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傷害罪と不起訴

2020-03-13

傷害罪不起訴について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,愛知県犬山市内にある居酒屋で友人と酒を飲みました。
その帰り道,すっかり酔ったAさんは,前から歩いてきたVさんにぶつかってしまいました。
それが原因でVさんと喧嘩になり,Aさんは友人の制止を振り切ってVさんの顔面を殴打しました。
これによりVさんは全治1か月の怪我を負い,Aさんは現場に駆けつけた犬山警察署の警察官によって傷害罪の疑いで逮捕しました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は,不起訴を目指して弁護活動を行うことにしました。
(フィクションです)

【傷害罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は,文字どおり他人を傷害した場合に成立する可能性のある罪です。
傷害罪における「傷害」とは,人の生理的機能の侵害を指すと考えられています。
具体的には,出血や骨折といった怪我に加え,失神や腹痛などの症状を引き起こすことも含まれます。
過去に裁判で争われた結果,「傷害」に当たると判断されたものとしては,性病,外傷後ストレス障害(PTSD),睡眠薬による意識障害などがあります。
中には必ずしも暴行を手段としないものもあるため,故意の行為により「傷害」さえ生じれば,その手段を問わず傷害罪に当たるとされる可能性は十分あります。

傷害罪の法定刑は,15年以下の懲役または50万円以下の罰金とされています。
他の罪と比較してみると,科される可能性のある刑の幅が広いというのが特徴として浮かび上がります。
具体的にどの程度の刑が科されるかは,傷害に至った動機,行為の内容,傷害の程度などの様々な事情を考慮のうえ判断されることが見込まれます。
中でも特に重視されるのはやはり傷害の程度かと思いますので,怪我などが重くなればそれだけ処分も厳しいものになると考えてよいでしょう。
なお,仮に暴行などの時点で殺意があった場合,傷害罪ではなく殺人未遂罪が成立する余地が出てきます。
そうなると,罰金刑の可能性がなくなるなど刑の重さが変わってくるので注意が必要です。

【不起訴の概要と見込み】

一般の方からすると,刑事事件というのはその多くが裁判となり,刑罰が科されるとお考えになるかもしれません。
ですが,法務省が公表している統計によると,起訴率は例年4割から5割程度で推移しています。
つまり,全ての刑事事件のうち半分かそれ以上が不起訴というかたちで終わっていることになります。

不起訴の理由には様々なものがありますが,統計上最も多いのは起訴猶予です。
起訴猶予とは,事件の内容,被疑者の態度,犯罪後の状況などの様々な事情を考慮し,敢えて起訴を見送るというものです。
罪を犯したこと自体に争いがない事件で不起訴を目指す場合は,基本的にこの起訴猶予による不起訴を目指すことになります。
傷害事件において起訴猶予による不起訴を目指せるかどうかは,主に傷害の程度と示談の成否に大きく左右されると考えられます。
怪我などの程度が軽く,なおかつ示談が成立していれば,起訴猶予による不起訴となる可能性は高くなるでしょう。

傷害罪というのは,そもそも先述したとおり法定刑の幅が広いのも相まって,個々の事件により予想される処分が大きく変わってきます。
ですので,まずはご自身の事件について弁護士に相談し,不起訴になるかどうか見込みを聞いてみるのをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,不起訴の見通しについて的確な回答を致します。
ご家族などが傷害罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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放火罪と保釈

2020-03-11

放火罪で逮捕され保釈を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

愛知県清須市に住むAさん(20歳)は,高校1年生の頃にVさんからいじめを受け,それが原因で不登校となりました。
これによりAさんはVさんに恨みを抱いていたため,ある日Vさん宅の庭にガソリンをまき散らして火をつけました。
幸いにも火は比較的早期に消し止められ,怪我人は一人もいませんでした。
この件について西枇杷島警察署が捜査を開始し,やがてAさんは現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは,接見に来た弁護士から,保釈による身柄解放を目指すべきであることを告げられました。
(フィクションです。)

【放火罪について】

刑法において,「放火罪」には複数の種類が規定されています。
大きく分けると,現住(現在)建造物等放火罪非現住建造物等放火罪建造物等以外放火罪の3つです。
いずれが成立するかは,放火の対象によって決まります。

今回のケースで問題となっているのは,先述した3つの中で最も重い現住建造物等放火罪です。
現住建造物等放火罪は,①「現に人が住居として使用し」ている建造物等を②放火によって「焼損」した場合に成立する可能性のある罪です。
まず,①の建造物等に当たる典型例としては,やはり方々に存在する民家が挙げられます。
注意すべきは,住居として使用されてさえいれば,必ずしも放火のときに人が存在する必要はない点です。
つまり,家主が旅行などで一時的に留守にしている家を放火した場合も,現住建造物等放火罪として罰せられる可能性があるのです。
また,②の「焼損」について,裁判例の中には30センチメートル四方という比較的狭い範囲のみが燃えた場合もこれに当たるとしているものがあります。
加えて,仮に「焼損」と言うに値しないと評価できる場合も,放火未遂罪や器物損壊罪が別途成立する可能性はあります。

【保釈による身柄解放の可能性】

現住建造物等放火罪の法定刑は,死刑,無期懲役,5年以上の有期懲役のいずれかという非常に重いものです。
そのため,逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして,逮捕・勾留による身体拘束が長期にわたる可能性が高いと言えます。
こうした事件については,被疑者の身柄の確保と証拠収集の便宜という建前上,捜査の期間である被疑者段階で身柄解放を実現するのは難しいというのが実情です。
そこで,捜査を終えて起訴された後で,保釈を請求して身柄解放を実現することが考えられます。

保釈とは,裁判所に保釈保証金となる一定額の金銭を預け,それと引き換えにいったん身柄を解放してもらうというものです。
保釈保証金は逃亡や証拠隠滅が行われた際に没収される可能性があるため,これがそうした行動を防ぐ担保となることが期待されています。
その分,被疑者段階で単に身柄を解放する場合と比べ,身柄解放が認められやすくなっているのです。

先述のとおり,裁判所に保釈を認めてもらうには,保釈請求を行って裁判所の許可を得る必要があります。
この保釈をするに当たり,弁護士としては,裁判官の懸念を払しょくできるような事情を主張し,場合によってはその主張に備えて事前に様々な活動を行います。
そのため,保釈の許可の可能性を高めるなら,やはり弁護士に保釈を依頼するのが賢明だと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,保釈請求などを通して一刻も早い身柄解放の実現を目指します。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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風俗店の禁止地域営業で略式起訴

2020-03-10

いわゆる禁止地域において風俗店を経営し,略式起訴されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,愛知県小牧市にあるマンションの一室において,性的なサービスを提供する風俗店Xを経営していました。
Xから10メートル程度の距離には中学校があり,Xの存在を知った近隣住民は「子どもたちに悪影響が出る」と不満を抱いていました。
こうした近隣住民の声をきかっけに捜査を開始した小牧警察署は,Aさんを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は,Aさんの行為が禁止地域営業に当たると考え,略式起訴されて罰金刑を下される可能性が高いとAさんに伝えました。
(フィクションです。)

【風俗店の禁止地域営業】

日本においては,社会に悪影響を及ぼすおそれのある特定の営業を「風俗営業」とし,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下,「風営法」)などにより種々の規制を設けています。
上記事例のXのように,店舗などの個室で性的なサービスを行う営業形態は,「風俗営業」のうちの「店舗型性風俗特殊営業」に該当することが殆どです。

先述のとおり,風俗営業は社会に悪影響を及ぼすおそれがあり,特に「店舗型性風俗特殊営業」についてはそれが顕著だと言えます。
こうした事情から,一定の地域においては,店舗型性風俗特殊営業を行うことが禁止されています。
こうした規制がいわゆる禁止地域営業と呼ばれるものです。

店舗型性風俗特殊営業の禁止地域は,風営法28条1項に列挙された建造物等から200メートル以内の地域と,都道府県の条例により指定された特定の地域です。
風営法28条1項が掲げる建造物等の具体例をいくつか挙げると,官公庁の建物,学校,図書館などがそれに該当します。
また,愛知県の場合,条例により定められるものとして病院や公園があります。

【禁止地域営業をした場合の罰則】

風営法49条は,風営法28条に違反した者,すなわち禁止地域営業を行った者に対して,①2年以下の懲役,②200万円以下の罰金,③①②の両方のいずれかを科す旨規定しています。
そのため,禁止地域営業をしてしまった場合,この範囲で刑罰を受ける可能性があることは弁えておく必要があります。
とはいえ,実際のところ,たとえば初犯でいきなり2年の懲役が下されるということはありえないと言って差し支えありません。
具体的な量刑は個々の事案毎に様々な事情を考慮して決められるものですが,おそらく初犯であれば略式起訴による罰金刑で済むことが多いかと思います。

略式起訴略式手続とも)とは,100万円以下の罰金を科すのが相当な事案において,本来よりも簡易な手続で迅速に罰金刑を科すためのものです。
略式起訴のメリットと言える点として,法廷ではなく書面で事件の審理が行われるため,法廷での審理に伴う様々な負担がなくなることが挙げられます。
罰金刑という刑罰を科される以上,前科がつくことは避けられませんが,それでも通常の手続に比べれば肉体的・精神的負担は全く異なるでしょう。
その一方で,略式起訴による場合は,通常の裁判であれば争う余地のあったような事柄が満足に争えなくなる可能性があります。
こうした事情から,被疑者・被告人には略式起訴に応じるか否かの選択権が与えられています。
事案によっては,略式起訴を甘受せず敢えて通常の裁判を望むことも有力な選択肢となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,略式起訴などで最適な判断できるようサポートいたします。
風俗店の禁止地域営業を疑われたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制わいせつ罪と不起訴②

2020-02-23

強制わいせつ罪不起訴を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
今回は,不起訴について詳しく見ていきます。

【ケース】

Aさんは,愛知県春日井市にあるマンションで一人暮らしをしています。
Aさんが住むマンションの近くには中高一貫校Xがあり,AさんはXの生徒が通学する様子を日々自宅の窓から眺めていました。
あるとき,AさんはXの生徒にわいせつな行為をしたいと思うようになり,人通りの少なくなる夜を狙ってXの生徒にわいせつな行為に及ぶことを企てました。
そして,ある日の午後8時頃,帰宅途中のVさん(16歳)に背後から近づいて,Vさんの口を手で押さえたうえで制服の下に手を入れ胸を揉みました。
その後Aさんはすぐに逃走しましたが,Vさんが春日井警察署に相談したことで,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,Aさんから「不起訴になる可能性はないか」と聞かれました。
(フィクションです。)

【不起訴とは何か】

刑事事件において捜査機関が必要な捜査を遂げると,事件を起訴するかどうか,すなわち裁判にかけるかどうかを検察官が決めることになります。
不起訴というのは,文字どおりある事件について起訴しないという判断を下すことを意味します。

検察官が不起訴の判断を下す理由には,実に様々なものがあります。
実務上よく見られるものとしては,有罪を立証するための証拠が十分でないときに行われる「嫌疑不十分」や,有罪立証の見込みがあっても敢えて起訴を見送る「起訴猶予」が挙げられます。
起訴猶予については,犯罪の軽重,被疑者の反省の程度,損害回復の有無,有罪となることによる影響などの様々な事情が考慮されることになります。

以上のような不起訴の理由を検察官の口から直接聞くことはあまりないかと思います。
ですが,検察庁によっては,不起訴となった場合に請求できる不起訴処分告知書という書面において理由を知ることができる場合があります。

【強制わいせつ罪と不起訴】

強制わいせつ事件不起訴を目指す場合,最も現実的なのは起訴猶予による不起訴だと考えられます。
起訴猶予による不起訴を目指す際に鍵となるのは,やはり被害者との示談の成否とその内容です。
強制わいせつ罪は性的意思決定の自由という個人の権利・利益を害するものなので,被害者の意向が最終的な処分に影響しやすい傾向にあります。
そのため,示談を通じて物理的・精神的損害の補填や被害者の許しが明らかとなると,起訴猶予による不起訴となる可能性が飛躍的に高まるのです。
逆に言うと,強制わいせつ事件においては,被害者との示談が成立しない限り起訴猶予による不起訴は難しいというのが実情です。
これらのことから,起訴猶予による不起訴を目指すにあたり示談が重要となるのです。

強制わいせつ事件に限りませんが,不起訴を目指すうえで注意しなければならないのは,検察官が起訴か不起訴か判断するまでに示談などを行う必要がある点です。
特に逮捕を伴う事件は短期決戦となるので,弁護士への相談はお早めにされることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,不起訴を目指してできる限りの活動を行います。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制わいせつ罪と不起訴①

2020-02-22

強制わいせつ罪不起訴を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
今回は,強制わいせつ罪について詳しく見ていきます。

【ケース】

Aさんは,愛知県春日井市にあるマンションで一人暮らしをしています。
Aさんが住むマンションの近くには中高一貫校Xがあり,AさんはXの生徒が通学する様子を日々自宅の窓から眺めていました。
あるとき,AさんはXの生徒にわいせつな行為をしたいと思うようになり,人通りの少なくなる夜を狙ってXの生徒にわいせつな行為に及ぶことを企てました。
そして,ある日の午後8時頃,帰宅途中のVさん(16歳)に背後から近づいて,Vさんの口を手で押さえたうえで制服の下に手を入れ胸を揉みました。
その後Aさんはすぐに逃走しましたが,Vさんが春日井警察署に相談したことで,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,Aさんから「不起訴になる可能性はないか」と聞かれました。
(フィクションです。)

【強制わいせつ罪について】

刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は,暴行または脅迫を手段として(ただし,被害者が13歳未満なら不要)「わいせつな行為」をした場合に成立する可能性のある罪です。
暴行または脅迫により抵抗を困難にし,被害者の意に反してわいせつな行為を行うことを処罰する罪だと言えます。

「暴行」という言葉を聞くと,殴る蹴るといった相手方に怪我を負わせるような行為をされるかもしれません。
ですが,強制わいせつ罪における「暴行」とは,相手方の抵抗を困難にする程度の不法な有形力・物理力の行為を指すものとされています。
こうした考えから,「暴行」は先述した行為に限られず,たとえば口を押えたり羽交い絞めにしたりする行為なども含まれうるということが導き出されます。

また,「わいせつな行為」とは,裁判例において「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」と定義されています。
実務上,これに当てはまるとされる傾向が高いのは,無理やりキスをする,陰部に指を入れる,直接胸を揉む,といったものが挙げられます。
基本的に,衣服の上から軽く触れる程度の行為であれば,「わいせつな行為」とまでは言えず強制わいせつ罪に当たらない可能性が高いです。
ただし,その場合でも大半は各都道府県が定める迷惑防止条例違反に当たることが見込まれるため,注意が必要です。

以上を前提に,Aさんに強制わいせつ罪が成立するか検討してみます。
Aさんは,Vさんに背後から近づいて,口を押えたうえで直接胸を揉んでいます。
これらの行為は,口を押えるという「暴行」を手段として,直接胸を揉むという「わいせつな行為」に及んだものと評価しうるものです。
そうすると,Aさんに強制わいせつ罪が成立する可能性は高いと考えられます。

強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役なので,仮に今回の事件で起訴されて有罪となれば,Aさんは懲役刑の言い渡しを免れません。
そこで,今回の事件において不起訴を目指せないか検討したいところです。
この点については次回の記事で解説いたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,個々の事案にあわせて強制わいせつ罪の成否を慎重に検討します。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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自転車の人身事故で過失傷害罪に

2020-02-17

自転車による人身事故で過失傷害罪が成立しうるケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【ケース】

大学生のAさん(21歳)は,自宅から大学まで自転車で通学していました。
ある日,Aさんがいつもどおり自転車を漕いでいたところ,LINEの通知音が鳴りました。
そこで,Aさんはポケットからスマートフォンを取り出し,LINEを読もうとスマートフォンの画面を見ながら運転を続けました。
そのとき,曲がり角で自転車に乗ったVさんが右折してきて,AさんはVさんの存在に気付くのが遅れてぶつかってしまいました。
その現場を偶然瀬戸警察署の警察官が通りかかり,Aさんは過失傷害罪の疑いで取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,最終的な処分の見込みについて説明しました。
(フィクションです。)

【過失傷害罪について】

過失傷害罪は,その名のとおり「過失」により他人に怪我などを負わせた場合に成立する可能性のある罪です。
一般にも知れ渡っているかと思いますが,「過失」という言葉の意味は,簡単に言えば不注意のことを指します。
犯罪の認定に際して「過失」の有無を検討する際には,結果(怪我など)の発生が予想できたか,その結果を回避するのが可能かつ容易だったかどうか,といった点が主に考慮されます。

上記事例では,Aさんがスマートフォンの画面を注視しながら自転車を運転しており,右折してきたVさんをかわし切れずに衝突しています。
自転車の運転に際して周囲に気を配るのは言うまでもないことであり,事故の予測および事故を回避するための対策は可能かつ容易であったと考えられます。
そうであれば,Aさんには「過失」が認められ,Vさんに怪我をさせていることから過失傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。
なお,「過失」の程度が著しい場合,すなわち少し注意するだけで容易に結果の発生を回避できたような場合については,重過失傷害罪として過失傷害罪より重く罰せられる可能性が出てきます。
最も重い刑で比較すると,過失傷害罪30万円の罰金重過失傷害罪5年の懲役となっており,重過失と言えるかどうかで事件は大きく異なってくることになります。

【過失傷害事件において想定される処分】

刑事事件の捜査が終わると,検察官が事件を起訴するか不起訴にするか決めることになります。

まず,不起訴になった場合については,基本的にその時点で事件が終了することになります。
不起訴というのは起訴しない,すなわち事件を裁判にかけないということなので,有罪となって刑罰が科されることもありません。

一方,起訴された場合については,有罪か無罪か,有罪としてどの程度の量刑が妥当かが裁判によって決められることになります。
ただし,100万円以下の罰金を科すのが妥当な事案については,略式起訴という特殊な手続で迅速に事件が終了することがありえます。
この略式起訴は,裁判を法廷ではなく書面で行う手続で,被告人にとっては通常の裁判に伴う負担を回避できる点で有益と言えるものです。
過失傷害罪であれば,最も重い刑でも30万円以下の罰金となっているので,略式起訴の対象になると言えます。

また,上記とは別に,検察庁へ事件を送致せず警察署限りで終了させる微罪処分というものもあります。
過失傷害罪のように軽い罪であれば,この微罪処分もありえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,知識と経験を武器に的確な処分の見込みをお伝えします。
過失傷害罪を疑われたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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売春周旋と初回接見

2020-02-01

売春周旋(売春のあっせん)で逮捕され初回接見を行ったケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんが経営するデリバリーヘルスX(愛知県名古屋市所在)は,いわゆる本番行為ができる店としてインターネット上で有名でした。
Aさんも従業員が客と本番行為を行っていることは認識していましたが,店の売上につながるなら構わないと思い,本番行為を黙認していました。
ある日,Xで本番行為が行われているとの情報を掴んだ守山警察署は,捜査を行ったうえでAさんら従業員を売春防止法違反(売春周旋)の疑いで逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は,弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【風俗店における本番行為は売春周旋に?】

売春とは,お金などの対価を受け取ったりその約束をしたりして,不特定の相手方と性交を行うことを指します。
上記事例で登場している売春防止法は,この売春に関して種々の規定を置く法律です。

売春防止法3条は,「何人も,売春をし,又はその相手方となってはならない」と規定しています。
売春という行為自体はインターネット上の出会い系サイトなどを介して行われるものかと思いますが,実は道徳上の問題にとどまらず法令で禁止されているのです。
ただ,売春防止法3条に違反した場合の罰則は存在しないため,売春の当事者となったからといって処罰されるわけではありません。

問題なのは,売春を希望する者同士を引き合わせた場合です。
この場合,売春防止法が禁止する売春周旋に当たるとして,2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。
特に,風俗店で本番行為を許容していたというケースでは,利益を上げていること,組織的に行われていること,反復継続性があることなどの事情から,売春周旋のケースの中でも重く処罰されるおそれがあります。

【弁護士による初回接見の重要性】

逮捕・勾留により拘束されている被疑者・被告人との面会を接見と言います。
接見には弁護士によるものとそれ以外の一般人によるものとがありますが,単に「接見」と言うと弁護士によるものを指すことが多いかと思います。

被疑者・被告人が弁護士と行う1回目の接見を特に初回接見と言います。
通常は被疑者・被告人にとっての1回目を初回接見と呼びますが,弊所では弊所の弁護士にとっての1回目も初回接見と呼んでいます。
初回接見は刑事事件において非常に重要な活動であり,そのことが過去の裁判例においても確認されています。

初回接見のメリットの最たるものとして,被疑者・被告人が事件の流れや取調べへの対応を聞くことができるという点が挙げられます。
被疑者・被告人として捜査機関や裁判所と対峙するにあたり,振る舞い方を身につけているかどうかは言うまでもなく大きな違いです。

また,初回接見は留置施設の中と外をつなぐパイプ役にもなりえます。
逮捕というのは突然行われることが少なくありませんから,ご家族などが事情を何も知らないということがよくあります。
面会をしようにも,立会人のいる中では会話の内容が制限されますし,そもそも逮捕から2~3日の間など面会自体が禁止されている期間も存在します。
こうした状況において,初回接見はお互いに状況などを伝える有力な手段となることが期待できます。

以上のとおり,初回接見は被疑者・被告人となった方とその周囲の双方にとって重要なものです。
逮捕されると不自由なことが多々予想されるので,ぜひ初回接見を積極的に活用してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,お申込み後最短で即時,遅くとも24時間以内に初回接見を行います。
ご家族などが売春周旋の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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児童買春事件で否認

2020-01-31

児童買春否認について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,日ごろからインターネット上で援助交際を求める女性を探していました。
そうしたところ,その縁で知り合ったBさんという男性から,「俺に金をくれたら娘とセックスさせてやる。娘も理解している」と持ち掛けられました。
話を聞くに,BさんにはVさんという17歳の養子がおり,私立大学に進学したがっていることから,そのお金を自分で稼がせているようでした。
この話を聞いたAさんは,迷った結果Bさんの申し出を受け入れ,Bさんに2万円を支払ってVさんと性交しました。
後日,Aさんは児童買春の疑いで天白警察署にて取調べを受けることになりました。
そこで,Aさんは弁護士に「否認しようと思うのですが」と相談しました。
(フィクションです。)

【児童買春について】

児童買春とは,何らかの対価と引き換えに行う児童(18歳未満の者)との性的な行為を指します。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に詳しく規定されています。
まず、処罰の対象となる「児童買春」とは、以下の①②の要件をいずれも満たすものを言います。

①次のいずれかの者に対して、性交等の対償を供与し、またはその約束をしたこと
・児童(18歳未満の者)
・児童に対する性交等を周旋する者
・児童の保護者または児童をその支配下に置いている者
②児童に対して「性交等」を行ったこと

今回のケースとの関係でポイントとなるのは,対償(典型例はお金)を供与する相手方が児童本人に限られてないという点です。
児童買春のケースの多くは,児童本人にお金を渡して児童と性的な行為に及ぶというものです。
ですが,法律によれば,児童に「性交等」を行わせる影響力を持つ一定の者に対償を供与した場合も児童買春に当たるのです。

今回のケースでは,AさんがVさんの養親Bさんにお金を渡し,Vさんと性行為に及んでいます。
Bさんは,先述した「児童の保護者または児童をその支配下に置いている者」に当たると考えられます。
そうであれば,Aさんの行為が児童買春に当たる可能性が高く,5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

【否認による影響】

刑事事件において,犯罪行為をしていない,あるいは犯罪だという認識(故意)がなかったと主張することを否認と言います。
捜査機関から犯罪を疑われて「やってません」「悪いことだと知りませんでした」と供述した場合,否認事件として扱われることが見込まれます。
ただし,「悪いことをしているという自覚はあったが,それが犯罪として法律に定められているとは知らなかった」というケースは,否認として扱われないと考えられます。
なぜなら,刑法では「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と規定されているからです(38条3項)。
悪いことをしていたという自覚があったのであれば,それを分かっていながらなお行為に及んだ点で非難に値し,法律の規定を知っていたかどうかは大きな問題ではないということです。

犯罪というのは後ろめたいことなので,たとえ真実は犯罪に及んでいても,捜査機関などに対して否認してしまうということは何ら不思議ではありません。
注意すべき点は,捜査や処分が厳しくなるリスクがあるということです。
まず,捜査機関としては犯行を認めてもらった方が都合がよいので,否認となると取調べできつく詰められる可能性が飛躍的に高くなります。
また,仮に裁判となって有罪判決が下された場合,反省の態度が見られないとして若干量刑が重くなるリスクも生じます。

このように,否認事件においては,事件全体を通して厳しい闘いになることが予想されます。
ですので,弁護士に否認のメリットやデメリットを聞き,弁護士のアドバイスを受けて適切な対応をするのが賢明でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,個々の事案にあわせて否認が適切かどうか真摯に検討します。
児童買春を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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未成年者略取・誘拐罪の弁護活動

2020-01-21

未成年者略取・誘拐罪の弁護活動

未成年者略取・誘拐罪の弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事件】

愛知県名古屋市に住むAさんは,わいせつな行為をする目的で同区内に住むVさん(17歳)を自宅に誘拐しました。
Vさんが一向に帰ってこないことを不安に思った母親が昭和警察署に相談したことをきっかけに捜査が開始され,Aさんは未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

【未成年者略取誘拐罪】

未成年者略取誘拐罪は刑法第224条に規定されています。

刑法第224条
未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。

略取と誘拐を併せて拐取と言うこともあります。
未成年者略取・誘拐罪をはじめとする略取・誘拐の罪は,暴行・脅迫または欺罔・誘惑を手段として人を現在の生活環境から離脱させ,自己または第三者の事実的支配下に置く犯罪です。
生命・身体の危険にさらされたり,労働を強いられて搾取されたり,わいせつ行為の被害者になる危険から被害者の自由と安全を保護するために作られた犯罪が略取・誘拐の罪です。

未成年者略取・誘拐罪の要件のうち,略取は暴行・脅迫を手段とする場合,誘拐は欺罔・誘惑を手段とする場合をそれぞれ指します。
未成年者を略取・誘拐した場合は原則としてこの罪に当たることになりますが,特定の目的があれば,後述のとおりその目的に対応した略取・誘拐罪が成立すると考えられています。
ちなみに,各種の略取・誘拐罪は未遂も処罰されます(刑法第228条)。

【営利目的等略取・誘拐罪】

営利目的等略取・誘拐罪は,刑法第225条によって「営利,わいせつ,結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で,人を略取し,又は誘拐した者は,1年以上10年以下の懲役に処する」と規定されています。
この条文によって,営利目的,わいせつ目的,結婚目的,生命・身体加害目的で略取・誘拐した場合は,客体が未成年者であるか否かを問わずに営利目的等略取・誘拐罪となります。

それぞれの目的についてみていきます。
営利目的とは,財産を自ら取得し,または第三者に取得させる目的のことをいいます。
ただし,身の代金を取得する目的であった場合は身の代金目的略取誘拐罪(刑法第225条の2)が成立します。
身の代金目的略取誘拐罪の法定刑は無期または3年以上の懲役です。
わいせつ目的とは,被拐取者に対し性的行為を行い,または被拐取者に性的行為を行わせる目的のことをいいます。
結婚目的とは自己または第三者と結婚させる目的のことで,その結婚は事実婚を含むものとされます。
生命・身体加害目的とは,文字通り自己または第三者が被拐取者を殺害し,傷害を与え,または暴行を加える目的をいいます。

他にも,略取誘拐罪には所在国外移送目的略取誘拐罪(刑法第226条)があり,類似の犯罪としては人身売買罪(刑法第226条の2)などがあります。

今回,Aさんはわいせつな行為をする目的でVさんを誘拐していますので,未成年者誘拐罪ではなく,より重い営利目的等略取誘拐罪に問われる可能性があります。
更に,事件の概要からは明らかではありませんが,実際にわいせつな行為に及べば強制わいせつ罪(刑法第176条)や強制性交等罪(刑法第177条)などが成立する可能性もあります。
強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役,強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

【弁護活動】

各種の誘拐罪に当たる事例の中でも特に未成年者を被拐取者とするケースでは,親などの監護者や社会的な処罰感情が強い場合が多く,起訴されればより重い判決が下される可能性が高いです。
もし未成年者を被拐取者とする各種の略取・誘拐罪の被疑者となってしまったら,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
迅速に謝罪と示談を行うことで,不起訴処分や執行猶予を得られる可能性を高めることができる場合があります。

また,取調べに対するアドバイスを弁護士から得ることで,起訴・不起訴を決定する検察官から良い心証を得られることにつながることも多いです。

具体的な弁護活動内容は依頼者様とご相談の上で決めていくことになりますので,未成年者略取・誘拐罪や営利目的等略取・誘拐罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が未成年者略取・誘拐罪や営利目的等略取・誘拐罪で昭和警察署に逮捕されてしまって困っている方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。
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往来危険罪の弁護活動

2020-01-20

往来危険罪の弁護活動

往来危険罪の弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事件】

Aさんは,愛知県名古屋市に敷設されている線路上に,最終電車が通過した後から始発電車が通過するまでの深夜,コンクリートブロックを合わせて10個並べました。
始発電車が現場を通過する前に作業員によってブロックは除去されましたが,Aさんは往来危険罪の疑いで中村警察署に逮捕されました。
(フィクションです)

【往来危険罪】

鉄道若しくはその標識を損壊し,又はその他の方法により,汽車又は電車の往来の危険を生じさせた場合,往来危険罪が成立します(刑法第125条第1項)。
鉄道のみならず,灯台若しくは浮標を損壊し,又はその他の方法により,艦船の往来の危険を生じさせた場合も往来危険罪に問われます(同法第125条第2項)。
法定刑は2年以上の有期懲役となっています。

往来危険罪の構成要件について説明します。
「標識」とは,信号機やその他標識などを指します。
「汽車」は蒸気機関車によって列車を軌道上牽引するものをいい,「電車」は電気を動力として列車を軌道上走らせるものをいいます。
これらには軌道上を走行するモノレールやケーブルカーも含まれますが,ロープウェイやトロリーバスは含まれないと考えられています。
「損壊」とは,信号機や標識などを物理的に壊して使えなくすることを意味します。
「その他の方法」には,今回の事件のような置き石の他に,無人電車を走らせること(最大判昭和30・6・22刑集第9巻8号1189頁),正規の運転計画にしたがわない電車を走らせること(最判昭和36・12・1刑集15巻11号1807頁),鉄製ごみ箱を軌道上に投げ込んで放置すること(東京高判昭和62・7・28東高刑時報38巻7~9号56頁),鉄道用地と境界を接する自己所有地上をパワーショベルで掘削すること(最決平成15・6・2刑集57巻6号749頁)などがこれに当たるとされています。

往来危険罪は,往来の危険が発生してはじめて構成要件該当性が充足される罪(具体的危険犯)です。
往来の危険とは,判例によると衝突・転覆・沈没・脱線など,交通機関の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態を意味します(最決平成15・6・2刑集57巻6号749頁)。
また,その要件について同判例は「単に交通の妨害を生じさせただけでは足りないが,上記脱線等の実害の発生が必然的ないし蓋然的であることまで必要とするものではなく,上記実害の発生する可能性があれば足りる」としています。
つまり,電車等の脱線・転覆などの危険が生じる程度の妨害行為があれば往来の危険があると認められるということになります。

ちなみに,置き石行為などで電車等の往来の危険を発生させ結果的に電車等が転覆するなどした場合,往来危険による汽車転覆等罪(刑法第127条)によって無期または3年以上の懲役に処される可能性があります。

今回のAさんは線路上にコンクリートブロックを10個置いています。
これは往来危険罪における「その他の方法」に該当します。
また,電車がコンクリートブロックが上に置かれた線路に侵入すると電車の転覆や脱線の可能性がありますので,往来の危険の発生も認められる可能性が高いといえます。
以上から,Aさんに往来危険罪が成立する可能性は高いと言えます。

また,Aさんの置き石行為で鉄道会社の業務が妨害されたということになれば,威力業務妨害罪(刑法第233条後段)に当たる可能性もあります。
威力業務妨害罪の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

【弁護活動】

まず,Aさんのように逮捕・勾留されてしまっている場合,逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを示すことで早期の身柄解放を目指すことが考えられます。
弁護士であればそうした活動に慣れていることが多いので,最適な身柄解放活動を期待できるでしょう。

また,往来危険罪によって被害を受けることが見込まれる鉄道会社などを相手方として,示談交渉を行うことも考えられます。
ただし,往来危険罪は公共の利益に関わる罪なので,個人を害する罪(たとえば傷害罪や強制わいせつ罪)と比べて示談の効力が薄い可能性があります。
この点を含め,示談のことは弁護士に相談されることをおすすめします。

置き石行為によって取調べを受けることになってしまった方,ご家族やご友人が中村警察署に逮捕されてしまって困っている方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。
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