Archive for the ‘財産犯・経済事件’ Category
置引きで逮捕
置引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
愛知県小牧市に住むAさん(32歳)は、名古屋市内の繁華街を歩いていたところ、道路上に見るからに酒に酔っ払いうつむき加減で寝ている男性Vさん(59歳)を見つけました。その男性のすぐ横には、男性のものと思われるバッグが置かれてありました。Aさんはこれを見て「バッグの中に財布が入っているかもしれない。」「周囲には誰もいないし、今なら見つからない。」「盗ってしまえ。」と思い、そのバッグを盗りその場から立ち去りました。Aさんは、現場から1キロ近いところでバッグの中身を確認すると、中には現金5万円が入った財布を見つけました。Aさんは5万円だけ抜き取り、その他の物は川に投機しました。それから5分後、Vさんが酔いから覚め起きました。Vさんはバッグがなくなっていることに気づき、近くの交番へ行き被害届を提出しました。そうしたところ、Aさんは愛知県小牧警察署に窃盗罪で通常逮捕されてしまいました。AさんがVさんのバッグのようなものを持ち去る場面が記録された防犯ビデオ映像が逮捕の決め手となったようです。
(フィクションです。)
~ 置引きとは? ~
置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、「万引き」や「車上狙い」などと同様、窃盗の手口の一部です。
置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪と占有離脱物横領罪では法定刑に大きな開きがありますから、内を基準に両者の適用が区別されるのか気になるところではにあでしょうか?この点、両者を区別するポイントは
被害者の財物(本件ではバッグ)に対する支配が及んでいるかどうか
という点につきます。支配が及んでいる場合にその財物を奪えば窃盗罪、支配が及んでいない場合にその財物を奪えば占有離脱物横領罪が適用されます。
そして、被害者の支配が及んでいるかどうかは、
・財物の特性
・被害者の支配の意思の強弱
・被害者が置き忘れた場所から取り戻しに行くまでの時間、距離関係
などを総合考慮して決められます。
本件では、Vさんのすぐ横にバッグが置かれていたということですから、Vさんのバッグ(やその中身)に対する支配は及んでいるといえるでしょう。したがって、これを持ち去る行為は窃盗罪に当たります(本件では、Vさんが酔いつぶれて意識を失っていた点は考慮する必要はないでしょう。)
~ 置引きで逮捕されたら弁護士に接見を ~
置引きで逮捕されたら弁護士に接見をご依頼ください。
ご依頼を受けてから速やかに、弁護士が逮捕されている方が留置されている留置場へ行き、逮捕された方と接見いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間体制で、無料法律相談・初回接見の予約を受け付けております。
万引きから強盗へ
万引きから強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県江南市に住むAさん(60歳)は、大型ショッピングセンターの食料品売り場で、菓子パン1個(時価100円相当)を肩にかけていたショルダーバックの中に入れ、レジで精算せずに売り場を出ました。そうしたところ、Aさんは、Aさんの行為を一部始終見ていた保安人のBさんから、食料品売り場を出たところで、「何で声をかけたか分かりますよね」「お金払われていませんよね」などと声をかけられました。Aさんは、執行猶予期間は経過していたものの、万引きの前科1犯を有していたことから、「このまま捕まれば刑務所行きだ」と怖くなり、Bさんの右頬を左手拳で1発殴り、さらに脚を振り払って転倒させてその場から逃げました。しかし、後日、防犯ビデオ映像などからAさんの犯行であることが判明し、Aさんは愛知県江南警察署に事後強盗罪で逮捕されました。
(フィクションです。)
~ 万引きから強盗へ ~
万引きというと軽い罪のように聞こえがちですが、万引きは立派な犯罪ですし、窃盗罪に当たり得る行為です。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
では、今回、なぜ、万引きを行ったAさんが事後強盗罪で逮捕されたのかご説明いたします。
= 事後強盗罪とは =
事後強盗罪は刑法238条に規定されています。
刑法238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
つまり、事後強盗罪は、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行・脅迫を加えたことで成立する犯罪で強盗罪の一種です。
= 各用語の説明 =
「窃盗」とは窃盗犯人のことをいい、窃盗の既遂、未遂は問いません。
次に、「暴行」「脅迫」の程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであり、かつ、「財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するため」のいずれかの目的をもって出たものであることが必要です。
* 窃盗の機会 *
強盗罪とは、「暴行」「脅迫」→「財物奪取」という流れが通常の形です(刑法236条1項)。しかし、事後強盗罪の場合は、名前からもわかるように「財物奪取」→「暴行」「脅迫」という流れ、つまり、事後的に「暴行」・「脅迫」が行われたという形をとっています。にもかかわらず、通常の強盗罪と罪は同じというわけですから、事後強盗罪の「暴行」「脅迫」は「窃盗の機会」になされることが必要とされています。「窃盗の機会」であったか否かは、「窃盗」と「暴行・脅迫」との時間的・場所的、人的関係を総合的に考慮して判断されます。
= 本件の検討 =
まず、Aさんが菓子パンをショルダーバック内に隠匿する行為は窃盗既遂罪ですから、Aさんは「窃盗」に当たります。また、Aさんは刑務所に入ることが怖くなって現場から逃走していますから「逮捕を免れる」目的があったといえます。また、Aさんが、左手拳でVさんの右頬を1発殴る、脚を振り払う行為は、相手方の反抗を抑圧するに足りる「暴行」に当たります。最後に、Aさんの「暴行」は食料品売り場出口付近で行われていますから、「窃盗」と時間的、場所的に近接しており「窃盗の機会」になされたということができます。
以上より、Aさんは事後強盗罪での刑事処分を受ける可能性が高いと思われます。
~ 最後に ~
本件の被害額は「100円相当」ですから、被害額だけみれば「たいしたことにはならないだろう」などと甘く考えがちです。しかし、先ほどもご説明したとおり、万引きも立派な犯罪ですし、下手をすれば強盗罪などの重大犯罪に発展する可能性も秘めています。
しかし、幸いにも弁償、示談の点では比較的スムーズに話を進めていくことが可能だと思われますから、早期釈放、不起訴処分獲得をお望みの方は、まずは弊所の刑事専門の弁護士へ刑事弁護をご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強盗罪をはじめとする刑事事件、少年事件専門の法律事務所です。まずは、お気軽に、0120-631-881までご連絡ください
水増し請求が発覚したら?
水増し請求事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
愛知県豊田市在住の会社員のAさんは自身の消費者金融への返済金の捻出のために,取引先の営業であるBと結託し,水増請求書を作成し,その一部をBと着服していた。
不審に思った取引先の社長のVがAさんおよびBさんを問い質したところAさんとBさんは水増し請求を認めた。
Vは被害届の提出を考えている。
今後どうなるか不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談を利用することにした。
(フィクションです)
~水増し請求~
水増し請求とは文字通り,実際にかかった金額よりも多く代金などを請求することです。
ほどんどの場合,多く得た差額は自身と相手で着服することになります。
表面上は通常の請求であるため,発覚するまでに時間がかかる場合も多く,被害金額が大きくなることもあります。
水増し請求で得た差額を着服した場合に,法律上どのような罪になるのでしょうか。
まずは業務上横領罪(刑法253条)の成立が考えられます。
第253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
水増し請求での着服の場合,着服する現金が「業務上自己の占有する他人の物」であるかが問題となるでしょう。
横領の成立にはあらかじめ物を占有していることが必要となります。
業務上横領の典型例としては,経理担当者が,会社の銀行口座や金庫などからお金を持ち出す行為です。
業務上横領の場合,自分以外関わっていないケースが多く,Aさんは業務上売上金などを占有する立場にないので業務上横領罪は成立しないと考えられます。
次に詐欺罪(刑法246条)の成立が考えられます。
第246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の成立要件は,①他人を騙し,②錯誤に陥らせ,③財産を処分する行為をさせ,④財物の占有を自己または第三者に移すことです。
単に相手を騙すだけではなく,実際に処分行為をさせ財物が移転することが必要となります。
今回のケースでは水増し請求という他人を騙す行為をし,それによって錯誤に陥ったBの会社が代金を払いAないしBの元へ交付されていますのでAさんおよびBさんには詐欺罪が成立するでしょう。
~弁護活動~
水増し請求による着服事件では発覚後すぐには刑事事件化しない場合もあります。
会社の方針により,事件を表沙汰にしたくないと考える場合もあります。
そのような場合には,着服した現金などを返還すれば事件の発覚を回避し,刑事事件とならない可能性もあります。
ただし,多くの場合で着服した金銭の返還は難しく被害届が出されてしまうケースが多いでしょう。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですので,起訴された場合には刑事裁判によって懲役刑が求刑されます。
詐欺罪では被害金額,被害弁償など示談の情状によっては初犯であっても執行猶予が付かない可能性もあります。
また,詐欺罪として検察官が起訴する前に,弁護士を依頼し,示談交渉などを成立させることができれば不起訴となる可能性もあります。
今回のケースのような詐欺事件の示談交渉では実際に着服した金額がベースとなります。
刑事事件の示談では,示談金は一括払いが基本ですが,今回のケースのような事件では示談金が高額となることも多く,示談交渉次第では分割払いにしていただける場合もあります。
また水増し請求での詐欺など刑事事件を起こしてしまった場合には解雇は避けられませんが,長期の分割払いとなった場合,早期に再就職し,安定収入を得られるようにする必要があるでしょう。
懲戒解雇となれば再就職にも影響し,被害弁償など示談金の支払いにも影響を与えてしまいます。
示談交渉の際に,懲戒解雇とならないように交渉することも考えられます。
まずは詐欺事件などに詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
会社のお金を着服してしまった,水増し請求を着服していたのが発覚してしまった場合などは0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談,警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。
振込め詐欺での弁護活動
振込め詐欺での弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
~ケース~
愛知県名古屋市瑞穂区で一人暮らしをしている大学3回生のAさんは両親から貰った学費を使い込んでしまい,学費を支払うために「オレオレ詐欺」をすることを思い付いた。
Aさんは業者から購入したリストから電話をかけたところ,名古屋市天白区在住のVさんがAさんの嘘の電話を信じ,Aさんと待ち合わせ現金150万円を手渡した。
その後,Vさんは騙されたことに気が付き,愛知県天白警察署に被害届を提出した。
捜査の結果,Aさんの犯行であることが判明し,Aさんは愛知県天白警察署に詐欺罪の疑いで逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)
~振込め詐欺~
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.略
特殊詐欺は2004年11月までは「オレオレ詐欺」と呼ばれていましたが,手口の多様化に伴い実態と合わなくなり,現在では特殊詐欺を総称して「振り込め詐欺」と呼ばれています。
AさんはVさんに嘘の電話を架け,それを信じたVさんがAさんに150万円を手渡していますのでAさんには「人を欺いて財物を交付させた」といえ詐欺罪が成立するでしょう。
振り込め詐欺で逮捕されてしまった場合には,検察官に送致された後,ほとんどの場合で勾留請求がなされ,勾留されてしまうことになります。
勾留は原則として請求の日から10日間ですが,場合によっては最大で10日間延長され,合計で20日間勾留される場合もあります。
勾留された場合,検察官は原則として勾留満期までに起訴するかどうかを決める必要があります。
その為,示談成立によって事件を不起訴にしたいという場合には,原則として勾留されている間に示談を成立させる必要があります。
~弁護活動~
今回のケースは典型的な振り込め詐欺事件といえるでしょう。
振り込め詐欺事件で逮捕された場合,先程述べたように勾留されてしまう可能性が非常に高くなっています。
今回のケースのように被害が確実に1件しかないというような場合には勾留決定されても準抗告を申し立てることで釈放される可能性はありますが,準抗告が認められない可能性も高いでしょう。
振り込め詐欺の場合,悪質な事件であるとみなされることが多いようで,仮に示談が成立していても不起訴処分とならない可能性も高いです。
また,詐欺罪では法定刑が10年以下の懲役しか定められていませんので略式手続きを採ることができず,起訴された場合には必ず刑事裁判を受けることになります。
起訴されて刑事裁判となった場合,詐欺罪には10年以下の懲役刑しか定められていませんので,執行猶予付きの懲役刑か実刑判決が下されることになります。
今回のケースでは被害者が1人とはいえ被害金額が150万円と高額となっており,被害弁償をしなかった場合には実刑判決となってしまう可能性が高いでしょう。
一方で被害者の方と示談を成立させることができれば執行猶予付きの判決となる可能性も高くなります。
その為,振り込め詐欺事件では,示談によって「加害者を許し刑事処罰を求めない」という宥恕条項を頂けない場合でも,少なくとも詐欺の被害弁償をすることが実刑判決を回避するために必須といえます。
ご家族が振り込め詐欺に関わってしまい逮捕されたらまずは刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
これまで振り込め詐欺事件の弁護活動も数多く手掛けて参りました。
振込め詐欺をしてしまった場合や,ご家族の方が振込め詐欺をしてしまい逮捕されてしまったという方はまずは0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署などでの初回接見サービス,事務所での無料法律相談のご予約を24時間365日年中無休で受け付けています。
2度目の執行猶予はありうる?②
2度目の執行猶予はありうる?②
執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)
~2度目の執行猶予~
前回は上記の事例について、刑法25条1項に基づいて執行猶予を得ることができるかについて解説いたしました。
→2度目の執行猶予はありうる?①
今回は、25条2項に基づいて再度の執行猶予を得ることができるかについて解説いたします。
この条文は、まさに今回のAさんのような事例について定めてあります。
刑法25条2項
前に禁錮以上の刑に処されたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内にさらに罪を犯した者については、この限りではない。
読みづらい条文ですが、つまり、
①保護観察の付かない執行猶予期間中の者に対し、
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合で、
③情状に特に酌量すべきものがあるときは、
再度の執行猶予判決ができるということになります。
執行猶予中に罪を犯した者はさらなる執行猶予は受けられないことを原則としたうえで、犯した罪が軽く、また情状的にも強い猶予の理由がある場合にのみ限定的に、さらなる執行猶予を与える、という趣旨です。
なお①について、執行猶予の期間を、保護観察所の助言・指導などの監督を受けながら生活するという保護観察が付いている場合には、その期間中の犯罪について再度の執行猶予を付けることはできないことになります。
保護観察は、執行猶予を付けるケースの中では比較的悪質な犯罪のケースです。
このような保護観察のもとでもなお犯罪を犯した者には、もはやさらなる執行猶予は与えない、ということです。
~今回は執行猶予を付けられるか~
では今回のAさんは、執行猶予を受けられるのでしょうか。
Aさんには保護観察は付いていませんから、①保護観察の付かない執行猶予期間中の者という条件は満たします。
しかし、②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合という条件はどうでしょうか。
通常、再犯者には前回よりも重い判決が出されます。
Aさんは前回、懲役2年の判決を受けています。
そうすると特殊な事情がない限り、今回は2年以上の懲役判決が下される可能性が高いことになります。
また、②と重なる部分がありますが、③情状に特に酌量すべきものがあるときという条件についても、よほど特殊な事情がないと認めてもらえない可能性が高いでしょう。
以上により、Aさんが再度の執行猶予を得ることは、理論上は可能ですが、実際は厳しいところがあります。
~弁護士にご相談ください~
この状況で執行猶予を得るためには、適切かつ有効な弁護活動によって、まずは刑を1年以下に抑え、加えて特に酌量すべき情状があることを裁判官に認めてもらう必要があります。
ただ、このような弁護活動は、結果的に執行猶予とならなかったとしても、懲役の期間を短くすることにはつながる可能性があります。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
私たちの事務所では、刑事弁護を専門とする弁護士を取り揃えております。
執行猶予を得たいという場合かどうかにかかわらず、刑事事件に関して何かお困りのことがあれば、無料法律相談や初回接見サービスをぜひご利用ください。
2度目の執行猶予はありうる?①
2度目の執行猶予はありうる?①
執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)
~執行猶予とは~
執行猶予とは、有罪判決がなされる場合に、情状を考慮して、刑の執行を猶予するという制度です。
根拠となる条文には刑法25条1項と同条2項があり、今回は1項について解説します。
2項についてはこちら→2度目の執行猶予はありうる?②
(なお、刑の一部の執行猶予という制度もありますが、ここでは刑の全部の執行猶予に焦点を当てて解説していきます。)
まずは条文を見てみましょう。
刑法25条1項
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することが出来る。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
つまり、25条1項により執行猶予を得るための要件は次の3つです。
①25条1項1号または2号にあてはまること
②今回、言い渡される判決が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金刑であること
③情状により猶予が相当であること
①についてさらに詳しく解説すると、25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」とは、禁錮以上の判決を言い渡されたことがないことを言います。
※ 「禁錮」という刑罰は、刑務所内で刑務作業をするかしないかは自由とされている他は懲役と同じです。「禁錮以上の刑」は、死刑・懲役・禁錮を指し、罰金などは含まれません。
純粋に前科がない者や、罰金しか受けたことのない者の他、前の裁判で懲役や禁錮の執行猶予判決を受けてその猶予期間を再犯せずに無事すごした場合も、判決言渡しの効果が消滅するので(刑法27条参照)、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に含まれます。
本ケースでのAさんは、2年前の裁判で懲役刑を言い渡されており、執行猶予期間の5年もすぎていないので、該当しません。
また、25条1項2号は、実際に懲役刑や禁錮刑を受け、(ア)刑期満了による出所した時、(イ)仮釈放され残りの期間を無事過ごした時のいずれかの時点から5年間、再び禁錮以上の刑の言渡しを受けなかった場合などを指します。
しかし、今回のAさんはそもそも実際に懲役刑や禁錮刑を受けていないので、該当しません。
したがって、Aさんは25条1項を根拠として執行猶予を受けることはできないわけです。
長くなったので、25条2項による再度の執行猶予については次の記事で解説いたします。
→2度目の執行猶予はありうる?②
~お困りの方はご相談ください~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。
免許証を偽造して詐欺
免許証を偽造して詐欺
免許証を偽造して詐欺をした場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんが在籍している株式会社Xでは,ある社員の退職に伴い,大型車両の運転免許を取得する意思のある者を募っていました。
社内で回覧されていた文書によると,大型車両の運転免許を取得することで給与が上がるだけでなく,教習に掛かる代金の負担という名目で30万円が交付されるようでした。
そのことを知ったAさんは,運転免許証を偽造し,会社から30万円を騙し取ろうと考えました。
そこで,大型免許を持っていないのに,取得済みであるかのような偽の免許証を作成したうえで,コピーを会社に提出して30万円の交付を受けました。
しかし,のちにAさんが免許を取得していないことが発覚し、会社から追及されたAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
【免許証の偽造は何罪に当たるか】
一般的に,免許証の偽造とは,免許証に似たものを作成したり,既に所持している免許証を加工するなどして内容に変更を加えたりすることを指すかと思います。
このような行為に及んだ場合,以下の犯罪が成立する可能性があります。
①公文書偽造罪
刑法(一部抜粋)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
公文書偽造罪は,公的機関が作成すべき文書を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
ここでの「偽造」とは,権限のない者が文書等を作成することを意味します。
運転免許証を作成する権限があるのは公安委員会であり,当然ながら一般人に運転免許証を作成する権限はありません。
したがって,偽の運転免許証を作成した場合には公文書偽造罪が成立すると考えられます。
罰則は1年以上10年以下の懲役となっており,罰金刑がないことから,もし起訴されれば簡易な手続で罰金刑にする略式裁判は利用できません。
したがって公開の法廷で通常の裁判を受け、無罪にならない限り、懲役刑の実刑判決か執行猶予判決が下されることになるでしょう。
②偽造公文書行使罪
第百五十八条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
Aさんは偽造した免許証(155条に該当する文書)を会社に提出しているので、「第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し」た者として、虚偽公文書作成罪も成立してしまいます。
③詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
Aさんは、大型免許を取得しているかのように「人を欺いて」、30万円という「財物を交付させた者」にあたりますので、詐欺罪も成立してしまいます。
このように、Aさんには多くの犯罪が成立してしまいます。
なお、これらの罪で有罪判決を受ける場合、罰則は単純に各条文の罰則を足すのではなく、詐欺罪よりも重い公文書偽造・同行使罪を基準に、1年以上10年以下の懲役の範囲で処罰されることになります(牽連犯・刑法54条1項参照。なお執行猶予となる可能性はあります)。
【弁護士にご相談ください】
今回のような事件では、今後警察に被害届が出されてしまうおそれもあるため、すみやかに謝罪してお金を返すなどの対応が必要となってきます。
それで丸く収まればよいのですが、警察沙汰になってしまう場合もあるでしょうし、今後どのような展開になってしまうのか不安が強いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件に強い弁護士が,事件の軽重を問わず最善の結果を目指して弁護活動を行います。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
万引きをしてしまったら
万引きをしてしまったら
万引きをしてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋が解説します
~万引きの事例~
愛知県犬山市在住の主婦のAさんは日常生活のストレスをスーパーなどで商品を万引きすることで発散していた。
ある日,Aさんが育児のストレスからV店で商品の万引きを行ったところ警備員に見つかり,事務所に連れていかれた。
その後,Aさんは通報によりかけつけた愛知県犬山警察署の警察官に窃盗罪の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~万引きと刑事手続き~
万引きは原則として刑法235条の窃盗罪に該当します。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
万引きをしてしまい発覚した場合でも,その場から逃げようとしたりしなければ逮捕されないことも多いです。
逆に,逃げようとしてしまった場合には逃亡のおそれがあると認められることになり逮捕されてしまう可能性が高くなってしまいます。
逮捕されてしまった場合には,勾留され,窃盗罪で起訴された場合には初犯であれば罰金刑となることが多いです。
ただし,万引きの金額,余罪や前科などの事情によっては執行猶予付きの判決や実刑判決が出てしまう場合もあります。
なお,勾留された場合には,勾留請求から10日以内に起訴しなければならないと定められています(刑事訴訟法208条)ので,準抗告による釈放やむをえない事由により勾留延長がない限りは10日以内に起訴されることになります。
万引きをしてしまっても逮捕されなかった場合には釈放され,在宅で刑事手続きが進むことになります。
万引きに限らず在宅事件の場合,逮捕・勾留といった身柄拘束を受ける場合と異なり検察官に起訴するまでの期限が定められていません。
そのため,在宅事件であれば検察官が窃盗罪で起訴するまでに勾留されてしまった場合に比べて時間的余裕があります。
検察官はその間に万引きの被害弁償などを行ったかどうかなどの情状によって最終的に窃盗罪で起訴するか起訴猶予の不起訴処分とするかを判断します。
~万引きの弁護活動~
万引きなどの窃盗事件で起訴された場合,被害金額が大きくなく,かつ初犯であれば刑事裁判が開かれない略式手続きによって罰金刑となることが多いです。
しかし,罰金刑であっても前科となってしまいますので可能な限り前科のつかない起訴猶予の不起訴処分を目指すことになるでしょう。
万引きに限らず窃盗罪で起訴猶予の不起訴処分となるには被害者の方への被害弁償,示談の成立が重要です。
万引きに限らず窃盗罪では,被害者の方と示談が成立していれば起訴猶予の不起訴処分となる場合が多くなっています。
在宅事件であれば被害者の方と示談交渉をする時間的余裕がありますが,勾留されてしまっている場合には示談交渉をするための時間的余裕があまりありません。
そのため,不起訴処分を目指すには窃盗罪で逮捕されてしまった段階で弁護士を依頼し身柄拘束の回避や迅速な被害者対応をすることが重要になります。
勾留されてしまった場合には準抗告を申立て,認められれば釈放され在宅事件となることもあります。
万引きなどの窃盗罪に限らず刑事事件では加害者が被害者の方と示談交渉などをするのは困難です。
被害者の方は加害者に対し不信感や警戒心など持っていますので直接示談をしたいと連絡したとしても応じてくれないことがほとんどでしょう。
弁護士が相手であれば窃盗の被害者の方も話を聞いていただける場合も多いでしょう。
また,万引きの場合,被害者である店舗は示談交渉などを受け入れてくれないことも多いですが,弁護士を間に入れることによって被害の弁償金だけでも受け取って頂ける場合もあります。
示談成立とまでいかなくとも万引きによる被害を弁償をすることは有利な情状となり,検察官が事件を不起訴処分とする可能性もあります。
万引きをしてしまった場合,まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
万引きによる窃盗事件で示談をしたことで起訴猶予の不起訴処分となった事例も多数あります。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談,警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。
振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら
振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら
振り込め詐欺の受け子をしてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
~「受け子」になってしまったケース~
愛知県名古屋市瑞穂区在住の大学4年生のAさんは友人から荷物運びのアルバイトを紹介された。
アルバイトの内容は地下鉄の駅のコインロッカーで荷物を受け取り,その荷物を事務所まで運ぶというものであった。
簡単な作業な割に給料のいい仕事だったのでAさんは3ヵ月にわたり7回アルバイトを行った。
ある日,Aさんが地下鉄新瑞橋駅のコインロッカーから荷物を取り出そうとしたところ,張り込んでいた愛知県瑞穂警察署の警察官によってAさんは詐欺罪の疑いで現行犯逮捕されてしまった。
実は,荷物の中身は特殊詐欺の被害者からの現金などであった。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)
~特殊詐欺の受け子~
「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」といった近年増加傾向にある詐欺の手口はまとめて「特殊詐欺」と呼ばれています。
特殊詐欺はその名の通り詐欺罪(刑法246条)に該当します。
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
人を騙すことを一般に詐欺と呼びますが,刑法上の詐欺罪の成立には以下のような要件が要求されています。
1.社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益を処分させるような行為をすること(欺罔行為)
2.相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
3.錯誤に陥った相手方が,自己の意思で財物などを処分すること(処分行為)
4.財物などの占有が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転)
5.上記1~4の間に因果関係が認められ,行為者に故意および不法領得の意思が認められること
すなわち,相手を騙し,騙された相手が自分の意思で現金の振り込みなどをした場合に詐欺罪が成立します。
振り込め詐欺などの特殊詐欺の場合,組織的に息子などを装って電話をかける「かけ子」,騙された相手から現金などを受け取る「受け子」などにわかれています。
「受け子」は単純に現金などを受け取るだけですので,何も知らない大学生などが簡単なアルバイトだと思い詐欺の一員として利用されてしまうケースも多いようです。
~特殊詐欺における接見禁止~
振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,逮捕された後,多くの場合で勾留されてしまいます。
振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,共犯者がいることも多く,口裏合わせなどを防ぐために接見禁止が付されることも多いです。
勾留の際に接見禁止がつけられてしまうと弁護士以外の者との接見が不可能となりますので,たとえ家族であっても接見に行くことはできません。
勾留の際に接見禁止が付されてしまった場合,依頼を受けた弁護士はまずはご家族の方が接見できるように接見禁止の一部解除を目指して活動していくことになるでしょう。
~「受け子」の場合の弁護活動~
刑事事件における共犯関係には共同正犯と幇助犯に大別されます。
共同正犯と幇助犯の区別は,一般に,特定の犯罪を自己の犯罪として実現する意思があったか,それとも他人の犯罪を手助けする意思に過ぎなかったのかによって判断されます。
特殊詐欺の「受け子」の場合,自分の行為が特殊詐欺の一環であると認識があったかどうかがポイントとなります。
特殊詐欺の「受け子」は実際に現金などを受け取るという重要な役割ですが,「受け子」による持ち逃げを防ぐために実際の内容を知らせていない場合も多いようです。
そのような場合にはそもそも詐欺であるという認識がなく,詐欺罪の故意がないと主張することが考えられます。
刑法は故意処罰が原則となっていますので(刑法38条),故意が欠ける場合には過失の場合にも処罰するという特別な規定がない場合には罰せられません。
詐欺罪には過失処罰が規定されていませんので故意が無かったと認められれば詐欺罪は成立しないことになります。
しかし,実際には,何となく「詐欺じゃないかな」程度の認識を持っていたということも多く,そのような場合には詐欺罪の故意があったと認定されてしまう可能性が高いでしょう。
そういった場合には,詐欺罪の共同正犯ではなく幇助に過ぎないと主張することが考えられます。
共同正犯であるか幇助犯にとどまるかは,「受け子」となった動機,利益の大きさ,主犯格や他の実行犯との関係性などによって判断されるようです。
特殊詐欺の「受け子」の場合,事情を正しく主張できるかどうかによって幇助犯にとどまるか,共同正犯と判断されてしまうか,故意がなかったとして詐欺罪が成立しないか,といったように結果が大きく変わってしまう可能性があります。
幇助犯にとどまるのであれば刑の減軽が規定されていますので(刑法63条)執行猶予判決付きの判決や,もしも実刑となってしまったとしても短い刑期となることが考えられます。
特殊詐欺の「受け子」をしてしまった場合,弁護活動の内容次第では大きく結果が変わってしまう可能性もあります。
ご家族が特殊詐欺の「受け子」をしてしまったという場合には刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にお気軽にご相談ください。
フリーダイヤル0120-631-881にて事務所での無料法律相談や警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間365日承っております。
事後強盗罪で示談なら
事後強盗罪で示談なら
~事後強盗罪で示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~
~ケース~
Aさんは江南市内の路上で、歩行中のVさんの財布をすった後、同付近を警ら中の愛知県警察江南警察署の警察官に現行犯逮捕された。
しかし、Aさんは現場から車で約10分程の場所にある愛知県警察江南警察署についてパトカーを降りた際、Aさんは警察官に暴行し、逃亡した。
数時間後Aさんは発見され、事後強盗罪の容疑で愛知県警察江南警察署に逮捕された。
(フィクションです)
~事後強盗罪とは~
事後強盗罪は、刑法238条に規定されており、法定刑は「5年以上の有期懲役」で一般的な強盗罪と同じ法定刑です。
事後強盗罪が成立するためには、暴行又は脅迫が必要となりますが、その暴行又は脅迫は、財物を取り返されることを防ぎ、逮捕を免れるために行われたこと、つまり窃盗の機会に行われたものである必要があります。
暴行又は脅迫が窃盗の機会に行われたと言えるか否かは、
①窃盗行為と暴行又は脅迫との時間的・場所的接着性
②被害者による追跡の有無
などにより判断すべきだと考えられています。
具体例として、「窃盗現場から数十メートル離れた地点で巡査に現行犯人として逮捕され、連行される途中に逃げ出し、逮捕を免れるためにその巡査に暴行を加えた場合」(最決昭34.6.12)は窃盗の機会に暴行が行われたと判断し、事後強盗罪にあたるとした判例があります。
今回のケースにおいても、Aさんが暴行を加えた場所は事件現場からは時間的、距離的に離れてはいるものの、警察署への連行中に逮捕を免れるために行ったものと判断され、事後強盗罪に問われる可能性があります。
刑の重さが大きく変わってくるため、事後強盗罪に問われるのか、窃盗罪+暴行罪に問われるのかは被疑者・被告人にとってとても重要です。
したがって、事後強盗罪の容疑を掛けられている場合、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
そして、事案によっては事後強盗罪にはあたらないことを捜査機関や裁判所に主張してもらうことが大切です。
~刑事事件における示談の意義~
被害者と和解をする場合には、示談という形をとることが一般的です。
示談とは,被害者に対して相応の金銭を支払うことで,事件を当事者間で解決するという内容の合意をかわすことをいいます。
仮に、被害届が出される前に示談をまとめることが出来れば,刑事事件化を防ぐことが期待できます。
また、刑事事件化された後であったとしても、起訴される前であれば不起訴処分を獲得することが期待できるようになります。
さらに,示談の成立が起訴後であったとしても,量刑(刑罰の重さ)が軽くなる事情となったり,執行猶予が付きやすくなったりもします。
そして,示談の際に相応の金銭を支払い、紛争の蒸し返しをしない旨の合意をすることで、後々損害賠償請求といった刑事事件とは別の民事に関する紛争を事前に防止することもできます。
~示談交渉における弁護士の役割~
このように、示談を締結する事が出来れば、被疑者・被告人にとって大きなメリットがあります。
ただ、示談交渉を当事者間で直接行う場合,顔を合わせることで被害感情が高めることになってしまったり,書面の不備により法的な効力が認められず後日紛争が蒸し返されてしまうおそれがあります。
この点、弁護士を入れて示談交渉を行うことで、被害者側も安心して話し合いの場に出てきてくれることも多いです。
また、被疑者・被告人側からはなかなか切り出しにくい宥恕文言についても、弁護士であれば第三者として冷静に交渉していくことが可能です。
ここで、宥恕文言とは、被害者が加害者を許し、法的な処罰を求めないという意思表示であり、示談によって解決していることを意味します。また,事件の内容や被害の内容・程度によって,示談金についてのある程度の相場観がありますので,適切な示談金についてを提示することも期待できます。
こうした示談交渉については,刑事事件に強い弁護士にご依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士は刑事事件に強く,事後強盗罪についての刑事弁護活動も多数承っております。
事後強盗罪で被害者との示談交渉をお考えの方,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士までご相談ください。
初回無料法律相談のご予約や、初回接見サービスのお申し込みは、24時間いつでも可能です(0120‐631‐881)。
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