Archive for the ‘刑事事件’ Category

春日井市で外国国章損壊等罪に問われたら

2019-08-03

春日井市で外国国章損壊等罪に問われたら

~ケース~

春日井市在住の芸術家のAさんは、「現代資本主義国家への反逆」という名称の作品を作成した。
これは名前の通り現代の資本主義を痛烈に批判するもので,資本主義各国の国旗を切り裂いた物などを素材に使っていた。
この作品が芸術祭に展示されたところ,「外国国章損壊等罪」に当たるのではないかと来場者から問合せを受けた。
Aさんは表現物であるので憲法上保証された権利であると考えているが,仮に何らかの罪に問われる可能性があるのであれば展示を取り下げようと考えている。
そこでAさんは,刑事事件に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用した。

(フィクションです)

 

~芸術の自由~

日本国憲法第21条は「表現の自由」を保障しています。
一方で日本国憲法には「芸術の自由」について言及する条文はありません。
ドイツ,オーストリア,スイスといった国では、表現の自由,報道の自由などの保護を記した文章と同じ箇所に示されています(ドイツ共和国基本法5条3項,スイス連邦憲法21条,オーストリア憲法17条)。
これは日本国憲法は「芸術の自由」を保証していないというわけではなく,例えば文学作品の執筆・公表は表現の自由の一環として保障されると解するのが一般的です。
したがって,絵画や彫刻などの作成・公表も表現の自由の一環として保障されると解するのが妥当でしょう。

~制約~

表現の自由は重要な人権ですが、制約がないわけではありません。
たとえば刑法175条のわいせつ物頒布罪はわいせつな文書などの頒布行為などを禁止しています。
有名なチャタレ―事件では,憲法13条のいう公共の福祉を「性的秩序を守り,最小限度の性道徳を維持することが公共の福祉の内容をなすことについて疑問の余地がない」とし,「本件訳書を猥褻文書と認めその出版を公共の福祉に違反するものとなした原判決は正当である」としました。
したがって,わいせつな表現物である場合には公共の福祉に反するので,刑法などによって制約される場合があるのはやむを得ないと考えられます。
そのため,いかに表現物であり表現の自由が保障されるといても,わいせつ物頒布罪等などは成立しうることになります。

~外国国章損壊等罪~

では芸術作品に外国国章損壊等罪は成立するのでしょうか。
まずは条文を確認しましょう。

刑法第92条(外国国章損壊等)
1項 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
2項 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。

まず,外国国章損壊等罪の成立には外国に足して侮辱を与える目的が必要となります。
今回のケースでAさんの作品は資本主義を批判するものであり,特定の国に対して侮辱を与える目的ではなかったと考えることもできます。
また,条文からは読み取ることができませんが,外国国章損壊等罪の客体となる国旗その他の国章とは私人によるものは含まず,在日外国公館などで公的に使用されているものに限られるというのが通説であり,判例も方向性としてはそれに沿っています。
そのため,芸術作品などに私物の外国国旗などを損壊等したものを用いたとしても外国国章損壊等罪には該当しないといえます。
したがって,Aさんの作品は外国国章損壊等罪の対象とはなりません。
また,上記の解釈から,外国に対するデモ等で当該国の国旗を損壊しても外国国章損壊等罪にはならないといえるでしょう。
なお,デモの際に大使館の抑揚している国旗を損壊したような場合には外国国章損壊等罪が成立します。
また,個人が抑揚している外国旗を損壊したというような場合には器物損壊罪が成立すると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身の行為が刑法などに違反しているのかどうかご不安な方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

不正アクセス禁止法違反で不起訴処分なら

2019-07-28

不正アクセス禁止法違反で不起訴処分なら

~ケース~

蟹江町在住のAさんは、蟹江町内のインターネットカフェのパソコンに入力されたパスワード等を抜き取る「キーロガー」と呼ばれるツールを設定した。
利用者がweb上でパスワードを入力すると、Aさんの自宅のパソコンにサイトのURLおよび入力情報が送信される仕組みになっていた。
Aさんは、キーロガーによって得た情報を基に他人のネットゲームのアカウントにログインし,ゲーム内で高額で取引されるようなアイテムを自身のアカウントに移し,いわゆるRMTによって現金に換えていた。
その後,アクセス解析により,A君の自宅のパソコンからのアクセスであることが判明したため、Aさんは愛知県警察蟹江警察署不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです)

~不正アクセス禁止法~

不正アクセス禁止法はその名の通り,インターネット等の通信において,不正なアクセスおよびその助長を禁止する法律です。
不正アクセス禁止法では、3条において不正アクセスが禁止されており、4条でパスワード等を不正に取得する行為などが禁止されています。
不正アクセスは大別すると「なりすまし行為」と「セキュリティホールの利用」の2種類があります。
前者は他人のパスワード等を無断で使用する行為,後者は何らかの方法で本来必要なパスワードなどを入力せずにアクセスといった行為をいいます。
罰則は不正アクセス行為は3年以下の懲役または100万円以下の罰金,パスワードの不正取得行為は1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

~不正アクセス事件の状況~

不正アクセス禁止法違反は約半数が不起訴処分となっていますが,公判請求すなわち正式裁判となっている件数は増加傾向にあります。
また,家裁送致,すなわち少年による事件の割合が約10~20%と高いのも特徴です。
なお,不正アクセス禁止法は不正なアクセス行為そのものを禁止していますので損害の発生は要件とされていません。
ただし,他人のアカウントで買い物をした場合などには電子計算機使用詐欺罪など,他の犯罪が成立する可能性もありますので注意が必要です。

~不起訴処分を目指すには~

上述のとおり,不正アクセス禁止法違反事件は約半数が不起訴処分となっています。
真犯人が判明した場合などのごく一部を除いて,事件が自動的に不起訴となることは通常ありませんので,不起訴処分となるための活動が重要であるといえるでしょう。
窃盗などの財産犯は被害者の方と示談を成立させることによって、初犯であればほとんどの場合が起訴猶予の不起訴処分となります。
不正アクセス禁止法違反は不正なアクセス行為により財産権が侵害されることが多いので財産犯に似た性質を持っているといえるでしょう。
そのため,不正アクセス禁止法違反,特になりすまし行為の場合には不正アクセスによって被害を被った被害者,すなわちアカウント等の持ち主と示談を成立させることによって起訴猶予となる可能性が高くなります。
今回のようなケースでは,不正アクセスの被害者は特に面識のない他人であることが通常でしょう。
その為,示談をしようと思っても連絡先は疎か,名前すらも分からないことが多いでしょう。
弁護士であれば,警察や検察官から被害者の連絡先を取り次いでもらい,示談交渉ができる可能性があります。
不正アクセス禁止法のなりすまし行為の場合,痴漢や盗撮等の性的な事件に比べて示談交渉に応じてもらえる可能性は高いです。
起訴猶予の不起訴処分で前科となるのを回避するためにも弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
不正アクセス禁止法違反のみならず様々な刑事事件で示談交渉によって起訴猶予を獲得して参りました。
まずは0120-631-881までお気軽にご相談ください。

麻薬及び向精神薬取締法違反で自首なら

2019-07-06

麻薬及び向精神薬取締法違反で自首なら

~ケース~

名古屋市名東区在住のAさんは、ネット上で知り合ったBさんからMDMAを購入し、使用していた。
後日、Bさんが薬物の売人をしていたことが警察に発覚し、愛知県警察名東警察署に逮捕された。
Bさんが逮捕されたことをニュースで知ったAさんは、自分も逮捕されるのではないかと不安になり、自首することを決心した。
そのため、自首する際のアドバイスが欲しいと思い、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談した。
(事実を基にしたフィクションです)

~自首とは~

自首については、刑法第42条において
1.罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2.告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
と規定されています。

つまり、法律上の自首が成立するためには、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首」することが必要です。
まず、自首が成立するためには、自ら進んで自己の犯罪事実を申告することが必要です。
そのため、取調べに自白することは自首ではありませんし、取調べで余罪を自白することも、原則として自首にはあたりません。
ただ、ある犯罪について、取調を受けていても、警察等に発覚していない余罪を自発的に述べる場合は自首に当たるとされています。

また,「捜査機関に発覚する前に」という点で、単に自ら警察署に赴いて罪を認めるというのみでは、自首が成立しない可能性があります。
例えば、警察に指名手配されているのを知り、自ら警察署に出頭したとしても、犯罪事実も犯人が誰であるのかもすでに捜査機関には明らかになっているので、自首は成立しないこととなります。
ただし、自首が成立しなくても、捜査機関に対して自ら申告したという事実そのものが、裁判官が刑の重さを判断する際に有利な事情の一つとして考慮される可能性はあります。

~自首の効果~

自首の効果は,「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と定められていることから、裁判所の判断により刑が減軽されることがあります。
この点,自首をすれば必ず刑が減刑される訳ではないため,自首をした上で,それを有利な事情として効果的に捜査期間や裁判所に訴えかけていくことが,不起訴処分や刑の減軽を勝ち取るためには重要です。

もちろん,自首をすることはメリットばかりではなく,自首をすれば当然事件が明らかになりますので、最終的には自身が刑罰をうけるおそれがあります。
その為、メリットとデメリットを踏まえた上で,本当に自首すべきかどうか判断する必要があります。
罪を犯したことについて間違いがないのであれば、自首も含めてどのような対応をすべきか、刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士刑事事件に強く、薬物事件についての刑事弁護活動も多数承っております。
麻薬及び向精神薬取締法違反自首をすべきか、お困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。

チケット不正転売禁止法違反で弁護士なら

2019-07-02

チケット不正転売禁止法違反で弁護士なら

 

~ケース~

蒲郡市在住のAさんは,人気アーティストのコンサートのチケットを転売して利益を上げようと考えていた。
その後,Aさんは人気アーティストであるXのコンサートチケットを数枚入手できたため,購入者をtwitterなどで募集していた。
ある日,購入者の募集記事を見かけた愛知県警察蒲郡警察署の警察官によりAさんはチケット不正転売禁止法違反の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~チケット不正転売禁止法~

チケット不正転売禁止法は正式名称を「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」といいます。
2018年12月14日に公布され2019年6月14日から施行されました。
チケット不正転売禁止法は昨今,問題となっているコンサートの入場券などの高額での転売に対して法律で直接規制したもので,違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります(9条)。

~チケットの転売~

◇ダフ屋◇

インターネットが普及する以前は,いわゆる「ダフ屋」が実際に現地でチケットを持っていない客に対して料金を上乗せした金額でチケットを転売していることがありました。
ダフ屋行為は各都道府県の迷惑行為防止条例で禁止されていますが,要件として「公共の場所」「公共の乗物」で行われる必要がありました。
インターネットが「公共の場所」に当たるかどうかは議論が分かれており,インターネット上での転売を「ダフ屋行為」として取り締まることに対して警察は慎重でした。
一方,転売目的でのチケットの購入に対して詐欺罪を認めた例もあります(神戸地判・平29・9・22)。
購入時点で詐欺罪が成立する場合,購入者も盗品等有償譲受罪に問われる可能性があり,また転売サイトなどの仲介者も共犯者として罰せられる可能性がある点で画期的な判決でした。

チケット不正転売禁止法は正式名称を見ると,「特定興行入場券の不正転売」を禁止する法律となります。
特定興行入場券とはどのようなものなのか条文で確認していきましょう。
用語の定義は第2条によって定められています。

「興行」…一般的なコンサートやスポーツの試合など
「興行入場券」…興行への入場券
「特定興行入場券」…興行入場券であり,不特定または多数の者に販売され次の要件のいずれにも該当するもの(③についてチケットの種類によって若干異なります)

①主催者が同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し,入場券面に表示している
②興行の行われる特定の日時・場所並びに入場資格者または座席が指定されたもの
③の1 入場資格者の場合,売買契約に際し,入場資格者の氏名および電話番号・メールアドレスその他の連絡先(以下,連絡先)を確認し,それらが券面に記載されていること
③の2 座席指定の場合,購入者の氏名および連絡先が券面に記載されていること

「特定興行入場券の不正転売」…興行主の事前の同意を得ず,特定興行入場券を業として定価を超える値段での有償転売

上記からわかるようにチケット不正転売禁止法の対象となるチケットは入場資格者のもしくは座席の指定が必要になります。
そのため,野外フェスのような立ち見しかないような場合には入場資格者の指定がない場合には対象となりません。
また,「業として」転売することが必要ですので,反復継続して転売をしない場合にはチケット不正転売禁止法違反とはなりません。
今回のAさんの行為は,興行主の同意を得ずに転売していると考えられます。
そのため,特定興行入場券の要件を満たす入場券であった場合には特定興行入場券の不正転売に当たる可能性はあります。
ただし,反復継続していたという事情がない場合には「業として」行ったわけではありませんので,チケット不正転売禁止法違反とならないと考えられます。

~弁護活動~

チケット不正転売禁止法は、まだ施行されたばかりであり,終局した事件はないようです。
事案の概要や法定刑から考えますと,あまりにも悪質な事案でなければ罰金刑となることが多いように思われます。
また,事案によってはチケット不正転売防止法違反の他に上述のように詐欺罪などが成立してしまう可能性もあります。
どういった犯罪が成立してしまう可能性があるかも含め,弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
チケットの転売で罪に問われそう,警察に呼出されてしまいお困りの方は0120-631-881までご相談ください。
事務所での無料法律相談・初回接見のご予約を24時間受け付けています。

貨幣損傷等取締法で刑事事件なら

2019-06-26

貨幣損傷等取締法で刑事事件なら

~ケース~

北名古屋市在住の手品師であるAさんはある日,手品の小道具として10円玉の内側を削り取り薄くしたものや,内部に薄くした硬貨を隠せるようにした500円玉などを作成した。
ある日Aさんが北名古市内のデパートの催し会場で手品を披露していたところ,たまたま客としてきていた愛知県警察西枇杷島警察署の警察官であるXが硬貨が本物でるかどうかを尋ねた。
Aさんはもちろん本物であると答えたところ,Xは「硬貨を加工することは罪になる可能性があるので後日,愛知県警察西枇杷島警察署で話を聞かせて欲しい」とAさんに任意での出頭を求めた。
逮捕されてしまうのではないかと不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)

~硬貨を加工したら罪になる?~

硬貨を削ったり2つに割るなどする行為は貨幣損傷等取締法という法律違反となる可能性が高いです。
1条のみからなる短い法律ですので以下に全文を掲載します。

貨幣損傷等取締法
1項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
2項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
3項 第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

この法律でいう「貨幣」とは通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律に定める貨幣をいい,同法5条1項に定める五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類および同法5条3項の定める記念貨幣が規制対象となります。
したがって,外国の貨幣は貨幣損傷等取締法の対象とならないため手品師の方は外国の貨幣を加工して使用することが多いようです。
なお,外国には該当する法律がない場合も多く,アメリカの観光地には硬貨を記念メダルに加工するスーベニアメダルマシンという機械がよく設置されています。
日本の観光地でも同じ様な機械が設置されていることがありますが,基本的にはすぐ傍に設置されている自動販売機などで専用のメダルを買う形態となります。

また,刑法148条1項の通貨偽造罪となる可能性も僅かながらあります。
しかし,通貨偽造罪は行使の目的で通貨を偽造した場合に成立します。
行使の目的とは真正な硬貨として流通に置く目的をいいますが,今回のケースでAさんはあくまでも手品の小道具として使用したものであり,真正な硬貨として流通に置く目的はなかったと考えられます。
したがって,Aさんに通貨偽造罪が成立する可能性は低いでしょう。

~弁護活動~

貨幣損傷等取締法はあまり検挙される事件ではありません。
また統計を見ても,検挙数が多い年度もある一方,全く検挙されていない年度もあります。
起訴と起訴猶予の割合も検挙された件数のほとんどが起訴されている年度もある一方でほとんど起訴されていない年度もあります。
そのため,貨幣損傷等取締法違反として検挙された場合に起訴されてしまうか起訴猶予となるかの判断が少しつきにくいでしょう。
しかし,前科がなく違法性も自身の手品に使うために数枚を加工したというような違法性が低い場合には起訴猶予となることも十分に考えられます。
逆に,自身ので使用する目的ではなく,手品用として販売するために大量に加工した場合には起訴された事案もあります。
起訴されてしまった場合でも,前科がなければよほど悪質な事案でなければ略式手続きによって罰金刑となると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
刑事事件の弁護経験豊富な弁護士が多数所属しておりますので、様々な刑事事件に対応可能です。
思いがけず,刑事責任に問われそうになってしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談・初回接見のご予約を24時間受け付けています。

名古屋市南区の不退去罪なら

2019-06-18

名古屋市南区の不退去罪なら

~ケース~

名古屋市南区在住のAさんは、委託を受けて代金回収を代行する会社に勤めている。
給料には歩合があり,代金回収をした件数によって給料が増加する仕組みであった。
ある日Aさんは,Vさん宅にX社の代金の回収に赴いた。
Aさんは玄関ドアに設置されていた呼出しチャイムを押したところVさんが対応した。
Aさんは玄関ドアから玄関口に上がりそこでAさんにX社の代金を支払うように説明した。
Vさんは自分は払う義務もないし払う意思もないので帰って欲しいとAさんに伝えた。
Aさんはあと1件回収できれば歩合の割合がアップすることからその場に留まり、Vさんに代金を支払うよう要求した。
Aさんがなかなか帰らないため、Vさんは110番通報し,Aさんは駆けつけた愛知県警察南警察署の警察官に不退去罪の疑いで現行犯逮捕された。
現在,交通事故を起こしてしまい執行猶予中のAさんは、なんとかして執行猶予の取消しとならないようにできないかと、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
(フィクションです)

~侵入罪と不退去罪~

刑法130条は「正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
前段が侵入罪,後段が不退去罪となります。

◇侵入罪◇

「侵入」の意義について,判例は,管理権者の意思に反した建造物等への立ち入りをいうと解しています(最判昭和58・4・8刑集37巻3号215頁)。
この見解からすると,許諾権者の立ち入りについての許諾の有無によって住居侵入罪の成否は決せられます。
許諾権者は住居であれば居住者であり,今回のケースではVさんは許諾権者であるといえるでしょう。
AさんはVさん宅の玄関口に上がっていますがAさんに住居侵入罪は成立するのでしょうか。
Vさんが明確に玄関口に上がらせない意思を示していた場合には住居侵入罪が成立すると考えられますが,今回のようなケースでは玄関口に上がること自体は許諾しているとも考えられます。
したがって,Aさんに住居侵入罪は成立しないといえるでしょう。

◇不退去罪◇

不退去罪は,住居に立ち入った者が,退去の要求を受けたにも関わらず,その場所から退去しなかった場合に成立します。
不退去罪は立ち入り時に住居侵入罪が成立しない場合について認められる補充的な犯罪であると解されています(最決昭和31・8・22刑集10巻8号1237頁)。
不退去罪は構成要件自体が不作為の形式で定められている真正不作為犯(~~しない者を罰するという規定)であり,退去要求がなされた後に,退去に必要な時間が経過した時点で成立します。

今回のケースでAさんはVさんから帰って欲しいと伝えています。
しかしAさんは,退去の要求に応じることなく,その場に留まりVさんに代金を支払うように要求しています。
したがって,Aさんは退去に必要な時間が経過してもなおその場に留まっているので,Aさんには不退去罪が成立します。

~弁護活動~

執行猶予期間中にさらに罪を犯し,執行猶予が付かない禁錮以上の刑に処せられた場合には執行猶予は取り消されます。
一方で,執行猶予期間中であっても罰金刑の場合には裁量により執行猶予が取り消されることになります。

不退去罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金ですので執行猶予のつかない懲役刑となった場合には執行猶予が取り消されてしまうことになります。
また,罰金刑であっても裁量によって執行猶予が取り消されてしまう可能性もあります。
Aさんが執行猶予を取り消されないためには,不起訴処分,罰金刑,再度の執行猶予付き判決のいずれかとなる必要があります。
執行猶予期間中であっても1年以下の懲役または禁錮の場合には情状に特に酌量すべきものがある場合には再度の執行猶予を付けることが出来ます。

不退去罪は住居侵入罪に比べて立ち入り自体は許諾されていますので犯情は軽く,いきなり実刑判決が出ることは少ないでしょう。
しかしAさんは執行猶予中の身ですので,そういった点から実刑判決となり執行猶予が取り消されてしまう可能性もあります。
一方,不退去罪は事件が1件だけであれば示談を成立させることができれば不起訴処分となる可能性も高いでしょう。
執行猶予中であることが考慮されたとしても再度の執行猶予付き判決となる可能性は高く,執行猶予が取り消される可能性は低いでしょう。
まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
執行猶予中に事件を起こしてしまった場合でも0120-631-881までご相談ください。

名古屋市中川区のショバヤ行為(迷惑行為防止条例違反)なら

2019-06-13

名古屋市中川区のショバヤ行為(迷惑行為防止条例違反)なら

~ケース~

名古屋市中川区在住のAさんはインターネットオークションにおいて以下のような内容で販売をした。
「地下鉄東山線の座席を譲ります!指定時刻発車の列車をご指定下さい!」
Aさんは地下鉄東山線高畑駅から乗車するため確実に座席に座ることができ,購入した客が乗車してきたところ,席を譲るという内容であった。

地下鉄伏見駅から東山線に乗車するBさんは毎朝の通勤ラッシュによる満員電車に悩んでいた。
ある日,Aさんのインターネットオークションを発見し,購入した。
Bさんは伏見駅から乗車し,満員電車であったがAさんから座席を譲ってもらうことにより着席することができた。

Aさんの出品を見かけたCさんから,Aさんの行為は「ショバヤ行為」ではないかと愛知県警中川警察署に問い合わせがあり,中川警察署はAさんから事情を聞くために任意で中川警察署に出頭するように命令した。
中川警察署からの出頭命令を受けて逮捕されてしまうのではないかと不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用した。
(実際にあったニュースを基にしたフィクションです)

~ショバヤ行為~

ショバヤ行為愛知県迷惑行為防止条例第5条によって以下のように規制されています。

第5条 何人も,公共の場所又は公共の乗物において,不特定の者に対し,次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 座席,座席を占めるための列の順位又は駐車の場所(以下「座席等」という。)を占める便益を対価を得て供与すること。
二 座席等を占め又は人につきまとって,座席等を占める便益を対価を得て供与しようとすること。

罰則は50万円以下の罰金または拘留もしくは科料となっています。
また,常習である場合には6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

今回のケースで地下鉄は公共の乗物に該当します。
Aさんはインターネットオークションで対価を得ていますので席を譲る行為は「座席を占める便益を対価を得て供与し」たといえるでしょう。
そのため,Aさんの行為はショバヤ行為に該当する可能性があります。

~弁護士として~

Aさんの行為が実際にショバヤ行為に該当するかどうかは確実に言い切る事はできません。
というもの,ショバヤ行為は「その場で不特定の乗客に席を500円で譲る」というような行為を想定しています。
条例の制定時,インターネットのようなリアルタイムでの連絡手段は固定電話や公衆電話くらいしか存在しなかったため,購入者をあらかじめ募集しておくという事があまり想定されていなかったと思われます。
また,愛知県迷惑行為防止条例は座席等を「公共の乗物において」,「不特定の者に対し」供与することを禁止しています。
Aさんの行為は地下鉄の車内においては「購入者であるB」という特定の者に対して席を譲っているわけであり,「不特定の者に対して」はインターネットオークションでの販売段階であるといえるでしょう。
したがって,Aさんの行為はショバヤ行為の構成要件に該当しないと主張することが可能です。
しかし,裁判所はインターネットオークションで不特定の者を募集し公共の乗物で席を譲るという一連の行為を全体としてショバヤ行為に該当すると判断する可能性もあります。
この場合にはAさんは愛知県迷惑行為防止条例違反として罰金もしくは科料となる可能性が高いです(拘留が選択されることはまずないでしょう)。
検察官はおそらく略式起訴という正式な裁判を経ずに罰金刑を科す手続きを選択すると思われます。
一方で,上記のようにショバヤ行為に該当しないと主張する場合には正式な裁判で争う必要があります。
どちらが最善であるかは具体的な事情を弁護士と相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
思いもよらず愛知県迷惑行為防止条例違反に問われてしまいお困りの方は0120-631-881までご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

スキミングで逮捕されたら

2019-06-01

スキミングで逮捕されたら

~ケース~

小牧市在住のAさんは、お金に困っていることを高校時代の先輩であるBさんに相談したところ,Bさんから「このクレジットカードを貸してやるからしばらくはこのカードで生活すればいい」と言われクレジットカードを受け取った。
AさんはBさんから受け取ったクレジットカードを使い,日用品や食料品などを購入した。
後日,Bさんはクレジットカードのスキミングをしていた疑いで愛知県警察小牧警察署逮捕された。
AさんがBさんから受け取ったクレジットカードは、スキミングにより作成されたクレジットカードであった。
そのため,Aさんも愛知県警察小牧警察署において事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~支払用カード電磁記録不正作出~

クレジットカードは、磁気情報によりカードを識別しています。
したがって,まったく同じ磁気情報をカードに登録することができれば、クレジットカードを作成できることになります。
そのため,クレジットカードを使用する際には、本人確認として暗証番号やサインなどが求められます。

支払用カード電磁記録の不正作出とはいわゆるスキミングのことを指します。
スキミングに関する条文は刑法163条の2から5までに規定されています。
163条の2は、スキミングをしてカードの不正な作成を禁止しており,これによって作られたカードの譲渡,貸与,輸入も禁止されています。
また,不正に作成されたカードの所持は163条の3によって禁止されています。
スキミング行為そのものは不正作出準備罪として163条の4に規定されており,未遂も罰せられます(163条の5)

今回のケースで、Bさんはクレジットカードを何らかの方法でスキミングしカードを不正に作成しAさんに譲渡していますから、支払用カード電磁記録不正作出罪および同譲渡罪(163条の2第1項および3項)が成立します。

~Aさんの罪状~

今回のケースで、Aさんには何罪が成立するのでしょうか。
Aさんは、Bさんが不正に作成したクレジットカードを受け取っていますので、不正電磁的記録カード所持罪(163条の3)が成立しそうです。

ただし、刑法は故意責任が原則となっており、刑法38条は「罪を犯す意思がない行為は,罰しない。」と定めています。
Aさんはカードの所持そのものは自分の意思で持っているといえますので故意がなかったということはできないでしょう。
しかしながら,AさんはおそらくBさんがスキミングによって不正に作成したカードであると知らなかったと思われますが,このような場合にも犯罪は成立してしまうのでしょうか。
判例は,違法性の意識は犯罪の成立要件ではないという立場をとっています(最判昭和25年11月28日刑集4巻12号2463頁)。
そのため,仮にAさんが違法でないと思い込んでいたとしても不正電磁的記録カード所持罪は成立してしまいます。
ただし,違法性の認識を欠いたことについて相当の理由が有る場合には故意を欠くので責任が阻却されるという下級審もあります。
今回のケースで、Aさんはクレジットカードを受け取っているわけですから,少なくとも違法性の認識がまったくなかったということは難しいでしょう。

また,Aさんは少なくとも自分の名義ではないクレジットカードを使用しているのですから詐欺罪が成立することも考えられます。
判例は,他人名義のクレジットカードを使用した時点で詐欺罪が成立するとしています(最二判平成16年2月9日刑集58巻2号89頁)。
なお,家族間でのクレジットカードの使用についても最高裁によると厳密には詐欺罪を構成することになりますが,現実的に被害が発生しておらず事件化しない場合が多いと思われます。
また,仮に事件化されたとしても家族間での使用である場合等は検察官は事件を不起訴とすると思われます。

~弁護活動~

今回のケースではAさんはBさんから受け取ったクレジットカードが不正作成されたものであったと知らなかったと思われますので,情状弁護としてその事情を主張していきます。
また,他人名義のクレジットカードによって買い物をした詐欺罪については,店舗もしくはカード会社または真正な名義人に対して被害弁償をすることが重要です。
詐欺事件では被害者への被害弁償の有無が執行猶予付きの判決となるかどうかに大きく影響します。
クレジットカードを借りて事件に巻き込まれてしまった場合には,できるだけ早くお近くの弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
刑事事件に精通した弁護士が多数所属しています。
フリーダイアル0120-631-881で初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

身代わり出頭で犯人隠避罪に問われたら

2019-05-30

身代わり出頭で犯人隠避罪に問われたら

~ケース~

東海市在住のAさんは、不良グループに所属している。
ある日,不良グループの先輩であるBさんが、傷害事件を起こした。
Bさんは執行猶予中の身であり,今回の傷害事件が発覚すると刑務所に行かなければならなかった。
そのため,AさんはBさんから代わりに警察署に出頭してくれないかと頼まれた。
AさんはBさんの頼みを断り切れず、愛知県警察愛知警察署に出頭した。
その後,捜査が進んでいく内にAさんは犯人ではないことが発覚した。
それを踏まえてAさんの取調べを続けたところ,AさんがBさんに頼まれて出頭したことを自供した。
(フィクションです)

~Aさんの罪~

Aさんには、犯人隠避罪が成立すると考えられます。
犯人隠避罪は、刑法103条において「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し,又は隠避させた者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と定められています。
Bさんの犯した傷害罪は、法定刑が15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので刑法103条の言う罰金以上の刑に当たります。
判例によると、蔵匿とは,官憲の発見・逮捕を免れるような隠れ場を提供することをいい,隠避とは,蔵匿以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れさせるべき一切の行為を含むとされています(大判昭和5年9月18日刑集9巻668頁)。
犯人の身代わりとして自首する行為も隠避に当たりますので出頭であっても隠避に当たると言えるでしょう(最決昭和35年7月18日刑集14巻9号1189頁)。

隠避の対象が罰金以上の刑に当たる罪を犯した者であるかどうかについて,法定刑の認識は不要で,軽微でない罪を犯した者であるとの認識があれば足りるとされています(最決昭和29年9月30日刑集8巻9号1575頁)。
罰金刑以上の罪とならない軽微な罪,すなわち拘留または科料となる罪として侮辱罪,軽犯罪法違反が考えられます。
しかしながら,これらの罪で逮捕されることはごく稀ですので「逮捕されそうだから」という状況では基本的に罰金以上の刑にあたる罪であると考えられるでしょう。

~Bさんの罪~

Bさんは傷害事件を起こしていますので傷害罪が成立することは間違いないでしょう。
また,BはAさんに依頼して犯人隠避罪を実行させているのですからBが犯人隠避罪の共犯(教唆)とならないかが問題となります。
犯人自身は発見・逮捕を免れるために自身を蔵匿・隠避することは当然であるため,証拠隠滅罪(刑法104条)も含めて不可罰とされています。
一方,判例は犯人が他人に依頼するなどして自身を蔵匿・隠避させた場合には防御の濫用として教唆罪の成立を認めています(最決昭和40年2月26日刑集19巻1号59頁など)。
これに対して学説では,自己による蔵匿・隠避が不可罰であるならば,共犯の場合も同様に不可罰とすべきという見解が主張されています。
したがって,Bさんには傷害罪と犯人隠避罪の教唆罪が成立することになるでしょう。

~Aさんに対する弁護活動~

犯人隠避罪の法定刑は上述のとおり3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。
実刑や執行猶予付きの判決となるか罰金になるかは隠避した犯人が犯した事件の重大性や隠避の態様などによって判断されることになるでしょう。
今回のケースでは隠避したBさんの犯した罪は傷害罪であり軽微な犯罪とはいえませんが重大な犯罪とまでは言えないでしょう。
今回のようなケースでは執行猶予付きの判決もしくは罰金刑となる可能性が高いでしょう。
ただし,自動的に確実に実刑判決とならないというわけではありませんので,弁護士はAさんが犯人隠避に協力してしまった事情などを主張して情状弁護をしていきます。

~Bさんに対する弁護活動~

今回のケースでは、Bさんは執行猶予中ですが,一般的な執行猶予中でない場合の弁護活動を考えていきます。
傷害罪の場合,傷害の程度や暴行行為の態様にもよりますが,初犯であれば執行猶予付きの判決や罰金となる場合が多くなっています。
しかし,犯人隠避を依頼したような場合には犯行後の情状が悪いことや犯人隠匿罪の教唆犯との併合罪となりますので,初犯であっても実刑判決となってしまう可能性もあります。
弁護士は実刑判決とならないために,社会内での更生可能性や隠避を依頼するに至った事情などの情状弁護を行っていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
依頼されて犯人隠避をしてしまった方や犯人隠避を依頼してしまった場合などはまずは0120-631-881までご相談ください。
警察署での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
愛知県警察東海警察署の初回接見費用 37,800円)

刑事事件の流れ(不起訴処分)

2019-05-20

刑事事件の流れ(不起訴処分)

~逮捕・勾留されなかった場合~

刑事事件を起こしてしまっても必ず逮捕されてしまうわけではありません。
逮捕とはあくまでも捜査の手続きの一つであり,逮捕の必要がない場合には逮捕されることはありません。
また,逮捕されてしまっても勾留されずに釈放される場合もあります。
特に現行犯逮捕の場合,逮捕後に身柄拘束の必要がないと判断されれば勾留されずに釈放されることになります。

通常逮捕の場合には,身柄拘束をされていない被疑者に対して逮捕状を請求し身柄拘束をすることになります。
逮捕と勾留の要件は共通する部分も多いことから,裁判所が逮捕状を発付した場合,勾留も認められることが多いようです。

刑事事件で検挙され,逮捕されなかった場合もしくは逮捕後に勾留されずに釈放された場合には在宅のまま捜査が進むことになります。
捜査機関から会社や学校などに事件を連絡するということは原則としてありませんので勾留された場合に比べ,会社や学校に事件が発覚する可能性は低くなります。
ただし,請求の日から最長でも20日という時間的制約が発生する勾留とは異なり在宅事件の場合には手続きの時間的制約がありません(ただし,事件自体の公訴時効はあります)。
そのため,捜査の開始から起訴するかどうかを最終的に決めるまでに1か月以上かかる場合が多くなっています。
また,在宅事件の場合,起訴前に国選弁護人を選任する制度はありません。
したがって,起訴前に弁護活動をするためには私選弁護人を選任する必要があります。

~不起訴処分~

不起訴処分は全部で20種類ありますが,ほとんどの場合が起訴猶予,嫌疑なし,嫌疑不十分のいずれかになります。
嫌疑なしは,被疑事実について,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,または犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときに適用されます。
すなわち,真犯人が見つかった場合など,被疑者が犯人ではなかった,無実であったことが認められた場合に嫌疑なしの不起訴処分となります。
嫌疑不十分は,被疑事実について,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときに適用されます。

◇嫌疑なし,嫌疑不十分◇

嫌疑なしや,嫌疑不十分とは文字通り,被疑者に対する嫌疑が不十分もしくはなかった場合をいいます。
日本の裁判では検察官が被告人が罪を犯したことを証明する責任を負いますので,嫌疑が不十分である場合やそもそも嫌疑がなかった場合には犯罪の証明ができませんので起訴しない(=不起訴処分)ことになります。
日本では検察官が起訴するかどうかの権限を有する起訴便宜主義が採用されています。
検察官は捜査の段階で被疑者が有罪となるかどうかを判断し,有罪とならないと判断した場合には原則として起訴することはありません。
日本における有罪率99.9%というのは有罪とならない事件は最初から起訴されないためです。

◇起訴猶予◇

不起訴処分の中で,最も多く運用されているのは起訴猶予によるものです。
起訴猶予とは犯人の性格や年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況などを考慮し,不起訴とするものです。
起訴すれば有罪は確実だが,罪が軽い場合や,深く反省している,特に被害者との示談が成立している場合などに検察官の裁量で下されます。
被害者がいないような軽微な事件でなければ,基本的には被害者の方と示談が成立した場合に起訴猶予となることが多いでしょう。

したがって,在宅事件の場合,示談の成立の有無が起訴されるかどうかの大きな判断材料となります。
被害者の方と示談をしなかった,示談に応じてもらえなかった場合には起訴されてしまう可能性が高くなります。
しかし,加害者が示談をしようとしても被害者の方と知り合いという場合でもない限り,連絡先等がわからない場合が多いでしょう。
弁護士であれば被害者の方の同意の下,検察官などから連絡先を取り次いで頂き示談交渉をすることができる場合もあります。
在宅事件で不起訴処分を獲得したい場合には一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

◇その他の不起訴処分

その他の不起訴処分としては,被疑者が死亡した場合や法人等が消滅した場合,裁判権を有しない場合,すでに同一事実について起訴されている場合など手続的に起訴ができない場合です。
心神喪失や14歳未満である刑事未成年の場合も起訴することができず不起訴処分となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件の弁護経験豊富な弁護士が多数所属しています。
刑事事件を起こしてしまいお困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署等での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

愛知県警察愛知警察署の初回接見費用 38,500円)

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら