Archive for the ‘薬物事件・薬物犯罪’ Category

処方箋の偽造と逮捕

2022-06-30

処方箋の偽造と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

愛知県稲沢市に住むAさんは不眠症を患っており、毎月睡眠薬(向精神薬)を処方されていました。
しかし睡眠薬が効きにくくなったAさんは、もっと大量に睡眠薬が欲しいと思いました。
そこでAさんは自分に処方された処方箋を大量にカラーコピーして、それを愛知県内の複数の調剤薬局の受付に提示して睡眠薬を不正に受け取っていました。
Aさんはこれを1年にわたり繰り返していましたが、ある日愛知県稲沢警察署の警察官がAさんの自宅に来て逮捕状を提示して、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

【処方箋の偽造や行使は犯罪になります】

処方箋をパソコンで自分で作成したり、カラーコピーしたり、薬を書き加えたり等をして薬局に持ち込み、不正に処方薬を受け取ることは犯罪になります。
どのような犯罪になるのか具体的に見ていきましょう。

1 詐欺罪(刑法第246条)

・人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
・前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

2 私文書偽造罪(刑法第159条)

・行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
・他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、同様とする。
・刑法159条1項と2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

3 偽造私文書等行使罪(刑法第161条)

・刑法159条(私文書偽造行使等)と160条(虚偽診断書等作成)の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
・前項の罪の未遂は、罰する。

4 麻薬及び向精神薬取締法違反

・麻薬及び向精神薬取締法第70条第14号の規定により、1年以下の懲役若しくは20万円以下の罰金、又はこれを併科

麻薬が処方される処方箋を偽造し、又は変造した場合にとわれます。

・麻薬及び向精神薬取締法第72条第4号の規定により、20万円以下の罰金

向精神薬が処方される処方箋を偽造し、又は変造した場合にとわれます。


1の詐欺罪は、薬局の受付員に対し、偽造した処方箋をあたかも真正な処方箋のように提出し、欺いた結果、薬を処方されたので詐欺罪が成立します。
2と3の私文書偽造罪と偽造私文書等行使罪については、それが無ければ薬の処方が受けられない処方箋を偽造し、薬局に提出(行使)していますので、両罪が成立します。
4の麻薬及び向精神薬取締法違反については、処方箋に麻薬、若しくは向精神薬が含まれていれば成立します。

今回Aさんは、詐欺罪・私文書偽造罪・偽造私文書等行使罪・麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたものと思われます。

【逮捕された後はどうなるのですか】

・逮捕について
今回Aさんは逮捕状を提示されて逮捕されましたが、これを通常逮捕といいます。
逮捕にはその他、緊急逮捕、現行犯逮捕(準現行犯逮捕含む)があります。
逮捕されると、警察官は逮捕時から48時間以内に身柄を釈放するか検察官に送致するかを決定します。
送致された場合、24時間以内に検察官は被疑者を勾留するか否かを決定し、勾留する場合には、裁判所に対し勾留請求を行います。

・勾留について
検察官の勾留請求が裁判所に認められれば、まずは10日間の身体拘束が認められ、場合によってはさらに10日間の延長が認められます。
つまり一度逮捕されると、逮捕から勾留請求までの時間を含めて、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があるということになります。
勾留されると外部との連絡を制限され、さらに接見禁止決定がつくと、基本的に弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)ができなくなります。

・起訴について
検察官は起訴をするのか、それとも不起訴にするのか、被疑者に対する処分を決定します。(勾留されている場合には、勾留期間が満了する前に決定します。)
起訴されると、刑事裁判が始まります。
起訴された後は、留置されていれば警察署の留置場から拘置所に移動することがあります。
また、一定の金銭を裁判所へ預けることによって、身柄拘束から解放してもらうこともできるようになります。(保釈といいます。)

・公判について
裁判では、無罪判決か有罪判決の言渡しを受けます。
有罪判決の場合には、執行猶予を付けられるかどうかが判断されます。


以上が逮捕された後の大まかな事件の流れです。
刑事事件に強い弁護士は、事件の各段階において、適切な弁護活動を行っていきます。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士に事情をお話しください。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
処方箋を偽造した、家族が詐欺罪や私文書偽造罪、偽造私文書等行使罪、麻薬及び向精神薬取締法違反て逮捕されてお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。

ヘロインと強盗殺人未遂罪と保釈

2022-06-12

ヘロインと強盗殺人未遂罪と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは違法薬物の売人であるVさんに対し、待ち合わせ場所の愛知県春日井市の路地裏で代金を支払う意思がないのに「ヘロインを売ってくれ」と頼みました。
AさんはVさんからヘロインを受け取りましたが、Aさんは代金支払いを免れるために出刃包丁でVさんの腹部を刺し逃走しました。
Vさんは通行人に救助され一命をとりとめましたが、Aさんは強盗殺人未遂罪と麻薬及び向精神薬取締法違反で愛知県春日井警察署に逮捕・勾留され、その後起訴されていますが、Aさんの家族はAさんが刑務所に行く前に一度自宅に帰ってきてほしいと考えています。
(フィクションです)

【ヘロインとはどのようなものですか?】

ヘロインとは、けしを原料とした薬物のことで、けしからあへんを採取し、あへんから抽出したモルヒネを精製して作られており、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されています。
モルヒネになる前のあへんとは、けしから採取した液を凝固させたもののことです。
原料であるけしの栽培やあへんの採取、あへん及びけしがらの輸出入、所持などは「あへん法」により規制されています。

ヘロインは、強い精神的・身体的依存が特徴の薬物で、ヘロインを使用すると強い陶酔感や快感を覚えます。
しかし、2~3時間ごとに摂取しないと、体の激しい痛み、悪寒、嘔吐、失神などの激しい禁断症状が起こります。
また大量に摂取すると死に至ります。
ヘロインについては、医学的な使用も一切禁止されています。

ヘロインの所持については、麻薬及び向精神薬取締法に規定があり
営利目的が無ければ、法定刑は10年以下の懲役です。
営利目的があれば、法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金を併科されます。

【強盗殺人未遂罪について】

このような事例については既に判例があり、

「違法薬物をだまし取った後に、代金支払いを免れるために殺人を行おうとしてこれが未遂に終わった場合、代金支払いを免れるという財産上不法の利益をえるためにされたものである以上、この行為は詐欺罪と2項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立する。」とあります。(最高裁判所昭和61年11月18日判決)

※2項強盗とは、刑法に「強盗罪」として規定される行為のうち直接的な「財物の強取」ではなく、代金の支払い拒否などの「経済的利益を不当に奪い取る」ことを目的として行われる強盗行為のことを言います。
強盗罪が規定されている刑法第236条の「第2項」に規定されているため「2項強盗」と呼ばれています。

【Aさんは自宅に帰ることができるのか】

警察署に留置され、起訴されているAさんが自宅に帰るには「保釈」という制度を利用することになります。
保釈とは、身柄拘束されている被告人(起訴された人)が、一定金額のお金(保釈金)を納付して身柄を解放してもらう制度です。
保釈には、必要的保釈と裁量保釈、職権保釈の3種類がありますが、いずれの保釈の場合でも弁護士によって保釈請求書を作成してもらい、保釈請求を行ってもらうことが有効です。

保釈請求が行われた場合、刑事訴訟法第89条に記載されている事項を除いて、裁判所は保釈を許さなければならないとしています。

刑事訴訟法第89条には

①被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

とあり、つまりこれに該当しない時は保釈が認められるということです。

ただし、薬物事件においては上記の③と④に該当すると判断される可能性が高いため、特に薬物事件において保釈を希望されるときは弁護士にしっかり主張してもらうのがよいでしょう。

また、上記の89条の保釈が認められなくても、刑事訴訟法第90条に基づく保釈を請求することができます。
 
刑事訴訟法第90条に基づく保釈とは、裁判所が適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができるとしていることで、裁判所の裁量により行われる保釈です。
しかし、裁判所の職権で保釈の判断がされるため、これもやはり弁護士に裁判所に対ししっかりと主張してもらうことが大切です。

また、保釈請求が認められたとしても、保釈金を裁判所に預り金として支払わなくてはなりません。
保釈金は仮に後の裁判で有罪判決を受けたとしても裁判所から返還を受けることができますが、保釈金の金額については、人それぞれですので、一概に金額を見積もることは困難です。
また、薬物事件の場合は再犯率や逃走の恐れの観点から、保釈金は高額になる傾向があります。

最後に職権保釈についてですが、職権保釈とは刑事訴訟法第91条に基づいた、勾留による拘禁が不当に長くなった場合には、保釈を許さなければならないというものです。

保釈を希望される方は、刑事事件、薬物事件に強い弁護士に、ぜひ一度ご相談ください。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
麻薬及び向精神薬取締法違反事件や強盗殺人未遂罪で逮捕された方のご家族等は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。

MDMAの所持と一部接見禁止解除

2022-05-07

MDMAの所持と一部接見禁止解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは名古屋市昭和区の路上でMDMAを所持していたとして愛知県昭和警察署に逮捕されました。
その後検察庁に送致され、愛知県昭和警察署において勾留されることになり、その際Aさんには「接見禁止」がつきました。
Aさんは、友達に会えなくなるのはしょうがないが、家族には会って伝えたいことがあるので、弁護士を呼んで相談しようと考えています。
(フィクションです)

【MDMAとはどのようなものですか】

MDMAは「メチレンジオキシメタンフェタミン」という薬品名の略称で、いわゆる合成麻薬です。
ケシなどの植物からつくられる薬物のことは麻薬と呼ばれます。
これに対し合成麻薬とは、化学的に合成された麻薬の一種で覚醒剤と似たような化学構造の薬物で、一般的に流通している薬物から加工されて作られることが多いのです。

MDMAはエクスタシーと呼ばれることもあり、服用すると幸福感や興奮を高める作用があります。
しかし、服用を続けると精神錯乱や記憶障害を引き起こしたり、最悪の場合は死に至ります。

MDMAの所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受等の行為は、「麻薬及び向精神薬取締法」によって処罰されます。

●輸入・輸出・製造
営利目的 :1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金の併科
それ以外 :1年以上10年以下の懲役

●所持・譲渡・譲受・使用
営利目的 :1年以上10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金の併科
それ以外 :7年以下の懲役

【接見禁止とはどのようなことですか】

接見禁止とは、弁護士以外の人と面会ができなくなるということです。
薬物事件は証拠隠滅の恐れが高いとみなされることが多く、接見禁止がつきやすいのです。

【では家族との面会も諦めるしかないのでしょうか…】

弁護士を通して、接見禁止の解除を裁判所に申し立てることができます。
接見禁止の解除とは、接見禁止を解除し、弁護士以外の者との面会を可能にすることをいいます。

また、接見禁止の一部解除の申立てを行うこともできます。
接見禁止の一部解除とは、裁判所が認めた範囲の人のみに面会を認めることです。

つまり事件関係者の可能性がある者との面会は認めないが、事件に全く関係のない家族や親戚などなら面会を認める、という場合は接見禁止の一部解除となるのです。

全く事件とは関係のないご家族と面会を希望する際は、弁護士に接見禁止の全部又は一部解除の申し立てを依頼するとよいでしょう。
家族が勾留されて面会に行きたいが、接見禁止により面会ができずに困っている方は、刑事事件に強い弁護士にぜひご相談ください。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
ご自分やご家族がMDMAを所持して逮捕された、家族と面会ができずお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。

身に覚えがない大麻所持と冤罪

2022-04-19

身に覚えがない大麻所持と冤罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

Aさんは名古屋市西区の路上で大麻を所持していたとして、愛知県西警察署に逮捕されました。
Aさんは全く身に覚えがなく愛知県西警察署における取調べに対しても否認していますが、この大麻はAさんと仲が悪いBさんが嫌がらせで自分の大麻をAさんのカバンに忍ばせておいたものでした。
Aさんの家族はAさんとBさんが仲が悪いことを知っており、もしかしたら大麻はBさんの物なのではないかと考え、刑事事件に強い弁護士に相談に行きました。
(フィクションです)

【大麻の所持】

大麻の所持については、大麻取締法に規定があります。

1 営利目的がない場合
法定刑は5年以下の懲役です。

2 営利目的がある場合
法定刑は7年以下の懲役で、情状により200万円以下の罰金が併科されます。

【身に覚えがないのに逮捕された】

今回の場合、Aさんは冤罪である確率が高いと思われます。
冤罪とは、無実であるにもかかわらず、犯罪者として扱われてしまうことをいいます。

なぜ冤罪がおきてしまうのでしょう。

大きな原因の一つと考えられるのは、被疑者や被告人による虚偽の自白(自己の犯罪事実を認めること)をしてしまうためと考えられます。
虚偽の自白とは、被疑者や被告人が自らの意思に反して事実と異なることを認めてしまうことです。

どうして虚偽の自白など、自らの意思に反して事実と異なることを認めてしまうことが起きてしまうのでしょう。
それは過去から変わることなく、自白が裁判で重要な意味を持つためです。

自白は犯罪を立証するための重要な証拠であるため、捜査機関は被疑者や被告人の自白を何とか得ようと、逮捕・勾留時の取調べで厳しい追及をすることが多いのです。

取調べのやり方によっては違法な取調べとなることもありますが、その違法性を証明するのは容易なことではありません。
よって、違法な取調べによって得られた虚偽の自白でも、自白をしてしまえば重要な証拠として採用されてしまいます。

また、虚偽の自白はまだ弁護士がついていない、特に逮捕直後の時期に行われることが多いと言われています。
つまり、逮捕直後に捜査機関による連日の取調べなどで、逮捕された人が精神的に追い込まれ、取調官の違法・不当な取調べに屈してしまい虚偽の自白をしてしまうのです。

捜査機関には「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」など、捜査機関内部で違法な取調べを規制する規則もあります。
しかし、取調べは警察署の取調室という密室で行われるため、違法な取り調べが行われる確率はゼロではなく、仮に違法な取調べが行われたとしても裁判でそれを証明することは非常に難しいのです。

虚偽の自白を絶対にしないためにも、違法な取調べが行われやすい逮捕直後などの捜査の初期段階から刑事事件に強い弁護士をつけて、取調べへの対応をしていくことがとても重要です。
また、不当な取調べを受けた場合は、刑事事件に強い弁護士が警察などの捜査機関に異議を述べ、状況によっては抗議文を送付するなど、違法な取調べをやめるように働きかけることも可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻取締法違反事件を含めた薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
大麻取締法違反事件で逮捕された方、ご家族やご自身が冤罪の疑いをかけられている方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。

覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え

2021-12-24

覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え

覚醒剤取締法違反現行犯逮捕捜索差押えについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
前回の記事の続きとなりますので、取り上げている事例に関しては前回の記事をご覧ください。

【逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとは】

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる(刑事訴訟法220条1項)。
2 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること

第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない(刑事訴訟法220条2項)。

逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えが無令状で許されるのは、逮捕(現行犯逮捕)の現場には犯罪に関する証拠が存在している可能性が高く、逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えは合理的な証拠収集の手段であるといえるからです。

このような趣旨に鑑みれば、「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)と認められるためには、逮捕からある程度の時間的接着性があればよいと考えられます。
また、「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)とは、逮捕された者の同一管理権の及ぶ場所であればよいと考えられます。

刑事事件例では、警察官はAさんを公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕した直後にAさん所有の車の捜索を開始しており、本件捜索差押えは「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)に行われたといえます。
また、Aさん所有の車はAさんの管理権が及ぶ場所であることから、本件捜索・差押は「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)で行われたといえます。

以上より、警察官による捜索差押え逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとして適法であると考えられます。

【覚醒剤取締法違反(所持)の罪とは】

覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない(覚醒剤取締法14条)。

覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する(覚せい剤取締法41条の2)。

覚醒剤取締法41条の2における「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことをいいます。
また、覚醒剤取締法41条の2における「所持」とは、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことをいいます。
ですから、言葉通り覚醒剤を手に持っている状態でなくとも「所持」しているとみなされることがあるのです。

刑事事件例では、Aさんは車内に覚醒剤の入った粉末10袋を持っており、このAさんの行為は「覚醒剤を、みだりに、所持」(覚せい剤取締法41条の2)する行為に該当します。
また、Aさんは正当な理由なく覚醒剤を所持しています。

よって、Aさんには覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立すると考えられます。

そして、警察官はAさんを覚醒剤取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕し、覚醒剤などを差し押えていますが、この現行犯逮捕及びそれに伴う捜索差押えは上述した規範に照らし、適法であると考えられます。

【覚醒剤取締法違反の否認事件】

覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するためには、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容している(故意がある)ことが必要です。

このとき、覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意の認定には、「積極的にこれ(※覚醒剤のこと)を自己又は他人のため保管する意思の有無又はその行為の目的、態様の如何を問わない」と考えられています(昭和31年2月2日東京高等裁判所判決)。

そのため、例えば、自分は覚醒剤を保管するのを拒んだにもかかわらず、他人が勝手に置き去ったという事情があったとしても、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容しているため、覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するのに必要な故意があったと判断されることになります。

刑事事件例ではAさんは、この覚醒剤は自分のものではないと主張しているところ、Aさんが覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意を否定するためには、例えば自分は覚醒剤が車にあることを全く知らなかったというように覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容していなかったと主張する必要があると考えられます。
実際にAさんがどういった認識であったのか等の事情をすり合わせながら取調べに対応していく必要があり、こういった覚醒剤取締法違反の否認事件には、薬物事件に関する専門的な知識が必要であるといえます。
だからこそ、刑事事件に強い弁護士によるサポートが必要であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反現行犯逮捕捜索差押えされた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

覚醒剤の使用の再犯 執行猶予はつく?

2021-06-04

覚醒剤の使用の再犯 執行猶予はつく?

覚醒剤の使用の再犯で執行猶予はつくのかということについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

事例

Aさんは名古屋市中村区に在住の男性会社員(35歳)です。
Aさんは4年前に覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴され,懲役6月執行猶予3年の有罪判決を受けたことがありました。
その後,社会復帰をしたAさんでしたが,会社でのストレスなどに押しつぶされてしまい,再び覚醒剤を手に入れて自宅で使用し始めてしまいました。
すると,覚醒剤の使用を再開して2か月後自宅に東海北陸厚生局麻薬取締部の捜査が入りました。
捜査の結果,未使用の覚醒剤が出てきたことと尿検査で陽性反応がでたためAさんは覚醒剤所持覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反で逮捕されてしまいました。
その後,Aさんは覚醒剤取締法違反の容疑で起訴されました。
Aさんの妻は,Aさんが実刑判決となり,長期間身柄を拘束されてしまうと生活が困難になるため,Aさんに執行猶予が付くか刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)

覚醒剤に関しての法律

覚醒剤の所持及び使用について,覚醒剤取締法の以下の条文に定められています。

覚醒剤取締法第14条第1項 (所持の禁止)
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。

覚醒剤取締法第41の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。

覚醒剤取締法第19条 (使用の禁止)
次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
1 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
2 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
3 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
4 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5 法令に基づいてする行為につき使用する場合

覚醒剤取締法第41条の3 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

通常の覚醒剤関連での検挙の大多数は覚醒剤の所持と使用であると思われます。
これらについて法律は特別に許されている医療目的や研究目的以外の所持や使用を禁止しています。
そして,法律に違反して覚醒剤を所持,使用すると最悪の場合は10年の懲役に処されることもある重い犯罪であると言えます。

執行猶予について

刑の全てについて執行猶予にできる場合について,刑法の以下の条文に定められています。

刑法第25条第1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる。
1 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

刑法第25条第2項
前に禁錮以上の刑に処せられたことあってもその刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮以上の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときも,前項と同様にする。

まず,刑法第25条第1項の執行猶予が認められるためには,
1 5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと
2 判決の言い渡しが3年以下の懲役若しくは,50万円以下の罰金であること
3 情状があること
の3点が必要になります。
このうち,3の情状とは,犯罪中若しくはその後の状態をみて,刑の執行を猶予することで自主的に更生することが期待できる状況を言います。

本件では,以前の執行猶予から5年経過していないため,第1項の執行猶予には当たりません。
そのため,第2項の執行猶予に当たるかが問題になります。

覚醒剤所持による覚醒剤取締法違反事件の場合,実際の所持していた覚醒剤の量などによって裁判官が量刑を決めますが,再犯の場合,基本的に量刑は重くなる傾向にあります。
そのため,Aさんの場合には,1年を超える懲役に処せられる可能性が高いと言え,第2項の執行猶予を得ることも簡単にはできないと考えられます。
さらに,たとえ刑期が1年以下に抑えられたとしても,執行猶予を付けるには「情状に特に酌量すべきものがある」ことが必要です。
ですから,Aさんのようなケースでは,執行猶予を獲得することは非常に難しく厳しい道であることが分かります。

しかし,このような事件では絶対に執行猶予を得ることが出来ないというわけではありません。
今回は裁判中から治療を受けて,その経過を裁判で主張するなど「情状に特に酌量すべきものがある」ことを裁判官に納得させる手はないわけではないため,あきらめることなく,弁護士などの専門家と一緒に努力することが必要です。
もしも実刑判決となってしまっても,再犯防止策の構築などをしていくことは,その後の更生にも役立ちますから,まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は,刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕

2021-05-28

覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕

覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県常滑市に住むAさんは、メキシコに海外旅行に行った際に、旅行先で知り合ったBさんから、荷物(スーツケース)を預けるので手荷物として日本まで運んでほしいと依頼されました。
Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と思いましたが、Bさんからの依頼を了承し、荷物を日本に持ち運びました。
その結果、中部国際空港の税関検査において覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件が発覚し、Aさんは覚醒剤取締法(覚醒剤輸入)の罪の容疑で逮捕されました。
(2020年11月13日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪とは】

覚醒剤取締法13条(輸入及び輸出の禁止)
何人も、覚醒剤を輸入し、又は輸出してはならない。

覚醒剤取締法覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。

覚醒剤取締法41条(刑罰)
覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。

覚醒剤をみだりに輸入した者については、1年以上の有期懲役が科せられることになります。

覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」とは、国外から我が国内へ物品を搬入することをいいます。
そして、覚醒剤を船舶から保税地域に陸揚げし、あるいは税関空港に着陸した航空機から覚醒剤を取りおろした場合、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」行為があったといえると考えられています。

【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の故意とは】

覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立するためには、輸入する物品が「覚醒剤」であることを認識・認容している必要があります。
具体的には、輸入する物品が覚醒剤かもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物かもしれないという認識があれば、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があったといえると考えられています(最高裁裁判所決定平成2年2月9日)。

刑事事件例では、Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と考えています。
このとき、Aさんは輸入する物品が、覚醒剤を含む身体に有害で違法な薬物かもしれないと考えているわけですから、Aさんには、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があるといえると考えられます。

以上より、Aさんには覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立すると考えられるのです。

【関税法違反の罪(禁制品輸入罪)とは】

関税法69条の11第1項1号では覚醒剤は「輸入してはならない」と定められています。
そして、覚醒剤を所持して通関線を突破した場合、関税法69条の11第1項1号の「輸入」行為があったといえると考えられています。
関税法109条第1項では、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の法定刑は、「10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。

よって、覚醒剤を密輸した場合、覚醒剤取締法違反(輸入)の罪とは別に、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の未遂罪が成立すると考えられています。

【覚醒剤取締法違反(輸入)事件の刑事弁護活動】

覚醒剤取締法違反(輸入)事件逮捕された場合、Aさんは逮捕とそれに引き続く勾留がなされる可能性が高いといえます。
これは、共犯者との口裏合わせなど罪証隠滅の可能性が高いと考えられるからです。

また、その後は、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴される可能性が高いといえます。
これは、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件の発覚した際に、輸入した覚醒剤が押収されている可能性が高く、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の立証が比較的容易であるからです。

そこで、刑事弁護士としては、Aさんが覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴された場合は、情状証人の証拠調請求を行うなど、執行猶予判決の獲得や減刑を求めるための刑事弁護活動を行っていくことになると考えられます。
刑事事件を取り扱う弁護士に相談し、可能な弁護活動や見通しなどを詳しく聞いてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

麻薬所持と執行猶予

2020-12-15

麻薬所持と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、大学を卒業してから3年勤めた会社を退職し、数か月間は貯金を崩して怠惰な生活を送っていました。ある日、Aさんが名古屋市内を歩いていたところ、「気持ちよくなる薬買わない?」と外国人に声を掛けられました。その薬はいわゆるMDMAであり、Aさんは服用後の作用から何らかの違法な薬物であることに気づきました。その後、Aさんは定期的にMDMAを購入するようになり、やがて麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで昭和警察署に逮捕されました。弁護士に事件を依頼したAさんは、執行猶予の獲得に向けて更生を目指すことを誓いました。
(フィクションです)

~麻薬所持について~

上記事例で登場しているMDMAは、身体に様々な作用を及ぼす化学物質を成分とする錠剤型の麻薬です。
幻聴や幻覚の発生、脳の機能不全など、その悪影響は数多くあります。

日本においては、「麻薬及び向精神薬取締法」という法律が麻薬に関する種々の規制を定めています。
まず、規制対象である「麻薬」の具体例は、法令により化学物質が列挙されるかたちで指定されています。
先述の法以外に、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」などに定めがあります。

麻薬に関して禁止されている行為は多岐にわたります。
中でも特によく見られるのは、やはり麻薬の所持と言えるでしょう。
麻薬所持の罰則は、所持した麻薬が「ジアセチルモルヒネ等」(「等」は塩類も含む趣旨)を含むものだったか否かにより異なっています。
まず、「ジアセチルモルヒネ等」を所持した場合については、10年以下の懲役となっています。
もし営利目的(たとえば販売目的)での所持であれば、罰則は1年以下の有期懲役(上限20年)、更に場合により500万円以下の罰金が併科されます。
次に、「ジアセチルモルヒネ等」以外を所持した場合については、7年以下の懲役となっています。
こちらに営利目的がつくと、1年以上10年以下の懲役、更に場合により300万円以下の罰金が併科されます。
いずれにせよ、年単位で懲役刑が科されることから重大と言えるでしょう。

~執行猶予を目指して~

麻薬所持を含む薬物事犯は、基本的に不起訴で終わるということがあまり期待できません。
ですので、もし事件が発覚すれば、よほどのことがない限り起訴されて裁判に至ると考えて構いません。
逮捕および勾留による身体拘束の可能性も高くなっています。

上記の点と罰則の重さを踏まえると、麻薬所持事件において第一に目指すべきは執行猶予の獲得だと考えられます。
執行猶予が獲得できれば、裁判が確定してから直ちに刑務所に収容されるという事態を回避できます。
そのため、裁判が終わってから社会復帰をすることが可能となっています。
更に、執行猶予期間中に罪を犯すなどして執行猶予が取り消されなければ、期間の満了をもって刑を免れることができます。
有罪となって刑を言い渡された事実が消えるわけではありませんが、もはや刑の執行を憂う必要がない点は有益です。

執行猶予を獲得するうえで重要なのは、裁判で更生の意思をきちんと示し、目指すべき将来があることを裁判官に訴えることです。
そのためには相応の労力を費やすことが必要であり、闇雲に行うのは賢明ではありません。
少しでも執行猶予の可能性を高めるのであれば、ぜひ法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
もし事件を依頼すれば、執行猶予獲得に向けた手厚いサポートが受けられるはずです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

大麻の所持の即決裁判

2020-11-29

大麻所持の即決裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県小牧市に住むAさんは、ライブ会場で密売人から大麻を買い、それをポケットの中に入れていたところ、自宅に帰る途中で、小牧警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、所持品検査などの結果、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されてしまいました。
Aさんは、購入先については黙秘したものの、好奇心から自分で購入したことを認め反省している様子です。Aさんには前科・前歴はなく、もちろん逮捕されたのは初めてです。接見した弁護人は即決裁判に同意するようAさんに勧めました。
(フィクションです)

~即決裁判(手続き)~

即決裁判とは,一定の事件(即決裁判対象事件)について,事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに,原則,1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。※死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件を除く

即決裁判を受けるメリットとしては,

1 審理は申立て後,原則,14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1,2に関連し,審理当日(判決当日)に釈放され,早期の社会復帰が可能となること

などが挙げられます。

他方,デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが,事実誤認を理由とする控訴はできないこと

などが挙げられます。
Aさんのように事実を認め、かつ、初犯である程度画一的な量刑(初犯の場合は6か月から1年、3年間執行猶予が相場と思われます)が期待できる場合は、デメリットよりもメリットの方が大きいと思われます。

~大麻における即決裁判対象事件~

即決裁判の対象となる事件は

死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件

です。これからすると大麻では

・栽培罪、輸入罪、輸出罪(7年以下の懲役)
・営利目的栽培、輸入、輸出罪(10年以下の懲役又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金)
・所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(5年以下の懲役)
・営利目的所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び300万円以下の罰金)

であるため、一応は全ての罪が即決裁判の対象とはなり得ます。しかし、栽培罪、輸入罪、輸出罪(営利目的も含む)、営利目的所持罪、同譲り受け罪、同譲り渡し罪については、「事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わる」といえない場合が多く、即決裁判にはなじまないのではないかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受け付けを行っております。

覚せい剤取締法違反で保釈なら

2020-11-18

覚せい剤と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市東区のAさんは、名古屋市東区内の飲食店店舗内において、覚せい剤を吸引する方法で使用しました。後日、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで愛知県警察東警察署の警察官によって逮捕されました。勾留決定が出た後、国選弁護人が付くことになりましたが、満足な弁護活動も受けないまま手続きがすすみ、とうとうAさんは同法違反の罪で起訴されました。そして、Aさんには別の違法薬物使用の罪で、有罪判決を受けた前科を有していました。Aさんの父親は、Aさんを保釈して公判に向けての弁護活動の準備をお願いできないかと、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所を訪れ、弁護士に私選で刑事弁護を依頼することにしました。
(フィクションです)

~保釈とは~

上記のケースにおいて、Aさんは覚せい剤を吸引する方法で使用しているため、覚せい剤取締法違反の疑いで愛知県警察東警察署に逮捕され、同法違反の罪で起訴されています。起訴後の身柄解放手段として、保釈請求を行うことが挙げられます。

保釈とは、身柄拘束されている被告人が、保釈金を納付することで解放してもらう制度のことをいいます。
保釈が許可された場合、被告人はもとの生活を送りながら裁判に対応をすることができますので、公判に向けて弁護人との充実した打合せをすることが容易になります。

ただし、覚せい剤取締法違反事件においては、一般に薬物や使用器具などは隠滅が比較的容易なことから、罪証隠滅の恐れがないことを説得的に主張をしなければ、なかなか保釈は認められません。さらに、覚せい剤取締法違反事件は再犯率が非常に高いので、保釈中にまた薬物を使用するのではないかと疑われることは避けられません。また、被告人が起訴された公訴事実を争っていれば、第一回の公判前において保釈が認められることはほとんどありません。

~保釈のメリット,注意点~

保釈のメリット,注意点をご紹介します。これから保釈請求をご検討中の方は参考にされてください。

* メリット *

・精神的,肉体的負担の軽減
→留置場,拘置所暮らしの生活は,多大な精神的,肉体的負担を伴います。保釈されれば,これらの負担から解放されます。

・様々な処分を免れる
→早期に釈放されることにより,会社の懲戒処分(解雇,減給等),学校の退学処分等を免れることができるかもしれません。

・家族が安心する
→何より,ご家族が安心されます。ご家族が留置場等へ面会に行く手間も省けます。

・裁判に向けた十分な打合せができる
→いつでも弁護士に相談できるわけですし,釈放されているわけですから何より落ち着いて打合せを行うことができます。

* 注意点 *

・保釈保証金を準備しなければいけない
→釈放には保釈保証金の納付が必要です。事案にもよりますが,最低でも100万円から150万円は必要で,決して安い金額とはいえません。

・保釈につき様々な条件が付けられる
→裁判に出廷することはもちろんですが,住所を変えるとき,数日間の旅行をするときなどは予め裁判所の許可が必要となります。条件を守らなければ,保釈保証金を没収されます。

・再び収容される
→はじめに述べたように,保釈は勾留の効力は一時的に「停止」するにすぎません。したがって,条件を守らなければ,保釈保証金を没収うされるほか,再び留置場等へ収容されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、覚せい剤取締法違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件で保釈をご検討中の方は,ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。0120-631-881で,24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております

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