
「前科により自身の刑はどの程度重くなるのか」などの疑問があれば,一度弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,前科に関してご不明な点に真摯に耳を傾けます。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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盗撮と前科②
盗撮と前科について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
愛知県愛西市に住むAさんは,買い物をしようと近所のショッピングモールへ行きました。
そうしたところ,店内でスカートを履いた女性Vさんがエスカレーターに向かって歩くのが目に入りました。
そこで,Aさんはエスカレーターに乗ってVさんの背後に立ち,自身のスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
ところが,撮影の際にAさんのスマートフォンがVさんの太ももに当たり,Vさんから「ちょっと,何してるんですか」と声を掛けられました。
その場から逃走を図ったAさんでしたが,近くにいた買い物客に腕を掴まれ,結局津島警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,Aさんに盗撮の前科があることを聞きました。
(フィクションです)
【前科の定義と影響①】
前科という言葉は,その文脈に応じて複数の意味があります。
よく見られるものとして,「過去に懲役刑や禁錮刑の言い渡しを受けて刑務所に収容されたこと」という意味があるのではないかと思います。
今回取り扱う「前科」は,刑務所へ収容された経験に限らず,犯罪に及んで何らかの刑罰を受けたことを意味する言葉として用います。
以下をお読みになる際には,そのことを念頭に置いておきましょう。
前科は,過去に犯罪をして処罰を受けたことがあるという経歴を示すものです。
そのため,前科は人の名誉や信用に関わる事柄であることが裁判例でも指摘されており,行政機関なども慎重に取り扱うのが通常です。
普通に生活していれば,自身の前科を容易に他人に知られることはありませんし,他人の前科を知ることもまた極めて稀でしょう。
ただ,社会で生活する以上,前科の存在が他人に知られざるを得なかったり,前科があることにおり不利益を被ったりすることはどうしても起こります。
そこで,前科がもたらす影響について,刑事事件と刑事事件以外とに分けて簡単に見ていきます。
今回は,刑事事件以外に関する影響に焦点を当てます。
第一に,就職するにあたって事実上または法律上の不利益を受けることが考えられます。
まず,国家資格の多くは,一定以上の刑罰を受けた場合に付与の不許可や取消しが行われる可能性があることが関係法令に定められています。
前科の内容がそうした規定に抵触するものであれば,当然ながらその資格の取得や保持は危ぶまれます。
また,民間企業に就職する際,提出を求められる履歴書に賞罰欄が設けてあることがあります。
こうした場合についても,前科の存在と内容により採否が決められたり,秘匿したことが発覚した際に懲戒処分を受けたりすることがありえます。
第二に,海外への旅行が制限されることがあります。
パスポートの申請などについて定めた旅券法は,13条1項において一定の前科の存在を申請拒否の事由としています。
また,パスポート自体は取得できても,各国の入国審査において前科の存在を理由に入国を拒否されることがありえます。
これらの事情から,前科があることで自由に海外旅行できないという事態が生じてしまいます。
第三に,選挙に関わることができなくなることがあります。
選挙について定めた公職選挙法は,11条および11条の2において選挙権や被選挙権を有しない者を列挙しています。
この規定に該当すると,選挙権または被選挙権が行使できない結果,選挙を通して自己の意思を表明することができません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,前科が付いてしまった場合の影響について丁寧にご説明します。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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盗撮と前科①
盗撮と前科について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
今回の記事では,盗撮について詳しく見ていきます。
【ケース】
愛知県愛西市に住むAさんは,買い物をしようと近所のショッピングモールへ行きました。
そうしたところ,店内でスカートを履いた女性Vさんがエスカレーターに向かって歩くのが目に入りました。
そこで,Aさんはエスカレーターに乗ってVさんの背後に立ち,自身のスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
ところが,撮影の際にAさんのスマートフォンがVさんの太ももに当たり,Vさんから「ちょっと,何してるんですか」と声を掛けられました。
その場から逃走を図ったAさんでしたが,近くにいた買い物客に腕を掴まれ,結局津島警察署にて愛知県迷惑行為防止条例違反の疑いで取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,Aさんに盗撮の前科があることを聞きました。
(フィクションです)
【刑事事件としての盗撮】
一般に,盗撮とは,カメラなどを用いて他人を密かに撮影する行為を指します。
こうした盗撮が全て犯罪に当たるとお思いの方がいらっしゃるかもしれませんが,実際のところそういうわけではありません。
不法行為として民事上の責任を負う可能性があるのはさておき,犯罪として刑事上の責任を負うのは,特定の場所における特定の物を対象とする盗撮に限られています。
性犯罪としての盗撮については,基本的に以下の2つの法令により処罰されることが見込まれます。
①各都道府県の迷惑防止条例
社会における様々な迷惑行為を規制すべく,都道府県毎に迷惑防止条例(自治体により名称差異あり)というものが定められています。
愛知県では,「愛知県迷惑行為防止条例」がそれに該当します。
愛知県迷惑行為防止条例2条の2では,「公共の場所又は公共の乗物」における「衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し,又は撮影すること」が禁止されています。
上記規定に違反して盗撮を行った場合,1年以下の懲役または100万円以下の罰金(常習であれば2年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
盗撮の罰則は改正により以前より重くなっており,特に常習の盗撮については,条例において科すことができる刑の上限に達しています。
このことから,盗撮に対する社会の問題意識が高まっており,その扱いは決して軽いものではないことが窺えます。
なお,以上のような盗撮の規制は全国の自治体で見られますが,愛知県を含む一部の自治体では,更にカメラなどを設置して先述の対象に向けることをも規制しています。
②軽犯罪法
①で紹介した盗撮の規制は,公共の場所または公共の乗物における盗撮にのみ及ぶものです。
そのため,少なくとも愛知県においては,住居など一部の場所における盗撮が条例では処罰されないということになります。
その場合,軽犯罪法の適用が見込まれます。
軽犯罪法1条は,「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」(23号)に拘留または科料を科すとしています。
裁判例によれば,「のぞき見た」にカメラなどによる撮影も含まれると解釈されているので,愛知県内の住居などにおける盗撮にはこちらが適用されることになるでしょう。
たは,拘留は1日以上30日未満の拘置,科料は1000円以上1万円未満の金銭の徴収なので,①で紹介した盗撮の規制に比べると罰則は軽いと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,盗撮として処罰されるかどうかについて的確な回答を致します。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強盗罪と逮捕の可能性
強盗罪と逮捕の可能性について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは,悪質なセールスに騙されて数十万円の時計を購入させられ,その代金の支払いの目途が立たず困っていました。
そうした話を友人のBさんにしたところ,「それなら俺と一緒にコンビニ強盗でもやろう。2人なら上手くやれる」と誘いを受けました。
悩みに悩んだ結果,Aさんはその誘いに乗り,Bさんと共に愛知県稲沢市内のコンビニで強盗をすることにしました。
そして,事前に立てた計画に沿って犯行を遂げ,およそ20万円を奪取しました。
しかし,犯行の翌日になって,Aさんは急に逮捕される自分を想像して恐怖を抱きました。
そこで,すぐに弁護士に相談し,逮捕の可能性について聞いてみました。
(フィクションです)
【強盗罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は,暴行または脅迫を手段として,他人から財産を奪取した場合に成立する可能性のある罪です。
単に相手方の意思に反して財産を盗むのではなく,それを暴行・脅迫によって実現する点で,窃盗罪より悪質性が高いと評価されています。
そのため,窃盗罪の法定刑が10年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対し,強盗罪は5年以上の有期懲役(上限20年)という厳しい刑が定められています。
強盗罪における暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧するに至る程度のものでなければならないと考えられています。
具体的には,凶器の有無,発言の内容,暴行の程度などの様々な事情を考慮し,客観的に判断されます。
特に凶器を用いている場合については,実務上犯行を抑圧するに至る程度のものがあったと評価されやすい傾向にあります。
もし暴行・脅迫がこの程度に至っていなければ,強盗罪ではなく恐喝罪(10年以下の懲役)に当たる可能性が出てきます。
【逮捕の可能性】
犯罪をしてしまった場合,多くの方はまず「逮捕されるのではないか」という点を懸念されるのではないかと思います。
逮捕というのは,捜査機関が裁判所に令状を請求し,その令状の発付を受けたうえで行われるのが原則です。
そのため,,①捜査機関による令状の請求,②裁判所による逮捕状の発付(逮捕の許可),③捜査機関による逮捕状の執行という手続を踏んではじめて逮捕に至るということになります。
とはいえ,実務上②の段階で裁判所が逮捕状の請求を却下するのは稀であり,なおかつ③の段階で捜査機関が敢えて逮捕の執行をしないというのも考え難いので,逮捕の可能性は基本的に①に掛かっていると言えます。
逮捕するかどうかが捜査機関の判断に掛かっている以上,弁護士などの法律家であっても確実に逮捕されるか判断することはできません。
ただ,逮捕の目的というのは主に逃亡と証拠隠滅の防止なので,そうした視点からある程度予測を立てることは可能です。
まず,問題となる犯罪が重い場合,逮捕の可能性は高くなるのが一般的です。
犯罪が重いと,刑罰を免れるために逃亡や証拠隠滅を図る疑いがあると考えられるからです。
この観点からすれば,強盗罪を疑われたケースは逮捕の可能性が高いと予想できます。
また,犯行が複雑な場合についても,逮捕の可能性は高くなることがありえます。
こうした場合の例として,コンピュータに関する犯罪や,共犯者がいる犯罪などが挙げられます。
これらのケースでは,データの消去または共犯者間での口裏合わせによる証拠隠滅を捜査機関が懸念するからだと考えられます。
以上はあくまでも考慮要素と考えられるものの一部であり,実務上は個々の事案に応じて可能性が変わってきます。
逮捕の可能性について少しでも正確な予測を立てるなら,やはり自身の事案を弁護士に相談するのが一番かと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,逮捕の可能性を含む事件の見通しを丁寧に説明いたします。
ご家族などが強盗罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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